第13話 鼓動   作:ATARU 2025

326 / 326
やっとディアナvsアムロが書けたっ!








GQuuuuuuX season2 第13話 キラキラの果て~ムーンレイスの女王

「あなたが宇宙移民を虐めた『白い悪魔』!!」

 

「待ってください。」

アムロは、出来る限り穏やかに言った。

「誤解があります。」

 

「誤解?」

ディアナの眉が上がった。

「『白い悪魔』が宇宙移民を虐げたのは、歴史に明確に記録されています!

あなたは『白い悪魔』ではないのですか?」

 

「そもそもぼくは、戦争には出ていませんし!」

 

「……それは本当だ。」

チェンが割って入る。その口調は冷静でどこかとぼけているようにも感じられた。

「まえにもすこし話したな、ディアナ。

この世界は、おまえさんの『歴史』とはことなっている。

ジオンは戦争に勝って独立を達成した。

連邦軍が反抗のため、つくりあげたガンダムは、ジオンの将校に試作機や運用艦ごと奪取された。お主のいう『ガンダム』がその試作機のことなら、わしらにはむしろ、『白』より『赤』の機体として記憶されている。

奪取に成功したシャア大佐のパーソナルカラーに塗り替えて、運用されたからな。」

 

ディアナ・ソレルはため息をひとつついた。

「……わかりました。

ここは、『改変者』ララァ・スンの作り上げた世界のひとつなのですね。」

 

「ララァ……が!?」

 

「ララァ・スンを知っているの?

アムロ・レイ。」

ディアナの声はもう落ち着いていた。

「わたしたちの『歴史』では、『始まりのニュータイプ改変者ララァ・スン』は『白い悪魔』に葬り去られてしまうのだけれども。」

 

「ぼくはそんなことはしてません!」

 

「ララァとはどういう関係なの?」

 

「ええっ……と。友人……です。

買い物に付き合ったり、食事をしたり。」

 

「ほんとうに?」

 

「ララァさんは、アムロのことは好きだよねえ、ぜったい。シャアさんがいるから深い関係にまでは踏み込んでないと思うんだけど。」

マチュがとんでもない事を言い出した!

 

「アムロ!」

 

「い、いえ、誤解です。そんな」

アムロは言い淀む。

 

ディアナの視線が厳しくなった。

「ララァと戦ったことは?」

 

もちろん、あるわけが。

と言いかけて、アムロはまた口ごもった。

仮想ア・バオア・クー戦。

あれはリアルな戦闘ではない。

だが、戦ったには違いないし……

 

そのためらいが、ディアナをさらに疑心暗鬼にはせる。

なにしろ、この『キラキラ空間』では、精神が繋がった状態にあるのだ。

アムロの焦りは、そのまま、ディアナに伝わってしまう。

 

ディアナは視線を伏せた。

「個人的な関係には、踏み込まないでおきましょう。少なくともあなたは、連邦軍のパイロットとして従軍はせず、戦争には参加しなかった、と?」

 

もちろんです!

と、アムロが言う前に

「でも『白い悪魔』ではあるよねえ……」

マチュが言った。

 

おいぃっ!!

 

ディアナの顔が再び険しくなる。感情を爆発させるタイプではない。

『ムーンレイスの女王』

その名前に相応しい。ひとつの民を率いる威厳が、アムロを押しつぶすようにのしかかった。

 

「戦場に出ていないのに『白い悪魔』と呼ばれている?

どういうことでしょう?」

 

「『白い悪魔』と呼ばれているのは、クランバトルでの話です。」

 

「クランバトル。」

 

「モビルスーツを使った模擬戦です。『白い悪魔』はリングネームみたいなものですよ。」

 

ディアナは、沈黙した。

 

チェンが、うんうんと頷いた。

「それも本当だ。軍を除隊になったパイロットが始めた見せ物だが、最近、合法化されてな。

アムロはちょっとしたヒーローなんだ。」

 

「……つまり。」

ディアナは、慎重に言葉を選んだ。

「あなたは、軍人ではない?」

 

