第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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みなさん、お待ちかねのガンダムマークⅡがいよいよ完成致しました。
誰に乗せようか、誰と戦わせようか。
いろいろ楽しみです。というかちゃんと考えておけ!という声ありますが、わりとライブ感覚で書いております。





第17話 黒いガンダム~策謀の宇宙

モニターに映し出されたのは、モビルスーツの残骸だった。

 

一機や二機ではない。

 

漂う機体は原型を留めていないものもあったが、少なくとも6機。

と言うことは、ムサイ三隻以上のパトロール艦隊規模の戦闘が行われた、ということだ。

 

「暗礁空域管理軍より入電です。」

 

デラーズ・フリート、または叛乱軍、という言葉は禁句であった。

あくまで彼らは、宇宙空間におけるコロニー間の航路に自由を安寧をもらたすためにそこにいる。

 

そういうことになっている。

 

「軌道上に無滞在許可の連邦軍モビルスーツ隊を発見。これを撃破した。モビルスーツはすべて破壊または撃墜。

当方はゲルググ一機が小破。」

 

文章はなおも続き、自分たちがいかに勇敢であり、その戦果が赫赫たるものであり、さらには連邦の反攻の可能性とそれに対する政府の弱腰を非難する内容になっていったが、ウラガンは、報告を止めさせた。

 

「実行部隊はどこだ?」

マ・クベは簡潔に尋ねた。

 

「リリー・マルレーンが一隻。シーマ・ガラハウの海兵隊です。」

「昇進を申告しておけ。」

 

マ・クベの口元が不快そうに歪んだ。

 

「連邦の部隊の規模は?」

「軽キャノンの改造型が6機。」

「ならば、数は同数か。

もろいものだな、連邦軍は。」

 

ウラガンはパネルを操作した。

浮かび上がった画像はいずれも荒い。

遠距離で撮ったものを無理やりに拡大したものなのだろう。

 

「ゲルググ以外にも未確認の機体が2機、いずれもガンダムタイプかと思われます。」

 

「未確認とは言いながら、おまえのことだ。もう確認はすんでいるのだろう?」

 

「は! 一機は先日“アルビオン”から持ち去られたトリントンの試作ガンダム1号機ゼフィランサスを宇宙用に改修したもの。

もう一機は試作ガンダム4号機ガーベラと思われます。

この二機でほとんどの軽キャノン改を落としております。」

 

「パイロットは、ガトーとシーマか……」

マ・クベは振り返った。

軍歴は長いもののこんな席に同席させられることはなかったドレンは、棒でも飲み込んだように直立不動である。

 

「ドレン中佐。」

「はっ!はい、これはわたしがむざむざゼフィランサスを渡してしまった結果であり……」

「これをどう見る?

我々に対する嫌がらせ……と考えるのが普通だ。連邦と事を起こしてしまえば、我々から連邦に詫びをいれるしかない。叛徒どもはそれを材料に我々の弱腰をついてくるだろうな。」

 

叛徒ども!!

そう言った。

公式の配信にのせたものでは無いとはいえ、ジオン軍の実質的に最高幹部であるマ・クベがそう口にだした意味は大きい。

 

「それは……もちろんですが、おそらく彼らは、新型機を試したかったのかと。

それに捕虜となった連邦軍パイロットからはジオンも承知の上のテストだったと主張しています。」

 

「ふむ。」

マ・クベは、デスクに飾った青磁器を撫でた。

「それは直接、本人たちから聞いてみよう。」

 

衛兵に案内されて、捕虜となったパイロットたちが連行されてきた。

 

「ようこそ、軍司令部へ。」

 

「マ・クベ将軍……」

あまり大物の登場に、彼らは戸惑った様子だったが、一番年嵩の中尉の徽章をつけた男が口を開いた。

 

 

「我々の目的は、モビルスーツの新機能のテストだ。これは前もってジオンに通達してある!」

 

「『不死身の第四小隊』……サウス・バニング中尉だったな。」

マ・クベがそう言うと、サウス・バニングは押し黙った。

「確かに“不死身”だな。

乗機を落とされてなお、命があるとはおそれいる。」

 

「今回は、モビルスーツの脱出ポッドのテストだったんだ!!」

口ひげの男がいまいましそうに叫んだ。

「やつらはいきなり撃ってきやかった!

