第13話 鼓動   作:ATARU 2025

300 / 300
今回で300話らしい。
書き始めてから一年です。終わりは決めてる物語なのですが、まだ着地まで少しかかりそうです。






GQuuuuuuX season2 第10話 アナハイム動乱~襲撃5

「第18与圧格納庫からモビルスーツ発進シークエンスだと!」

「こんな時間に、か? しかもグラナダ内部に向けて、だと!?」

「ああ……アナハイムムーンからの正式コードによる申請です。」

「念のため、もう一度確認しろ!」

「確認しました……間違いありません。持ち主のネオ香港のクワトロ・バジーナ氏の承認付きコードです。」

 

混乱する宙港管制室に、新人管制官の逼迫した声が割り込んだ。

「緊急承認要請です!」

 

「却下だ! こっちはモビルスーツをグラナダ市街に入れるかどうかの判断中だ。待たせておけ!」

 

「……それとは別に、アナハイムの試作機工場から発進した軽キャノン改6機が、グラナダ市街地への進入を求めています。」

 

「なんだと!!」

 

管制室は、混乱を極める。

 

「アナハイムムーンへ回線回せ!」

完成室長は叫んだ。

「合計7機のモビルスーツを市内にいれてどうする?

市街戦でもはじめるつもりか?

アナハイムムーン同士で!?」

 

「まさに……」

おずおずと新人管制官が言った。

「その通りなのでは?」

 

「アナハイム応答なし!」

 

「ジオン行政府……いや、駐留ジオン軍に連絡を。ゲルググを出してもらうしかない。

我々では判断できん―――」

 

「第2ターミナルモビルスーツ用ハッチ、強制解除!―――こじ開けられます!!」

 

「18格納庫のモビルスーツ発進します。タイプ―――サイコガンダムR……いえ、もう一機を腕に抱かえてます。こちらはカスタムタイプ『ヘビーアームズ』!!」

 

「どこに向かっている? 該当市街区へ避難命令を出せ。」

 

「室長……」

新人管制官が震える声で尋ねた。

 

「うるさい! あとにしろ!」

 

「いえ……すいません。

あの……第18格納庫って、無人だったはずなんですけど……」

肩のバインダーが特徴の「サイコガンダムR」がもう一機、こちらもツインアイにV字アンテナのガンダムタイプを背負うようにして発進していくのがモニターに映る。

「……あれって、誰が操縦してるんでしょう?」

 

 

 

 

-----------------

 

 

 

 

古流の武術では『歩法』というらしい。

単なる移動ではない。

自分と相手の角度を、絶えず調整しながら、思いもかけない瞬間に、死角へと回り込んでくる。

 

そして、その打撃!

筋肉の収縮を使って放つ打撃は、ノーモーション。

タメが必要ないばかりか、連射も出来る。

 

何発かは腕でガードしたが、骨にヒビが入った。

複雑骨折になってしまうと、治癒に時間がかかる。

 

ゼロは早々に防御を諦めた。

 

『牙』の攻撃力は、それほどのものだったのだ。

もちろん。

諦めたわけではない。

自分がダメージを受ける前に、こいつを倒してしまえばいい。それだけのことだ。

 

まずはあのやっかいな『歩法』を止める。

ゼロの斜め上方から、袈裟懸けに切り下ろすキックが、『牙』の太ももをとらえた。

 

ダウンはしないが、顔をしかめて『牙』が後退する。

 

その耳元で通信機らしきイヤフォンが点滅した。

 

ち、ちょっと待ってくれ……と、慌てて『牙』はインカムに応答する。

 

「なんです……なぜあんたまでこっちに……え?

モビルスーツ部隊が? ターゲットも連れて脱出する?

なにがどうなって……え? エレベーターが動かない?」

 

『牙』は呆然と、彼とゼロが死闘を繰り広げていたエレベーターホールを見回した。

正確には「元」エレベーターホールだ。

壁面は大きく剥がれおち、深いヒビがいくも走っていた。エレベーターのドアもいくつかはふっとび、大きく凹んでいるものも多い。

 

 

「たしかに、エントランス階に降りるのは無理です。

降りれるとこまで降りて、あとは階段使ってください。俺はそれまでにこのクソ強ネーチャンをなんとか……えっ? 『爪』ですか? 26階に待機していて、来客が誰か確認したら、任務にうつるはずでしたが。」

 

「ああ、たぶんシェーンコップと戦闘に入ったんだ……」

 