「そうなんです。正確には、ぼくは学生です。クランバトルはアルバイトで」

 

「では、なぜ『白い悪魔』と呼ばれているのですか。」

 

「それは——」

アムロは、少し考えた。

「クランバトルで、ちょっと勝ちすぎたので。」

 

「ちょっと、とは。」

 

「……負けたことがないくらい。」

 

ディアナは黙った。

 

「軍人でもなく。戦争にも参加していない。」

ゆっくりと確認するように言う。

「それでも、『白い悪魔』と呼ばれるほどに強い。」

 

「クランバトルの中で、という話ですが。」

 

「黒歴史のガンダムとは……別物、なのですか?」

 

「黒歴史?」

 

「ああ……わたしたちの記録に残る歴史は、かなりの部分が封印されています。思い出さない方がよいことがあまりにも続いたから。

だから、黒歴史と呼ぶのです。」

 

「ディアナのいた世界はどんなところなんです?」

 

ディアナ・ソレルは、ためらった。

それかぽつりと言った。

 

「……太陽系内の文明がいったん滅んだ世界です。」

 

アムロが。

マチュが。

息を飲む。

ドゥーも初めてきいた話らしい。

目を丸くして、ディアナを見つめた。

 

「原因はナノマシンの暴走だったと言われています。」

ディアナは悲しげに言った。

「幾多の戦乱を経ても、人類の文明圏は、木星近辺にまで達していました。しかし、ナノマシンはあらゆる人工物を飲み込み……生き残ったのは月面にいたわたしたちムーンレイスのみ……」

 

「コロニーは!?

サイド6は!!」

マチュが叫んだ。

 

「あらゆる人工物を破壊するその力は、コロニー群をも消し去りました。地球には―――そう、もともと人類が生きる環境が用意された地球には、ある程度の人間は生き残ったはずです。あらゆる科学文明を消滅させた状態で、ですが。」

 

「ムーンレイスは?」

 

「いくつかの都市が生き残りました。

その施設のほとんどが、地下にあったことや、その当時、ムーンレイスが地球や木星圏の文明と没交渉だったのが、幸いだったのかもしれません。

……とはいえ、月の資源は限られています。

わたしたちは、国民の大半をコールドスリープにおき、交代で目覚めることにより、その文化を繋いでいます―――いや、いたはずです。

わたしが、謎の転移現象に巻き込まれ、コールドスリープ状態のまま、意識を取り戻した時、時計の針は大きく巻き戻り、まさに『黒歴史』の始まりの時代にいました。

わたしは『目覚める』ことが出来ず。時おり、訪れるものたちのなかにはわたしの『声』を聞き取ることができるものもいたようですが。」

 

ディアナは首を振った。

 

「今日はこのくらいにしましょう。

また、会いに来てくれるかしら。アムロ・レイ。」

 

「もちろんです!」

アムロは力強く答えた。

アナハイムとの話し合い次第だが、しばらく月面には滞在することなる。

 

「ねえ、月の女王様。」

マチュかディアナを見上げながら言った。

「あなたはもといた世界に帰りたくないの?」

 

驚いたように、その瞳がマチュをとらえた。

 

「月の女王様は未来から来たんだよね?

ここの並行世界の。

なら……ゼクノヴァが起こせれば、帰れるかもしれないよ。」

 

 

---------------

 

 

 

アナハイム月面本社は、行政施設などが集まる中央区にある。

その一角で、『クランバトル参画プロジェクト』を統括する男は、なんどもガッツポーズを作っていた。

彼のオフィスだったスペースだが、機材の類はほとんど運び出されている。

 

スタッフたちも大半は、新らしいオフィスに移っていた。

 

「うれしそうじゃないか、N・ロック君。」

ちょうどはいってきた彼の上司が嫌な顔をする。

「スキャンダル塗れのアナハイムムーンから離れられるのがそんなにうれしいかね?」

 

「違いますって!」

 

彼の直属の上司は。支社長の派閥ではなかった。

支社長や保安部長が(物理的)に首を切られ、多くのものが、その所業を見てみるふりをしたいたものたちも、配置転換が進んでいる。

結果とした、彼は、ラインハルト専務兼任月面支社統括の次のポストということになる。

 

「そうか?

