第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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あくまで仮想世界。シミュレーターの中ですが、アレとかコレとか。いよいよえがけるときがやって参りました。
ちょっと緊張しております。






GQuuuuuuX season2 第5話 宇宙要塞ア・バオア・クー~休息と出撃

補給に30分かかるというので、アムロは悩んだ。

 

レストランに走るには短すぎるし、栄養ゼリーよりは少しマシなものをたべたい。

 

ここまでは、ガンダムのマグネットコーティング調整もあったりして、わりとダラダラと過ごしていたが、いよいよ戦いは佳境に入っている。

モーションコクピットが所狭しと置かれた部屋の正面には、大きなモニターがあり、そこには、戦域の概略図が映し出されている。

 

2つの小惑星を連結した異形の宇宙要塞―――ア・バオア・クー。

その周りに展開するジオン艦隊。

 

攻撃する連邦艦隊は、数はその数倍いる。

そして―――

ここまで、移動させられた宇宙要塞ソロモン。

 

いまは、ア・バオア・クーへの相対速度を合わせるため、ゆっくりと減速中だ。

 

小惑星を改造した要塞は、その岩盤の厚さもあって、攻略するのは実に難しい。

終始、連邦を、宇宙で、地上で、圧倒しつづけていたジオンでさえも、ルナツーの攻略に手をつけたのは、戦争も末期になってからだった。

 

安全な補給基地としての存在。

 

そして、不用意に近づけばもちろん、要塞そのものからも攻撃を受ける。

 

だが、今回は。

こちらにもソロモンがある。

 

 

「ごちゅうもんをおききするにゃん」

いい具合に、配膳ロボットが寄ってきた。

少し考えて、アムロは飲み物とサンドイッチを3人分、注文して、IDカードで決済した。

「ごちゅうもん、ありがとうございます。テーブルでおまちくださいにゃん」

 

テーブルはけっこう空いていた。

 

戦闘中ということもあって、食事や休憩は交代で取らざるを得ないのと……

あとは「落とされた」ものも増えているようだ。

 

さて、マチュたちをを探さないと……

とアムロが考えていると

 

「アムロ、ここよろしくて?」

「あ、あ、どうぞソム……セイラさん。

カイやハヤトたちは?」

「ふたりとも『小破』認定。再出撃には、すこし時間がかかるみたいなんで、レストランに行ったわ。わたしは次はアムロたちと一緒に出撃する予定よ」

 

「カイとハヤトが?」

一瞬、その身を案じたアムロだったが、これはあくまでシミュレーション。機体が損傷しようが撃墜されようが、本人がどうなるものでもない。

 

「あ、マチュ。こっちよ。」

 

赤毛の小柄な少女は、セイラと一緒にいるアムロを見て、微妙な表情をした。

感情を隠すのが下手くそなマチュは、その微妙な表情のまま、寄ってくる。

手には、自販機で買ったらしいチョコレートドリンク。

連れのニャアンは『チャーノムイェン』とパッケージに描かれたカップから、チュウチュウとストローで液体をすすりあげている。

 

「で、でぃとちゅう、おじゃまじゃないですかっ!?」

マチュは、裏返った声でそう言いながらも、アムロの隣に腰掛ける。

 

「マチュたちならいいわよ。」

セイラは優しく言ったが、「デート中」を否定しなかったので、マチュの目付きが剣呑なものに変わっていく。

 

「はい」

と言って、ニャアンがアムロに、ミサンガを手渡した。三色の糸を使っているが、けっこう雑であまりいい出来ではない。

 

「これ……なにかな。」

 

「よく頑張った勲章。」

 

「たしかに、今日一日で、アムロはエースね。」

セイラも言った。

「なんか勲章を用意する必要はあるかも。」

 

ジオンの元首がそんなこと不用意に口にするもんじゃありません!