「シェーンコップってひとと26階で戦ってるんじゃないかって、このクソ強ネーチャンが言ってます。

は? はい。わかりました。そうします。」

 

 

『牙』はゼロにむかって手を振った。

「すまん。休戦だ。モビルスーツがこっちに向かってるらしい。ここを脱出しろと、さ。」

 

「どうやってわかったんだ、そんなこと?」

 

「モビルスーツみたいなデカイもんが、攻撃の意図をもって接近してるのになんで気づかないんだと、怒られたよ」

 

「面白いな。おまえの組織のボスか?」

 

「ボス……なんだろうなあ。でもあのひとがなにか命令するところは見たことがない。

あんたも一度合ってるはずだ。グラナダ下層部の資材置き場でな。」

 

「ああ。たしかに。」

ゼロはうれしそうに笑った。

「あれはバケモノだったな。」

 

「だろ?」

『牙 』も笑みを浮かべかけたが、顔をしかめて、床に倒れ込んだ。

「うおお……なんて、蹴りだ。あんたも充分化け物だな。」

 

「モビルスーツは何機来ている?」

ゼロは、白衣をはたいて、ズレたメガネをかけ直した。この戦闘で彼女がうけた被害はその程度だった。

 

「機影は六つ、だと言ってた。」

 

「それくらいなら、ドゥーがなんとかするだろう。

おおっ?」

ゼロは手元にデバイスを覗き込んだ。

「サイコガンダムRが動いたな。」

 

「パイロットまで待機させてたのか?」

『牙』が憮然とした面持ちで言った。

 

「いや、サイコミュを搭載したサイコガンダムRは、うちのドゥーが遠隔操作できるというだけだ。」

 

 

 

-----------------

 

 

 

「あくまで応急処置だ。」

チェンは、シェーンコップの腹部から手を離した。

 

「ふむ。だいぶマシになった。感謝するぞ、老師。」

シェーンコップは身を起こした。

 

『爪』と名乗る少女の一撃は、時間が経つほど、冷たい痺れに似た重さを、じわじわと伝え、その領域を広げていた。

それが、止まった。

 

重だるさは解消されてないにせよ、これなら動ける。

 

「応急処置と言ったが、完治にはどうすればいい?」

 

「美味いもん喰って、寝とけばなんとかなる。」

チェンは淡々と言った。

「それから、おまえもクワトロくんも、わたしを老師と呼ぶが、わたしはおまえさんたちみたいな物騒な弟子はとった覚えがない。

ふつうに名を呼んでくれ。」

 

「名はなんと?」

 

「チェン・シャオロン。」

 

「チェン殿か。感謝する。」

 

チェンは、なんだか難しい顔の『爪』に声をかける。

 

「……普通は、わたしが手当てする前に死んでる、と言いたいんだろう?」

 

「こいつは、シぶとスぎるノよ!」

 

仏頂面の『爪』の腕をとると、チェンはわずかに力を込めた。

『爪』は悲鳴を咬み殺す。

 

シェーンコップのハルバートの一撃で折れた腕を正常な位置に戻したのだ。

 

「そっちはどうだ、キルヒアイス!?」

シェーンコップは呼びかけた。

 

エレベーターの操作パネルを相手に苦戦していたルビー色の髪の青年は、首を振った。

 

「ダメです。登るほうは動きますが、降りることが出が出来ない。操作を受け付けません。」

 

「エントランスのエレベーターホールで、ゼロとそっちの刺客がやりあったせいだろう。」

シェーンコップが言った。

「ゼロが片付けきれなかったということは、チェン、あんたの配下は、このチャイナガール並の強さはあるってことだ。

つまり怪獣同士が暴れ回ったんだ。

ゆえに、エレベーターホールはメチャメチャで各エレベーターは停止もしくは、この階から上にしか動かない、というわけだ。」

 

「48階にバルコニーがあります。ヘリポートも備えています。

そこで救助を待つ、というのは?」

N・ロックが言った。

 

チェンがぽすんと手を打った。

「なるほど! そのくらいならギリ飛び降りても無傷ですむな!」

 

「それは、あんただけだろう、チェン!」

シェーンコップが突っ込んだ。

「それに問題はモビルスーツだ。何機でどっちから向かってくる?」

 

「6機だ。南西の方角から、グラナダに侵入した。」

 

「機種は? 武装は?」

 

「勘弁してくれないか、シェーンコップ少佐。

わたしはレーダーじゃないんだぞ?」

 

「そうか。ついでに敵味方識別信号の有無も確かめたかったが……老師にもわからんことがあるんだな?」

 

「その老師もやめてくれっ!

