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キャラクターまで一部被っているという……
魔法少女まどか☆マギカ 廻天の残響
https://syosetu.org/novel/429133/
よく監視しておけと言われても、アムロひとりでどうなるものでも無い。
そもそも軍や警察の言うところの「監視」がどういうものなのか、いまひとつわからない。
なにしろいくら『監視』と言われても、ジオン工科大学の学生であるアムロには、時間にも制約があるのだ。
それでも短時間ながら、アムロが気がついたことはある。
ヨル。セルマ。ライラック。
この3人は同じアクシズ出身者で、難破した移民船からの救出されたという同じ出自を持ちながら、別に仲良くはないのだ。
午前中に簡易的な操縦シミュレーターを使っての地上での操作を体験してもらって、昼食時間。
ぜひ、アムロと昼食を取りたいと押しかけた、ティートとニイ、ドゥー・ムラサメとユリアン。
なぜかセルマもついてきた。
どこでどうなったかはまったく不明なのだが、ドゥーとセルマは意気投合したらしいのだ。
アムロは一応、笑顔で彼らを迎えたが、内心はため息をついていた。
昼食の時間に「モビルスーツの実戦的強化案」のレポートを仕上げてしまうつもりでいたのだがうまくいかないようだった。
「グリーンノアから、リゼルのことでメールをいただました。
試作機の作成にはいりたいと。」
開口一番にティート・トゥッチはそう言って、アムロに頭を下げた。
「アムロ先生からテム・レイ博士にお話いただいたんですか?」
アムロはいや、と言った。
「親父に、というか親父のチームにデータは送ったけど、グリーンノアの代表は、フランクリン・ビダンだよ。彼がうんと言わなければ予算は付かない。
だから総合的にみて、あの設計図面が有用と判断されたんだろう。
このあと、試作機によるテスト……とくにクランバトルを利用しての実戦的試験を経て、どこかのコンペに参加できるか。そして本当に採用されるかはまだなんとも言えない。
そしてどこかに採用されない限り、経済的な意味では、ぼくらはまったく潤わないよ。」
「経済的には、とおっしゃいましたね?」
鋭いな彼は。とアムロは心の中で苦笑した。
「そうだよ。栄誉とか評判とか。そう言ったものについては、もうすでに実績が出来ている。」
そう言ってアムロは、手紙を取り出して、ティートに渡した。
「これは?」
「ジオン工科大学から特待生として入学しないか、という打診だよ。
いくつかの試験の免除や学費、在学中の生活費の援助がある。」
「なぜ、アムロ先生のところに……?」
「ジオン工科大学も面子があるらしくてね。
特待生で迎えようとして、断られたりするのは我慢ならないんだ。だから前もって、そういう意思があるかぼくから打診してほしいってさ。」
「凄く……うれしいことなんですが……」
ティート・トゥッチは頬を紅潮されていた。
「でもぼくは、ジュニアクランバトルの選手として……行く行くはクランバトルで名を上げたいんです……アムロ先生はどう思いますか?」
「もちろん!
クラバなんか辞めて、ジオン工科大学だね。」
アムロは即答した。
クランバトルの無敵のエース『白い悪魔』は別にクランバトルなんかに思い入れはないのである。
これはアムロばかりではない。
マチュをはじめ、非合法時代のクランバトルを知るものは、『やらなくてすむならやらないにこしたことはない』のが基本的な考え方である。
「……返事はいつまでに?」
「つまらない答えをしようか?」
アムロはクスリと笑った。
「まず、今回のジュニアクランバトルの立ち上げ総当り戦は参加したほうがいい。これは、講師として、『捨て猫同盟』から給料をもらってる立場からの発言だよ。」
「わりと身も蓋もないですね……」
「そのあとなんだが……」
アムロはすこし声のトーンを落とした。
「ぼくやマチュたちが参考になると思う。クランバトルへの出場をまったく辞めてしまうことはない。
試合を減らしながら、大学にも通うんだ。
カリキュラムはそれなりに密度があるし、決められた目安の四年では卒業できなくなるかもしれないけど、学校で学べることは、クランバトルでも役に立つ。そして、クランバトルでの実戦技術は、きっと学校でも役に立つよ。」
「あ、ありがとうございます!」
ティートは頭を下げた。
「ぼくもクランバトルと学生の両立おすすめしますよ!」
ユリアンが明るく言った。
「実際に、学校が指定したカリキュラム『以外』のなにかを如何にこなすかが、充実した学生生活が送れるかどうかの基準になるような気がしてます!」
「ね、アムロは『役にたつ』でしょ?」
ドゥーがセルマをつついた。
「まあ……ね。」
セルマはよく光る眼でアムロを見ながら頷いた。心からナットクしたかどうかは定かではない。
「ボクみたいに、『自分』でそうなる事を選んだんじゃない天然モノは、どうしても甘ちゃんばっかりなんだけど、アムロはだいぶマシなんだよ!
