旧式ながら、地形に特化したジオン残党軍に苦戦するトリントン守備隊。
バニングは、マチュの前に立ち塞がる。「コウ! おまえはサイサリスを!!」
ザメルの680mmカノン砲は、直撃すれば新鋭艦であるアルビオンの装甲も貫通できる。
だが実体弾による射撃は、あまり精度の高いものではなかった。
サーバーNHU0083
[00:06:10] 運営 : ザメル移動開始、第二射! 発射準備中。狙いは依然アルビオンと思われます!
「追撃隊各員!」
バニングが叫んだ。
「あの移動砲台みたいなモビルスーツをやれ!
ドムは俺がひとりで引き受ける。
コウ! おまえはサイサリスを!」
ヤルヤルヤル!
マチュはシミュレーターの中で歯噛みした。
いい判断してくるよ、バニングさん!
[00:06:15] 元連邦軍大尉: 当たれば中破以上だ。だが、アルビオン側も伊達ではない。
[00:06:28] 名無し : 局面がかわった……!?
[00:06:31] 名無し : あのザメル……とかいうモビルスーツに直衛はおいてないのか?
あんなのフトコロに潜り込まれたら一撃……
[00:06:35] 蒼き清浄なる大地 : うおおっ!
ドム一機、ザクニ機撃破! バニングさんすげえぞ。
[00:06:42] バニング小隊箱推し : 残りのジム改もみんなAIじゃなくてホントのバニング小隊のパイロットが載ってるはずだ……
長距離砲撃戦に特化したモビルスーツ。
それは迫り来る連邦の精鋭のまえでは無力だった……はずだ。
だか……
ザメルの移動が疾い!!
ずんぐりとした脚部はそもそも「歩く」という動作が可能だったのかどうか。
だが、それはドムと同じ要領で、ホバリングしながら移動している。
「クソッ! 追いつけない!」
「落ち着け! 回避行動をとっている限り、アルビオンへの砲撃は無理だ。」
「回り込め!」
ジム改が、ザメルに殺到している間に。
さらに一機のドム・トローペンが脚部を破壊され、顔面から突っ込むように倒れた。
バニングのジム改は、続いてマチュのドムに狙いをつける。
マチュがドムを急旋回。荒野に銃痕が穿たれた。
ゼフィランサスはこのスキに、マチュのドムから離れ、サイサリス目掛けて大きくジャンプする。
「逃げるな! コラ! ニンジンマン!」
[00:06:59] 運営 : ブライベートモード:マチュさん! 相手のパイロットをあだ名呼びはナシです。世界観が壊れます。
「うっさいよ、フレデリカ!」
[00:07:10] 元連邦軍大尉: プライベートモード:マチュ君。シミュレーションの世界を壊すな!
「あ……ごめんなさい、シャアさん」
クワトロは憮然として、いまのわたしはクワトロ・バジーナなんだが……とぶつぶつ呟いたが、N・ロックもヤンもフレデリカも聞こえないフリをした。もちろん、チャットも拾わない。
[00:07:15] 運営 : ディラス・フリートの勝利条件として、アルビオンの中破以上も入ります。これからの追跡行動にアルビオンが使えなくなることを意味しますので……
[00:07:20] フロドが目つきの悪い幼女でありますように : それであの砲撃用重モビルスーツか……なんという戦略眼なのだ、フロドとは!!
ザメルの第2射。
砲弾は、アルビオンの尾翼を掠めた。
「クソッ! なにがなんでも止めるぞ!!」
叫んだのは、バニングの部下の口ひげの男だった。
バーニヤを全開し、ザメルに接近する。
「ビームサーベルで……!!」
だが、そのときザメルの機銃が一斉に火を吹いた。
口径は20mm。対モビルスーツ戦には心もとない。だからこそ。
ジム改が、この至近距離まで接近するのを待ったのだろう。
[00:07:38] 名無し : ザメルって誰が乗ってるんだよ 上手すぎる
[00:07:45] 名無し : ザメルはAIだよ。
[00:07:55] 名無し : ジム改のほうは有人だろ? なに負けてんの!
[00:08:02] 名無し : 焦って無理な接近させて機銃で蜂の巣……戦術でも負けてんじゃん
ジム改は、頭から胸部。すなわちメインカメラとコクピットを破損。実に分かりやすい撃破判定となった。
個別の機体の生存に賭けていたものもいるので、撃破判定は重要である。
この場合は、問題なく「撃破」
なにしろコクピットまで破壊されているのだから。
[00:08:15] 名無し : はあ……ジム改のほうはベテランパイロットが有人操作ってきいたのに
[00:08:25] 名無し : ジム改のほうは有人だろ? なに負けてんの!
チャット参加者たちに機体のデータが流れてくる。
[00:08:45] 名無し : はあ……めっちゃやられとる……頭部破損…コクピット大破……パイロット……軽傷……
け、けいしょおっ!
[00:08:55] 名無し : なんで銃弾がコクピット貫いてて、パイロット生きてんの?
[00:09:01] 名無し : ば、ばけものかっ!
[00:09:06] バニング小隊箱推し : 人呼んで不死身の第四小隊(だから強いと言ってない)
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サーバーGQX001
[00:08:18] 這いよる混沌 : マチュ、バニングに押されとる! 大丈夫かな
[00:08:22] 狂犬マチュlove : マチュ頑張れ! ドムトロのホバーで翻弄して!
[00:08:22] 名無し : バニングさん、さすがはベテラン
[00:08:35] にゃんにゃんにあん : あっ、マチュのドム、被弾! 左肩!
[00:08:42] 狂犬マチュlove : ヤバい! バズーカ弾切れ?
[00:08:52] : どどめいろの彗星 : フッ……ここからがマチュの本領を発揮よ……
[00:09:02] : 名無し : マチュはここからがおとろしい……
そう。
射撃が下手な訳ではないが、至近距離からのビームサーベルがマチュの得意技である。
クラバファンであるこのサーバーに集う面々はそれをよく知っていた。
ジム改のマシンガンを喰らいながらも、マチュはドムを強引に、バニングのジム改に接近させる。
バニングもマシンガンを捨てた。
弾は撃ち尽くしている。ビームサーベルを抜き放つ。
「勝負だ! 狂犬!!」
「首、おいてけやあっ!!」
薩摩武士か!!
サーバー中からツッコミがはいったが、そのとき誰かがぼそりと呟いた。
[00:09:30] : 名無し : 病み猫神様のゾックは……?
……また終わりませんでした……