第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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せっかく、舞台を用意したので、それぞれに見せ場を作ってやらないと……
しかし、ジークアクスのないマチュの戦闘イメージがわきません。
トリントンでテストパイロットやってた設定を作ってるんで、ふつうに射撃も出来るはずなんですけどね……








GQuuuuuuX season2 第4話 激突する世界~暗礁空域

 

ヤンは、紅茶のお代りを頼もうとして……ユリアンがいないのに気がついた。

今頃は月面で、クランバトルの準備をしているはずだ。

諦めて自分で、ポットに茶葉を落とし、お湯を注ぐ。

 

「なんなんです、この損害は!!」

叫んだのは、史学研究室のヤンの後輩だった。彼もまたもと連邦軍人で、果断と柔軟を兼ね備えた男だ。

ただし、信奉するヤンを見習った訳ではないだろうが、上層部受けはあまり良くない。

「相手はモビルアーマー一機ですよね。いくらなんでもシミュレーターかおかしい!」

 

「アムロくんがいなかったら、旗艦もやられてたかもしれない。」

ヤンは認めた。

「そうなったら艦隊を再編成しないといけなくなるから、そこにまた第2、第3の強襲を受ける可能性がある。つまりはア・バオア・クー攻略そのものが、この段階で頓挫してしまうことだって考えられる。」

 

ヤンたちのいるのは、ネオ香港大学のミーティングルームだ。

シャリア・ブルのいる部屋にあるのと同様のモニターが並び、刻々と変わる戦況を数値と映像で、映し出している。

 

「あれが、ニュータイプなのか。」

ヤンは紅茶を口に運んだ。

ユリアンが入れてくれるものと比べると味は微妙に落ちる。

「連邦が存在を認める、認めないとまだ、議論しているのが、虚しくなるね。」

 

個人の武勇で、戦局そのものが左右されることはない。

それが、ヤンの自論ではあるのだが、ならばこのニュータイプという存在はなんなのだろう。

 

歩く災害?

特異点?

怪物?

 

いや、

先日、カフェであったアムロは、どちらかと言えば大人しそうな感のある好青年だった。

クワトロ・バジーナ氏は理知的で、緻密な思考ができる紳士だった。

そして、ララァは……

 

謎めいたところはあるが、魅力的であり、ネオ香港大学を案内したヤンに素直に感謝してくれた。

 

ならば、「戦争」がニュータイプを怪物にさせるのだろうか。

 

「直衛モビルスーツを増やして、哨戒を続けるしかないな。」

 

「当たり前の手段ですが、それしかないんでしょうね。専用機に乗ったニュータイプをまともなパイロットとは思わない方がいいかもしれません。」

 

「まあ、魔王に挑む勇者くらいの気持ちでいるよ。」

 

ヤンの後輩は、うれしそうにヤンを見つめた。

魔王だって、倒せるのだ。

ニュータイプだって、倒せる。

ミラクルヤンなら!

 

ヤンの後輩は、出力した紙をヤンに提示した。

 

「なんだい、これは?」

 

「魔王退治の勇者候補です。」

 

「つまりは、ニュータイプ専用機対抗部隊、ということか……」

ヤンは、紙を手に取った。

後輩がわざわざ紙の書類にした意味は、あとにデータとして残したくない内容だ、という意味だ。

 

「アムロくんの名前がないね……」

 

「アムロ・レイはこちらに味方してくれる魔王です。」

本人がきいたら嘆きそうなことを後輩は、平然と言った。

「ア・バオア・クーの防衛網に穴を開ける役目があります。前哨戦で消耗させるわけにはいかないかと。」

 

「知らない名前もずいぶんあるんだが……こんなにたくさん元パイロットが参加してくれてるのか?」

 

「それはクワトロ・バジーナ氏に感謝するところです。

クランバトルに参加してる元パイロットをかき集めてくれたみたいですよ。」

 

ヤンは暗澹たる気分になった。

ということは、軍を除隊させられて、行き場もなく、クランバトルに身を投じたパイロットがそれだけいる、ということなのだ。

ティターンズの台頭も、ペズンの反乱も、地球至上主義や反スペースノイドという思想以前に、軍縮に舵をきった連邦軍への不満が溜まっているのではないか。

 

「クリスチーナ・マッケンジー……? アレックス? ガンダムの改良型か。

それにイオ・フレミング。パーフェクトガンダムだって?

セイラ・マス……これはわたしも聞いたことがある。『戦鎚』の魔女と呼ばれたエースだ。」

 

「それにジオン工科大学推薦の2人が加わります。」

 

「マチュ……ニャアン……これは知らないな。」

 

「ジオンからの推薦入学で、ジオン工科大学のネオ香港キャンパスに通っている学生ですよ。」

 

「この子たちは……別にパイロット上がりじゃないだろう?」

 

「パイロット上がりじゃないです。現役バリバリのパイロットですよ。ただし、クランバトルの、ですけどね!」

 

 

------------

 

 

マチュは苦戦していた。

 

 

なにが苦手って。

 

ルーティンの仕事ほど、苦手なものはないのだ。

乗ってる機体は、もちろんジークアクスではない。ゲルググですらない。

ガンダム、である。

カラーリングは、トリコロールカラーに塗り直して貰っている。

仮想世界のことなので、たいして手間がかかるわけでもない。

 

