第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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さて、仮想ア・バオア・クー戦スタートです!
最初に言っておきます。ネタバレですが、敗者は我らがクワトロ・バジーナ大尉です。
アムロに「撃墜数に応じて歩合を払う」と約束してしまったので、この仮想戦終了後、とんでもない事になります。







GQuuuuuuX season2 第4話 激突する世界~漸減作戦

仮想ア・バオア・クーイベントは、かなり大掛かりなものになった。

クワトロは、自らパイロットとして参加する以外にも、つてのあるクランにパイロットの派遣を依頼していた。

 

かくしてアナベル・ガトーやマッシュ、シン・マツナカといったジオンの元エースたちも参加することになった。

 

ア・バオア・クーの指揮そのものは、シャリア・ブル閣下がとることになった。

連邦軍の指揮官は、あのヤン・リーである。

 

というわけで、アムロはコクピットに待機して発進を待っている。

アムロがガンダムの操縦席に座るのはこれが初めてだった。

これが本当の“ガンダム”なのか。

 

彼が乗っていたのは、ガンダムの性能をコストを削りに削ってリファインした機体である。

操縦方法などは大差無さそうだが、それでも微妙な違いが勝敗を分けるかもしれない。

 

乗艦は、ペガサス級強襲上陸艦ホワイトベース。

シャアに強奪され、改装されてソドンとして活躍したあの船である。

 

「アムロ。発進願います。」

オペレーターの声は、AIのものではない。

と言うかこれは……

 

「なにやってんですか! ソムさん!」

 

「シッ。わたしはボランティア参加のパイロット、セイラ・マスよ。」

 

「いえ……」

そうだった。このお姫様が自ら首を突っ込んでくることは予想できた。

でも……

「さっき、貴賓席で観覧してたのは誰です?

それとなんで連邦側で参加なんですか!?」

 

「そうね。アルテイシア・ソム・ダイクンは、お行儀よく、財界の方たちを従えて、観覧されているわ。ただ、特定のひとと少し近づきすぎるみたいね。あれは辞めさせないと。」

 

「影武者……ですか?」

 

「ミーアはもうひとりのわたしみたいなものよ。口調も仕草も、たぶん思考法もわたしそっくりに真似できるわ。」

 

「それにしてもなぜ、連邦軍で。それにオペレーターなんて募集していなかったはずです。」

 

「わたしが、ア・バオア・クーにいたらシャリア・ブルが思うように指揮がとれないでしょう?」

ソム、いやセイラの口調が僅かにかわった。

 

「それよりアムロ。旗艦艦隊が敵襲を受けているわ。

援護に出て。

マゼラン2隻、サラミス6隻大破。

撃墜されたのは、軽キャノン11機。軽キャノン改3機、ガンキャノン2機。」

 

「大損害じゃないですか!!

相手はどんな、大部隊なんですか?」

 

「一機よ。」

セイラの答えにアムロは息を呑んだ。

「有線ビーム砲を備えたモビルアーマー。

実際に現代を生きているわたしたちには、それがキケロガだとわかるけど、たぶんこのシチュエーションだと、連邦軍にとっては初見ね。」

 

「でもパイロットは……シャリア・ブルさんは、指揮にまわるはずだと……まさか、クワトロさん?」

 

「わたしもすぐに、軽キャノン改で出撃するわ。」

セイラは楽しそうに言った。

「もし、アレがパイロットなら、わたしが間に合わないうちに、落としてしまっても構わなくってよ? アムロ。」

 

アムロはガンダムを発進させた。

ペガサス級のカタパルトで加速。白を基調にトリコロールカラーに塗られた機体を宇宙に打ち出す。

 

シュミレーターの中とは思えない。

臨場感をもった宇宙空間が広がる。

もちろん、それはモニターに映されているだけで、コクピットを開ければ、そこはネオ香港大学内に作られたシュミレータールームでしかないのだが。

 

 

-------------

 

 

 

アムロは、先日のカフェでの会話を思い出していた。

アムロたちの話し合いに結論は出なかったが、別れ際のヤンの浮かない顔を見れば、結論はでたも同然だった。

 

ヤンは、クランオーナーのバートナーであるララァに、ユリアンのクラバ参加を止めてもらおうと考えていたのだ。

だが、彼女が呼んだクランバトルのトップオブザトップ、“白い悪魔”アムロ・レイは、粗暴でも戦闘狂でもなく、また自分自身に自惚れてもいなかった。

つまり、ヤンにとってはかなり好ましい人物だったのだ。

 

「もうひとつ、こまったことがあって」

別れ際に、ヤンは言った。

「ユリアンが、もし、『もし』ですよ。そのクラバに参加するとなると、日程が、『仮想ア・バオア・クー戦』と重なってしまうんです。

一緒について行ってやれません。」

 

「普通にシャトルにのってグラナダまで行くだけですよ。毎日何本も便がでてます!」

ユリアンは言い返した。

 

ふたりの関係性は、親子に近いのだろう。あるいは師匠と弟子か。

アムロはそれを羨ましく思った。

 

“機会があったらカンチャナの小説を読んであげてね?”

