第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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グラナダで、なにがはじまったのか。
宇宙空間で。
月面で。
ニュータイプの力。強化人間の意地。
そして新たな刺客がその姿を見せる。






GQuuuuuuX season2 第13話 キラキラの果て~模擬戦

グラナダ上空。

 

地球の6分の1とはいえ、その重力圏を脱するのはモビルスーツの推力では不足だ。

 

2機のシャトルから、それぞれのスパルタニアンが発進する。

 

 

 

クランバトルスタート。

 

本当の試合では、専門のアナウンサーが場を盛り上げるのだろうが、今回はただの無機質な機械音声だった。

 

そう、これは単なる訓練であり、新しい教官たちの顔見せを兼ねた模擬試合。

N・ロックのリアリティショーのためにカメラは回っているはずだが、生配信ではないし、賭けも行っていない。

 

ドゥー・ムラサメは、スパルタニアンを前進させる。

リミッター解除の状態で操縦するのは、初めてだった。前回のデモンストレーションでは、各種に安全のためのロックが掛けられていた。

 

僚機が、続けて発進する。

 

合計三機。

 

アナハイムの強化人間“ガールズ”と、フラナガンスクールの卒業予定者とのことだが、さすがに、ここでもたつくようなものはいなかった。

 

三機一編隊。

 

従来のM.A.V.戦術ではない。

相手がエース、またはニュータイプであることを想定した新しい戦術だ。

連邦軍の元パイロットが、提唱したらしいが、急速に浸透しつつある。

 

相手は一機。

 

たが並の一機ではない。

 

ジュニアクランバトルのための訓練所にあらたに教官として投入された『白い悪魔』だ。

 

 

「えー、まず『こんなモビルスーツ戦やってられるか』と言ってください。わたしが『どうしたの?』と聞きますので、さらに続けてください。」

 

「こんなモビルスーツ戦やってられるかっ!」

 

「どうしたの?」

 

「配信の占いで今日のラッキーカラーは“白”だって。」

 

このノリは、アナハイムのガールズで流行ってたはずだが、しっかりとフラナガンスクールチームも汚染されてるらしい。

 

「ドゥーっ! ドゥーもお願い!!」

 

「……えー、こんなモビルスーツ戦やってられないよ。」

 

「どうしたの?」

 

「三分もっただけなのに、周りがメチャ褒めしてくれる。」

 

ゼロ・ムラサメが自ら手がけた強化人間が、ドゥーたちだ。

それに誇りをもっている。

とはいえ。

 

以前も破れているアムロが相手だ。

 

 

「では、模擬戦を開始します。」

 

アムロの操縦するスパルタニアンは、別にカスタムなどされていない。

塗装も別段、彼のトレードマークとなった白を基調にきたトリコロールカラーに塗られているわけでもない。

 

だが、アムロ・レイが。白い悪魔が操縦しているだけで、それはもう普通の機体には見えなかった。

 

スパルタニアンは可変機だが、彼はモビルスーツ形態のまま、ゆっくりと加速する。

 

まるで散歩でも始めるような印象だった。

もう模擬戦は始まっているのに。

 

「好きなタイミングでしかけてください。」

 

ドゥーは眉をひそめた。

戦う気は毛頭ないらしい。

舐めている、というのとも違う。

本気で『指導』するつもりなのだ。

 

「散開! ボクが『デコイ』になる。」

 

三機が同時に左右へ広がる。

 

正面はドゥー。

 

左右から二機。

 

三方向から射線を作る。

 

ドゥーが『デコイ』と言ったのは文字通り、囮の意味だった。

一騎当千のスーパーエースやサイコミュ搭載機に乗ったニュータイプ。

ひとりが囮になって攻撃をうけ、その間にもう1人が攻撃。

敵の回避行動に制限をかけ、三人目が仕留める。

 

運がよく、この世界は、ジオン独立戦争依頼、戦争からは遠ざかっていた。だが「実質的に戦争」だったデラーズ紛争やペズン動乱を経て、その戦法の有効性は確認されつつある。

 

ドゥーは、スパルタニアンを飛行形態に変形されると、最大加速でアムロに突っ込んだ。

 

『デコイ』になるのは、小隊で一番腕のたつやつだ。

そう決まっている。

 

名前は「囮」……疑似餌だがあっという間に落とされては意味がない。

 

“ボクも強くなっている! あのときのようには!”

