第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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ちょっとバトリングがどうなったのか気になったんで、ページをさいてしまいました。





GQuuuuuuX season2 第11話 新たなる戦い~古流とウーシュー

ネオ香港。

クランバトル。

バトリング専用会場。

それは単なる競技場ではなく、コロシアム……闘技場のように見えた。

実際にそこでは、モビルスーツという甲冑を着た戦士たちが、戦う。

 

戦場としては過酷である。

 

もともと、行われていたクランバトルよりも酷いかもしれない。

 

「コクピットはどうなってるんです?」

観覧席に座ったキルヒアイスは、そう尋ねた。

 

「やはり、気になるか。」

クワトロは肩をすくめた。

「きみの想像通りだ。緩衝材やクッション、専用の防護服などは足しているが、充分でない。

モビルスーツが倒れたり、投げ飛ばされたりすれば、その高さから落下したものに近い衝撃が体にかかる。」

 

「公の場で公開できる『競技』になったわけだが、先祖返りしていないか?」

ラインハルトが皮肉げに言った。

「モビルスーツそのものの損傷は少なくても、なかのパイロットはたまらんだろう?」

 

「実際にその傾向はある。死亡や長期の入院が必要になるような大怪我はいまのところないが、連戦は無理だ。

サイド6から、射撃を含む本物のクランバトルが出来ない下位ランクのランカーたちを呼び寄せたが。」

 

現れた機体は、どちらも払い下げのザクだった。

 

ぎこちなく、闘技場の正面にむかって歩く。

互いの距離が100メートルきったあたりで、両者は歩みをとめた。

 

これも試合開始のセレモニーの一環なのだろう。

両者はザクを、正面に、右に、背後に、回しながら観客席に手を振る―――ただそれだけの動作に。

 

ずる。

 

一機がこけた。

 

こけただけとはいえ、15メートルを超える巨体である。

地響きとともに土煙りが舞い上がる。

 

観衆の間に、あーあ、というため息が広がる。

 

「部下の話では最初はこれでもウケていたそうだ。」

クワトロは冷静な口調で言った。

「生の迫力というのは、それだけの価値がある。」

 

「いまはダメなのか?」

 

「迫力はあるんだろうが、毎回見せられては、観客も飽きる。」

 

「毎回こんなことがあるのか?

コントかなにかか?」

さすがにラインハルトの口調に呆れたような響きが混じった。

 

「いまのハツゲンはちょっといただけないネ!」

チャイナドレスにサングラス。

イェ・チャージーが言った。

「コント、バカにしてるように聞こえるヨ!」

 

『まだだ!』

場内のスピーカーから声が響く。パイロットの声を拾っているのだ。

『まだ終わらんよっ!』

 

会場がどっと、湧いた。

 

イェ・チャージーがクワトロの顔を覗き込んだ。

 

「なにかな?」

 

「いえ、あのセリフ。フロドの第二作『ZETAの少年』で、シャイ大佐が言うセリフネ!」

 

「どんなシーンだ?」

 

覆面作家フロドが、彼が面倒をみている少女、カンチャナのことであることは、クワトロは知っていたが、それだけに手を出してはいない。

 

「たしか、ラスト近くです。シャイことクトトロ大尉が、ハンマー・カンマーとトロッコに追い詰められるところで。」

 

「キルヒアイス! きみも読んでるのか?」

 

「大体は。」

 

「もうすぐ最新作『シャイの逆襲』の劇場版映像の公開ネ!

ワタシ、ホントはグラナダの先行上映会にチケット当たって、参加予定だったネ。

謎の作家“フロド”とのライブインタビューもあるネ。」

 

『あれだけのダメージを受けてまだダメージがあるとは驚いたぜ。』

相手のパイロットの声が響く。

『仕切り直しだ! 立て!』

 

『……フッ』

倒れたままのザクのバイロットが笑った。

『もう……戦っておる。』

 

『な、なんだと!?』

 

『これは、ジャポンに伝わる古流“御休身式”の構え。』

 

おおおっ

と観衆がどよめく。

 

“そ、そうか! 格闘技は両方が立った状態からはじまる!”

