第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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第13話終了。
また会話ばっかりで、5000文字弱です。








GQuuuuuuX season2 第13話 キラキラの果て~夜の終わり

メッセージも送らずにいきなり、通話を要求するのは、礼儀に反する。

ある程度の上流階級なら、少なくともニューヤークでは常識だ。

 

だが、マクレーンは自分を上流階級だと考えたことは無く、相手は彼の所属する署の署長だった。

 

「マクレーンっ! 今どこにいる!!」

 

「休暇中ですがね。」

 

「休暇は中止だ! アナハイムエレクトロニクスのラインハルト専務、それにネオ香港のクワトロ・バジーナを探し出して、大至急コンタクトを取れ。」

 

「ほう? 理由は?」

マクレーンは、部屋のみなにチラリと目くばせをしながらそう言った。

 

「命を―――狙われる危険がある。

どうもフリードルフ家の内紛は、義理の弟であるラインハルト氏までも標的にしているようなのだ。」

 

「撃墜された軽キャノン改のパイロットから、なにか証言でも得られましたかね?」

 

「法廷で話せるような証言ではない。

だが、撃墜された軽キャノン改の武装や、連中の断片的な話から推測可能なこともある。」

 

「わかりました。マクレーン警部補、これより任務に復帰いたします。」

 

マクレーンはわざとらしく、大きな動作で通話を切った。

 

「……さて、周回遅れながら、我がニューヤーク市警も動き始めたようだ。

今後、我々はどうする?

どう動く?」

 

「まずはニューヤークそのものの安全確保です。」

ヤンが難しい顔で言った。

「少なくともハイネ家(仮称)は、フリードルフ夫妻の生命を狙うのに、市の街区ごと巻き添えにするのに躊躇ない連中です。

クワトロ氏の活躍でなんとか難を逃れましたが、3度目もうまくいくとは限らない。」

 

「ふむ……」

ウォン・リーが細い顎に手を当てながら言った。

「アナハイムの研究施設か工場から、モビルスーツ部隊を派遣するか。」

 

「いや……ここは正式なルートから、連邦軍のモビルスーツの応援を依頼した方がいいな。」

 

「ラインハルト!

それでは時間がかかるっ。

やつらが、複数の傭兵部隊を雇入れていることは間違いない。

アナハイムなら20機程度のモビルスーツなら今日中には呼び寄せられるぞ?」

 

「一個艦隊で運用するようなモビルスーツを数時間で用意出来る民間企業っていったい……」

ユリアンが思わず、正直な感想を漏らして、慌てて、自分の口をふさいだ。

 

「アナハイムは、ニューヤーク、またはフリードルフ卿に肩入れしすぎてもまずいのです、ウォン支配人。」

ラインハルトが言った。ユリアンを見る目は優しい。

「そもそもニューヤークが拒否するでしょう。

アナハイムのモビルスーツ部隊を駐留させれば、それはニューヤークがアナハイムの管理下にはいることを意味する。」

 

「駐留はあくまで一時的なものだ!

アナハイムにそんな意図はない。」

 

「周りからどう見えるか……という事です。これについてはユリアン君の感想が正しい。」

 

「ウォン叔父。わたしもラインハルト専務に賛成です。

いまニューヤークが必要なのは抑止力です。

テロリストにモビルスーツ攻撃を『諦めさせる』抑止力。

そのためには、動く組織が大袈裟で、公式なものであるほうがいい。」

 

「意見が会うな、ヤン・リー」

ラインハルトが微笑んだ。

「ならば、いっそ、連邦軍よりもキャリフォルニアベースのジオン駐留軍からモビルスーツを派遣してもらうか。

ジオン正規軍が駐留する都市に攻撃など、どこの傭兵部隊も拒否するだろう。」

 

「そ、それはいくらなんでも……いや、不可能ではないかもしれませんが。

時間がかかり過ぎます。」

 

「普通ならそうだな。

だが、わたしには友人がいてね。

ガルマ・エッシェンバッハというのだが。」

 

「元ザビ家のエッシェンバッハ議員か?彼は、いまはジオン公国から一切の関係を絶っているはずだ。もちろん、ジオン駐留軍への指揮権など有り得ない……」

 

「ガルマが直接頼んで、それをジオン駐留軍が断ると思いますか?」

 

ウォンは少し考えてから、いいや、と言った。

 

 

 

---------------

 

 

 

「手を上げろ。」

エド・パウエル巡査は、エイトアベニュー通りをよろよろと歩く人影にそう怒鳴ったが、すぐにそれは不要だとわかった。

 

二人組みの男たちは、どちらも、パウエルにもひと目でわかる高級なスーツを身につけている。

ただし、なにかの事故にあったようだ。汚れ、あちこちが裂けている。

そして、ひとりは明らかに負傷していた。

 

「酷い目にあった。」

金髪のほうが顔をしかめて、そう言った。

「ニューヤーク市警かね?

