第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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改良型ビグ・ザムの脅威。
迎え撃つはZZ。
アナハイム驚異の科学力。
きみは刻の涙を見る。




劇場版 GQuuuuuuX第二部 回天の宇宙~白い亡霊

ビグ・ザムは、独立戦争時、ソロモン防衛戦で初めて投入されたモビルアーマーである。

巨大な全長、多数のメガ粒子砲、そして中遠距離からのビーム攻撃を無効化するIフィールド。

 

ドズル・ザビ中将は、敗色濃厚となったソロモンから味方の兵を逃がすために、このモビルアーマーで自ら打って出た。

多数の不具合を重ねた、この零号機ともいえるビグ・ザムは稼働時間は30分に満たなかった、とされる。

そして、実際には、そこまでも持たなかった。

 

そのビーム砲の斉射で多数の連邦軍艦船、モビルスーツ群に大打撃を与えたものの質量兵器である「ハンマー」を装備した軽キャノンに堕とされることになる。

 

その後、ビグ・ザムは量産され、ジオン独立戦争の最終局面となったルナツー攻略戦に投入され、大きな戦果を上げることとなる。

 

ジオンの総帥であったギレンは、このモビルアーマーを気に入り、戦後さらに数機が建造され、親衛隊を中心に、配備される事になった……

 

アナハイムはその技術を盗み出し、あるいはその製造プロセスの一部を担当することにより、我がものとしたのだろう。

小回りのきくモビルスーツに接近戦を挑まれたときのための対空機銃の増設。

さきほど、脚部のクローが、分離し、独自の攻撃をしかけてきたということは、サイコミュも搭載している。

ならばパイロットは、ニュータイプ、または強化人間。

全体が淡いグレーに塗装されていた。

 

アムロは、落ち着いている。

技術的な怒りはいったんおさめて、相手に集中している。

 

“まず、Iフィールドの発生装置を叩く!”

 

実体武器は……

あった。

21連装ミサイル2基。

グレネードランチャー。

Wバルカン。

……ありすぎる。

 

なんにせよ、過剰に詰め込むのが、このZZというモビルスーツのコンセプトらしい。

 

ビグ・ザムが、ビームを。続けてミサイルを放った。

ビームの威力は凄まじいものがある。

戦艦の装甲でも貫くだろう。だが、射角は腕にもつビームライフルのように自在には行かない。

 

死角へと回り込みながら、アムロはミサイルを迎撃するために、自分のビームライフルを持ち上げた。

 

え?……

 

なんで砲身が二本?

 

発射されたビームは、アムロの知っているビームライフルのそれとは別物だった。

命中したミサイルはともかく、その周りのミサイルまでが掠めただけで、次々と誘爆を起こす。

 

オーバースペックすぎる……

 

クランバトルが基準にあるアムロはともかく、軍人としての経験のあるクワトロにもそう感じられた。

 

「アムロさん! 頭部のハイメガキャノンはとりあえずは使用禁止だから!」

ルー・ルカがコクピットに大気圏飛行用の翼とスラスターをつけただけの簡易戦闘機から叫んだ。

「それは特殊なウェイブを発する決戦兵器なんです。ZZの次元波動ジェネレーターが。余剰次元から重力を開放する際に発生するマイクロブラックホールのエネルギーを利用し、木星の浮遊大陸くらいは跡形もなく吹き飛ばします!」

 

「じ、冗談だろ!!」

 

「もちろん、冗談です。」

ファが叫ぶ。

「ホントは、ジオンが独立戦争時に計画していたコロニーを使ったレーザー砲の20%くらいの威力しかありません!

しかもそれだけのパワーで撃つとハイメガキャノンそのものが溶解します。」

 

たいした慰めにもならない。

 

ビグ・ザムのクローが迫る。

ZZのダブルビームライフルがそれを打ち砕く。

 

“このビグ・ザム、たしかに強化はされているけど”

ZZは、武器の威力が高すぎるが、重厚な外観に比べ、その動きは軽快そのものだ。

“ノイエ・ジールやデンドロビウムの方が、攻撃の多彩さでは上だ。”

 

モビルスーツ技術者であるアムロは、ビグ・ザムについてもまったく知らないわけでもない。

倒すには、接近してまずIフィールドジェネレーターをなんとかするのがセオリーだろう。

 

だが、この機体はアムロの知っているビグ・ザムとは設計が異なっているようだ。

 

目をこらしてもIフィールドジェネレーターがどこにあるのか、分からない。

 

これだけの巨体を覆うIフィールドだ。

設置する箇所は限られるはずなのに。

 

「……いや、違う。これは“隠している”……いや」

アムロは戦慄した。

「搭載しているIフィールドジェネレーターは一基ではないのか!」

 

アムロは、機体をさらに加速させた。

 

ビグ・ザムの周囲を、円を描くように回り込む。

 

巨大な質量。

巨大な推進剤タンク。

巨大な発熱量。

 

どこかに――必ず、弱点はある。

 