……という言葉をアムロは飲み込んだ。

 

「各フィールドともに、連邦が押し込んでいるわ。ビグ・ザムやニュータイプ部隊も出てこないようだし。

面白みはないけど、手堅い運用をするのね、ヤンってひとは。」

 

アムロが頼んでおいたサンドイッチと飲み物が届いた。マチュとニャアンにサンドイッチを配り、自分の分をセイラにすすめてから、アムロは首をふった。

 

「いえ……なんだか罠に嵌められてるような気がします。

ジオン側の損害があまりにも少ない。」

 

「引き際がうまいのよ。」

セイラは言った。

「実際に艦艇や大多数のモビルスーツは、AIがコントロールしているのでしょう?

彼らは恐怖を感じたり、焦ったりして混乱はしないものよ。」

 

「ここのシミュレーターのAIはそんなことはないですよ。実際にその場におかれた人間がどう反応するかをきちんと計算して、そのように行動します。」

 

反論しようとして、セイラは黙った。

パイロットとしては超一流、為政者としては及第点、ただ、現場指揮官としては最低だと。

ランバ・ラルから評価されたことを思い出したのだ。

 

「なら、ジオンが損害を最小限に留めて、引いているのをどう解釈するというの、アムロ?」

 

「つまりだねえ、姫さん!」

マチュが胸を張った。小柄だがスタイルはいい。

「最初から、戦って引くところまで、指示が出でるんだよ。」

 

「……ということです。」

 

なんとなく、それが面白くなく、セイラはつい言い返してしまった。

「でもその結果、ジオンは後退を続けている。それがそのまま敗北につながるわけではないけど、自由に動けるスペースが制限されれば、陣形だって取りにくくなるわ!」

 

「そうか……!

それが狙いなのかもしれない。」

アムロは、呟いた。

 

「え? 後退するのが?」

 

「そうですよ! 今回のシミュレーションは、ア・バオア・クーを落とさないと勝ったことにならない。

戦力を要塞近隣に押し込めただけじゃあ、だめなんです。つまり、要塞からの攻撃が、直接届く範囲や、場合によっては要塞内部での殲滅戦も行う必要があるかもしれません。」

 

「狭い要塞内部では、数の利は必ずしも生かせないわ。泥沼の消耗戦になる。」

 

「そうなんです。ヤンさんが一番嫌がることをシャリア・ブル閣下は仕掛けてきた。

たとえ勝てても果てしなく血の流れる潰し合い。

ヤン・リーさんはたとえシミュレーション上でもそれをよしとしないでしょう。」

 

「そういうひとなの?」

 

「そういうひとですよ。ソロモンのグラナダ落としに反対して、左遷されて、軍を除隊したひとですから。」

 

 

「ん? んん~? コクピットに搭乗しろってさ。予定より5分早いよ。」

ニャアンが、最後のサンドイッチを口に頬張りながら言った。

 

『ホワイトベース隊の各員。指定のモーションコクピットへ。搭乗次第、順次発進願います。』

 

機械音声だが、セイラにはその声が、ヤシマ家のご令嬢に似ているような気がした。

彼女とは、ズムシテイでのなにかのレセプションのときに出会い、「あのアホ」がサイド7を奇襲したときに、ちょうど、彼女もそこに疎開していたことを知り、大いに意気投合したものだ…

 

“わたしやミライ。アムロ。カイやハヤトが同じ船に乗って肩をならべて、戦った……そんな世界線もどこかにあるのかしら。”

 

「なにかあったんですか?」

アムロが一番に立ち上がる。

 

『Nフィールドが攻撃を受けています。敵は―――不明。』

 

「不明って……機体名はともかく、数や規模とか」

 

『探知外から、遠隔操作によるビーム兵器による攻撃です。』

機械音声も狼狽することがあるのだろうか。

『ジオンが開発したニュータイプ用の新兵器―――ビットによるものと思われます。』

 

 

ずずずず、ずぅ。

チョコレートシェイクを一気に飲み干してから、マチュが叫んだ。

「シャアさんのビット!?