 

体当たりに近いドゥーの突進を、アムロはひらりとかわした。

ドゥーはそのまま、アムロの機体と駆け違い、次の瞬間、機体を人型に変形する。

 

ビタリ。

アムロのマシンガンの照準をドゥーが覗き込む。

 

瞬間。

ドゥーは最大加速で、自機を『振った』

 

ドゥーがたったいままでいた位置を、火線が走り抜けていく。

 

「いいぞっ!ドゥー。

背中にも目をつけたな!」

 

うわっあっあっあぁっ!!!

 

ドゥーは叫んだ。

アムロが。

アムロが。

白い悪魔が褒めてくれた。

 

嬉しさが涙になって、込み上げてくるのを叫ぶことで抑えたのだ。

泣いてる場合ではない。

いまは試合中だ。

 

ドゥーが放った銃弾を、アムロのスパルタニアンが盾で防ぐ。

ダメージはない。

だが、それでもアムロに弾を当てたことに、ドゥーは痺れるような感覚を感じた。

 

「デルタワン、ツー!

白い悪魔を挟撃しろ!」

 

 

 

「お題です。援護してくれはずの味方から応答がない。なぜ?」

 

「はい! もう落とされてました……」

 

いつ撃ったのだ?

 

『デルタワン、メインセンサー大破。

デルタツー、両腕欠損! いずれも撃墜判定です。』

 

通信が飛ぶ。

 

「アムロっ!」

 

「なんだい?」

 

「まだ、ボクは終わってないからね!」

 

 

 

-------------

 

 

 

「開始の合図から、一分たってない。

それで2機撃墜。」

 

グラナダ郊外のクレーターで、マチュがぼやいた。

彼女が乗り込むのは、スパルタニアンである。

軽くシミュレーターをためしただけの機体だが、変なくせはなさそうだった。じゃあ可変機構はなんはのだと言われると困るのだが。

 

「そりゃ、アムロだから。」

ニャアンの声は落ち着いている。実生活だとなにかと頼りない部分のあるニャアンだが、コクピットにおさまると人が変わることがある。

ましていまニャアンが腰を落ち着けているのは、彼女の愛機。ネオ香港からもってきたリックゾックである。

厳密には、ニャアンの持ち物ではない。カネバン有限公司からの借り物ではあるが、どうもサイコミュを搭載しているとしか思えない異常な動作をすることがある。

 

 

「マチュ、ニャアン。こっちも模擬戦をはじめたいんだが、いいか?」

 

N・ロックからの通信がはいる。

 

「いつでも」

「……かかって来なさい。」

 

 

 

クレーターの反対側から、2機のスパルタニアンが現れた。

人型のまま、ホバー移動で接近する。

 

なるほど。

 

マチュは頷いた。

重力の低い月面とはいえ、あれが出来るというのは腕がいい。

 

『クランバトル、クランバトルスタートします』

 

 

「マチュ、ニャアン。

アムロくんたちとは違って、こちらは近接武器のみ使用の特殊なクランバトルになる。

ヒート剣、それからゾックのクローも当たり判定が取れる。

きみたちは、講師役としてリアリティショーに参加予定なんだ。すこしかっこいい所をみせてやってくれ。」

 

「N・ロックは勝手なことを言う。」

ニャアンが言った。

「ゾックに格闘戦なんて、そもそも非常識なのに。」

 

「そうは言っても、クローや本体に内蔵してるのが、メガ粒子砲なんだから、それ以外に戦わせられなしゃないか。」

N・ロックは言い返した。

 

たしかに、リック・ゾックは、そのクローアームを射出して、ワイヤーによるオールレンジ攻撃を行う機体である。

 

だが、それはあくまでも宇宙空間での話だ。

 

重力下では、射出したクローアームは、そのまま地面に落ちて、それで終わりである。

かといって、衛星軌道上まで出て、内蔵のメガ粒子砲のオールレンジ攻撃など、危なすぎてクランバトルの範疇を超えてしまっている。

 

 

従って、月面での。近接攻撃に特化した特別試合となったのだが、はたしてどの程度、戦える物なのだろうか。

 

 

2機のスパルタニアンは、弧を描くようにしてホバー移動のまま、マチュとニャアンに接近する。

 

 

マチュも。ニャアンも。

 

覚悟を決めた。

 

だが、その時。

 

 

「未確認、モビルスーツ隊が接近します!」

 

「なに?」

 

たしかに、マチュたちと。対戦相手のアナハイム強化人間部隊“ガールズ”とフラナガンの内定者。

 

彼らを取り囲むように、敵影が現れた。

 

機数は、8!!

 

「機種は『マラサイ』と判明!

こちらからの呼び掛けに応答ありません!」

 

 

 

 

 




ドゥーは、一回、この二次創作の最初のほうでアムロに負けてます。
それ以来、アムロのことが大好きなのですね。
(という設定)
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