第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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しばらく、仮想空間でのア・バオア・クー戦と。グラナダで行われるクランバトルのジュニア大会を交互に描いていきたいと思います。
今回はグラナダ編。





GQuuuuuuX season2 第4話 激突する世界~グラナダへ

月への一歩は、人類の偉大な一歩から、学術的な冒険になり、貿易になり、単に旅行にまでなった。

だが、それはあくまで一般論であって、ユリアンにとっては、緊張を強いられる旅であることには間違いない。

 

グラナダは、一応、ジオン公国に所属する。フォン・ブラウンと並ぶ最大級の月面都市だった。

ゲートでIDと生体認証チェックを行う。

 

「歓迎!ユリアン・ミント様」

昇りを立てた一行が、真っ先に目に入った。

物凄い手作り感満載の昇りである。

 

たしか、世話役のクランのひとの迎えに来るとの話だったが、昇りを上げているのは、彼とあまり年齢の違わない少年少女たちだった。

服装はバラバラだった。

 

 

「あ、あの……ポメラニアンズの方ですか?」

 

 

「おっ。あんたが、ユリアンか!」 

先頭に立っていた少年が、ぱっと顔を輝かせた。

 

日焼けした顔に、少し癖のある茶色の髪は手入れが悪く、あちこちに飛び跳ねている。

作業着の上着を肩にひっかけたまま、ずかずかと近づいてくる。

 

「一応、俺は、ポメラニアンズでいいのかな?

ようこそグラナダへ!

俺は ジュドー・アーシタ。

一緒にチームを、組んで戦うことになっている。」

 

差し出された手は、油とグリスの匂いがした。

ユリアンは少し驚きながら、その手を握る。

 

年齢は、まだ学生だが、まるで下町のジャンク屋を思わせる。

 

「あ、あの……ユリアン・ミントです。

よろしくお願いします。」

「かたいなあ!」

 

背後から笑い声があがった。

 

「ネオ香港のパイロット養成コースで、トップの成績なんだって?

こっちこそ、よろしく頼む!」

 

金髪の少女が腕を組んでこちらを見ている。

「私は、エル・ビアンノ。

こっちは」

 

「シャングリラ有限公司代表のビーチャだ。」

横から鼻を鳴らした青年が手を上げた。

 

「書類上だけどな。」

後ろから別の声。

「俺は、モンド・アカゲ。

メカニックやってる。図面をひくのは、苦手だけどな。」

 

わっと笑い声が上がる。

ユリアンは少しだけ肩の力が抜けた。

 

彼の周りは、彼自身が飛び級をしていることもあって、基本的にうんと歳上の者ばかりだ。 

それに比べると、この人たちはまるで違う。

騒がしくて、遠慮がなくて、どこか家族みたいだ。

 

「まあ、メシでも食いながら話すけど、俺たちはシャングリラコロニーから流れてきて、グラナダでジャンク屋をやってるんだ。

一応、グラナダのクランのオーナーでケリィさんってひとが後ろ盾になってくれててね。」

ジュドーが言った。 

「カミーユとリィナが先に店で待ってるはずなんだ。

まあ、長旅で疲れてんだろ。今日は飲み食いしてゆっくり休んで、明日からスパルタニアンの操作についてあれこれ教えてくれよ。」

 

「……え、り、リィ……」

 

「あ、俺の妹だよ。グラナダでも一流のお嬢学校に通ってるんだぜ?」

 

「ジュドーと違って、リィナは頭がよくって品がいいんだ。」

ビーチャが言った。

「こいつが、命懸けで勝ち取った報酬も、リィナの学費になっちまった! まあ、そのお零れで俺たちもジャンク屋やれてるし、なんか工科系の学校にも通えてるんでばんばんざいではあるんだけどな。」

 

ユリアンは頭の回転はいたってよいほうだが、次から次へと新情報をぶちこまれて、さすがの彼も目を回しかけていた。

 

「い、命懸けってなんですか?」

 

「あんまり、言うなよ。」

ジュドーは嫌な顔をした。

「ほら、この前、ペズンで連邦軍の一部が反乱起こしただろ?

あれを止めたクランのポメラニアンズに俺もいたんだよ。」

 

「最新式の可変機のパイロットとしてな!