“相手が寝ていてはこちらもしゃがまない限り、パンチが届かない!”

“しかも腰の入ったパンチは打ちにくいから、その瞬間に腕や脚をとって関節技に……”

“な、なんという恐ろしい技なのだ!!”

 

「うむうむ。」

イェ・チャージーは満足気に頷いた。

「結構、よいコントになってきたヨ。」

 

「片方が寝た状態からの体術なんてあるのか?」

 

「ま、一対一が確立した場面でないと、よって集って蹴り飛ばされて、踏みつけられてオワリ。」

 

「……だろうな。」

 

「そうでなければ、ネ。

関節技の練習ではヨクあるよ。

あとジャポンの古流に“御式内”はあるけど“御休身式”はデタラメ。」

 

「クワトロ!」

ラインハルトが呻くように言った。

「まさかとは思うが、あのパイロットは自分でモビルスーツを起こすことが出来ない……のか?」

 

「ああ……彼はコロニー生まれコロニー育ちのはずだ。1G下でモビルスーツを操るのは初めてかもしれんな。」

 

『なるほど!』

相手のパイロットは呵呵と笑った。

『中途半端な一撃を加えれば、寝技に引きこもうというのか。読めたわ!』

 

ググッ、とザクの腰が落ちた。

 

『一撃で決める!』

 

「バトリング! バトリング開始です!」

慌てたようにリングアナウンスが流れた。

あまりのグダグダ展開に試合開始のカウントダウンも忘れられていたのである。

 

『どおりやああぁっ!!』

 

ザクがジャンプした。

 

実際にはバーニヤの力で跳ぶわけだなら、どうりゃもなにもないのであるが、そこは気持ちである。

 

飛び上がったザクは。

その拳に全体重をのせて、落下した。

 

目測を謝り5メートルばかり外れた。

 

どっごおおぉんっ!

 

爆音が響く。

ザクの巨体の落下はそのようなものである。

 

土煙が晴れるまでは、数分かかった。

 

 

拳を打ち下ろしたザクは。

地面に思い切り叩きつけた右腕を肩口から、全損していた。最初に転んだほうのザクは……そのままだった。

まあ、なにもしていないのだから、当たり前である。

 

 

「ジオンの英雄を前にして言いたくはないが、アレならわたしの方がマシだぞ?」

 

「ジオンの英雄……?

なんのことかな、わたしは元連邦軍の」

 

「悪かった。余計な詮索をするつもりはない。」

ラインハルトは、転んで寝転がっていたザクのバイロットが勝ち名乗りを上げるのを、苦笑いしながら眺めた。

 

「まさか。

このレベルの、戦いが延々と続くのか?」

 

さすがにそれはなかった。

 

次はザク対軽キャノン改の試合だったが、凄まじい殴り合いとなった。

 

だが、ラインハルトはこれにも首を傾げた。

 

「多少は手甲をつけたり、関節部分に追加装甲を施してはいるようたが、結局のところ素材的には金属だ。

そして、殴られ、蹴られされても痛覚もない。

つまり、フルプレートアーマーをつけたもの同士が、殴り合いで決着をつけるようなもので、とても有意義とはいえん。」

 

殴り合いは10分以上続いたが、ともに殴り続けた腕の方が破損した。

バランスをくずした軽キャノン改が、こけた。

 

その衝撃で、パイロットは気を失った。

そのままザクの勝利となる。

 

「次がメインイベントになる。」

 

「少しくらいは楽しませてくれよ。」

ラインハルトが拗ねたように言った。

せっかくのクワトロの招待ではあったが、彼としては、フリードルフ家との確執と、アンネローゼをどう守るかについて早く相談したかったのである。

 

「彼が、実質的にバトリングの創始者のようなものだ。」

現れた軽キャノン改は、いままでの出場者のようにギクシャクとした動きではない。

 

「ホウ?」

その歩みを見ただけで、イェ・チャージーが笑った。

「こいつはできておるのぉ。」

 

 

「バトリングで、7連勝中。

周りのレベルもレベルだけに、対戦相手がいなくなりつつある。」

 

「楽しみだ。これも賭けの対象になっているのだろう?