「……分散型のIフィールド?」

クワトロが、低く言った。

「当たりかもしれんな」

 

「Iフィールド発生器を――複数配置してる……!」

 

だから、見えない。

どこか一箇所を叩いても、止まらない。

 

そのとき。

 

ビグ・ザムの装甲が、スライドした。

脚部。

腹部。

肩部。

 

それぞれから、ミサイルが発射される。

 

ジュドーが。

クワトロが。

 

連射でそれを落としていく。

 

「行けっーーーっ!」

 

ビームが、空間を薙いだ。

だが、アムロはすでに動いていた。

 

ZZの加速は異様なほどだ。

 

「この加速……!」

推力制御が、思考と直結するように追従する。

重いはずの機体が――軽い。

 

「……サイコミュなのか?」

 

いやあれはニュータイプでないと効果を発揮しないはずだ。

この後に及んでも自分をニュータイプとは認めたがらない「白い悪魔」は、ビームの雨の中へ突っ込んだ。

 

無理だ!

 

アムロの神業でしかない回避力を知っているクワトロと、ジュドーも思わず青ざめた。

 

少なくとも一本のビームは。

間違いなくZZを貫くだろう。

 

アムロはダブルビームライフルを上げた。

 

迫るビームを。

ビームで相殺した。

 

起きるプラズマ爆発を貫いて、ZZは、ついにビグ・ザムに肉薄した。

 

その巨体に。

 

ビームサーベルを突き立て、そのまま、バーニヤを全開にした。

ZZの移動にそって、ビグ・ザムが切り裂かれる。

 

ある種の弱点となるIフィールドジェネレーターがどこにあるかはもはや関係なかった。

 

ビグ・ザムが。

沈む。

 

破損したプロペラントタンクが爆発する。

切り裂かれたメガ粒子砲が火花をあげる。

 

だが本体そのものは――爆散しない。

 

「……ここでもクランバトルのルールを通すか、アムロ。」

クワトロの声はどこか僻んでいるかのような響きがあった。 パイロットとして。ニュータイプとして、アムロが自分より優れていると。

認めなければいけないのだが、認めきれない。

そんな響きがどこかにあった。

 

その瞬間だった。

 

ビグ・ザム改の胸部ハッチが、内側から開いた。

 

「なに!?」

 

ジュドーが叫ぶ。

中から――

 

人影。

 

宇宙服姿のパイロットが、外部フレームにしがみつくように現れた。

 

片手には――マシンガン。

 

「おおおおおおおおおおおおッ!!」

 

通信回線を無視した、生の絶叫。

 

マシンガンが、火を噴いた。

 

宇宙空間に、意味のない弾丸の列が走る。

 

ZZの装甲に、当たる。

 

弾かれる。

意味はない。まったく意味はない。

 

それでも。

 

撃つ。

 

撃つ。

 

撃ち続ける。

 

「ふざけるな……!」

 

パイロットは叫ぶ。

 

「やらせはせん! やらせはせん。やらせはせんぞっ!

たかが、クランのモビルスーツごときに!

やらせはせん!

ドズル閣下のご無念! この俺のプライド!

やらせはせんぞ!」

 

マシンガンを撃ちながら、フレームを蹴る。

 

まるで。

 

機体そのものに、しがみつく亡霊のように。

 

「ビグ・ザムは……負けてない……!」

弾倉が、空になる。

 

それでも。

 

引き金を引き続ける。

 

カチ、カチ、カチ、と乾いた音だけが響く。

 

沈黙。

 

やがて。

 

パイロットの腕が、力を失う。

 

マシンガンが、手から離れた。

 

ゆっくりと。

 

宇宙の闇へ、流れていく。

 

「……くそ……」

 

かすれた声。

 

「こんな……時代に……」

 

宇宙服のバイザー越しに。

こちらを、見ていた。

 

憎悪でも。

 

狂気でもない。

 

ただ――

 

取り残された兵士の、目だった。

 

アムロは、引き金を引かなかった。

ある意味、アムロはピンチだったのかもしれない。

誰が見ても負けた相手が断固として敗北を認めないとは……

 

そのとき。

クワトロの百式が前に出た。

 

金色の輝きに、男の視線がそちらを向いた。

 

「シン・マツナガ大尉だな?」

「お、おまえは?」

「元連邦軍大尉で、クワトロ・バジーナという……」

「た、大佐でありましたか!」

 

ちょっと硬直した百式の後ろで、ZZの肩に、ZETAが手をかけた。

 

「なあ、アムロさん。アルテイシア様も大佐もこれってふざけてやってんのか?」

「……いや、本人たちはどうもマジメらしいんだ。」

 

これはダイクン家の血筋がそうさせるのだろうか。

 

「いや、そう言えば、大佐の恋人であるララァもへんな偽名を名乗っていたな。

ひょっとして、ニュータイプの間でそんなのが流行ってるのかな?」

「やめてくれ! ヤザンの兄貴から俺もニュータイプだって言われてんだよっ!」

 

 

 

 

 

 

 




そろそろ映画一本分に、なったかな……

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