第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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一応、シリアスなお話のつもりなので、あんまり可哀想だったり、誰かをサゲたりしないようにしたいと思ってます。
今回は、困った人たちに振り回される比較的まともな、皆さんのフォロー回。宇宙世紀以外からゲストも登場です。




第17話 黒いガンダム~偽りの歌姫

ランバ・ラルがアルテイシアと一緒に、マハラジャ・カーンを訪ねて来るのは珍しい。

マハラジャ・カーンはちょうどキュベレイの開発についての進捗の報告を受けていたところだった。

 

ラルが血相を変えているのは、アルテイシアが自分用の専用モビルスーツを開発させているのが、バレたのだろう、とマハラジャ・カーンは思った。

いつまでもキュベレイの存在をラルに黙っておいたのはまずかった。

 

「人払いを。」

ランバ・ラルが緊張した面持ちでそういったので、マハラジャ・カーンは説明中の技師にデータだけ置いて戻るように伝えた。

 

「閣下……」

「ラル殿。もうお耳に入ったか。これがアルテイシア様の御座機となるキュベレイだ。」

デスクの上に立体映像で映し出された3 Dの完成予想図にマハラジャ・カーンは胸をはった。

「見よ!

このジオンの精神が形になったような神々しい姿を!

アルテイシア様に相応しい唯一無二の機体だ。」

 

ラルは心の中でうめいた。

 

うむ。

親バカだ。

とんでもない親バカだ。

 

もともとのデザインは、マハラジャの次女ハマーンの手によるものだということは知っていた。

たしかに……ユニークな意匠ではあったかがなんとなく昆虫めいていてラルは別に神々しさは感じない。

言ってしまえば、すごく悪役っぽいのだ。

このデザインではたしてよいのだろうか?

 

「護衛隊長として貴殿の心配も分かるが、なにもこれに乗って前線に飛び出そうと言うのではない。このくらいのワガママは許されるべきだろう。

……ではないですかな、アルテイシア様。」

 

「閣下。」

ランバ・ラルは苦虫を噛み潰してセンブリ茶で飲み干したような顔で言った。

「アルテイシア様は何処ですか?」

 

は?

 

マハラジャは、ラルの隣に佇むアルテイシアをじっくりと。

頭のてっぺんからつま先まで眺めた。

その顔が徐々に青ざめていく。

 

「お、お、」

アルテイシア、に見える女性を指さしたその手が震えていた。

「おまえは……!!」

 

「あたしはミーア・キャンベルです。」

アルテイシアが決してしない膨れっ面で、アルテイシアにしか見えない女性は答えた。

「随分前からアルテイシア様の影武者を仰せつかってます。それはマハラジャ・カーン閣下とラル様もご存知でしょ?」

 

「あ、アルテイシア様はどこへ?」

 

「ああ、知りません。重要な打ち合わせとか会合はしばらく入ってないし、決済書類もないからどっかに骨休みに出かけたんではないですか?」

 

ランバ・ラルはうなずいた。

 

「……どうもそういうことのようです。」

 

「貴殿がついていながら何事だっ!!」

 

「まさかアルテイシア様が、影武者をそういう用途で使うとは予想外でした。」

ラルはしぶしぶ自分の非を認めた。

「それにしてもミーア。私には事前の相談、せめて事後でも報告はして欲しかったぞ?」

 

「だって、こんなことは今までもけっこうあったし……」

 

ジオン公国を実質的に切り盛りしている二人の傑物の顔色が死人のそれに変わっていくのを見て、ミーアは、ようやく大変なことが起こっているのに気がついたらしかった。

 

「ええっ!!

おふたりとも、いままで全然知らなかったんですか!!」

 

ダイクン家の血筋は、ザビ家と比べても決して付き合い易い家柄ではないのだ。

二人は改めてそれを痛感した。

 

 

-------------

 

 

「シャリア・ブル中佐!」

 

ソドン艦長ラシットのシャリア・ブルを見る目は険しかった。

 

「なにをそんなに警戒しているのかね。わたしは何も悪巧みなどはしていないよ……」

 

「それはあの『クワトロ・バジーナ大尉』とやらも、ですか?」

 

「彼はクランバトルの主催者だよ。有能な人物だがそれ以上ではない。」

 

「わたしたちの命令は、クランバトルの『白い悪魔』との接触、及びクワトロ・バジーナ大尉へ接近する事でした。任務が完了したのならいったんジオンに帰投すべきだと考えます。」