オッズはどうなっている?」

 

「正直、勝ち負けでは賭けにならない。

何分以内に、ハヤトが勝つか……で、賭けが成立している。」

 

相手は……ゲルググだった。

大戦末期に、ガンダムを量産化する形で登場したゲルググは、さまざまな改修をほどこされながらも、今日まだジオン軍の主力モビルスーツである。

クランバトルに登場するのは珍しい。

 

性能的には、ザクはもちろん、軽キャノン改よりも上だろう。

 

開始の合図とともに、軽キャノンは手を差し出した。

ゲルググが差し出した手を握り返す。

 

単なる試合前の握手。そう見えた。

 

 

 

そのまま。

 

「……なんだ? 動かない、」

 

「アイキの技ネ。」

イェ・チャージーが言った。

「さっき言った“御式内”が元になったとイワレル、ジャポンの古式流派のひとつネ。」

 

ぐら。

 

ゲルググが、膝を曲げた。

ハヤトの軽キャノン改はその手を握ったままだ。別に押したり引いたりしている訳では無い。

それなのに、途方もない重量を追っかけられたように、ゲルググは崩れ落ちる。

 

ハヤトの軽キャノン改は、なにもしない。

 

勝手にゲルググが倒れたため、その姿勢は、ゲルググの手首をキメたような姿勢になった。

そのまま。体重をかける。

 

バキバキッ!

 

ゲルググのムーバブルフレームが悲鳴を上げた。

関節が本来曲がらぬ方向に折れ曲がり、スパークが散った。

 

そのまま、さらにハヤトは軽キャノン改の体重をかける。

肩のジョイントが破砕された。

 

完全に腕から肩部まで破壊して、ハヤトはやっと手を離した。

離した手のひらで相手の頭部をつつむ。

 

その上からもう片方の手を撃ち落とした。

 

ビクッ!

 

ゲルググの全身が震えた。

 

それほど力の籠った攻撃にはみえなかった。しかし―――

 

 

「メインせんさー稼働停止!

ハヤト・コバヤシ選手の勝利です!!」

 

クワトロは立ち上がった。

 

「2分だ。いまのハヤトとまともにやり合えるのは、ククルス・ドアンくらいしかいないが。彼はアナハイムの極東保安部員であって、クランバトルは専門ではないんだ。」

 

 

「……白い悪魔、ならどうだろう?」

ラインハルトは興味をひかれたようだった。

 

「あの二人はもとM.A.V.らしい。

あまり戦うのは好まない。」

 

 

 

------------

 

 

 

クワトロは、ネオ香港の中心部にあるレストランを3人のために予約していた。

 

「イッショに暮らしてル女は連れてこないかネ?」

 

「ん? ララァのことか?

彼女は今、アムロくんたちとグラナダに出立している。アナハイムエレクトロニクスの月面支社から、ジュニアクランバトルのことで力を貸してもらうよう頼まれているはずだ。

それよりも、ラインハルトの姉上のことだが。」

 

「……ああ。フリードルフのやつはそれでもまだ姉を大事に思っているようだが、親戚筋どもがな。」

 

「今回のパーティでなにか動きがあるとよんでいるわけだな?」

 

「我らの共通の友人であるジオンの貴公子はそう判断したようだ。」

 

 

 

 




クトロロ大尉は、なんかでかい猫ともクマともつかぬ着ぐるみを着てることで変装してるつもりになってる困ったやつです。
ハンマー・カンマーとトロッコに撃墜されて行方不明になりましたが、最新作『シャイの逆襲』では(着ぐるみは脱いで)ネオ・ジオンの総帥として登場するてらしいです。
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