第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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また長くなってすいません。
アムロのネオホンコンでの第一試合。相手とM.A.Vが決まりました。
「次の予想」をひたすら外し続けてくれた機動戦士Gundam GQuuuuuuX。はたしてこの二次創作は、皆様の予想を外せたでありましょうか。





第16話 宇宙の孤蝶~ハクジ

もともと、アムロは取材攻勢から逃れる意味もあって、その戦場を地球に移したつもりであったのだが、彼の目論見は、あっさりと崩れつつあった。

 

彼がビームサーベルを一閃。軽キャノン改を空中でぶった斬るシーンは生の画像がドローンで配信されていたこともあり、すでに街のあちこちで、3Dサイレージとなって公開されていた。

3Dサイレージ広告はあらかたその画にかわっていて、残りは、アムロが同じく、黒塗りのザクを踏んずけて、地上に降り立つシーンになっていた。

 

あれは戦闘シーンですらなく、事故だと言うのに!!

 

全部がクワトロが、自分のクラバの宣伝のためにうったものではない。

なかには、アムロが踏んづけた黒ザクが、ふかふかの素材にCG加工されており、「ウェストサイドリバーの布団は成層圏からおりてきたあなたをやさしく包み込ます。」とキャッチコピーがついていた。

マットレスの広告に使われている!!

 

アムロは文句を言おうかと思ったが、クワトロはけっこうなギャランティを提示して彼を黙らせた。

 

アムロ自身は、専門課程のある学校に進むため、奨学金をあてにしていたのだが、要はそれは借金である。

返済不要とかせめて無利息ならありがたいのだがそれは成績優秀な学生に限られていた。

この場合の「成績」はあくまで学業であり、クランバトルの勝敗は関係ない。

もし、自分の資金だけで生活し、学校に通えればそれに越したことはないのだ。

 

アムロ本人の生画像は手に入らなかったらしく、違うメーカーの3Dサイレージで、コクピットから歯磨きチューブをもって飛び出ししてくるアムロはCGだった。

ホンモノのアムロにまあ似ていなくはなかったが、3倍ほど精悍で、見ているだけでアムロ本人は落ち込んだ。

 

結果、外出するのも怖くなり、「軟禁」をとかれたはずのアムロは軟禁とほぼ変わらない生活をしている。

 

マッチメイク。

これが意外に難航していた。

 

アムロのM.A.V.が決まらないせいである。

 

クワトロは、マチュに依頼するつもりだったようだが、これはシャリア・ブルから丁重に断られた。

ジークアクスは軍の備品であり。やたらなことには貸し出せない。というのがその理由であった。

 

----------

 

その日、アムロの部屋を訪れたのは、デニムだった。

人相は悪いが仕事はよくできる人物で、ネオホンコンに慣れていないアムロは彼をけっこう頼りにしている。

 

「またせちまって、悪かった。」

開口一番に彼はそう言った。

「対戦相手は、これまた候補者が多くて、こっちはこっちでかなり難航したんだ。

結局、当初の予定通りになった。」

 

「当初の予定?」

 

「元“黒い三連星”のマッシュだよ。」

アムロが無反応なのを見て、デニムは続けた。

「あんたが、踏み潰したあの黒いザクのバイロットだ。」

 

ああ、あの。

 

「そうですか。それはすみませんでした。怪我のほうは……」

 

「それは大したことはない。慰謝料もろもろの代わりにあんたとの再戦と新しいモビルスーツを提供する事で話がついたんだ。

で、あんたのM.A.Vの方なんだが。」

 

「はい。」

アムロは身を乗り出した。

 

「ニャアンがやってくれることに決まった。」

 

マチュといつも一緒にいる黒髪の方だ。

なんとなく内気で初対面のときは、おどおどしていたがその後何度か、会っているうちに笑顔も見せるようになった。

 

「彼女もニュータイプ……なんですよね。」

 

「シャリア閣下に伺ったところ、モビルスーツでの戦闘経験もあるそうだ。

これは“大佐”にも確認している。

トリントンの試作機2号機強奪事件では、試作1号機を駆ってゲルググ一機に損傷を与えている。」

 

それはなかなかのものである。

 

「でもモビルスーツはどうします?