傍らのニャアンの機体は、紫にペイントしている。

かつてのジフレドを思い起こさせる面構えになっているのだが、もちろん、オメガサイコミュもアルファサイコミュも搭載されていない。

それは後世の産物なのだ。

 

「旗艦艦隊がキケロガに、襲われたみたい。」

ニャアンが言った。

 

「そっちがよかった!」

マチュはきっぱりと言った。

「決まったルートを通る哨戒って、退屈なんだよ、ニャアン。」

 

何回も繰り返しているのならともかく、これが最初の出撃なのだから、マチュの言葉にはニャアンはあまり同情はできなかった。

 

「ああ……クラゲになりたい……」

 

親友の悲痛な呟きを無視して、ニャアンは宇宙空間を覗き込む。

 

デブリが多い。

 

実際にソロモンからア・バオア・クーへ進撃する際にはこんな空域があったらしい。

そこに狙撃部隊をおいて、連邦の強行偵察部隊とやりあったのだと、ええっと……だれかが言ってた。

 

そうだ。

元リビングデットのダリルが。

 

そしてクワトロが、招いたクランバトルパイロットのなかには、その名前があった……!!

 

「“狂犬”! “病み猫”!

不味いぞ。いやな予感がプンブンする。」

 

その声と同時に。

一般回線で、ジャズが鳴り響く。

イオ・フレミングは、決して嫌われるような人間ではない。だが、少なくともイオを知るものはことごとくジャズが嫌いになった。

 

マチュは、視界の端に閃光が走るのを感じた。

その感覚のままに、ガンダムを横滑りさせる。

ビームの一撃は。彼女のガンダムをかすめて、隣りを移動中の軽キャノン改の胴体を撃ち抜いた。

 

爆散。

 

ここはあくまで、シミュレーターの中の世界であって、あの軽キャノンもAIの操縦の筈だ。

だが、油断から僚機を失った。

 

その想いがマチュの瞳を燃やす。

 

「焦るな!」

彼は冷静にそう言った。イオのくせに。

彼の「パーフェクトガンダム」のミサイルポットが開く。次々と発射されるミサイルは。

 

おそらく、ダリルが潜んでいるであろうデブリ一帯を囲むように炸裂する。

 

「ビーム攪乱膜だ!

これで狙撃はできねえ。一気に距離を詰めるぞ!」

 

軽キャノン改3機が突進した。

技術ツリーを見直した軽キャノン改は、加速、運動性において、軽キャノンを凌駕する。

 

「記憶に間違いなければ、ダリルが使ってるのは、外付けのジェネレーターから供給される長距離狙撃用ライフルを備えたザクだ。」

イオはジャズをバックに説明する。

「運動性に勝り、ビームサーベルを装備した軽キャノン改3機じゃあ、相手が悪すぎる。

悪いがこのあとの食事は、やつの奢りだ……ああっ!?」

 

デブリから飛び出したザクに襲いかかる軽キャノン。

だが、ダリルのザクが速い!

大きく振りかぶったビームサーベルをくぐり抜けるように、胸元にヒートホークを叩き込む。

 

残った2機は、ザクを挟み込むように、コンビネーション攻撃をしかける。

一機が、頭部のバルカンを連射しつつ、接近。もう一機は、レイピアでも扱うように突きを主体に攻撃を行う。

 

会話もしなかったが、あるいはその2機は、AIではなく、人間が操縦していたのかもしれない。

だが、ダリルは、動きを止めた軽キャノンを盾に、バルカンを受け止めると、そいつをそのまま、突きで攻撃してくる軽キャノン改に叩きつけた。

自分の攻撃が味方機を貫いたショックに、一瞬動きが止まった軽キャノン改の頭部をヒートホークが叩き割る。

 

最後の一機は、接近戦の不利を悟った。

距離を取りながら、ビームサーベルからビームガンに持ち変える。

だが、その銃口がザクに向くよりも早く。

 

ザクマシンガンの銃弾が、軽キャノン改を襲った。

重要部分の装甲は、ザクマシンガンに耐えたとしても。

メインセンサーは砕け、武器を扱う指は破壊され、スラスターのいくつかが破損したところに。

 

ザクはゆっくりと、ヒートホークを振り下ろした。

 

 

 

 

「ダリル!! てめえ! 勝ち逃げするのか?」

イオは叫んだが、ダリルのザクは、Vサインを作ってみせると、とっとと、戦場をあとにした。

 

追撃しようにも、ビームライフルは、イオ自身が撒いたビーム攪乱膜で散らされてしまう。

 

 

「……あんた、リユース・P・デバイスのこと忘れてたでしょ?」

マチュは、モニターのなかから、イオを睨みつける。

 

いや、ははは。

と、イオは冷汗を流した。

 

「あんなマニアックな技術までシミュレーターに入ってるとは思えなくてな……」

「パーフェクトガンダムとかいうホントは存在しなかった機体に乗ってて、よく言う!!」

「いや、どうしても乗ってみたかったんだよ。」

イオとしては平謝りするしかない。

 

「……まあ、別にあなたが無能だって責めるつもりはないんだ。

長距離狙撃にビーム攪乱膜は悪い手じゃないし。」

イオを睨みつけながら、マチュは言った。

「でも二度と。絶対に! わたしの前でジャズは流さないでよね!!」

 

 

こうして、イオはまたジャズ嫌いを増やして行くのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 





次回。
ユリアン「カミーユ? 女の子かと思った。」
カミーユ「カミーユが男の名前で何が悪い!」

……って展開はないです。
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