第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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新競技「バトリング」で勝利を収めたアムロ・レイ。
だが彼を待っていたのは勝利の美酒ではなく、月面グラナダから届いた不穏な招待状だった。
暗殺。 企業内戦。 ニュータイプの共振。 そして地下に眠る『ムーンレイスの女王』。
それは、ひとつの企業の内紛では終わらない。 過去と未来、そして無数の可能性世界へ繋がる扉が、静かに開こうとしていた。





GQuuuuuuX season2 第10話 新たなる戦い~永遠の女王

レストランの受付で、おそらくはバウンサーも兼ねているのだろう。

ごつい男は、アムロたちを見て露骨にいやな顔をした。

アムロは丈の短いフライトジャケットだし、マチュは、ショートパンツに生足。

ニャアンは、黒のワンピースだったが、微妙に気崩していて、とても高級そうには見えなかった。

 

明確なドレスコードはないにしろ、高級なレストランにはそれなりの格好というものがあるのだ。

顔をしかめた受付の男が、即座にアムロたちを追い出さなかったのは、連れのララァたちが、全身をロゼスパークルを作ったあのブランドで固めていたからである。

 

サングラスの下から、アムロを睨みつけた男の表情がなにかに気がついたように一変した。

 

「ア、 アムロ・レイ……様ですか?」

 

声は上ずっていた。

アムロは不承不承、頷いた。

 

その視線が2人の少女たちに向かう。

 

「“狂犬”と“病み猫神”!」

 

「だから、なに?」

マチュの視線が凶暴なものになったが、受付の男は、もう舞い上がっていた。

 

「い、いえ、大変失礼いたしました!」

深々と頭を下げる。

「6名様でごさいますね。ただいまVIPルームをご用意いたしますので!」

 

「さすがは、アムロ。」

ララァがからかうように言った。

「ドレスコードも予約なしも、ぜんぶ顔パスってわけね?」

 

「ララァたちが、そんな正装をしてなければ、スタジアム近くの居酒屋でもよかったんだけど。」

 

「まえから言おうと思ってたんだけど」

ララァの侍女のひとり、アムロに似た癖っ毛のヴァーニが口をはさむ。

「アムロは、お姉様が好んで着用する、あの黄色のワンピースをどう思われます?」

 

「よく似合ってるよ。」

アムロは素直に答えた。

「まるで、水鳥が飛んでるみたいなイメージ

なんだ。とてもきれいで。でも儚くて……」

 

「そうおっしゃるのは、アムロと大佐だけです!」

ヴァーニはきっぱりと言った。

「ほっとけば、お姉様は一日中あの服を着ています。」

 

たしかに。

一緒に買い物に行くときもあの黄色の貫頭衣のことはけっこうあった。

 

「それは確かに……」

アムロはなんと答えたらいいのかわからずに言葉を濁した。

「洗濯とかも大変だね。」

 

「まったく同じデザインのワンピースを10着もっています!」

 

「なので、お出かけのときのオメカシは、わたしたちがやってます。」

カンチャナが言った。

「わたしたちも流行のファッションはくわしくない。

なので、ブランドのオススメでコーディネートしてしまうのが一番、無難なんです。」

 

「でも全身エ××スだと、高いだろう?」

 

「お姉様は、ヘルマコングロマリットと専属契約を結んでますので、実質的にただ同然なんです!」

 

 

 

 

 

個室に通された一行は、一通り料理を頼む。

カンチャナたちを除けば、全員がクラバの選手だ。

例のバトリングについて、ひとしきり話が弾んだ。

 

マチュ以外は、割とバトリングには否定的だ。

理由は簡単で、パイロットの負傷者が格段にあがるからだ。

機体そのものはそこまで損壊しない以上、死亡までは至らないかもしれないが、重力下であの巨体が飛んだり跳ねたりする。

コクピットがどんな具合になるかは、想像がつく。

 

今回アムロが見せたような投げ技が、あるいは主流になっていくかもしれない。

 

手甲などに多少の改善はあっても、結局、モビルスーツの装甲材と同質のものである。

つまり、鎧をきた人間を殴りつけるようなもので、打撃技は見た目ほど有効でないかもしれないのだ。

 

「で、あの人からの連絡なんだけど」

勝利を祝って、乾杯が終わって、ララァは早速!要件を話し出した。

 

「クワトロさんからは、ぼくもメールは貰っている。」

アムロが言った。

「アナハイムムーンの内部紛争は、地球本社の専務派が、勝ったってことだね?

