第13話 鼓動   作:ATARU 2025

422 / 422
雑談からじわじわに尋問にはいる。
アムロたちを前にしてけっこうハードなことをやるマクレーンさん。








GQuuuuuuXseason2 第19話 魔女の世紀~干渉するもの

アムロは内心、ほっとしていた。

周りがおだてようが恐れようが、彼自身の認識のなかでは、自分は家庭の都合で入学が遅れた大学生でしかない。

 

クワトロやアルテイシア、N・ロック。傑物と知り合う機会はずいぶんあった彼であるが、まともに参考にできるのはヤンくらいなのだ。

少なくとも、ヤンのすることを真似ておけば、人生、それほど愚行に走らずに済むような気がする。

 

ニューヤークの刑事たちも、宴席を楽しむ術は心得ていた。

ヨルたちも……三者三様ではあるものの、食事を楽しんでくれているようではあったし。

うん、これならなんとか。

と、アムロが思い始めたところで、マクレーンが手を挙げた。

 

「ちょっとだけ、仕事の話をしてもいいか?」

 

「まあ、構わないが」

チェンがそう答える。

 

「これは、アムロやマチュにも聞いてほしい話なんだが……コクピットに座らずにモビルスーツを操縦できるか?」

 

「技術的に……ってことですか?」

アムロが言った。

「可能ですよ。モビルスーツにだって、補助AIで基本動作はプログラムとして入ってるんです。遠隔で命令することは……技術的には可能です。どのくらい細かな動作が可能かはまた別問題ですし、たとえば戦闘行動になれば当然、ミノフスキー粒子による阻害も……」

 

「うん、わかったわかった」

 

モビルスーツの技術話への食いつきがよすぎたのか、マクレーンは焦ったように手を振った。

 

「無線でのコントロールはそうだな。

たとえば、だ。サイコミュを経由しての脳波コントロールはどうだろうか?」

 

「どうだろうかって。それはもう大戦のときに証明されてますよね。クワ……シャア大佐の赤いガンダムに装備されていたビットは、まさに脳波によるコントロールですよ」

 

「例えが悪かったな……」

マクレーンは腕を組んだ。

「少し、具体的に話そう。

俺たちはニューヤークでギャング組織の密売を追ってたんだ。

意外なことに、ブツは薬物でも盗品でも人間でもなかった。

……モビルスーツだったんだ」

 

「ジオンが軍縮のときに、派手に放出しましたからね」

ヤンは、乾杯だけ付き合って、あとはお茶に切り替えている。

「連邦の軽キャノンも、だいぶ放出されましたよ」

 

「ああ」

マクレーンは、ちらりとヨルを見た。

「対象のモビルスーツは、ニューヤーク市警が中心になって開発した小型モビルスーツだった。バッテリー駆動になるから、市街地でも動かしやすい。

それ自体も問題なんだが、どうもそいつはサイコミュを搭載していたようなんだ」

 

「サイコミュ……ですか?」

アムロは面食らった。

「たしかに、一部の基幹部品は地球では生産されてないですし……軍需品ですから、輸入できる業者も限られてる。

けど、まったくできないわけではないし、実際にムラサメ研究所や連邦軍系の研究所でも、実験用に輸入はしてるはずです。

扱ってる商社は限定されますが……たとえば、ネオ香港だとタオ商会ってところが指定業者のはずです」

 

「問題はそこじゃなくてね、アムロ!」

マチュが、〆のかき氷を食べながら言った。

「搭載したサイコミュを通じて、コクピットの外からモビルスーツが動かされたって、この刑事さんは言ってるのよ!」

 

「相手はさっと30人。こっちは、モトコと二人だけ。増援は間に合わない。おまけに、取り引き用の小型モビルスーツまで参戦して来やがった」

マクレーンは顔をしかめた。

「正直、あのときはもうだめかと思ったんだが」

 

「あら、あなたに絶望するような繊細な心があったなんて驚きだわ」

モトコが茶々を入れるのをひと睨みして、マクレーンは続けた。

「ところが、突然、やつらのモビルスーツが、酔っ払ったようによろよろし始めたんだ!」

 

「モビルスーツが酔っ払うか、という問題ですね」

アムロは真剣に答えた。

「もちろん、モビルスーツがアルコールや薬物を摂取することはないのですが、バランサーに異常が生じた場合、『酔っ払った』ように見えることはありえますね。

もっとも可能性として高いのが、パイロット自身に何か異常が起こった可能性です」

 

全員が、

ヤンやユリアンまでもが、変な目でアムロを見ていた。

 

「な……なんです?」

 

「理系がっ!」

マチュが吐き捨てるように言った。

いや、きみも同じジオン工科大学生だろうに!

