第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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一瞬まえまで考えてなかったことが、ふっと降りてきて、書いちゃうことがあるんですが、今回それです。






GQuuuuuuX season2 第11話 新たなる戦い~少年と拳士

「ちょうど、ネオ香港から、N・ロックの招いたニュータイプたちが到着する時刻だ。」

 

搭乗するシャトルのゲートに向かって歩きながら、ラインハルトが口にした。

 

「たしか、『白い悪魔』以外にもニュータイプを何人か連れて来てもらっているはずです。」

キルヒアイスが、言った。

「急なニューヤーク行きがなければ、会うチャンスでした。」

 

「……ニュータイプそのものには、あまり興味はない。」

ラインハルトはぼそっと言った。

「人の革新と言うが、目下のところ、ニュータイプという才能をもった個人だ。

そして、その才能がどう生きるかは、その意思と周りの環境がそうさせるから、に過ぎない。」

 

「ニュータイプの存在が、独立戦争時におけるスーパーエースとして世に知られたようにですか?」

 

「そうだ。

クワトロは、ニュータイプが戦争の道具に使われぬ世を作りたいと言うが」

 

「それはそうでしょう。」

 

「だがな。事はそう単純ではない。

もしニュータイプ適性のあるものが、貧困をはじめとする逆境から脱出したいと考え、そして自分がモビルスーツパイロットとしての極めて高い適性があることを自覚したとしたら」

 

「ニュータイプそのものが主体となって、乱を起こす可能性がある…ということですか?」

 

「そうだ。さしずめ、我らの友人であるクワトロくんなどはその旗頭に祭り上げられることになるかもしれない。」

 

シャトルへの搭乗への列を、三人は軽々とスキップした。

シートはいくつかのクラスに分かれており、最上級のシートの客は何事にも優先されるのだ。

 

ラインハルトとキルヒアイス、そして『ギンガナムの爪』こと、イェ・チャージーは、ファーストクラスのシートに身を沈めた。

 

イェ・チャージーは、リュックから出した端末で、『ネオ香港グルメガイド』を読み続けている。

途中で、フリードリンクなのを知ると、遠慮なく酒を頼み始めた。

 

「ネオ香港には何泊の予定なのカ?」

 

「クワトロ・バジーナと合流してから、、ニューヤークに向かうだけだ。ゆっくり滞在するつもりはない。」

ラインハルトは素っ気なく答えた。

 

「クワトロもパーティに出るノか!」

イェ・チャージーの目がらんらんと輝いている。

東洋系らしい童顔なだけにその迫力は、かえって凄まじい。

「モシ、ネオ香港でもニューヤークでも、ホテルの部屋が足りないようナラ、一緒の部屋でもかまわないネ!」

 

「それは——」

キルヒアイスが、何か言おうとした。

 

ラインハルトが、先に口を開いた。

「クワトロ・バジーナと先に話がしたかったのは、わたしの姉であるアンネローゼの身辺について相談するためだ。

おまえの成功率の低い恋の手伝いをしている暇はない。

部屋を共にするような話ではない。」

 

「ナンデ、成功率低いネ?。」

ムッとしたように、『ギンガナムの爪』イェ・チャージーは唇を尖らせた。

また酒を頼む。

 

「イェ・チャージー。」

 

「ナニ?」

 

「クワトロ・バジーナ氏には、一緒に暮らしている女性がいるそうだ。」

ラインハルトは、少し声を落とした。

「結婚はしていないそうだが、それは、彼の血筋の問題だろう。

ジオン公国の元首より先に、子をもうけてしまうことが、政治的の緊張を生む―――そう考えているかもしれん。」

 

「アイヤ」

イェ・チャージーは、視線を落とした。

「そのウワサってホントなのカ?」

 

「わからんな。なんの確証もない。」

ラインハルトは冷たく答えた。

「だが、すくなくとも彼が『元連邦軍大尉クワトロ・バジーナ』と名乗りたいのなら、それ以外の名で彼を呼ぶことはないだろう。

だが、彼がそういう出自であることは、常に念頭に置いている。それだけのことだ。」

 

「ウーウー」

イェはやたらに頭を捻っていたが、ガックリと肩を落とした。

「タシカニ。家柄そのものに価値のある連中は、恋も、まして結婚なんて言ったら、政治と同じネ。

やたらに血が流れるネ。」

 

「爪」は、グルメガイドをしまいこんだ。代わりに取り出した本は―――『宇宙世紀の房中術大全』。

 

「まあ、ソレはソレとして、むこうから口説かれる分には、問題ないネ。」

 

「ギンガナムの配下はいろいろとしぶといのだな。」

ラインハルトは呆れたように言ったが、必ずしも非好意的な口調ではない。

 

「お姉サマの嫁ぎ先!フリードルフ家ヨネ?」

 

「知っているのか?」

 

「よく知ってるというわけではないケトね。でもアソコの家もともとはひとつの国みたいなもんネ。

暗部―――諜報や殺人を行う部門もあるヨ。」

 

ラインハルトは、シャンパンを頼んだ。

(これは少し失敗だった。無重力になることもあるシャトル内では、グラスでの提供はない。

どんな高級な酒であってもストローでチュウチュウするしかないのだ。)

 

「くわしく聞かせろ。」

 

「ワタシ、フリードルフ家の親戚筋がその役目を担ってるネ。

ハイネ家ってトコヨ。今の当主はリッテン。

ソイツがどんなひとか、知ってルよ。」

 

「——なぜ知っている?」

 

