ほかのサイトだとだいたい2000文字を目安に書いてるんですけどね。
物語は大きく動きます。
アムロはクワトロ・バジーナの主催するクラバに参加するために、地球へ。大気圏突入寸前になにかあるのはお約束!!
アムロがアンキーから提案のあったネオホンコンでのクランバトルに参加しようと決めたのは実に消極的な理由だった。
マスコミの凄まじい取材攻勢に辟易したのである。
もともと目立つのは好きではない。
そう言った意味では、非合法と合法のグレーゾーンにあったこれまでのクランバトルのほうが彼に向いていたのかもしれない。
テム工廠のある町外れの工場兼倉庫ではとてもいられず、アムロはそうそうにホテルに避難したのだが。
朝起きてみると、ロビーには数十人の記者が彼を取材しようと待ち構えていた。
どこのコロニーにいってもこれは一緒だろう。
コロニーとは一線を画している月のフォン・ブラウンかグラナダ、とも考えたのだが大差は無さそうだった。
ならば地球なら。
コロニー落としという大ダメージを負ったあとでさえ、人類の過半は地球に住んでいる。そこはそこで独自の文化圏であり、コロニー国家のニュースや話題はわりと地球には伝わらないことが多い。
アムロは、アルテイシアの要望を聞き入れる気はまったくなかった。
ただ、クワトロ・バジーナという人物と有重力下でのクランバトルというものに興味をもったに過ぎない。
相談相手として一番マシだと思えるクリスチーナ・マッケンジーは二つ返事で賛成してくれた。
さっそくいくつかのモビルスーツ研究に定評がある工科大学をピックアップしてくれたのはともかく、奨学金の申し込みまでしようとしたので、それはいったん止めてもらった。
学生にテストパイロットにクラバの出場者。はたして全部が両立出来るものなのか、わからない。
この時期のアムロは、少なくとも積極的に運命を切り開いていくタイプではなかった。
父親が連邦軍の技術士官になってサイド7に転勤になったので、くっついてサイド7にきた。その後、父が連邦軍から放逐されあちこちの研究施設を転々とするのにも付き合った。
テムが自分の研究所を立ち上げ、なんとか完成はしたもののスポンサーの企業からはたいした評価を得られなかった「ガンダム」で資金稼ぎのために、クランバトルに出るようになるとなんでか連勝できて、ずいぶんと高い評価を得るようになったがそれにもアムロは違和感を持たざるを得ない。
戦いは大嫌いだ。
正直、クランバトルも怖くてたまらない。
テム・レイが行くことになったフランクリン・ビダンの研究施設はグリーン・ノア、というコロニー内にあった。
「ふむ、これである意味おまえも独り立ち、というわけだな。」
地球へ行くことが決まったアムロはその前の晩に、父と酒を飲んだ。
「父さんのガンダム…マークII?がある程度形になったら呼んでよ?」
アムロは念を押しておいた。
「父さんの機体のテストパイロットはぼくがやるんだからね!」
「マークII? そんなありきたりな後継機を作るつもりはまったくない。」
テム・レイはフランクリン・ビダンから贈られたという高価な酒をちびちびと飲みながら嘯いた。
「私の当面の目標は可変機だ。あらゆる戦場にいち早く駆けつけ、どんな戦況でも即応できる機体だ。」
仮に可能だとしても、パイロットと整備士の負担がとんでもないことになるぞ、とアムロは思ったが、新しい技術に夢中になっているときのテムには何を言ってもムダである。
少し酔いがまわったテムはなにやらお説教じみたことを言いたくなったのか、あらたまった口調でアムロに言った。
「おまえの中でニュータイプとはなんだと思う?」
「宇宙時代に適応した互いを分かり合うことができる新しいタイプの人類…?」
「そうだな。断じて先読みの鋭いパイロットなんて卑小な存在なんかじゃない。
ならば、だ、アムロ。宇宙に適応した人類とはなんだ?」
だからそれをニュータイプとジオン・ズム・ダイクンは提唱して…
とアムロは言いかけたが、テムはそれを遮るように言った。
「モビルスーツを一番うまく扱えるやつだ。」
ぐわらがらがっしゃん。
アムロは取り落としかけたグラスを慌てて拾い上げた。
「そもそもモビルスーツはなんでモビルスーツなのか考えたことがあるか?」
「いやだから、行動をトレースして動けるような作業用の宇宙服の発展系だから…」
「そんなことはない。いやそれで正しくはあるのだが、モビルスーツの誕生と発達を見てみるがいい。
どう考えても兵器そのものじゃないか。」
まあ、それはその通りだ。
むしろ作業に使うものは必ずしも人型ではなく、プチモビルなどと称して別物とされている。
「それなのに、我々はそれをあくまでモビル『スーツ』と呼び続けた。
『汎用ヒト型決戦兵器』ではなく。」
と、とうさん!
