第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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もう少し、かわいい展開にしたかったのですが、なかなか。
ジュドーたちやカミーユに触れずにここにいくのかと言う。





BluRay特典映像 クラン

サイド6、イズマコロニー。

行政区画の外れにあるラウンジは、古く、格式が高く、めったなものは足を踏み入れることもできない。

 

ウエイターは明らかに場違いな2人の女に、飲み物を提供すると、ごゆっくり、と声をかけてそうそうに立ち去った。

あまり歓迎はされていない。

 

それは2人にもよくわかったが、それで怯むような2人でもなかった。

 

アンキーは、濃い蒸留酒に満たしたグラスに氷を半かけほど落として、いっきに半分ほど空けた。

 

向かいに座る女は、肘をついたまま煙草を弄んでいる。

 

「で?」

低い声。

「わざわざ呼び出して、世間話って顔じゃないよな?」

 

アンキーは、しばらく黙っていた。

 

それから、ぽつりと言った。

 

「……どうもわたしらは……」

 

「うん」

 

「ちょっと、やりすぎたかもしれない、と思うんですがね、シーマ隊長。」

シーマは、煙草に火をつけた。

「ぺズンか?」

 

「……まあ……急ぎすぎたような気がします。」

 

煙がゆっくりと天井に上がる。

 

「ぺズンはおまえらが止めた。止めていなければ、戦争だ。

そのときには質量弾による地球攻撃とお返しに核攻撃によるコロニー破壊がはじまった可能性はかなり高い。

そう言った意味じゃあ、おまえはよくやった。」

 

アンキーの頬が僅かに紅潮した。

シーマに褒められることは、アンキーにとってそういう意味がある。

 

「しかし」

「まあ、言わんとしてることはわかる。

アナハイムだな。」

「はい。」

 

アンキーはグラスの残りを空けるともう一度同じ飲み物をつくった。

シーマは、目を細めた。

元部下はけっして酒が弱い方ではないが、こんな飲み方をするのはよくない。

 

「トロイホースを拿捕して、月面工場に連行した。そのまま、連邦に引き渡すでもなく、時間が過ぎていく。

まあ、あれは最初からジャミトフ一味を連邦に渡す気はなかったな。」

 

「どう利用する、と思います?」

 

「この前の配信を見たか?」

 

「ロックオンTVですか? 見ましたよ。

打ち合わせと称して、ジャミトフにかなりヤバいことを語らせている。

一応、音声は要所要所で消してましたが……」

 

「そうだ。」

シーマはにやりと笑った。

「音声のあるデータは当然、アナハイムが持っていていつでも公開できるってことだ。」

 

「つまり」

 

「ジャミトフは将軍だ。軍政にもがっちり関わっている。ティターンズがなにをやらかしていたのかはもちろん、強化人間やらジャブローの地下艦隊など、充分に信頼される形で発信できる。」

 

「それって……」

アンキーは顔をしかめた。

 

「まあ、それを言ってしまって、録画までされてしまったんだ。もうジャミトフはアナハイムの望む通りの証言を垂れ流すしかない。

それがウソであっても、な。」

 

ラウンジの古い空調が、低く唸っている。

 

「つまり、これからアナハイムがやろうとしてることに連邦は口出しをするな、という楔になるわけだ。」

 

アンキーは、笑った。

全然、楽しそうじゃない笑い方だった。

 

「来るよ。」

 

「なにが」

 

「クランバトルにアナハイムが、さ。」

 

シーマは、少しだけ目を細めた。

 

「いままでだって、アナハイムは何度も自分のモビルスーツやその強化パーツのテストに、クラバを使ってただろう?」

 

アンキーは答えなかった。

でも、答えなくても分かる沈黙だった。

 

「……あー、そういう意味でか。」

女は灰を落とす。

「そりゃ来るわな。」

 

「来ますよ。興行権をとりに。」

アンキーはきっぱりと言った。

 

「金だけなら、もっと儲かる話もいくらでもある。当たり外れのあるショービジネスと考えると後暗いところもある。

だが、紛争解決の手段にもなるとなるとまた別だ。」

 

アンキーは、テーブルに額をつけた。

「戦いたくないやつらがが死なないでいい世界にしたかっただけなんだよ、こっちはさあ!」

 

「それは立派な志しだ。

独立戦争じゃあ、ひとが死にすぎた。」

 

「アナハイムが運営にまで乗り出してくるようになったら、わたしらなんてひとたまりもない。」

 

「実際にはクラバの運営ってのはどうなってるんだ?」

シーマは尋ねた。

「だれか興行をまとめるボスがいるのか」

 

「実際には地域ごとに別れてる。

サイド6は、ほかにもクランはいっぱいあるし、興行主とよべるだけの力のあるクランもいくつかある。サイド6の政府からの派遣で理事会も開かれててそこできまる。

月面もわりと似てるな。有力選手を抱えてるのはケリィ・レズナーだが、ほかにもクランはいくつもある。

地球では、いまのところ、ネオ香港の“大佐”どのだけだな、興行主と呼べるのは。」

 

「その興行……ってのは権利か?

なにか、会員になって、クランバトルを開催するのには条件でもあるのか?」

 

「そこまできちんとしたものはない。

ついこの前まで非合法の見世物だったんだからなあ。

逆にいえば、いまのクランのメンバーには、後暗いところのあるやつが多いってことだ。」

 

「そいつは、強みでもあり、弱みでもあるな。」

酔いの回り始めた元部下を、シーマは彼女にしては優しい眼差しで見つめた。

「株券みたいに公開されてたら買い叩かれて終わりだろうが、お互いに後暗いところのあるもの同士が傷を舐めあってる世界なら、そこに手を突っ込まれるのは嫌がるだろう。」

 

「それにしたって……」

 

「そうだ。裏から金を回す。最新のモビルスーツの参加を停止して圧力をかける。

方法はいくらでもある。」

 

「いっちばん、可能性が高いのは……」

 

「おまえがわたしにそれを聞くか?

わかってるだろうに。」

 

「クランバトルのパイロットを……」

カラン、と氷か空いたグラスでなった。

ウイスキーを注ぎこもうとするアンキーから、グラスを取り上げたシーマは、水割りを作ってやる。

「人気のあるパイロットを金でかき集めて、独自の興行をうつ。」

 

「そういうことだ。」

シーマは笑った。

「そして、クラバの1流パイロットどもがいかにド変人ぞろいかを思い知るわけだ。」

 

「……それでも引き抜かれるやつは多いっすよ。」

アンキーはグダグダと言った。

「クラン自体が存続できなくなるとこだって出てくる。そこの興行権を買い取れば、アナハイムはどうどうとクランバトルに参入できる……」

 

アンキーがそろそろ酩酊に近い状態なのを確かめて、シーマはおもむろに言った。

 

「ところで、あっちはどうなんだ、アンキー?」

「いや……いいオトコがぜんぜん、いねえ、です。」

「そっちじゃなくてだな。」

 

ふう。

と、アンキーはため息をついた。

「……モビルスーツのほうッスか?

てんでダメです。コクピットに座っただけで、パニックになっちまう。」

 

「“深紅の戦慄”……ジェシカ・ライデンが、か。」

 

「……だれっす、そいつは?」

アンキーはぞっとするような虚無の笑いを浮かべた。

「そいつはとうの昔に死にましたよ。」

 

 

 

 

 




さて、そろそろアムロたちの楽しいキャンパスライフでも書くかな……
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