第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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戦いは続く。
意味の無い意地の張り合いにもひとは傷つき、モビルスーツは壊れていく。




劇場版 GQuuuuuuX第二部 回天の宇宙~これもクラバ!

宇宙は、まだ暴力で満ちていた。

ぺズン外郭――崩壊した空港区画上空。

 

帰還してきたニューディサイズ残存部隊は、ほとんどが満身創痍だった。

 

ゼク・アインのうち、もっとも損傷の少ないものでも肩装甲は吹き飛び、推進ノズルのいくつかは死んでいる。

ザクや軽キャノンといった旧式の機体は、普通に移動すら難しそうだ。

 

コッドのガンダムマークⅤは、もはや“形を保っている”というだけだった。

 

それでも――

 

戦うしかなかった。

 

ぺズン表面から、モビルスーツ群が湧き出す。

ここは、独立戦争時代には、モビルスーツの開発工廠だったという。

ということは、こいつらは試作型のまま放置されていた名もない機体ということなのだろうか。

 

統一された編成もない。

洗練された戦術もない。

 

みたところ、ビームライフルを装備しているのは一機のみだった。

こいつはゲルググに多少、意匠が似ていたところをみると比較的最近できた機体なのかもしれない。

 

よろよろと、ニューディサイズのモビルスーツたちは進む。

自走砲かモビルスーツが判別しにくい機体が発砲した。

弾は大きく逸れる。

 

なるほど。

コッドは気づいた。

もともとのエイノー提督の部下も、あとから潜り込んだティターンズの残党どもも、パイロットとしてある程度訓練をうけたものは全員、今回のクラン艦隊攻撃に引っ張り出されている。

 

エイノー提督が、ぺズン内をどのように掌握したのかは分からぬが、ぺズンのモビルスーツにまともなパイロットはいなさそうだった。

おそらく、乗り込んでいるのは、もともとぺズンにいた技術者たちだ。

 

次々と撃たれる砲弾も、ビームも明後日の方角に逸れていく。

 

味方のザクの一体がバズーカを発射した。

……もともと戦闘で傷ついていたのだろう。

反動で片手が肘から取れる。

 

戦えたものではない。

 

ずんぐりとしたぺズンのモビルスーツが、ミサイルを発射する。

かわしながら、突進する軽キャノン改はビームガンを失っている。

水陸両用型の面影を残した相手のモビルスーツの両腕は鋭いクローアームとなっていたが、それでも接近して、ビームサーベルなら、自分が有利と判断したのだろう。

 

だが打ち出されたハンマーが、そのメインカメラをとらえて、粉砕した。

 

ぺズンのパイロットはたしかに、動かすのもやっとという練度だが、それでも機体は整備されている。

撃つべき弾もある。

 

さらに一機のゼク・アインが砲弾を浴びた。装甲はなんとかもったが、パイロットはショックで気を失ったようだった。

くるくると回転しながら、漂っていく。

 

 

 

……トロイホースは?

 

コッドは唖然とした。

ぺズン攻撃を指示したトロイホースはすでに、全速で戦域を離脱しつつあった!

 

 

絶望……?

いやいやいや。

絶望とは程遠い。

士官学校を卒業し、実戦も経験した彼にはちゃんとこんなときにも適用できるマニュアルがある。

 

 

「全機! 戦闘中止!」

コッドは叫んだ。

もともと指揮官ではない彼の言葉をきいてくれるかは、気がかりではあったが、とりあえず全軍の動きは止まった。

 

「ペズン防衛部隊へ。わたしは、ニューディサイズモビルスーツ隊大尉コッドだ。」

コッドはこういった時に定められた回線で話しかけた。

「我々には戦闘の意思はない!

きみたちに降伏する。

捕虜としての正当な扱いを要求する。」

 

戦闘を停止し、部隊責任者から、降伏を申し出る……。

それを受け入れられなければ、もちろん戦闘を続けるしかないのだが。

 

ガンダムマークⅤのモニターに女性の姿が映った。

研究者らしく白衣を着ていたが、コッドはいままで、彼女をぺズンで見かけたことはなかった。

 

「降伏? なにそれ?

捕虜なんてとるわけないじゃない。」

嫣然と笑ったその笑顔の恐ろしさに、コッドは凍りついた。

ひとをひとと思わぬある種の技術者や科学者に近い狂気を感じ取ったのである。

 

「防衛部隊の責任者にお会いしたい。それとエイノー提督が、ティターンズ追い出しの作戦をたてたと、バスクが言っていた。

提督に会わせていただきたい。

重ねて言うが、我々にはこれ以上戦う意志はない。」

 

「だから捕虜?

そんなもの認めるわけないじゃない?」

ケラケラと彼女は笑ったが、肝心のぺズン防衛隊のモビルスーツたちは動きを止めている。

 

「……どういう意味だ。」

 

「ぺズンの反対側にまだ使えるモビルスーツハッチがあるから、そこから入るといいわ。」

 

「降伏は認めないと言っていたが?」

 

「だって、これは戦争じゃないのよ。クランバトル!