 

「わたしたちは、何者かが外部から、サイコミュの操縦系に侵入して、機体の動きを妨害したんじゃないかって考えたのよ」

モトコが言った。

 

「外部からのサイコミュへの働きかけ、か」

チェンも真面目な顔で頷いた。

 

「不可能ではないネ!」

イェが〆のフォーを頼みながら言った。

 

「不可能だよ! そんなことありえない」

マチュが言った。

ニャアンがずずっとラッシーをすすりながら、口を挟む。

「マチュは、ソドンから何度もジークアクスを呼んでるよ」

 

「だからあ! あれはわたしとジークアクスだからであって。一般的には参考にならないんだから!」

 

アムロは、それについてはあえて発言しなかった。

ジークアクスが搭載しているサイコミュが特殊なものなのは、彼も承知していた。

オメガ・サイコミュは、人格を内包している。

そしてその人格とは、並行世界の彼自身のようなのだ。

 

「アムロくん」

ヤンが身を乗り出した。

前にも言った通り、アムロはヤンをさまざまな面で尊敬している。

ただ、学者肌の難点というべきか……好奇心が何より先に立つところが、たしかにあった。

「きみはたしか、この前のシミュレーションバトルのときに、赤いガンダムのビットを操ったよね?」

 

「そうでした」

ヨルが言った。

「途中から……ビットの動きが変わりました」

 

「あ、あれはシミュレーターの中の話でしょう!?」

アムロは、自分に火の粉が飛んでくるのを感じて、慌てて言った。

 

「ネオ香港大学のAIは、すごく優秀でね。

さまざまな要因から総合的に判断して、それが起こるべきだと判断すると、そのようにシミュレートしてしまうんだ。

つまりあそこで起きたことは現実の世界でも起こりうる。

つまり、あのときAIは、アムロくんが――サイコミュも搭載してないゼフィランサスのコクピットから、ララァさんが操る赤いガンダムのビットを操縦できる!……と判断したんだ」

 

「つまりは、物凄く強力なニュータイプならば、外部からモビルスーツの制御を乗っ取ることは可能だ、と?」

 

「マクレーンさん。あくまでも可能性の問題です。アムロくんも言ったとおり、これはシミュレーターの中で起こったことですから」

 

ヤンさん、あんたどっちの味方だ!

と叫び出したくなるアムロだったが、まあ、学者というのはこういう人種なのには、自分の父でもう慣れていた。

 

「しかし、可能性はある?」

 

「完全に否定はできない、というところです。それに、ビットはあくまでも遠隔操作の移動砲台ですからね。モビルスーツそのものの操縦系に影響を与えるとなると……」

 

ふう。

と、マクレーンはひとつ息をついた。

横に座るモトコをちらりと見やる。

 

トン、とモトコはテーブルに両肘をついた。笑みを浮かべて、一同を見回す。

 

「実際にわたしはそのとき、『干渉』を感じたのよ」

 

「あなたもニュータイプ……ってことですか?」

 

「そう。しかも、サイコミュ内蔵の、ね」

モトコは手をひらひらと振ってみせた。

「わたしの身体は、ほとんどが作り物なのよ。ゼロ・ムラサメお手製のね。

わたしはそれを、リユース・P・デバイスとサイコミュで動かしている。いわば、この全身がモビルスーツみたいなものなのよ。

そして、あの晩。ニューヤークの倉庫街でわたしは、制御を乗っ取ろうとする干渉波を、たしかに感じた」

 

「え……」

アムロはマチュの視線を感じて、口をつぐんだ。

技術的に興味のある質問が溢れそうなのを、慌ててこらえた。

 