ずいぶんと楽しそうだったが?」

 

はなはだラッキーなのではあったが、彼はそれを表情に出そうとはしなかった。

 

「『シャイの逆襲』の先行上映会のチケットが取れたんですよ!」

 

「ほう?」

 

儲け話には目のないアナハイムもめずらしく、この注目の映画配信には、タッチしていない。

ほとんどの記憶に新しい現実にあった仮想戦記をプロデュースするのは、あまりにも社会的なリスクが大きいと、アナハイムでは判断したのだ。

 

だが、風向きが変わっている。

 

戦いそのものは、現実にはジオンが勝利しているのだが、その後の推移。

ティターンズの暴走と没落をほぼ正確に言い当てたことで、覆面作家『フロド』をある種の預言者として持ち上げる風潮も出ている。

 

 

 

上司はデスクの縁に軽く腰を下ろした。

 

「まあ、それはいい。それより、あの社名はどうなっているんだ?」

 

「社名、と申しますと?」

 

「とぼけるな。なんでアナハイムがクランバトル参入のために立ち上げた会社の名前が『株式会社捨て猫同盟』なんだ!」

 

N・ロックは咳払いをした。

この人物は、自分より頭が回る。しかも派閥的なしがらみもない。

機嫌を損ねるのは得策ではない。

 

「はい。それで正式に設立の登記が済みました」

 

「聞いたものがどう思うか考えろっ!

まるで、アナハイムがおまえのチームを放逐したように、受け止められるだろうが。」

 

「それは、まあ、仕方ありません。」

 

上司の眉が、わずかに動いた。

 

「分かってそうしたのか。」

 

「うちと、アナハイムとの関係がそんなものだと思われていた方が、商売がやりやすいのです。」

 

上司は肩を落とした。

 

「……そうか。そんなに、か。」

 

「専務の戦略計画チームがなんとかしてくれますよ。」

N・ロックは言った。

 

「旧体制に責任を押し付けて、『アナハイムは生まれ変わった!』とでもするんだろう。

さしずめ、俺はその際に見せしめに馘首されるために残されているようなものか……」

 

N・ロックは苦笑した。

 

「よくあるやり方ですが、たぶん専務はそうはしませんよ。」

 

「……理由は?」

 

「専務か欲しいのは、オムツからモビルスーツまで生産するアナハイムエレクトロニクスであって、ボロボロになったその形骸ではありません。」

 

「副社長派との抗争のことを言ってるのか?

わたしは別に派閥には、関与していない。

『中立』……というほどのカッコ良さはないが、少なくともラインハルトにもコウエル・J・ガバナンにも含むところはないぞ。」

 

「だからですよ。

もし、専務が中立的な立場の社員を冷遇したり、まして詰め腹をきらせようとしたら、現在中立している幹部は、一斉にコウエル・J・ガバナン副社長派に流れます。

それは、専務は面白くはないでしょう。」

 

「しかし……まあ、わたしはやるべきことを淡々と行うしかないな。」

 

「それがベストですよ!」

 

「配信コンテンツのテコ入れのほうはどうだ?」

上司は本題に戻った。

彼もまた媒体制作現場を長く担当している。

 

『株式会社捨て猫同盟』の配信コンテンツは、絶好調だったが、新規の視聴者はさすがに減っている。

ジュニアクランバトルの試合開始まえにもうひと伸びしてほしい―――出来れば賭け事のできる成人層に。

上司もN・ロックもそこらはよくわかっていた。

 

「テコ入れ策として、『白い悪魔』と『狂犬』、『病み猫神』を教官役で参加させようと思ってます。」

 

「また、とんでもない面子だな。可能なのか?」

 

「ネオ香港の“大佐”、サイド6のアンキー、それにムラサメ研究所には了解をもらってます。

実は今晩、アムロくんたちと打ち合わせの予定で―――」

 

「凄いじゃないか、N・ロック!