あなたが負けを認めて戦闘を中止した時点ですべて終わっているの!

まあ、もしあなた方に賭けてたクラバファンがいたら恨まれるでしょうけどね!!」

 

 

 

-------------

 

 

 

宇宙を漂ってから、クワトロ大尉が彼らを見つけてくれるまで、それほど時間はたっていないが、アムロはすっかり疲れ切っていた。

 

やはり……父さんがモビルスーツを宇宙という環境に人が適応するための「服」だと言ってたのは正しいのだな。

かろうじて呼吸は出来る。酸素はまだまだ持つだろう。だが、移動もできない。微小なデブリに接触しても命取りだ。

 

 

彼を友だちと呼んだ少女は、さきほどまで、マシューがマリラが、どんなことを彼女に教え、彼女がどんな「遊び」をしてきたか懸命に語っていたが、いまは疲れて彼の腕の中で眠りこけている。

 

「無事か、アムロ。」

「ぼくは大丈夫です。ですがガンダムが……」

 

クワトロ大尉は一人用のポッドを持ってきていた。

少女は小柄だったので、なんとかアムロはそのなかに二人で潜りこんだ。

 

「デブリが多い。最寄りのアーガマに向かう。」

クワトロはボッドを抱いて百式を発進させた。

 

「戦いはどうなったんです?」

 

「ギリギリだがなんとか勝った。」

クワトロは答えた。

「ついさきほど、月面基地にむかったニューディサイズの別働隊が降伏したとの連絡があったそうだ。

ケリィ・レズナーにはいずれ、礼をせんとな。

あとはエッシェンバッハ卿の義理のご子息にも。

……あとはなんとか私たちで撃退した。

ぺズンそのものも、エイノー提督から正式に降伏の申し出があった。」

 

「こ、こちらの被害は?」

 

「ヤザンのハンブラビ隊は全滅だ。

マークⅡは中破。あとは大きな被害は出ていない。

とはいえ、無傷のモビルスーツはほとんどない。」

 

「パイロットは!?」

 

「ああ。ヤザンとカミーユは軽傷だ。アルテイシアは今回は懸命にも出撃を思いとどまってくれたので、怪我はないよ……」

 

「ララァは……ララァは無事ですか!?」

 

「無事だ。インコムを使うガンダムタイプに苦戦したようだが、敵を退けたそうだ。」

クワトロの声に怪訝そうな響きが混じる。

「いつの間にか、彼女と親しくなったのだな、アムロ君。よき友人になってくれるのは吝かではないが……」

 

「ふに……」

アムロの腕のなかの少女が目を覚ました。

眠そうな目がアムロを見て、彼がそこにいることに安心したように「……友だち」と呟いてふたたび眠りについた。

 

「……その少女が、ヤツらの重モビルスーツのパイロットなのか?」

 

「はい。たぶん、ですが、ドゥーたちと同じ強化人間です。」

 

「医療行為が必要かもしれんな。」

クワトロは言った。

「まだ詳細はきいていないが、ムラサメ博士はぺズンに居るらしいのだ。彼女が語っていた『 アン・ムラサメ』

が、その子ならさっそく彼女を呼び戻そう。

それとアムロ君。

ジャミトフ・ハイマンとバスク・オムが、連邦軍のトロイホースで、すでにぺズンを脱出しているらしい。

追跡したいのだが、君にも協力してもらえるか?」

 

「も、もちろんです……ですが、ガンダムは破壊されていて……替りにつかえるモビルスーツはありますか?」

 

「クランのモビルスーツは多かれ少なかれ損傷を受けている。

目をつぶって出撃させられるのは、ZETAと百式だけだ。」

 

「じ、じゃあ……」

 

「きみの父上から新型が届いている。おそらく百式やZETAと同等の加速が出来るはずだ。試してみてくれ。」

 

 

---------------

 

 

「しかし……どこに向かうのでありますか?」

 

バスクは尋ねた。

トロイホースも万全ではない。

瓦礫に塞がれたぺズン宙港を無理やり脱出する際に、戦隊は傷ついている。

戦闘に耐えるモビルスーツはゼク・アイン3機のみだ。

 

「月面へ進路を。」

ジャミトフは短く答えた。

 

「い、いえ……しかし。

エアーズ攻撃隊も、むこうの保安部隊に降伏しています。そのほかの都市も我々を受け入れてくれるところはありません!」

 

「あるのだ。」

ジャミトフの目が昏く光る。

「味方とは言えんが、敵とも言えぬ。

ある意味、わしとエイノーを踊らせた連中が!」

 

 

 

 

 

 




アムロの新型?
あれにしようか、それとも他のシリーズからもってくるか。
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