「それからもまあ、いろいろとバトルはあったんだが、ムラサメ博士のおかげでギャングどもは逮捕、サイコミュ搭載のモビルスーツも回収できたんだが……」

 

「パイロットは? パイロットはどうなった?」

マチュが怖い顔で詰め寄った。

 

「オーガスタ……と思われる。強化人間だったよ。だが、サイコミュへの干渉の影響を受けたのか、ほとんど口もきけない状態だった。ムラサメ研究所に送られて、治療を受けてるはずだが」

 

マクレーンは、ヨルたちに笑いかけた。

 

「いや、本当にムラサメ博士には助けられたんだ。

感謝している――ところで、あの晩、おまえさんたちもすぐ近くにいたよな?」

 

 

 

 

 

 

 




会話がつづいたので、かるくバトルを入れる予定です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

フロンタルに憑依した苦労人転生者のガンダムSEED(作者:鉄血)(原作:ガンダムSEED)

フル・フロンタルに転生した転生者。そんな彼が可能性の光に包まれ、宇宙世紀を去り、次に目覚めた時はコズミック・イラの世界だった。▼彼はフル・フロンタルとしてこの世紀末なコズミック・イラの世界を生きていく。▼なあ、この世界は本当に変われるのか?▼なお、作者は映画も全て視聴済みです。


総合評価:19424/評価:7.79/連載:231話/更新日時:2026年10月25日(日) 17:10 小説情報

技術試験隊斯ク戦ヘリ(作者:ザクスキー2世)(原作:ガンダム)

欠陥機、鹵獲艦、飛べるが帰れない試作機。▼まともなものが一つも回ってこない第603技術試験隊で、名家のお嬢様が愚痴を言いながら戦うお話。▼主人公は転生者ではないです。▼原作で死亡するキャラは、そのまま死んだり生き残ったりする予定です。▼基本的にMSIGLOO準拠ですが、一部ジオリジンの設定を持って来ます。▼箸休め程度に気楽に読んでもらえると幸いです。▼第1章…


総合評価:2755/評価:8.91/連載:46話/更新日時:2026年10月26日(月) 11:00 小説情報

銀河英雄伝説 エル・ファシルの逃亡者(新版)(作者:甘蜜柑)(原作:銀河英雄伝説)

 エル・ファシルの民間人脱出劇。それは天才ヤン・ウェンリーにとっては最初の栄光でしたが、アーサー・リンチ少将に従って捕虜となった将兵にとっては、「エル・ファシルの逃亡者」の汚名を背負った苦難の人生の始まりでした。▼ 逃亡者になったことがきっかけで身を持ち崩し、今は旧同盟首都ハイネセンの救貧院で暮らす老人エリヤ・フィリップスもその一人です。街角で暴行を受けて意…


総合評価:11843/評価:8.79/連載:136話/更新日時:2021年04月03日(土) 10:20 小説情報

ダイクン家の二女はアホの子(作者:アキ山)(原作:ガンダム)

 側室に三人目の子供を仕込んだままくたばったジオン・ダイクンのやらかしによって大きく変わる宇宙世紀。▼ サイド7で暮らすマリー・マス、通称マチュはアルマリア・リム・ダイクンという自身の本名も綺麗に忘れた、趣味はなんちゃってジークンドーとロボゲーに格ゲーというアホの子である。▼ そんな日々の奇行の数々で姉を泣かせている小学生が、地獄の一年戦争を如何にして生き残…


総合評価:13646/評価:8.7/連載:68話/更新日時:2026年09月12日(土) 01:42 小説情報

地球連邦軍上層部はいつも多忙です。(作者:はにわはにわ)(原作:機動戦士ガンダム)

宇宙世紀0083年。核攻撃で観艦式が壊滅する中、地球連邦軍最高司令部の苦労人大将は、コロニー落とし阻止のため胃薬片手に奔走する。▼一旦、0083編で完結とさせてもらいます。Z編は制作に時間が取れなくなっているので、見通しも立たないですから、一旦、打ち切りの上、削除しました。


総合評価:6651/評価:8.31/完結:16話/更新日時:2026年06月24日(水) 01:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>