なんの警告もなしにだぞっ!」

 

「なるほど。脱出ポッドのテストを手伝ったというところか。

叛徒どもからの報告は?」

 

「はい」

ウラガンは手元のデバイスに目を走らせた。

「なにものかを確認しようとしたところで、いきなり発砲された、と。」

 

「ウソだ!」

サウス・バニングがいまいましそうに呟いた。

 

「そうだろうな。たとえモビルスーツの数が同数程度でもきみたちを運んできたのは、往復用のシャトル。相手は機動巡洋艦ザンジバルだ。

自殺志願者でもない限り、ケンカを売ったりはせんだろう。」

マ・クベはちらりとドレンを見やった。

「ドレンのアルビオンが近くにいたのは不幸中の幸いと言うべきだ。」

 

「きみたちが先に発砲していないことは、俺も証言できる。」

ドレンは言った。

『不死身の第四小隊』の噂は彼も聞いたことがあった。

勝とうが負けようが生き残るとほうもなくしぶとい連中だと聞いていたがなるほど。

奇襲を受けて撃墜されたとき「たまたま」脱出ポットのテスト中だったのは幸運と言うべきなのか、悪運と言うべきか。

 

「マ・クベ将軍。ドレン中佐。

助けてもらったことには感謝する。」

サウス・バニングは四十前後に見えた。

パイロットとしては薹が立った年代だ。

その分部下たちよりも周りが見えるらしい。

「だが……ジオンはどうなっているのだ?

あいつらは本当にいきなり撃ってきやがったんだ。

また戦争がしたいのか、やつらは?」

 

マ・クベは黙って背を向けた。

 

「おい……」

 

「よけいなことを聞けば、地球に帰れるのが遅くなるぞ。」

 

 

--------------

 

 

ジオンの最後のグワジン級戦艦となったグワデンは、デラーズ・フリートにとっては司令部も兼ねている。

ザンジバル級機動巡洋艦リリー・マルレーンから発進した試作ガンダム1号機と4号機は、グワデンに着艦した。

 

こういう細かい動作こそ、パイロットの腕がわかるのだが、この二人の腕は超一流だった。

 

二人はノーマルスーツのまま、艦橋へと歩んだ。

アダっぽい色気のある女のほうが、男にふわりとよった。

ウザましそうに男が女を睨んだ。

 

「難しい顔だね。」

「……」

「ニナ・パープルトンとはうまくやっているのかい?」

「あれはうまくやっている。」

 

男はむっつりと答えた。

 

「“デンドロビウム”はすでに艤装にはいっている。」

 

「ニナ・パープルトンがうまくやっているか、ではなくてニナ・パープルトン『と』うまくやっているかきいたんだよ?」

 

 

それには答えずガトーはシーマを睨んだ。

「あれはどういうつもりだ?

今日は、ガーベラとフルバーニアンの作動テストだったはずだ。」

「いい具合に標的が転がり込んできたんだ。利用しないテはないさ?」

「……また戦争になる。」

「それがどうしたね、ガトー?」

 

シーマの笑みは限りなく邪悪でどこか悲しげではあった。

 

「わたしは、いやわたしたちは戦争屋だ。

いまの時代にわたしらの居場所なんてどこにも無いのさ。」

「だからと言って大義なき戦は……」

「くだらん。くだらないのさ。アナベル・ガトー。」

シーマは口付けでもするように顔を寄せて、囁いた。

「人殺しに大義もクソもない。

居場所がないわたしらなら、最後に花火でも打ち上げてやる。」

 

 

ガトーは言い返そうとしたが、すでに艦橋は目の前だった。

 

2人は、デラーズに敬礼をした―――シーマのそれはかなり、くだけたものであったが。

 

 

「ご苦労だった。新型の乗り心地はどうだ。」

 

「上々。」

シーマがにやりと笑った。

 

「デンドロビウムも出撃できる。廃棄コロニーへの核パルスエンジンの取り付けは完了した。」

 

「いよいよ『星の屑』を始めるってわけだね!」

 