完璧な布陣だ。この短期間によく……」

そこまで言って、上司は、N・ロックがうかない表情なのに、敏感に気がついた。

「どうした……なにか問題でも……ムラサメ研だって!?」

 

「そうなんです。ついさきほどなんですが、ムラサメ博士からのメッセージが届いたんです。

『アンとエルピー・プルもそっちに寄越すから、よしなに!』と!」

 

「アン……そいつもムラサメ研究所の強化人間なのか? それにエルピー・プル?」

 

「エルピー・プルは、ムラサメとは違うところで強化をうけたパイロットです。

デモンストレーションのときに使ったので、腕は確かですが」

N・ロックは、声を落とした。

「おそらく、ジオンが秘密裏に強化した、クローンタイプの強化人間です。

逃げ出してきたところをムラサメ博士が保護したときいています。

……番組に出したら、どんなトラブルになるか。」

 

 

 

 

 

 




まだディアナ対ララァが残ってました。
仕切り直しです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

白き流星の羽搏き(作者:丸亀導師)(原作:ガンダム)

宇宙世紀0079人類の半数を死に至らしめた、一年戦争。▼その戦争の最中、英雄として撃墜王として名を知らしめた少年、アムロ・レイ。▼0087彼は再びモビルスーツを駆り、自らの護るべき者達の為に立ち上がる。▼


総合評価:4801/評価:8.84/連載:105話/更新日時:2026年07月01日(水) 05:00 小説情報

ダイクン家の二女はアホの子(作者:アキ山)(原作:ガンダム)

 側室に三人目の子供を仕込んだままくたばったジオン・ダイクンのやらかしによって大きく変わる宇宙世紀。▼ サイド7で暮らすマリー・マス、通称マチュはアルマリア・リム・ダイクンという自身の本名も綺麗に忘れた、趣味はなんちゃってジークンドーとロボゲーに格ゲーというアホの子である。▼ そんな日々の奇行の数々で姉を泣かせている小学生が、地獄の一年戦争を如何にして生き残…


総合評価:13633/評価:8.72/連載:66話/更新日時:2026年07月02日(木) 12:39 小説情報

偽書・ガンダム機動戦記(作者:雑草弁士)(原作:ガンダム)

宇宙世紀0079、サイド7ノアの1バンチコロニーグリーンノア在住のアルバイター、エグザベ・オリベは難民である。故郷であるサイド5ルウムを地球連邦とジオンの戦争で破壊しつくされた彼は、どうにかサイド7に流れ着き、ジャンク屋で働きつつ生活を立て直そうとしていた。しかし0079の9月18日、ジオン軍の英雄シャア・アズナブル少佐率いる特殊部隊がサイド7を急襲。エグザ…


総合評価:1845/評価:8.67/連載:54話/更新日時:2026年03月11日(水) 05:39 小説情報

にわか知識で宇宙世紀に転生したチートオリ主の末路(作者:世界一位)(原作:ガンダム)

初投稿です。▼お手柔らかにお願いします。▼今作は宇宙世紀に転生してしまったチートオリ主のサクセスストーリー(笑)です。▼なお、主人公には宇宙世紀シリーズの知識は「アムロたちがいる連邦って組織が正義側でジオンを倒すんでしょ?」「ニュータイプって聞いたことある!」「やってみせろよマフティー!」程度の知識しかありません()▼また宇宙世紀シリーズの設定に対する独自解…


総合評価:14654/評価:8.57/連載:14話/更新日時:2026年02月21日(土) 10:12 小説情報

旧型サラミスで生きる1年戦争(作者:カズkaz)(原作:機動戦士ガンダム)

ありきたりな転生ものです。機動戦士ガンダムをそこそこに知っている主人公が旧型のサラミスに乗り込み、なんとか1年戦争を生き抜こうと奮闘する物語。▼思い付きで投稿していますので続かないかもしれません。▼箸休めにご覧ください


総合評価:3143/評価:8.29/短編:21話/更新日時:2026年06月20日(土) 20:55 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>