ソドンはジークアクスをクラバに出すのは渋ってるんでしょう?」

 

以前に、マチュを乗せたジークアクスは、何度かイズマコロニー周辺のクランバトルに参加したことはあるらしい。

だが、それはジークアクスの稼働テストのようなものでそれが終わったからには、クラバに最新鋭機を参加などさせたくはない、というのがシャリア・ブル中佐の言い分だ。

それが当然だろうと思う反面、ではなんでジークアクスを積んできたのか、という疑問は残る。

 

「あんたのクラン……カネバン有限公司がモビルスーツを貸し出してくれることで話がついた。」

 

ケチなアンキーさんがよく、とアムロは思ったが口には出さなかった。

 

「マッシュさんには新型を払い下げている。M.A.V.もジオンの元パイロットらしいから油断をするなよ?」

 

「新型ですか?

ゲルググ……」

 

「ではないな。ドムだ。

地上をホバー走行できるように改良した実験機だよ。

もうホバー走行の実験データは十分ってことで“大佐”のコネでトリントン基地から安く払い下げてもらったらしい。」

 

“大佐”はクワトロ大尉のあだ名のようなもので、そう呼ばれるたびに、本人は微妙な顔をするのだが、クラバ関係者はもちろん、アナハイムの幹部までその呼び名が定着しつつある。

 

クワトロの恋人であるララァさんまで“大佐”と呼ぶのだ。

 

クワトロが“赤い彗星”シャア・アズナブルであるのならば、彼の階級は確かに大佐であるのでまさに適切この上ない呼び方だ。

 

カネバン有限公司から増援のモビルスーツが届くまでもう何日かかかる。

 

と言い残してデニムは部屋を去った。

 

退屈してるようなら、とまた極彩色の名刺を置いていったが、アムロはもうこりごりだったので、そのままゴミ箱に放り込んだ。

 

 

------------

 

 

ネオホンコンは冬だ。

気候は温暖で氷点下になることなどはまずないが、アムロは流石にジャンパーを買い込んだ。

まだ試合はないが、クワトロやデニムはそこらは心得たもので、待機費用ということで、ある程度の金は渡してくれている。

 

アムロがいま立っているビルの7階から10階には学校が入っている。

 

「天パ!!」

エレベーターから出てきた赤毛の少女は彼を見かけると明るく手を振った。

 

「やあ、マチュ。」

 

「天パさん。」

 

後ろから黒髪の少女が顔を出す。

どう見てもニャアンのほうが背が高いのにどうやってマチュの後ろに隠れていられるのかは不思議だった。

これもニュータイプの能力なのだろうか。

 

自分もニュータイプと言われても、アムロにはピンと来ない。

自分は少しカンが良いだけのパイロットだ。

 

 