酸素欠乏症にかかって。
アムロは本気で心配になったが!そういうことではなかった。
「ひとは脆弱な生き物だ。寒暖差にも、弱い。だから出かける時は服を着る。
宇宙空間という環境に耐えるために、人は服を着るのだ。それがモビル『スーツ』だ。」
「たんに宇宙服――ノーマルスーツでいいのでは?」
「宇宙空間で自由に動き、ある程度の距離を移動するためにはモビルスーツが必要だ。」
テムは珍しく酔っていた。
アムロとの別れがそうさせているのかもしれない。
「お、おまえはニュータイプなんだろうな、たぶん。」
いや、どうなんだろう。
と、アムロはそれには疑問をもっている。
たしかにエキシビションマッチの時には通信回線を開かずにカミーユやあのドゥーという少女の声が聞こえた。
だがそれはカミーユとドゥーにその素養があったからではないのだろうか。自分は巻き込まれただけだ。
「いいか。いまのモビルスーツはたしかに兵器だ。わたしもそれを改良することで飯を食っている。
だが、おまえは忘れるな。モビルスーツは宇宙という空間にひとが適応するための衣服のような物だ。いまは兵器としての面が強いが、いつかそれはひとの体の一部となる。着こなした服が肌に馴染むように、な。あるいは疑似人格をそなえて、共にあゆみ、寄り添い、成長してくれるような存在になるかもしれん。」
うむうむ。 テム・レイはモニターに向かってなにやら図面を起こし始めた。
「コクピット内にマニュピレーターを用意して操縦を補助してくれるというのはどうだ。パイロットが精神的にダメージをおったときなどは、そっと抱きしめてくれる。」
それはオカルトだし、パイロットがクリスのような女性だったらセクハラだ、と、アムロは思った。
まあ、そこまでわけのわからないモビルスーツは存在するはずもないし、作ろうとしたらいくらなんでも開発チームの仲間が止めてくれるだろう。
アムロはそろそろ切り上げるか、と思った。
明日のシャトルには、クリスとその夫、それにドゥーも同行することになっている。「ガンダム」も一緒に下ろさねばならないから物資運搬もできる大型のものだ。
「そうだ、アムロ。ガンダムにわたしの開発した新パーツを取り付けて置いたぞ。」
モニターに向かいながらテムが言った。
「あれでガンダムの性能は数倍になる…」
やや、呂律の回らなくなったその声に。アムロはゾッとした。まるで本当に父親が酸素欠乏症にかかったのでないかという恐怖が心をよぎったのだ。
もちろんそんなことはない。
だが、似たようなことをいつかどこかで夢に見たような気がする。
もちろん!
ただの気のせいだ。
「じゃあ、父さん。ぼくは先に休むよ。まずはクリスさんの研究施設にお世話になるから、場所がわかったら連絡する。」
コクピットにマニュピレーターのアイデアがすっかり気に入ったようで、モニターに向かったままのテムは手だけ振って、息子に別れの挨拶をした。
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「はじめまして。」
そう挨拶したドゥー・アカツキは一応、自分の足で歩いていた。
鼻と口を半透明のマスクが覆っていた。
呼吸の補助のためのものらしい。
全体に線が細く、パッと見、少年か少女かも区別がつかない。
「実際に顔を合わせるのは初めてか。」
アムロは手を差し出したが、握手はあっさり無視された。
「カミーユがよろしくと言っていたよ。」
「ニュータイプは嫌いだ。」
けんもほろろに可愛らしい生き物はそう言った。
「でもボクは心が広く、柔軟性もあるからおまえとカミーユは除外にしてやる。」
「ああ、そりゃどうも。」
クリスの夫バーニィは明るく陽気な男だった。
元はジオンのパイロットで、いまは整備に回っているらしい。
「俺たちのアレックスを派手にぶっ壊しやがって。」
笑いながらアムロの肩を叩いたがけっこう力が強かったので、ほんとはけっこう怒ってるのかもしれない。
シャトルは時間通りに出発した。
アムロにとって、地球は久しぶりだ。
母は。たしか極東のほうで難民キャンプのボランティアをしていたはずだ。なんどか手紙ももらっている。
“会いに行ってやらないとな”
とそんなことをぼんやりと思った。
旅は順調である。
通常はいったん周回軌道に入ったあと、着陸予定地の天候などを確認しつつ、タイミングをはかる。
最大の難関といえば、大気圏突入となるのはいまもむかしも一緒だ。
角度を間違えれば、最新鋭のシャトルでも燃え尽きてしまうような高熱に晒されることになるし、角度が浅過ぎれば今度は大気層に跳ね返されてしまう。
とはいえ、コロニーや月面と地球では交易も頻繁に行われている。
なにかトラブルがあるとも思えない。
たとえば大気圏突入の直前に、戦闘を仕掛けられるとかでもない限り。
大気圏突まであと30分とのアナウンスが流れた。
かなりのGもかかるし、シャトルが揺れることもある。
アムロたち乗客はシートにすわり、ベルトで体を固定した。そのとき――
「お客様っ!!」
客室乗務員が慌てたように駆け込んできた。
「お客様のなかに強化人間の方はいらっしゃいませんか!!」
コントかっ!