それって反則じゃん! 赤いガンダムはいちゃいけない世界でしょう?」

 

「もともとビットは、専用のモビルアーマー用の兵器だったんだ。」

アムロは、フライトジャケットを羽織りながら言った。ここらへんは、モビルスーツの開発技術者の面目躍如である。

「ガンダムがジオンの手に渡らなかった代わりに本来のモビルアーマーを開発させた可能性は高い。」

 

 

『その通りです。』

AIのオペレーターは、アムロに同意してくれた。

『先行艦隊のモビルスーツ隊を壊滅させた、“とんがり帽子”に似たモビルアーマーが観測されています』

 

 

 

--------------

 

 

 

 

 

ララ

 

 

ラ……ラ

 

 

また一隻。

マゼランが爆散した。

 

 

実際の歴史上あった大佐とシャリア・ブルによる漸減攻撃は、ビットの推進剤の問題から一度に攻撃できる目標は限られていた。

 

 

 

ララ

 

 

本体内部にビットを収納でき、さらに本体の航続距離も長いこの……ララァはちょっと嫌そうに唇を歪めた……とんがり帽子なら、一個艦隊をすり潰してなお、お釣りがくる。

 

でもまあ。

 

瞳に昏い焔が揺れた。

 

そこまで行く前に、必ず出てくるわね……アムロが。

 

 

--------------

 

 

「Nフィールドにニュータイプ専用機、出現。」

アッテンボローは叫んだ。

モニターの情報で、ヤンはすでにそれを読み取っているはずなので、いちいち声に出す必要はないのだが、そこは『ノリ』である。

 

「ホワイトベースは、Nフィールドに待機してるはずだね。」

 

アッテンボローの『艦隊司令官』ごっこに付き合うことなく、ヤンは静かに返した。

いや、本当に艦隊を指揮することがあったとしても、ヤンはそうするだろう。

 

「“白い悪魔”は、補給中。まもなく発進可能です。ほかに“戦鎚”と“狂犬”。“病み猫神”も出られます。」

 

「二つ名が、そろいもそろって物騒すぎるな。」

ヤンがほやいた。

「こっちがヒールになったような気分だよ。」

 

「彼らなら、きっとニュータイプ専用機とも互角に戦ってくれますよ。

各フィールドの艦隊はこのまま前進を続けます。

ソロモンは?」

 

ん?

とヤンは顔をあげだ。

 

「ソロモンはそのままで。」

 

 

---------------

 

 

 

「ララァ、聞こえるか?

アムロとまともにやり合う必要はない。」

クワトロは言った。

「彼を、戦場から引き離すんだ。単純な推力ならば、ガンダムは追いつけない。

その間に、わたしとエグザベ君、それにビグ・ザム隊が、Nフィールドの連邦艦隊を一掃する。」

 

「大佐……その……」

ララァは心から心配そうに言った。

「……大丈夫なのですか?」

 

クワトロの唇が苦笑に歪んだ。

 

「そう言われると怖いな。だが、ビグ・ザム隊の援護のシン・マツナガのガルバルディ隊もいる。アナベル・ガトーやダリルも引き抜いた。やれるだけの布陣は張ったつもりだが。」

 

「シャリア・ブルは、このまま後退して、ア・バオア・クー近辺の空域で、連邦艦隊に消耗戦を強いるつもりのようです。

大佐のお考えと一致するとは思えません。」

 

 

「シャリア・ブルの構想はその通りだろう。だが、包囲攻撃を受ける中で、1箇所くらい逃げ道も用意しなければ、と考えるのだ。」

 

 

 

 

 

 

 




アムロ対ララァ! 再び……じゃなくてこの二次創作では初めてですね。
ガトーvsマチュ&ニャアンの因縁の対決もやろうと思ってます。なんかコイツらに因縁あった?と思う方も多いでしょうか、本作の最初のほうで、トリントン基地からサイサリスを持ち出そうとしたところを、マチュたちに邪魔されてるのですね、ガトーさんは。
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