クワトロさんやヤザンの旦那には、ニュータイプだって言われてたよな!」

 

「やめてくれ!」

ジュドーは本気で嫌そうに言った。

「俺はあんな変人どもとは違う!」

 

 

-----------

 

 

 

フラナガン博士は、フラナガン機関がフラナガンスクールとなり、そのスボンサーであったキシリア・ザビが、この世から居なくなってもなお、組織のトップであり続けた。

 

仕える相手は誰でもいい。

彼は要するにニュータイプの研究さえ出来れば、それが研究所でも学校でも構わなかったし、まして金を出してくれる相手が、ギレンだろうが、キシリアであろうがまったく構わなかったのである。

 

世にいうマッドサイエンティストの一群に彼も完全に両足を突っ込んだいた。

 

その彼にも度を超えている……とそう思わせる相手がいる。

例えば、ムラサメ研究所のムラサメ博士などがそうだ。

 

「……計画はどうなっているんだ?

ムラサメには、ずいぶんと多額の資金を援助しているのだぞ?」

 

フラナガンスクールは、ザビ家亡き後のジオンの体制下にあっても引き続き、グラナダにその本拠地をおいている。

 

「予定通り。順調だよ。」

サイド6のクランバトルを仕切るアンキーという女は、悠然と答えた。

「参加選手はそろった。

機体もびったりのものが手に入った。

わたしらも儲かる。機体を作成したネオ香港の工廠も儲かる。

みんながみんな儲かってハッピーハッピーじゃないかね?」

 

 

「わたしは、うちのスクールの卒業生が、アナハイムが主催しようとしているジュニアクランバトルリーグに流れてしまうのを止めてくれ、と、頼んだんだ!!」

 

「そうだよねえ。アナハイムムーンの連中が、発足させようとしているジュニアクランバトルリーグ。

たしかに、ミドルティーンかハイティーンでまともにモビルスーツを操縦できるパイロットをまとまって集めようと思ったら、フラナガンスクールに手を出すしかないだろうねえ。」

 

「すでに三割近い卒業予定者が、ジオン軍や関連組織への就職を断ってるんだ!」

フラナガン博士は、わめいた。

髭面の男は、アンキーの首を絞めあげんばかりの勢いだったが、アンキーは平然としたものだった。

「おまえのクランが、アナハイムに先駆けて、デモンストレーションをやったからそれがどうなると言うんだ!

儂は、うちの卒業生をよそにやる気など毛頭ないぞ!

アナハイムではなくて、おまえのクランにせっかくの人材が流れてしまうのでは、なんの意味がないのだ!」

 

「まあ、見てなって。」

アンキーは肩をすくめた。

「要するに、フラナガンの卒業予定者どもが、クランバトルなんて真っ平だと思うようになればそれでいいんだろう?

むしろ……ジオン軍への入隊希望者がそんなに減ったのは、イオマグヌッソ事変のせいじゃないかね?

あれで、卒業生を中心にした組織されたキシリアの親衛隊がごっそり戦死してるだろう?」

 

ううむ。

と、フラナガン博士はだまった。

たしかにそれは痛いところではあった。

マッドがつく科学者であっても、ゼロ・ムラサメに比べればひとの心のある彼には、ギャン部隊が、エグザベ一機を除いて全滅したのが、かなり応えていたのだ。

 

生徒たちに将来への不安を抱かせるには十分。

それは、彼自身にとっても。

 

 

相手は。

ギレンのビグ・ザムと。

これは非公式だが、シャリア・ブルの駆るキケロガによるものと推定されている。

 

フラナガンスクールのニュータイプたちが、ただの一機のモビルアーマーに敵わなかった!

フラナガンにとっては悪夢である。

かろうじて、エグザベ・オリベのギャンが互角に渡り合ったため、フラナガンスクールは存続を許された。

 

「ニュータイプだ、エリートだと騒がれても、しょせん、天然モノには歯が立たないとなれば。卒業生後は、軍のパイロット以外を志望するものが増えたっておかしくはないよね?」

 

「そんなことはない!」

フラナガンは震える声で怒鳴った。

「儂のスクールの卒業生は、ホンモノのニュータイプだ! 」

 

「はいはい、わかった。じゃあ、その卒業後にジオンを離れることを進路希望にだしてる連中を含めて、試合を見せるように手配するのよ。」

 

 

 

 

 

 

 




フラナガン博士でてきたのは、この二次創作でははじめてでしたっけ?
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