「まあ、まだだ。物事には順番がある。」

デラーズは部屋のメインモニターを見たげた。

 

「まず、我々はジオン公国軍として、度重なる連邦軍のテロ、挑発行為に対する報復として、軍の大幅縮小を申し入れる。

まえにも話したがモビルスーツの保有数の制限やジャブローの放棄を含めた内容だ。

これに連邦は当然、拒否してくるだろう。

最終的な目標としては、我々は、コロニーを使ったジャブロー破壊を実行する!」

 

ガトーは暗い面持ちでそれをきいていた。

コロニーを落とすこと自体は難しいものではない。

だが、問題は途中で分解したりして、目標地点に落下しないことにあるのだ。

 

現に独立戦争時のコロニー落としは、ジャブローを狙ったものが、オーストラリアに落ちている。

被害は甚大ではあったが、それは地球環境とそこで暮らす人々に対するものであった。

 

ジャブローはそのほとんどが地下に建設されており、実害はほとんどなく、現に地球軍はその後、いくつかの重要拠点をジオンの地上降下軍から奪還し、再建した艦隊を宇宙に打ち上げ、ソロモンを落としている。

 

「そのまえにいくつか、やっておくべき事がある。」

 

モニターにはコロニーが映った。

 

「連邦がいかに好戦的で、いまもスペースノイドへの報復を諦めてはいないことを証明する証拠がここにある。

いま、ここで連邦はトリントンとは別ルートでモビルスーツを。次世代のフラグシップ機となる新型の開発を進めていて、その試作機が近々、完成する。

我々はこれを奪取し、連邦の陰謀を世界に暴く。」

 

ガトーとシーマはそれをその通りの意味には取らなかった。なにしろ…そこで開発中のガンダムマークⅡはティターンズの肝いりの機体であり。

そして、デラーズ・フリートとティターンズは、繋がっているのだ。

 

互いが互いの脅威を喧伝仕合い。おのれの立場を優位にするための。

例えば、コロニーはジャブローには落ちない。

それはもう決まっている。

 

ろくに動けない連邦軍に変わって、教導部隊ティターンズの活躍でコロニーは大気圏突入寸前に破壊されるか…または「軌道を逸らされた」ことになって、ジオンの駐留部隊が比較的少ない北米に落ちることになっていた。

 

シーマの視線に気づいたデラーズは少し声を落とした。

 

「我々は、とにかく連邦軍が危険なモビルスーツを開発していることを証明できればいい。稼働しているところを画像におさめられれば、撃破にはこだわらない。」

 

「了解したよ、デラーズ閣下。」

だがこちらも声をひそめて言った。

「気になるのがアルビオンだね。やつがこっちが船を出すたびに送り狼よろしくつけてくる。今回もあたしたちが落とした連邦モビルスーツのパイロットを救助していたみたいだしね。」

 

「あれはマ・クベの直命で動いているはずだ。」

デラーズは、炯々と光る眼光をガトーに向けた。

「よし。この機会にあれを落とす。ガトー、デンドロビウムで出撃せよ。

ぶっつけ本番だが、お主の器量に期待している。」

 

 

-----------

 

 

「ヤザンっ!!」

ジェリドはコーヒーを片手にぼんやりと外を眺めている上官に話しかけた。

だらしなくはだけた襟元の首すじに、キスマークが見える。

それが、あの美貌のパイロット、ソム・エドワズのものなのか、他の女のものなのか、ジェリドは怖くて聞けない。

聞いたら間違いなく、ぶっ飛ばされる。

 

「なんだ、騒々しい……」

「連絡が入ってる。」

 

ジェリドは、ヤザンの隣に腰を下ろした。

 

「ヒトマルマル、だ。」

 

ヤザンは大きく目を見開いた。

 

「そうか。あっちも完成したってことかい。そいつは…」

 

 

「言っとくが、これは俺とあんたとロベルトだけの秘密だからな!」

ジェリドは急いで念を押した。

「面白そうだから、ソムも誘ってみようとかはぜったいにやめてくれよ。」

 

 

 






ヤザンとソムはブリーフィングのあと、二人で飲みには行ったようですが、そのあとどうなったかは内緒。
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