ラシットもまた“イオマグヌッソ事変”

に立ち会ったもののひとりだ。

あの異界のモビルスーツも目の当たりにしている。

 

「正確には、『白い悪魔』があのモビルスーツに近い、極めて危険な存在ではないかを確認すること。

そしてクワトロ・バジーナ大尉が、そう自称する人物が、ジオンにとって害をなさないか、見極めることだ。」

シャリア・ブルは、肩をすくめてみせた。

「いずれも現在のところ、答えはNOだ。『白い悪魔』はテム・レイ博士が作り上げた最高のコストパフォーマンスをもつ傑作機だし、それが強いのはパイロットであるアムロ・レイ君の並外れた才能に寄るところが大きい。

クワトロ大尉は……まあ、いまのところは大人しい。

いずれも『今のところ』だよ。経過観察は必要です。」

 

「内々ですが」

ラシットは声をひそめた。

「このソドンをアルテイシア様の御座艦に、という話が持ち上がっております。」

 

「そりゃあまた! グワジン級をと言い出さなかったのは良い事ですが、この船は同型艦の中では一番の老朽艦ですよ?

もっと新しいものが……例えば“アルビオン”とか。」

 

「新型艦はすべてマ・クベ将軍の管轄下にあります。」

ラシットは難しい顔で続けた。

「もし、アルビオンを回してもらうにしてもマ・クベ将軍に借りを作るのは、公王府としては避けたいのでしょう。

―――という訳でおそらく近々、ソドンは大幅な改修にはいるはずです。いつまでもネオホンコンにへばりついているわけにはいきません。」

 

「それは困りましたね……」

シャリア・ブルはうーむと唸りながらソドンの天井を見上げた。

ラシットは背中を嫌な汗が流れるのを感じた。

シャリアが困っているときは、たいてい、とんでもないことを思いついている。

 

「ですが『白い悪魔』とクワトロ・バジーナへの監視は今しばらくすすめたいのですよ。」

 

「『白い悪魔』はともかく“大佐”もですか?」

ラシットは言った。

「彼は少なくとも政治的な野心は無さそうに思えますが……」

 

「そう思わせておいて、突然『ネオジオン』を旗揚げして、人類粛清を始めかねない。」

 

嫌われたものだな。

と、ラシットは心の中で嘆息した。

ジオン公国が健在な限り『ネオジオン』は有り得ないだろう。ならばジオン公国が存在し続けることこそが「人類粛清」とやらを回避するもっとも重要なポイントではないのか?

 

たしかに、“大佐”の行動は不可解だ。

『ソロモン落とし』後、しばらく姿をくらましてたのか。イオマグヌッソ事変で突然現れるまでいったいどこでなにをしていたのだろう。

なにを考え、なにを目標にしているのかは分からないところがある。

 

いや……

 

ラシットは「編集されていない」事変当時の映像を見ているのだ。

その中には、赤いガンダムが、キシリア閣下の乗ったパープルウィドウを撃沈したところも含まれている。

となれば、その目的はザビ家への復讐であろう。それが終わったからには、“大佐”の行動をそれほど恐れる必要はないと思うのだが。

 

「マチュくんからの話では、大佐とアムロくんはしばらくネオホンコンを離れるらしい。

わたしはそれに同行させてもらおうと思う。」

 

「ここを離れる? どこへですか?」

 

「それは部外者のわたしが聞けるわけはないよ。だがおそらくは宇宙になる。カンだが、ね。」

 

ニュータイプのカンはあたるのだ。

ラシットは、諦めて言った。

 

「マチュは連れていきますか?」

 

「うむ。もしゼクノヴァが起きたら止められるのは、彼女だけだろうしね。」

 

「マチュとジークアクスはまた脱走したことにいたします。」

 

「うん? ああ、よろしく頼む。」

 

「ついでに、あなたも脱走したことにいたします。復員する際にはうまい言い訳を考えておいてくださいね。」

 

 

 

 

 

 




またあんまりお話がすすまない!
アムロは進学の準備に余念が無いんだろうけど、なんだか入試日に突然、アーガマの出撃が決まるような気がするなあ。可哀想だからそうはしないけど。
あ、アーガマは正史と違って、最初からミノフスキークラフト装備で宇宙と地球を行ったり来たりできる設定にします。もともとジークアスク世界だと、連邦軍は宇宙からは締め出されてるので、ほんとに宇宙専用の戦艦は持てない(ことにしとかないと整合性がなくなる)かな?

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