ヤンとユリアンが去った後、ララァがそっと体をよせて、アムロにだけ聞こえるように囁いた。

“あなたのビームサーベルがリリァ・ミンを貫くところなんて、すごく興奮できるわよ。”

 

 

---------------

 

 

アムロはガンダムを加速させる。

連邦艦隊は、主に三つに別れて進撃中だ。

アムロのいる(ことになっている)ホワイトベースは、遊撃軍としていずれにも属していない。

しかし……

 

ア・バオア・クーで、戦うだけと思っていたが、ア・バオア・クーへの進撃からシミュレートするとは。 いろいろな意味でこのシミュレーターは良くできすぎている。

 

そして。

 

 

 

ララ

 

なんで!

アムロはガンダムを横滑りに移動させた。

戦闘が行われているのは、正面のはずなのに。

ビーム攻撃は横からきた。

 

「なんで、ララァまで!?」

 

 

 

 

「かわした……」

キケロガのコクピットに座る少女は、眉をひそめた。

「仮想空間の中でくらい、大佐を勝たせて上げたかったのだけど。」

 

キケロガの機動性は高い。

白いモビルスーツが撃ってきたビームを軽々とかわす。

 

「さすがはアムロね。」

 

本体から分離したビーム砲は、有線でコントロールされ、四方から白いモビルスーツを襲った。

 

正面から叩き込んだビームは、ふわりとかわされる。

だが、それは囮だ。

左右からのビームの連撃。

 

これもかわす。

 

だが本命は。

 

した……

 

白い悪魔のビームライフルは、下方から迫るビーム砲を正確に撃ち抜いていた。

 

「有線ビーム砲、一基損傷。

推進剤消耗率……ジェネレーター出力……」

ララァは、モニターに移る数値に頷いた。

「引き際……かもね。今回の目的はあくまで連邦艦隊の漸減。

おまけに……」

 

ララァの感覚は、新たなニュータイプの接近を感知する。

 

「もう……ソムさんってば。」

 

 

このシュミレーションは、「シャアがサイド7でガンダム奪取ができなかった」イフ世界を規準にしている。

連邦のモビルスーツは、ガンキャノンではなく、ガンダムを基準に量産される。

 

肩のキャノン砲はオミットされ、かわりにビームガンと盾、ビームサーベル。機動性を増した現実でいうところの軽キャノン改が、はやばやと投入されるだろう、というのがシュミレーターの出した答えだ。

むろん、量産も早まる。

 

ソムが乗る機体もそういった改修型である。

 

放ってくるビームガンは、あくまで牽制だ。

 

 

「ココ・シャロン! 援護する。ここは撤退だ!」

 

「ガトーさん?」

 

「ちいいっ! 増援か?」

 

「白い悪魔! こんどこそ!?」

 

「マッシュさんまで?」

 

ガトーのドムがビームバスーカを放つ。

回避しつつ、ビームガンで牽制するセイラの軽キャノン改。

機動性は軽キャノン改がやや上。装甲はドムの方が分厚いが、この時代にはまだビームコーティング剤は進化していない。ならば、盾を装備した軽キャノン改のほうがやや有利か。

 

 

三機一体となったドムが、アムロに迫る!

 

マッシュ以外の「黒い三連星」は、クラバの試合で命を落としているはずだから、これはAIによるコントロールなのだろう。

 

先頭のドムが拡散ビームを放つ。

これは目くらまし、だ。

 

アムロは、沈み込むように。ガンダムを下方に滑らせた。

マグネットコーティングは、施されていない設定だが、この程度の動きならばストレスは感じない。

ビームサーベルを抜くと同時に先頭のドムの両足をなぎ払い、そのまま伸びあげるようにして、2機目のドムの両腕を切り払う。

 

3機目のドムの頭を踏み潰すように蹴って、さらに上方へ。

 

「今度は俺が踏み台かあ!」

 

マッシュの叫びも虚しく。ビームライフルの一撃は。バズーカごと腕を薙ぎ払っていた。

 

 

-------------

 

 

「さすがは、白い悪魔というべきか……」

シャリア・ブルは呟いた。

 

場所は、ネオ香港大学の一室。

 

モニターがいくつか。

数値や。

あちこちで散発している戦闘をリアルな映像と数値で、描き出している。

 

「実際にわたしと大佐が行った連邦軍への漸減をア・バオア・クーへの進行中に行おうという試みだったが……アムロ君がいるとなると簡単にはいかんか……」

 

本当は、ここもバーチャルリアリティで、ア・バオア・クーの司令室そのもののように見せることもできたのだが、シャリア・ブルは遠慮しておいた。

そこに再現されるのは、ジオン総帥ギレン・ザビが指揮をとったであろう場所に他ならず。

 

司令官席の傍らには。ギレンの愛人との噂であった美人秘書官まで用意されていた。

(独自のAIで実際にしゃべることもできた)

 

 

「むこうには、足がかりとなる拠点なし、ならばそれでも勝てるのだが」

シャリア・ブルは、モニターのひとつに目をやった。

 

それは最新鋭のモビルスーツでも、未確認の大艦隊でもない。

 

ただの岩塊だ。

 

かつて、ソロモンと呼ばれた小惑星要塞。

 

それがそのまま、ア・バオア・クーにむかって近づいてくる。

 

「むこうも拠点ごと攻めかかってくるとは、な。ならばあとは単純に数の分、こちらが不利、か。」

 

 

 

 

 

 

 

 




銀英伝名物の要塞対要塞。
別にとんでもない要塞砲が、ある訳では無いのであくまで補給拠点としての利用ですが……
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