このまえ、ヤンさんたちと月面を訪れたときの襲撃は、月面支社の支社長と保安部長の派閥の暴走によるものだ、とか。」

 

「ラインハルト専務のことは、なんて書いてありました?」

 

「……また、よい友人が増えたようだ、とか。」

 

「シャリア・ブルやガルマを謀殺するまえにも、そんな表現をしてたわよ……」

 

アムロはゾッとした。

彼もまた、クワトロの「友人」のひとりである。

少なくともそう自覚していた。

 

「ゆ、夢の話だよね?」

 

「わたしの夢は。」

シャロンの薔薇の現し身は、華やかに笑った。

「可能性次第では、起きたかもしれない別の世界のできごと……かもしれないの。」

 

「……」

 

「でもまあ、人物として高い評価をしたことには間違いないわ。」

 

ララァはシャンパンのグラスを回す。

黄金色の液体の中で、泡が弾けた。

彼女が、見てきた無数の世界のように。

それから、にっこりと微笑んだ。

 

「まず、グラナダのことから話しましょう。」

 

アムロは頷いた。

 

「アナハイムムーンの支社長と保安部長は、邪魔な本社専務の暗殺を計画していの。モビルスーツまで使って。

それを大佐が阻止したわ。

支社長たちは、何者かに殺されて、月面支社は、ラインハルト専務のもとにまとまった。

実行部隊として暗躍した保安部は、解体。

モビルスーツ部隊は、大幅に縮小されて、警備そのものも外部に委託されることになった。」

 

「流石だな……クワトロさんは。」

アムロは呻いた。

彼が、ドゥーとトロワを連れて旅立ってから、それほど日はたっていないのだ。

たしか、グラナダを訪れた理由は「ジュニアクランバトルについての打ち合わせ」のはずであったが。

「あっという間に、アナハイムの内紛を片付けてくれたってことか。」

 

「彼ひとりの力じゃないわよ。

ラインハルト専務をあのひとは高く評価している。

それに、どうも『女王派』の協力があったみたい。」

 

「『女王派』?」

 

「グラナダの地下から発掘された冬眠カプセルのなかに眠る『ムーンレイスの女王』ディアナ・ソレルを崇めるひとたち。」

 

「グラナダにはなんどか行ったことはあるけど、それって単なる土地神さまを祀ってるようなものだったと思うけど」

 

「彼女と『交信』できるひとがいてね。

それがたまたま、東洋の武術を伝承する一派の長老だったみたい。」

 

「冷凍冬眠中のひとと、意思を交換する?」

 

話はオカルトめいてきた。

 

「疑わしいよね?」

カンチャナが言う。

「でも、わたしも夢で話したことがあると言ったら?」

 

「……夢で?」

 

「夢で。」

カンチャナは、あっさりと言った。

「とても綺麗なひとだった。」

 

「わたしも同じ夢を見てるの、アムロ。」

ララァが言った。

 

「ニュータイプの共振……なのか?」

 

「そう。そしてあのひとの見立てでは、ディアナの冬眠カプセルは、特殊な力場に包まれている。

かつてグラナダの地下におかれた『向こう側』の機体―――『シャロンの薔薇』がそうだったように。」

 

「つまり、ディアナ・ソレルは別の世界のひとってことか!

なぜそんなことが」

 

もしもし?

と、マチュがアムロを突ついた。

 

「ゼクノヴァ。」

 

アムロは技術者だ。

 

ソロモンを抉り、ア・バオア・クーを異次元き放逐したゼクノヴァなる現象があることは否定はしない。

だが、なんでもかんでも「ゼクノヴァ」で片付けられてしまっては、技術屋の出番がない。

 

「たしか、ゼクノヴァが導くのは、『可能性』が少し違ったこの世界の並行世界のはずだろ?

この世界では月面都市のひとたちを『ムーンレイス』なんて呼ばないし、ディアナなんて女王がいた事もない。」

 

「ずっと、先の世界から来たのだと思います、アムロ。」

カンチャナが言った。

「わたしの物語が描いた歴史のずっと先の世界から。」

 

アムロは、それ以上聞くのをやめた。

この場にいるメンバーを考えれば、その程度のことは驚くべき話ではないのかもしれない。

 

ララァが二杯目の美酒を注ぐ。

 

「あのひともグラナダでその声をきいたそうよ。

ニュータイプの共振で。

彼女は、未来から来ている。

正確には——この世界とは別に歩んだ未来の、さらに先の世界から。

黒歴史と彼女が呼ぶ、人類の歴史が一度崩壊した後の時代から。」

 

「……」

 

「信じられないかもしれないけど」

 

「信じるよ。」

アムロは言った。

少し間があってから付け加えた。

「ララァが関わっているなら。」

 

マチュが、すこし笑った。

「ラブラブなことで?」

直ぐに真顔に戻る。

「でももし、ホントにそのディアナ・ソレルが別の世界線からきたのならば、その存在そのものがこの世界を歪める―――と、ガンダムが言ってる。」

 

「うだだだに行ってみひょうよ?」

言ったのはニャアンだったが、発音がヘンなのは、口いっぱいにオードブルを詰め込んでいたからだ。

 

「グラナダに。そうだね。

ぼくらが行ってどうなるかはわからないけど、行ってみよう。」

 

 

 

 

 

 

 

 




そんな流れになったのですが、マチュもアムロもモビルスーツがない。スパルタニアン改でものせとくか。
ニャアンは、まだリックゾック。


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