なんだか、ひどく年取ってしまったような気分になるんだよ。」

 

「そうか?」

シェーンコップはそれだけで、ひとを殺せそうな視線で、チェンを見やった。

「じゃあ、聞くがあんた、いったい幾つだ?」

 

『爪』が、息を飲む。

チェンは、穏やかにただ笑った。

 

「そうだな……わたしは幾つに見える?」

 

 

 

「エレベーターが、来たよ!」

ドゥーが叫んだ。

「そのバルコニーに急ごうよ。ぼくの身体もそこに呼んでるから。」

 

「身体を?」

チェンが怪訝そうな顔をした。

「じゃあ、わたしの目の前にあるおまえさんはいったいなんだね?」

 

「心臓。」

と、ドゥーは答えた。

 

 

 

 

 

 

 




軽キャノン改グウェルは、ほとんどジム・クゥエルなので、サイコガンダムR相手だとちょっと。
あと、市街地への影響と市民のパニックをどう防ぐかがポイント……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ジークアクス世界の闇堕ちアムロ(作者:gジェネサイコー)(原作:ガンダム)

奪われたガンダムをきっかけに連邦は劣勢に立たされ、戦争はジオンの勝利に傾いた。▼失意の中、設計者テム・レイは連邦に呼び戻され、新たな切り札・アレックスを完成させる。▼その機体を託された息子アムロ・レイは、妻を殺した赤いガンダムのパイロット、シュウジへの復讐を誓い、戦場へと出撃する——。▼現在本編別ルート更新中なのでリストの1番下を見てくれれば最新話がわかりま…


総合評価:2893/評価:8.16/連載:178話/更新日時:2026年05月24日(日) 18:10 小説情報

白き流星の羽搏き(作者:丸亀導師)(原作:ガンダム)

宇宙世紀0079人類の半数を死に至らしめた、一年戦争。▼その戦争の最中、英雄として撃墜王として名を知らしめた少年、アムロ・レイ。▼0087彼は再びモビルスーツを駆り、自らの護るべき者達の為に立ち上がる。▼


総合評価:4673/評価:8.82/連載:94話/更新日時:2026年05月24日(日) 05:00 小説情報

ダイクン家の二女はアホの子(作者:アキ山)(原作:ガンダム)

 側室に三人目の子供を仕込んだままくたばったジオン・ダイクンのやらかしによって大きく変わる宇宙世紀。▼ サイド7で暮らすマリー・マス、通称マチュはアルマリア・リム・ダイクンという自身の本名も綺麗に忘れた、趣味はなんちゃってジークンドーとロボゲーに格ゲーというアホの子である。▼ そんな日々の奇行の数々で姉を泣かせている小学生が、地獄の一年戦争を如何にして生き残…


総合評価:13595/評価:8.73/連載:64話/更新日時:2026年05月14日(木) 17:32 小説情報

聖戦士アムロ(作者:くまぷーⅢ世)(原作:聖戦士ダンバイン)

 バイストン・ウェルの物語を覚えている者は幸せである。▼ 心、豊かであろうから……▼ 私達はその記憶を記されてこの地上に生まれてきたにも関わらず、思い出すことのできない性を持たされたから……▼ それ故に、ミ・フェラリオの語る、次の異なる物語を伝えよう。▼ シャアとの最後の戦いの中、地球へ落下するアクシズをνガンダムで止めようとしていたアムロ・レイは眩い閃光に…


総合評価:3059/評価:8.67/連載:9話/更新日時:2026年02月12日(木) 23:46 小説情報

偽書・ガンダム機動戦記(作者:雑草弁士)(原作:ガンダム)

宇宙世紀0079、サイド7ノアの1バンチコロニーグリーンノア在住のアルバイター、エグザベ・オリベは難民である。故郷であるサイド5ルウムを地球連邦とジオンの戦争で破壊しつくされた彼は、どうにかサイド7に流れ着き、ジャンク屋で働きつつ生活を立て直そうとしていた。しかし0079の9月18日、ジオン軍の英雄シャア・アズナブル少佐率いる特殊部隊がサイド7を急襲。エグザ…


総合評価:1733/評価:8.73/連載:54話/更新日時:2026年03月11日(水) 05:39 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>