第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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餓狼…ガトーと引っ掛けたわけではないですけど、デラーズ・フリートの話です。
ガトーさんたちは、ゼフィランサスにサイサリス。メンテナンス要員に似なさんまで連れて、暗礁地域の彼らの本拠に帰還。
またほとんど会話劇です。

舞台としては、
ネオホンコンのアムロたち。
デラーズ・フリート。
アルビオン。
ジオン本国。
それに、カミーユやテムさん。
たぶん北米にシャトルで降りたはずのクリスやドゥー。
けっこう同時進行ですね。時系列をめちゃくちゃにしないように気をつけないと。


第16話 宇宙の孤蝶〜餓狼

「ご苦労だったな。」

 

禿頭に髭。厳しい顔でエギーユ・デラーズはそう言って、ガトーを迎えた。

 

ギレン、キシリアの死はダイクン派の謀殺である。

 

そうはっきりとは主張せず、新政権に叛意を翻すわけでもなく、しかしその命令には従おうとしない。

 

デラーズ・フリートの任務は、消失したア・バオア・クーに代わる宇宙における打撃戦力の維持ならびに、治安の維持である。

そう主張しつづけて、暗礁空域を要塞化して、そこに居座り続けている。

 

あくまで軍務であるため、予算までついている。

 

サイサリス強奪は作戦としては難しいものではない。

と、提案したシーマ・ガラハウは主張していた。

トリントンはジオンの基地だったし、ガトーのモビルスーツの受領のための訪問は、公正なものだった。

 

ただし、予定されていたゼフィランサスではなく、サイサリスを持ち帰る。

 

たしかに途中までは、すべては予定通りに進行した。

だが。

 

サイサリスはその存在意義そのものとも言うべき、バズーカと盾を地球に置き去りにせざるを得なかった。

トリントンの追撃はそれほどに激しかったのだ。

 

シーマ・ガラハウは、舌打ちをしてみせた。

 

「ゲルググMが3機損傷だ。

サイサリスを積んで行って帰ってくるだけの仕事だったはずだったんだがね。」

 

「修理はこちらでやっおく。機体をまわしてくれ。」

 

「試作4号機がもうすぐロールアウトするんだろ。もらうよ?」

シーマはじろりとデラーズを睨んだ。

「迷惑料だ。」

 

デラーズは頷いた。

 

階級はシーマ・ガラハウのほうがずっと下ではあるが、彼女の指揮下の艦隊は彼女のいう事しかきかない。

その戦力は希少な機動巡洋艦ザンジバル級リリー・マルレーンをはじめムサイ級巡洋艦6隻。補給艦1隻。モビルスーツはゲルググを海兵隊仕様に改装したものを中心に30機。

 

戦力を集めたいデラーズとしては、気を使わずにはいられない相手なのであるが、その気の使いようをガトーはあまり好ましくは思っていなかった。

 

そもそもサイサリスの略奪もその実行計画も言い出したのは、シーマであった。

彼女の海兵隊が独立戦争の汚点、中立コロニーへの毒ガス注入に関わっていたという点で、ジオン国内でも彼女たちは忌避されていた。

 

“海兵隊には、あれは単なる無力化ガスだと聞かされていた”

 

そんな噂もあったが、いまの海兵隊の無頼ぶりを見ていると案外、承知の上で行ったのかもしれない。

 

ガトーは、武人だ。

闘う力を持たぬものには仁の心をもって接するが、闘う力をもつものには、それなりに高い倫理観を要求する。

シーマという女は、そしてシーマの仲介で手を組むことになったティターンズにはそれが感じられないのだ。

 

「肝心のサイサリスのバズーカと弾頭は、持ってくることが出来ませんでした。」

 

シーマは立ち去ったあと、ガトーはデラーズに頭を下げた。

 

「報告は受けている。」

デラーズは、かつてガトーが仕えたドズルほどの器量はない。

そうガトーは思っていた。

独裁者の一家にありながら、ドズルは部下を可愛がり、ソロモン陥落の際には自ら出撃し兵員の脱出の時間を稼いだのだ。

デラーズは、もう少し。

いや有能ではあるし、求心力もあるのだろう。だが、そう、ギレンに似た人を人とも思わぬ残虐さを感じるのだ。

 

だが、反面デラーズの方はガトーを好んでいる。

単に優秀なパイロットとしてではなく、自分にない人間としての部分を埋める副官として、同志として彼を好んでいるのだ。

少なくともその部分は、エギーユ・デラーズという人物の懐の深さを感じる。

 