パーク内のモビルスーツ戦の衝撃の余波で、連れがケガをした。

市街地でクランバトルだと!?

無茶にもほどがある。」

 

パウエルはそれについては反論しなかった。

彼の言うことがもっともだと思ったからだ。

 

「被害については、個人端末から、専用サイトへ申請してくれ。」

パウエルはそれでも銃をもったまま、もう片方の手で自分のIDを表示させた端末を提示した。

 

「ニューヤーク市警巡査部長のエド・パウエルだ。

念のため、きみたちのIDの提示を求める。」

 

負傷した方の青年が、なんとか自分の端末を取り出した。IDを開いて見せる。

 

「フリードルフ公益財団マンハッタン支部のゴーダマ・シッダ・ルータだ。

こっちはわたしの知人で、実業家の」

 

「エドワウ・マスだ。」

金髪のほうがそう言った。

「サイド6でモビルスーツの部品開発をしている。」

 

「ニューヤークへは? 観光か。」

 

「ビジネスだよ。」

金髪の美青年は忌々しそうに言った。

「これから、アナハイムの偉いさんと商談のため、移動中だったんだが。

こんなことに巻き込まれて。」

 

「では行き先は?」

 

「待ち合わせはホテルだが、寄り道をせざるを得ないな。」

 

エドワウの肩にかろうじてすがって立っているルータは、そうしているだけで辛そうだった。

 

「ニューヤーク医科大学附属病院経由、ということになるだろうな。」

 

 

 

無人タクシーに乗り込むと、ルータはやや落ち着いたようだった。

苦痛にゆがんでいた顔が正常に戻り、大きく息をついた。

 

「礼を言うべきなのだろうが」

 

「それはもう少し、状況を見てからの方がいいだろう。」

エドワウ・マスは、胸のポケットからサングラスをだして、かけた。

 

「……そうだな。わたしをどうするつもりだ?」

 

「先日の軽キャノン改のパイロットや、フリードルフ邸を襲った殺し屋どもは警察に引き渡したが、ニューヤーク市警はどうにも動きが鈍いのでね。」

静かな声で、彼は言った。

「多少、話が通じる人物に直接、聞こうかと考えたのだよ。」

 

「拷問でもするか?」

 

「必要があれば、な。

だが、その必要ないだろう。」

 

「甘いな、赤い彗星。」

怪我をした(あるいはそのふりをしていた)男は、薄く笑った。

「黄金の第八小隊のバルゴを安く見積もってもらっては困る。」

 

「職業倫理、か。テロリストの?」

 

「我々は傭兵であり、戦う場所は戦場だ。」

 

「ここは、国家に匹敵する大都会で」

 

「フリードルフ家の権威と財産は、中世におけるひとつの国家に匹敵する。」

 

「しかし、一民間人であり、その奥方は、フリードルフ家の外から嫁いだ人間だ。

それをモビルスーツで攻撃する。

当然、巻き添えになるものも出る。」

 

「……フリードルフ卿が滞在しているのは、セントラルパークタワーズθ棟だ。」

バルゴの顔に苦いものが浮かぶ。

彼もまた今回の任務に必ずしも納得していない物があったのだろう。

「もともと、別荘として、VIP相手に無登記所有という形で分譲されたコンドミニアムだ。居住者はほとんどいない。」

 

「ハイネ家はそこまでつかんでいたのか?

