第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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章をかえます。
ソドンは地球へ。
いまさらながらアナハイムニュータイプ部隊のキャラが決まりません。







GQuuuuuuX season2 第9話 クランバトル!!~地球へ

「ガールズ」たちのマラサイは、数分も持たずに撃破された。

もちろんクランバトルである以上、あくまで「撃破判定」である。

 

ララァとフォウの被害は。

ファンネル2基破壊「判定」。

 

「どうだった、アムロ?」

ロゼ・スパークルのコクピットで、ララァは胸を張っている。

目がキラキラと輝いていた。

 

……ほめて欲しいんだろうな

と、アムロは思った。

 

対戦時間は、5分と少し。

バーニヤを増設したマラサイ改の高機動に、若干戸惑ったものの、ララァは「ファンネルユニット」を見事に使いこなしていた。

 

「ええっと……」

アムロはためらった。

「あの……マラサイ一機に18から20の当たり判定は多すぎる。

撃墜判定が出ても打ちまくってたよね?」

 

「あ、そうだったかしら……そうかも。」

 

「ある意味、無駄打ちです、お姉様。」

フォウ・ムラサメが言った。

「ファンネルは、エネルギー切れが早いのです。お姉様のファンネルユニットは、まだ試作タイプです。キュベレイのものとは違って、エネルギーの再チャージは出来ません。

明らかに格下の相手にむきになりすぎです。」

 

ララァは目に見えて落ち込んだ。

 

ニュータイプとしての能力や、幾多の「やり直し」によるメタ記憶も加味しても、やはりララァは「戦いをするひと」ではないのだ。

 

 

「格下言うなぁっ!」

「えー、では『なにもいい所なく撃破されたモビルスーツ』とかけまして、『賞味期限切れの食材』とときます。

その心は――

どちらも “持ち味”を出せずに終わります。」

 

「ガールズ」はきゃいきゃいと騒いでいる。

 

月の軌道上の宇宙空間であった。

 

アムロたちの月面来訪の目的のひとつ。

「アナハイムのニュータイプ部隊」の能力を図るために急遽組まれたクラバである。

 

アンキーとしても、フラナガンスクールの卒業生たちを迎えたらさっそくにでも、ジュニアクランバトルを始めたいのだ。

とりあえず、敵に回る可能性は極小になったとしてもアナハイムのニュータイプたちの実力は見ておく必要があった。

 

「しかし、まあ、及第点ではあるわね。」

アンキーは、ソドンのブリッジでふんぞり返っている。

「わざとファンネルに取り囲ませてから、高速機動で無駄打ちを、させるところは悪くない。逆に当たり判定じゃなくて、実弾を撃ち合ってたら、撃破判定前に弾切れになってたかもしれない。」

 

 

「マジッ! うれしんいですけど!」

「『惨敗かと思ってたらけっこういい勝負だったとかけまして』

……『いつまでもやってる閉店セール』と解きます。」

「そのココロは!?」

「思ったよりまけてないでしょう。」

 

 

“せめて、大喜利だけにしてくれ”

ユリアンは心のなかで叫んだ。

ヤンも微妙な顔をしている。

 

「ロゼ・スパークルとサイコガンダムRをソドンに撤収。」

ラシット艦長が命じた。

「マラサイ2機は、シャトルにてグラナダへ帰還せよ。」

 

「ちょっと! 艦長! わたしは?」

マチュが不満そうに言った。

「わたしとニャアンの出番は!?」

 

「マチュ!

あなたは、定期的にモビルスーツ戦闘しないと、精神のバランスが乱れるわけではないでしょう。」

ソム・エドワウが笑みを含んで言った。

「……わたしも我慢してるのに……」

 

物騒な発言を無視して、ラシットは命令する。

 

「ロゼ・スパークルとサイコガンダムRを収容次第、ソドンは地球に向かう。」

 

 

 

「ひとは戦いを求める心とそれを忌避する心。相反するものをもっている。」

ヤンは、アムロに言った。

「強化人間が、それを無理やりモビルスーツ戦闘に特化させるために、『条件付け』を行うものなら……」

 

アムロは頷いた。

「実際にそうです。

ドゥーは自分自身をモビルスーツの『心臓』だと認識するように調整され、アンは、モビルスーツ戦闘を楽しい『遊び』だと思い込むようにされています。

フォウについては……ララァを『姉』と思うことで精神の崩壊を免れているようですが」

 

「ムラサメ博士が一般に思われているような、狂人ではないのはわかった。

彼女の強化人間についての考え方もきいた。

そして―――彼女自身が、強化人間計画の犠牲者であることも。」

 

「ゼロ・ムラサメとそんなに話す時間があったんですか?」

単純にアムロは尋ねた。

 

まる三日間。

アナハイムムーンとのクラバの調整や、ユリアンの処遇、とくにヤン自身のスカウトについて睡眠時間までも削りに削った話し合いが行われていた。

 

逮捕状で無理やり連行されたN・ロックのほうが、まだタイムスケジュールは、楽だったかもしれない。

 

「シェーンコップ少佐から聞いたんだ。」

 

そのシェーンコップも、グラナダから、シャトルでズムシティに旅立っている。

ジオン公国軍のマ・クベ中将との秘密裏の会談があるということなのだが、正直、アムロは辟易している。

勇猛をもって知られる傭兵団と、ジオン公国軍トップの密約の話しなど、聞きたくはない。

自分は、技術者志望の大学生であり、正規軍に属したこともないパイロットである。

 

ただ、それだけの存在なのに。

 