それとマチュたちも」
そう言ってドゥーは、離れたテーブル席のマチュとニャアンに手を振った。
マチュは、なんというか『狂犬』先生と呼ばれて恐れられている。ニャアンの『信者』たちは一緒のテーブルなど恐れ多いと遠巻きにしていたので、彼女たちと一緒に食事をしているのは、ヨルだけだ。
「仲良しごっこも度が過ぎると吐き気がするわ。」
こちらはいちばん、隅っこの丸テーブルである。
分析用グラスに明るい緑の髪の少女。
そのまえに座るのは、前髪を長くした少年だ。
「……仲良しごっこも度が過ぎると反吐が出るわ。」
目の前には、海鮮パスタとスープ。サラダのセットが置かれている。
反吐が出る―――という割には、バスタもサラダも順調に減っていた。
三人組のひとり。
ライラクックと名乗る少女である。
目の前の少年は、無言でコーヒーを口に運んだ。
目の前に置かれているのは、皿に色とりどりのパテを練ったものが盛られているだけの……栄養バランスはいいが、「それだけ」の代物である。
「……よく、そんなものを食べれるわね。」
けんのあるその視線を受け流すように、トロワは、パテをもうひとすくい口に運んだ。
「……あまり、満腹になるまで食べない方がいい。」
「……どういうのと?」
「午後から、実際にモビルスーツに乗っての訓練がある。あまり満腹だと、吐くぞ。」
「そんなみっともないことにはならないわ。わたしは―――」
「アクシズにいた。モビルスーツは移動の足代わりに使っていた。」
トロワはじっとライラックを見つめた。
「だが、アムロが言ったように、地上でのモビルスーツ操縦はまた別物だ。歩行するだけでもかなりの揺れを感じる。乗り物酔いの経験は?」
ライラックは黙った。
「……飛行機ですこし。」
「まあ、テム・レイ博士曰く、モビル『スーツ』は宇宙という環境に適応した『服』だ。宇宙時代に適応したニュータイプならばモビルスーツの操縦は必然的に上手い。
いずれ慣れるだろうし。なにも地上を今後主戦場にしなければいいだけの話だ。」
「あなたは」
ライラックはなにを話したものか言い淀んだ。
「―――なんでわたしと一緒にご飯を食べてるの?」
「席がここしかあいていなかったからだ。」
「ふん……」
納得できないような顔で、ライラクックは机の下で、トロワの足を蹴った。
そして、微かに笑った。
「案外、わたしたち、気が合うかもね?」
「あれでしょ? シュウジから頼まれたんでしょ。こっちの世界線を見てきてくれって。」
マチュの前には、ワカメのスープにまだジュウジュウいってる焼肉。それに大盛りのライスがおかれている。
朝、ぎりぎりまで寝ていて、朝食を取っていなかったせいだが、それをちっさい身体に爽快さすら感じる速度で詰め込んでいく。
ずお。
ずぞぞぞぞ。
こっちはニャアンがフォーをすする音だ。
ミニサラダと杏仁豆腐がついたセットである。こちらはそれほど、目覚しい速度ではないが順調に胃袋を満たしてしてる。
「アムロさんからお聞きになったのですか?
シュウジはわたしの夢の中の人物です……」
「わたし、このまえの写真展で、イオマグヌッソそっくりの小惑星の写真みたんだ。あの辺りでヨルさんたちは見つかったんだよねえ。」
黒く長い髪。
年齢的にはマチュたちのほうが歳上のはずなのだが、かなり大人っぽく見える。
「……ねえ、まえの世界はどんなとこ?
シュウジはわたしのことなんか言ってなかった?」
いや。否定くらいさせろよ。
ヨルの嫋やかな笑みは、実は苦笑いに近い。
彼女のまえには、パンケーキと紅茶。それに具だくさんの野菜スープがおかれている。
マチュが怒涛のごとく話しかけてくるので、あまり食は進んでいなかった。
「……マチュ先生がさっきおっしゃってた『シュウジの首を切り落とした』というのはどういう意味でしょう……?」
「うん。ジークアクスでね。こう」
マチュは手に持った食器を振り回した。
日本の木の棒。箸というやつである。ニャアンも同じ食器でフォーを食べている。
アジア地域からの移民の多いイズマコロニーでは、一般的であった。
ナイフとフォークを振り回されるよりは若干、マシとはいえ、ヨルはすこし身体を仰け反らせた。
「スバーって!」
「生身ではないです。」
ニャアンが言った。
「モビルスーツの、です。」
「モビルスーツ戦……クランバトルをしてたのですか?」
「ううん。シュウジがシャロンの薔薇を消そうとしたんで止めてたんだけど」
ううむ。
と、マチュは顔を顰めた。
「ああ、どこまで話してもいいのか、判断できないや。
そうだ!
シャアさん紹介するから、あっちに聞いてみて!」
もちろん、すでに相当ヤバいことまで、話してしまっている自覚は、マチュにはない。
「マチュ、ニャアン。」
先に食べ終わったアムロが声をかけてきた。
「今日は午後からライブの講義があるんで、これから、学校に行くからね。」
「ああ、オカダ教授の『機動戦士ガンダム講座』だっけ。配信もやってなかった?」
「配信だと別に料金がかかるんだよ。」
「でもさあ……」
マチュは言った。
「フロドの『機動戦士ガンダム~行きて帰りし物語』の解説なんて大学の講義で聞きたい?」
「なにしろ、ぼくは登場人物のモデルのひとりだからね。冷静に内容を把握するにはほかのひとの評論をきくのがいちばんいいのさ。
―――ええっと、ヨルさん。」
「はい、なんでしょうか、アムロ先生。」
「こんどまた、シミュレーターに付き合ってくれるかな。このまえ、ヨルさん、本気になる前に強制ログアウトになってしまったでしょう。
ぼくもいまフレデリカさんに頼んで、前に使ってた『ガンダム』をシュミレートしてもらっているからね。」
「は、はい。」
ヨルは反射的に立ち上がって、頭を下げていた。
どうも。
アムロという人物は、特殊な能力があったり、特別な立ち位置にある女の子からは満遍なくモテるらしい。
こっちの宇宙では世界にわいた呪いは戦争で焼き尽くしているから