エッシェンバッハ市長やラインハルトも、フリードルフ卿の隠れ家の場所までは知らなかったようだが。」

 

「……もともとフリードルフ家の護衛の任を負っていたのがハイネ家だ。いくらフリードルフ卿が個人的に動こうとしても、資金の流れや卿自身のスケジュールなどは、筒抜けだ。」

 

「襲撃にモビルスーツを使ったのは?」

 

「どの部屋かまでは特定出来なかったからだ。

ビルごと破壊してしまうのが確実と、リッテンは考えたようだな……」

 

「ハイネ家は、ほかに傭兵部隊は、雇入れているのか?」

 

「……赤い彗星……」

バルゴはため息をついた。

「きみのパイロットとしての能力には敬服する。止めをささず、警察にも引き渡さなかったことには感謝もしよう。だが、いくらなんでもそこまでペラペラと語ることはない。」

 

「勘違いするな、バルゴ。」

サングラスで目元を被ったこの男の表情は読みにくい。

「わたしはクランのオーナーだ。クランのランカーには傭兵上がりのものもいる。言わば、わたしたちは親戚のようなものだ。

その傭兵団が無惨に使い潰されるのは、どえしても同情してしまうのでね。」

 

「……どういう意味だ?」

 

「雇い主に対する忠義も、任務に対する責任感も状況が根本から覆れば、必ずしもこだわる必要はない、ということだ。」

 

濃い色のサングラスが、外のネオンを反射すして極彩色の光を放つ。それはまるで、さきほどバルゴも感じたニュータイプの感応現象に似ていた。

 

「ニューヤークをモビルスーツの攻撃から守るために、市は本腰をいれてモビルスーツ部隊を手配するだろう。」

 

「……ニューヤーク市またはフリードルフ卿が傭兵部隊を雇う、ということか?」

 

「なにを言っている。

フリードルフ卿は、北米の政財界の超重要人物だ。その彼を護るためなら、正規軍を動員するだろう―――」

 

「それはどうかな、赤い彗星。」

バルゴは低く笑った。

「地球連邦軍は、装備、人員ともに、数が不足している。即応力のある教導部隊として設立したティターンズも暴走の挙句に消滅した。

すぐに、必要な部隊を派遣できる力があるとは―――」

 

 

「バルゴ。

ひとつ言っておくが、わたしは元連邦軍大尉で、クランオーナーのクワトロ・バジーナだ。それ以上でもそれ以下でもない。」

 

さっきまでの戦闘中に何回となく聞いたセリフだった。

 

「―――別に正規軍は、連邦ばかりではないさ。」

他人事、のように呟く。

「ジオンの駐留軍もいる。彼らなら、ザクとゲルググを含めて、二、三十機は、明日の朝までに、ニューヤークに寄越すだろう。」

 

「どうやって、ジオン軍を動かすつもりだ―――」

言いかけて、バルゴは口をつぐんだ。

目の前の男は。なぜかクワトロ・バジーナとという名乗りに固執する男は、ジオンの英雄。赤い彗星のシャアなのだ。

たしかに、彼ならなんらかのルートを使って、ジオン軍に働きかけることが出来るのかもしれない。

 

「それは、わたしの友人でもある市会議員のガルマ・エッシェンバッハ氏に動いてもらおう。

公式には、ジオン公国やジオン軍への権限はないが、彼の頼みなら、北米駐留のジオン軍も嫌とは絶対に言うまい。」

 

言うことがいちいち矛盾している。

 

バルゴは頭を抱えた。

 

 

 

 

病院のエントランスに無人タクシーが滑り込む。

車寄せで待っていた赤毛の青年は、片手をギプスで固定され、首から吊っていたが顔色は悪くなかった。

 

「わざわざ迎えに来ていただいてありがとうございます。」

無駄口を叩かず、キルヒアイスは、タクシーに乗り込んだ。

「ニュースは見ました。

水陸両用モビルスーツの襲撃を撃退されたそうですね。」

 

「あれはクランバトルだよ、キルヒアイス。」

クワトロは微笑んだ。

「腕の治療はどうかな?」

 

「無事に終わりました。今後のリハビリについても紹介状をもらってます。

……そちらの方は?」

 

「ああ、紹介する。今回のクランバトルで対戦した『黄金の第八小隊』チームのリーダーのバルゴ君だ。」

 

……ラインハルトの果断さには、いつも驚かされるキルヒアイスだったが。

それを上回る人物がいるとは、想定外だった。

 

“無茶苦茶じゃないか、このひとは”

 

タクシーは三人を乗せ、ラインハルトたちが待つホテルへと急ぐ。

 

 

 

 

 




さて、月面のアムロくんたちはどうしてっかなー
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