「まあ、多少、やり合ったコトあるヨ。」

イェは、あっさりと言った。

「独立戦争まえは、ワタシたち地球にも拠点がアッタ。

もう十年以上前。

フリードルフ家の当主が、なんだか若い嫁さんを貰おうとしたのを、親戚筋が文句を言って、しまいには、リッテンが手駒の兵を使って、その女を亡き者にしようとシタ。

チェン・シャオロンは、たまたまそのときに、フリードルフ卿の家に招かれたコトがあッテ。その時のハナシ。」

 

「チェン殿が?」

 

「チェンは『人類の忘れ物』だから。ながく生きてルから、いろんなヒトと関わりがアル。」

 

「——それは、どういう……」

 

「ワタシも一緒だったヨ。」

 

『ギンガナムの爪』はラインハルトを薄めで見上げながら、少し笑った。

 

「可憐としかいいようのない少女と、まだガキだったその弟。その親友の赤毛の坊や。

彼らの情にほだされたのかしらねぇ?」

 

その表情が。

一変していた。

幼さを感じる顔立ちは、拭いさられたように消え、あらゆる異性を蠱惑するかのような微笑みが浮かぶ。

 

「チェンもわたしも顔を変えていたし、名前も変えてたからねえ。」

 

「『ジャッキー・チェン』と『リン・ホー』!!」

 

『爪』は、酒の入ったカップを受け取った。

 

「念入りに『お仕置』をしたつもりだったのだけれど、もしまたちょっかいをかけてくるようなら。」

 

ラインハルトの顔が、わずかに固まった。

 

キルヒアイスは、何も言わなかった。

 

「今回、フリードルフ卿は、家督を継ぐものを発表するという情報もある。」

 

「わたしらが『お礼』をしたヤツらが、また動くようなら、それはわたしらが舐められたってことになる。それは許さない。」

 

「……チェン殿は、今回のパーティの件を、もう知っているということか。」

 

「だからわたしを派遣したんだろうね。」

 

ラインハルトは、しばらく「爪」を見ていた。

 

「イェ・チャージー……リン・ホーと呼んだ方がいいのか?」

 

「イェ・チャージーでいいよ、金髪の坊や。」

 

「おまえは、いつからチェン殿に仕えている?

かつて、わたしたちを助けてくれた女拳士『リン・ホー』はわたしたちより、ずっと年上に見えた。」

 

ふうぅ。

 

妖拳士は大きく息をはきながら顔を伏せた。

次に顔をあげたときには、そこにはあのどこかおっちょこちょいで、愛くるしい顔立ちの女拳士がいた。

 

「あまり、トシの話は、しないのことネ!」

 

「では——なぜわたしについてきた。」

 

「チェンが、ラインハルトのことを気に入ってるネ。」

「爪」は、さらっと言った。

「わたしもケナゲな少年は嫌いではないネ!

アンタらも気に入ってるヨ…今のところ、まあそれなりに。」

 

「……それなりに、か。」

 

「ラインハルトはねえ、」

「爪」は、グラスを傾けながら言った。

「アンネローゼさんの話をするとき、すこし子どもになルネ。それがヨイ。」

 

ラインハルトは、何も答えなかった。

 

キルヒアイスが、小さく笑った。

 

「——笑うな、キルヒアイス。」

 

「笑っていません。」

 

「笑っていた。」

 

「笑っていません。」

 

「爪」が、ラインハルトを横目で見ながら言った。

 

「愛するものはジャクテンにもなるネ。

特にそれを失ったときに。

だから、ワタシはアンタらに手を貸すネ。

アナタ、一歩間違えたら、人の世を焼き尽くす、アブナイ、ひとヨ。

そして―――クワトロサンも、ネ。」

 

「チェン殿は余計なことを言う。」

 

「でも、それがいいって言ってタ。」

 

機内に沈黙が落ちた。

 

「……キルヒアイス。クワトロとの面会の予定はどうなってる?」

 

「恐らくネオ香港宙港まで、迎えに来てくれているはずです。そのあと―――彼が主催しているクランバトル……『バトリング』を観戦してもらいたいと。

ニューヤークへの飛行機はその翌日の予定です。」

 

 

 

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「歓迎 アムロ・レイ様」

 

とデカデカと描かれた看板をもったドゥー・ムラサメがピョンと飛び上がった。

 

「おおーーっい!

こっちだよお!」

 

アムロ・レイは血の気がひいていくのを感じた。

 

クランバトルの『白い悪魔』の名は地上よりもむしろ宇宙で知れ渡っている。

彼自身の覇気のなさ……というか悪い意味での普通さのおかげで、街を歩いていてもめったに声をかけられることはないのだが……

 

え、ええっ

クランバトルの!?

白い悪魔……ってやつだろ?

あれが?

なんで、あんなに美女を連れてるんだ?

そりゃ、あれだよ―――あっちも悪魔なんだろ?

 

「あ、アムロさんですかっ! ファンです!」

「あ、あのサインを」

「すいません、ぜひ一枚一緒に写真を」

「で、弟子に! 弟子にしてくたさい!!」

 

グラナダ宙港に騒ぎが広がっていく。

 

 

 

 

 




なかなかニューヤークにたどり着かないのは、ニューヤークの描写が浮かばないからでもあります。もともとファーストだと、ガルマの地球侵攻軍に1回、焼かれてるはずなのですが、GQuuuuuuX世界ではそれはない?
いまのニューヨークの感じで良いのか。
あと、中国武術の使い手からみて、『バトリング』ってどううつるのか興味がわいたので。色々挟みます。
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