「マッシュさんたちのドムの調整が終わったらしいんだ。」

「まったく……退学になって無かったのも意外だし、まさかリモート学習で卒業できるのも想定外なんですけど!」

「ニャアンの機体はどうかな。けっこうクセの強そうなモビルスーツだけど。」

「位置情報は特定できないように、ジオン軍の秘匿通信を使ってたんだけど、ほぼ意味なくなっちゃった。

サイド6でもクラバの宣伝はガンガン配信されてるみたいだし、ああ、もうせめて顔にモザイクかけてよぉ!」

「ドムはもともとザクに替わる新型機として開発されたみたいなんだけどね、ゲルググのプランの方が優秀だったんであんまり数は作られてないみたいだよ。

今回はそれを地上でホバー移動が出来るように改造した機体みたいなんだ。」

「知ってる。わたしたちがトリントンでテストパイロットやってたから。

……なんでこの時点で、あらためて塾に行かないでクラバやってたことを怒られるのかなあ。」

「それはどんな親でも怒ると思うよ……ニャアン、なにかお代わりするの?」

「カオニャオ・マムアン。それとアイスティ。わたしのアレはものすごっく遅い機体。それに武器がメガ粒子砲ばっかりだから、付け替えてもらってる、ます。」

「出来るだけ後方の安全な位置をとってくれればいい。ぼくがなんとかするよ。

……ドムに乗ってたって!?」

「そうだよ、トリントンでね。

天パは理学系は得意? ここの課題なんだけどさ。」

「ああ、これならね……どんな感じなの、ドムって。いままでのクラバでも対戦した事ないんだ。」

「見かけより速い。ホバー活かして絶えず動き回りながら攻撃してくる感じ。あ、このバイン・ビアも食べてみたい。です、テンパ。」

「ニャアン! あんまり食べ過ぎると夕ご飯食べれなくなるよ!」

 

相変わらずマイペースではあるが、自分はマチュとニャアンとはかなりうまくやっている。

と、アムロは自画自賛する。

(実際はカフェでたかられてるだけという見方もできるのだが)

マチュがまったく名前で呼んでくれないのは気がかりだったが、シャリア・ブル中佐によると、彼女は気に入った相手はあだ名で呼ぶクセがあるらしい。

 

“わたしなんかはヒゲマンです。”

と苦笑しながら、シャリア閣下は言っていた。

 

名前をまともに呼んでいるのは、アムロが知ってる限り、クワトロとその恋人くらいである。

それもクワトロ、ではなく「シャアさん」と呼びたがるので、早晩「大佐」と呼ぶように修正されている。

 

「標準装備だと、盾はないし。一瞬のダッシュ力なら天パの機体のほうが小回りきくかもしれない。」

こちらの言うことを聞いてないようで聞いている。

「あと、問題は攻撃力のほうかなあ。

連邦がザクのマシンガンじゃあ撃ちぬけない装甲材を使ってくることを考えてバズーカを標準装備にしたんだけど、弾速とか連射とか、モビルスーツ同士で戦うときは少しシンドいかもしれないと思う。」

 

なるほど。

 

アムロは頷いた。

 

地上でのクランバトルは初めてだったが、なんとかなりそうだ!

 

---------------

 

会場は。

 

今回は射撃系の武器を使用可にしている事もあって、ネオホンコン市街地から数十キロ離れた荒野を指定されている。

 

そこまでガンペリーで運んでもらったアムロは、ニャアンの機体をみて頭を抱えた。

お!遅い!

遅いなんてものではない。

短い足はそれを動かして歩行するのではなく、ホバリングして移動しているのだが。

時速に直しても40kmも出ているのだろうか。

 

ほぼ人型であることをやめたそれは、小型のモビルアーマーのようだった。

 

腕は足よりも長い。

先端は巨大なクローアームになっているのだが、その移動速度でどうやって相手に接近するのだろうか。

頭部の下が大きくせり出していて、まるでクチバシのように見えた。

そして頭の両脇にまるで猫の耳のように見える三角形がついていた。

 

“そうか。水陸両用だったな。”

アムロは絶望の眼差しで、ニャアンの乗るゾックを眺めた。

 

さらに。

 

相手は確かにドムだった。

だがそのうちの一機は、バズーカの代わりに巨大な槍を携えていたのだ。

 

「“白い悪魔”!!」

ドムが吠えた。

「驚いたか!

これがマッシュ様のドム・ランツィーラだぜ!

この前はふいをつかれたが、今回はそうはいかねえ!

こいつは、な!

武器であると同時に推進器も兼ねている! 機動力不足もこれで解消だ。

覚悟しやがれ!!」

 

 

 

 

 

 




ギャン用のハクジを地上運用テストにトリントンに下ろしていたのを勝手に貸し出したようです。
いやあ、トリントンってホントに自由だなあ。
基本的に元ネタにない機体や人物は出さない方針なのですが、マッシュさんが勝手にハクジを装備したドムを「ドム・ランツィーラ」と称しています。
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