アムロは心の中で突っ込んだが、そうでもなかった。
シャトルの窓から。
シャトルと併走する緑の巨体がみえた。
ザク――。
「ハイザックだ。」
ドゥーが言った。
「もう配備されてたんだね…」
ザザッ
客室のモニターに男の顔が映った、
前髪がかなり後退しているがまだ若い。
「地球連邦軍教導部隊のカクリコン・カークラー少尉である。このシャトルにテロリストが乗っているとの報告を受けてる。ただちに引き渡してもらいたい。拒否すればシャトルごと撃墜する。」
「カクリコン!!」
クリスが抗議した。
「あなたなんの権限があってこんな事を! そもそもモビルスーツを宇宙にあげること自体が終戦協定違反です。」
「おう、クリスチーナ・マッケンジー元中尉ですか。」
カクリコンはニヤリと笑った。
「モビルスーツのテストならば短時間の宇宙空間での訓練は認められているのですよ。そしてたまたまそこにテロリストが乗ったシャトルが通りかかったという訳ですな。」
「テロリストですって!?」
「そう。以前イズマコロニーで大惨事を起こしたモビルアーマーのバイロット。白い髪の女で強化人間。名前はドゥー・ムラサメ。我々は彼女を逮捕するように言われています。
もし、逮捕が難しいようならその場で殺害もやむなし、と。」
「!!!」
「その場合はシャトルごと破壊することになります。ノーマルスーツの着用のために10分ばかり猶予を差し上げましょう。」
「ボクは行くよ。」
ドゥーはシートベルトを外した。
ふわりと浮きかけたその体を、アムロは引き止めた。
「これには色々あるんだよ、アムロ。」
「話はあとできかせてくれ。」
アムロは言った。
「だがあいつらはきみを殺そうとしている。それは間違いない。」
「だからボクが一人で行けば」
「やつらはきみが、このシャトルに乗ってることを確認したいだけだ。確認した瞬間にシャトルごと破壊される。」
「じゃあ、どうするの?」
クリスが尋ねた。
「ぼくがガンダムで出ます。時間をかせぐので、シャトルはこのまま地球へ。」
「アムロ!」
クリスは固い表情で言った。
「あなたはニュータイプ――すごいパイロットなのは間違いないわ。でもこれは実戦よ。むこうは殺す気でくるわ。あなたは人を撃てるの!?」
「撃てませんよ。」
きっぱりとアムロは言った。
「ひとは殺せません――でもモビルスーツを無力化することはできます。
いつもやってるんで。」
でも、相手は最新鋭のハイザックで。
言いかけてクリスは黙った。
――アムロはつい先日エキシビションマッチでそのハイザックを事も無げにあしらってみせた。
でも、相手はパイロットの正規の訓練を受けた軍人で。
――先日アムロに敗れたクリス自身も、そうだった。
モビルスーツ格納庫は上手い具合に加圧されていた。ノーマルスーツに着替えるまもなくアムロはガンダムのコクピットに乗り込む。
とりあえず地上でのクラバがどんなものになるかはわからなかったから標準の装備をもってきている。
頭部バルカン。
ビームサーベル。
そして、ビームライフル。
さて。
やってみるさ。
ハッチが開かれた。
星の海が広がる。
今日も宇宙は。広い。
「アムロ! 行きまーす!」
一応、ピンチっぽく書いてはいますが、たぶん気持ちはひとつだと思います。せーの
「カクリコン、逃げてええっ」
不安材料は、テム・レイがつけた新パーツくらいかな。