思わず内心を口に出していたのか、ヤンが同情するように言った。

 

「わたしも同じような立場だよ。

せっかく、卒業後も研究室に残れそうなのに……」

 

 

 

---------------

 

 

 

ヤンは、かなりアムロを信頼してくれたようで「ソム・エドワウ」との話し合いに、アムロを同席させたのだ。ソム・エドワウはいい顔をしなかったが、ヤンはそこは強引に乗り切った。

 

ソム・エドワウはかなり話し上手で、金と地位でヤンを勧誘はしなかった。

彼女が提示したのは、「卒業後」の進路として、ジオン公国府の地球上での大使館勤務だった。

 

現在、ジオンは地上にいくつかの基地、そして要衝地の占拠を続けている。

武力衝突を避けつつ、いかにその地の「権益」を確保しつつ、返還していくのか。

それは同時に、連邦側が再び宇宙移民弾圧に乗り出さないという最小限の条件を満たしつつ、行うことになる。

ジオンが勝利した今日でさえ、なお経済力においても人口においても連邦側は圧倒的なのだ。

 

仮にだが、ティターンズをあのまま放置し、連邦軍をふたつにわった内戦でも勃発すれば、まだ違ったのだろうが、宇宙戦力をもたないだけで、まだ規模や人員においては、連邦側が上なのだ。

 

困難だが、再び戦を起こさないようにするための「最前線」。

ヤンは多少、心をひかれたようだった。

 

「……しかし、かなり激務となりますよね。」

 

マチュの話では、ヤンはソム・エドワウが単なる行政府の高官でないことは知っているはずなのだが、ここらの飄々とした感じはたいしたものだった。

 

「……激務は軍隊時代で終わりにして、もう少しゆっくりと過ごしたいんですよ。

研究室に残るか、あとは図書館の司書とか……」

 

ストップ!

とアムロは話に割り込んだ。

 

「ヤン! その言い方はダメです。」

「だめかな……」

「このひとの発想は、『じゃあ図書館建てようか』です!」

 

アムロ!……とソムが怖い顔でアムロを睨んだ。

 

 

---------------

 

 

 

「あのアムロさん……」

ユリアンが話しかけてきた。

 

「ああ。なにかな。」

 

「ぼくって、本当にパイロットの才能があるんでしょうか……」

 

「あるんだよ。それが」

アムロはくすりと笑う。

「だけど、多分きみを見た人間はみんな違う評価をすると思うんだ。

ぼくはパイロットだから、きみにはパイロット適正があるとわかる。たぶんポプランも同じ意見だろう。

ヤンは学者肌だから、きみには学者や教育者になってほしいと思う。

そうだな……シェーンコップ少佐は、きみに白兵戦のノウハウを教えたがらなかったかい?」

 

「そう言えば……そんなことも……」

 

「つまりきみはあまりにも多方向に才能を持ちすぎていて、それぞれの専門家はみんな自分の尺度できみを評価するんだよ。

つまり……結論としてはいまの段階ではなにも決めない方がいい……ってことだ。」

 

「だから、ジュニアクランバトルへの参加を勧めたんですか?」

 

「そうだね。パイロットとしての技量を磨くには、クランバトルは悪い物じゃない。ちゃんとルールを守ってる正規のクラバなら、非合法時代みたいな事故はまず起こらない。

だから、参加は月1回。グラナダまでの往復は大変だから、半分以上は地上で行う、という条件でアンキーと話をした。」

 

アムロとユリアン、それにヤンは、ブリッジの一番いいシートでふんぞり返っているアンキーをチラ見した。

 

「その打ち合わせをクワトロ大尉とするために、アンキーは一緒にネオ香港に降りることになった。」

 

「……なんだか……ご迷惑をおかけしていないでしょうか。」

 

「心配しなくてもアンキーは、たんまり儲ける気まんまんだよ。そして稼がせてくれる選手に対する支払いにおいては、けっして渋ちんじゃないんだ。」

 

 

 

-------------

 

 

 

ミーア・キャンベルは、目覚ましなしに目を覚ました。

アルテイシア・ソム・ダイクンとして過ごし、アルテイシア・ソム・ダイクンとして眠り、アルテイシア・ソム・ダイクンとして目覚める。

 

当の本人は、月のグラナダへ出かけている。

つまりミーアは何日も、アルテイシア・ソム・ダイクンとして暮らしているわけなのだが、これは実はいままでもあったことなのだ。

むしろ、アルテイシア・ソム・ダイクンを直接には知らない者が多い地上のほうが気が楽なくらいだった。

 

着替えのはいった衣装ケースをみて、ミーアは怪訝な顔をした。

いつもの部屋着ではない。ドレスでもない。

細身のスーツにサングラス。

 

黙ってミーアはそれを身につけた。

 

ほんのちょっとだけ、胸周りがキツいような気がした。

サングラスをかけて、姿見に自分を写す。

なるほど―――

 

 

「似合うわね、ミーア。」

 

ドアがいつの間にか開かれて、この部屋の主が立っていた。

 

 

ミーアは少しためらったが、男装にふさわしく、麗しの姫に膝をついて礼をした。

 

「どうぞ、ソム・エドワウとおよびください。」

 

ミーアの主、アルテイシア・ソム・ダイクンはフフと笑った。

 

「これからは、『ソム・エドワウ』もお願いしようと思っていたのだけれど、とくに訓練の必要もないみたいね。」

 

 

 

 

 

 




ミーア「だって別にソム・エドワウって変装っていうほどのもんでもないし……」
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