「“ソロモンの悪夢”を足止めし、盾とバズーカを失わせるとは。

トリントンはなかなかのパイロットをそろえていると見える。」

 

アナベル・ガトーを止めしたのは、演習用のペイント弾しかもたないドムだった。

そのパイロット。クワトロと名のる青年に彼は心当たりがあった。

だが、ガトーがそれを口にするまえに。

 

「最初に追撃に出たホバー走行タイプのドムは模擬戦用の仕様のままでした。」

ニナ・パープルトンが口を挟んだ。

「実際にシーマ少佐のゲルググに損害を与えたのは、ジオン本国から預かっていたニュータイプの少女たちです。使用した機体はゼフィランサスでした。」

 

エギーユ・デラーズはゆっくりと笑って見せた。

初顔合わせとなるこの女性技術者への愛想のつもりだったが、かえって怖い。

「ニナ・パープルトン…デラーズ・フリートにようこそ。」

 

「あ、いえ、デラーズ閣下。」

その迫力に押されたようにニナはドギマギと顔をそむけるようにして頭を下げた。

 

「ゼフィランサスの修理と改装のためにお越しいただいたことを感謝する。

ここの居住性は決してよくはないが、出来ることはなんでもしよう。」

 

「い、いえ。」

ニナは下をむいたまま答えた。

「ゼフィランサスの修理と宇宙戦仕様への改装です。それほど時間はかからないと思います。もしよければさっそく技術チームと打ち合わせを……」

 

「いや、きみにはもうひとつ大切な任務を頼みたい。」

 

ニナは顔を上げた。

 

「“デンドロビウム”を形にしてもらいたいのだ。」

 

「そ、その情報をどこから!!」

 

「今回の試作ガンダム建造はアナハイムが中心となっているが、もともとの依頼は我々ジオンだ。当然試作プランも目にしている。

今回は、地球連邦の過激派…あのティターンズとか名のる無法者たちが、ゼフィランサスに手を伸ばしてきたため、ガトーと組んでこんな芝居をうってもらったわけなのだが。」

 

そう。たしかにニナはそう聞かされていた。

 

アースノイド至上主義の過激派ティターンズが、半ば強引に試作モビルスーツを接収しようとしている。

たがら、無理やりそうされる前に、試作機を受領してしまいたい。

もともとジオンに既得権があるのは、ゼフィランサスだが、試作2号機サイサリスも危険だ。ティターンズはその核バズーカをコロニーや月面都市にむける可能性がある。

 

制宙権を失った連邦でもそのような使い方をすれば単機で想像を絶する被害を与えることが可能だ。

 

だからニナは、デラーズ・フリートに協力したのだ。

 

「アナハイムは信用出来ん。」

デラーズは続けた。

「もともとジオンの依頼で開発をはじめたゼフィランサスを平気でティターンズへ横流しをしようとするヤツらだ。もし、デンドロビウムが、ティターンズの手に渡ったら。

単機で小規模艦隊なら制圧される。また戦乱の時代が幕をあけることになる。その前に。」

 

「わ、わたしはそのアナハイム・エレクトロニクスの社員です。わたしの一存では……」

 

「もちろん、アナハイムの許可はとっている。まったくの新機軸……モビルスーツを中心にモビルアーマーに勝る攻撃力と機動性を持たせようという試み、だ。

あくまで『試作』ということではあるがジオンに一任するという内容で許諾を得ている。

このまま試作ガンダムをティターンズなどに好きにされてよいかね?」

 

「いやです! わたしのガンダムを……!!」

 

いや、おまえのガンダムじゃないんだけどな。

ガトーは心の中でつぶやいた。

 

 

当時、月面都市にいたガトーとニナがなんとなく疎遠になったのは、もちろんニナがトリントンへ異動になったせいもあるが、彼女のそんなところも大いに関係していたのである。

 

 

 




デラーズさんは基本、思想の人なので、逆境ほど輝くみたいですよ。
この世界線ではジオンが勝ってるので、まあ、若干ウザく思われながらも、ギレンのもとで艦隊を任されながら、順調に勤務していたところに。





ぐっ


あれ?
イオマグヌッソがなくて、シュウジが向こう側のララァを殺さないとどうなるんでしたっけ。
シャロンの薔薇のララアが覚めない悪夢に苦しみながらも世界はそれなりにすすんで行く?
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