第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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こうも乱入が続くのはよくないな……












GQuuuuuuX season2 第2話 ジオン襲来~黒の光臨

少女は。

空を見あげていた。

まだ、小さな点にしか見えないが、たしかなに感じる。

 

ソドンを。

ジークアクスを。

 

VIP席を飛び越え、走り出す。

 

あの日のように。

いつものように。

 

「ジークアクス!!」

 

 

轟音とともに、空から降ってきた鉄の巨人が、スタジアムに降り立った。

 

最前列からジャンプした少女を差し伸べた手で受け止め、そっと自らのコクピットに納めた。

 

「ジークアクスだ!!」

「“狂犬”マチュだ。」

「乱入! 乱入か!! 乱入なのか!?」

 

再びヒートアップするスタジアム。

 

ジークアクスは、手を挙げて、ビタリとククルス・ドアンのザクを指さす。

 

「ドアンさん! わたしが相手だ」

 

 

 

なんでそうなるっ!!

 

アムロは頭を抱えた。

 

ハヤトの戦いぶりには、驚いた。

たしかに、柔術をはじめとする武道に通じているのは知っていたが。

それをモビルスーツの戦いに活かすとは。

胸が熱くなるものは感じる。

 

だが、その胸の高鳴りを「乱入」というパフォーマンススで発揮するのは、アムロの理解を超えている。

 

「いい子よね、マチュさんは。」

ララァは肘掛にもたれるようにして、笑った。

「アムロ。彼女をつかまえてあげられる?」

 

なぜ、ぼくが!

アムロは、困ったように、美しい彼女を見返した。

 

「あのままだと、彼女はシュウジ・イトウのようになるわ。この世界にあの子を繋ぎ止めていられるのはたぶん、あなただけよ。」

 

「よく、わからないな。

シュウジ・イトウの名前は、マチュから聞いた。シャロンの薔薇を破壊しようとして……マチュとニャアンが止めた……そう聞いている。

けど、いったい何者なんだ? シュウジ・イトウは。」

 

「シュウちゃんは、わたしに似てた。」

ニャアンがぽつりと言った。

「どこにも居場所がないひとだった。」

 

「なにかのために刻を渡り、世界をまたぐ。

ついには、自分がなにをなんのためにしているのか分からなくなる。

恐らくは死ぬこともできない存在……」

 

そんなものには。

アムロは微かに寒気を感じた。

そんなものにはなりたくない。

 

 

 

 

 

ククルス・ドアンは、苦笑とともに乱入者を見つめた。

自分は勝ったのか?

クラバのルールではそうだ。

だが、相手は負けを認めず、ダメージは明らかに彼のほうが大きい。

 

ドアンのザクの片手は欠損し、脚の関節も動かない。

中の人間ほうはというと。

 

全身打撲。骨はたぶん折れてはいないが、ヒビくらいはいってるだろう。

家族にはすまないが、入院は免れない。

 

そして―――新手、か。

 

ククルス・ドアンは、一度ジークアクスの戦いぶりを見たことがある。

ガンダムタイプの。しかもサイコミュを搭載したニュータイプ用のガンダムタイプときいている。

その戦法は、射撃よりも近接の戦闘が優れていたように思うが、それはあるいはパイロットの好みなのか。

 

「狂犬」と呼ばれるクランバトラーであることはあとで知った。

 

ドアンの苦笑いは深いものになる。

 

……なるほど、たしかに狂犬だ。

 

「やめろ、マチュ!!

ドアンさんは傷ついている!」

アムロは叫んだ。

ジークアクスに搭乗してしまったマチュに、その言葉が届くのか。

 

「大丈夫、天パ!」

ジークアクスの瞳が輝く。

言葉は、届いた!!

「……軽く遊んでやるだけだから!」

内容は伝わっていないっ!!

 

「ふざけるなっ!」

軽キャノンが、ザクとジークアクスの間にわって入った。

「たかがメインカメラ」ではない。センサー類の集中している頭部を凹まされて、スムースに軽Cキャノンを操れるのは、ハヤトのパイロットとしての技量は間違いなく、たいしたものだ。

 

「なぜ、出てくる!?」

 

ジークアクスがシールドで、軽キャノンを押しのけようとした。

ハヤトはその動きに逆らわず、腕をとる。

 

「今度はサブミッション!!」

カンチャナが叫んだ。

 

「まずいぞ、ジークアクスの腕関節が破壊され……」

言いかけたアムロに応えるように。

 

ジークアクスがバーニヤをふかした。

 

二本足で立ち、歩くという不安定さ。

それと地球の重力を利用したのが投げ技だ。

人間同士なら、「投げ」と「極め」が同時に決まっただろう。だが、モビルスーツは人型をしていても人間ではない。

 

バーニヤによるダッシュに引きずられるように、体勢を崩したのは、ハヤトの軽キャノンのほうだった。

彼の体術の技前(それは若くして達人クラスに達していたが)をもってしても、技をかけようとした相手が、バーニヤをふかしてダッシュする、などという状況は想定外だったのだ。

 

引きずられて、転倒し、転がった軽キャノンはそれでも立ち上がろうともがく。

 

 

――そのとき。

 

スタジアム上空の空気が、わずかに歪んだ。

 

轟音はない。

閃光もない。

 

だが。

 

「……来る」

 

アムロが、低く呟いた。

 

次の瞬間。

 

雲を割るように、一機の機影が降下してくる。

 

黒に近い重色の機体。

凶悪にすら見えるシルエット。

戦場の熱狂とは無縁の、冷えきった存在感。

 

「……」

 

みなが、息を呑んだ。

スタジアムの喧騒が、奇妙なほど静まっていく。

 

それは威圧ではない。

殺気でもない。

 

――統制だ。

 

空から降りてきたその機体は、争いそのものを否定する位置に、静かに着地した。

 

ドン――

 

重い着地音が、一拍遅れて響く。

 

レイダーは、動かない。

武器も構えない。

ただ、そこに立つ。

 

それだけで。

 

ジークアクスの前進がとまった。

 

「……っ」

コクピットの中で、マチュはにいっと笑った。

「姫さん、か。」

 

静寂の中。

通信回線が、全機に強制割り込みした。

 

『――そこまでです』

 

柔らかな女の声。

 

だが、その一言で。

スタジアムの空気が、完全に凍りついた。

 

『クランバトルは終了しました。

これ以上の戦闘行動は一切は認められません。』

一呼吸おいて、なぞの女性パイロットは続けた。

『本戦闘は、ここで終了とします』

 

有無を言わせない宣告。

 

ドアンは、ゆっくりと息を吐いた。

「……助けられた、かな?」

 

 

レイダーのツインアイが、ジークアクスを睨んだ。

「マチュ。熱くなりすぎです。」

 

「乱入だめって言っても」

ブツブツとマチュは言った。

「自分も乱入してるじゃん……」

 

「なにか?」

「いえ! なんでも!」

 

 

 

 

また、スタジアムはざわめきはじめた。

同時に、配信を視聴していた者たちも。

 

「あれ……って。」

「ああ、ペズンのクラバて見たぞ。レイダーだ。

近接戦闘が得意の可変機で、たしかパイロットは……」

「ア……」

「ソム・エドワウ! そうソム・エドワウだよな!」

「だって、それってジオンの……」

「黙れ! わかっててもその名を言ったら、ハンマーが潰しに来るぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 




緊張感という意味では、今回のクラバの主催者と、ソム・エドワウの会見シーンのほうが上回るかもしれません……
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