熟練の海兵隊に抵抗するグリーンノアの保安隊に勝機はあるのか。
平凡に暮らしていた一人の少年のまえに黒いモビルスーツが現れた時、運命の歯車が、ひとつ回り出す。
次回機動戦士Gundam GQuuuuuuX「ジェリド、堕つ」。
きみは刻の涙を見る。
カミーユがまっすぐ避難所に向かわなかったのは、フランクリン・ビダンにまっすぐ避難所に向かえと指示されたからだ。まったく反抗期の若者はこれだから困る。
格納庫があるブロックの辺りから爆発音が気が聞こえた。
住居区画とはそれほど離れてはいない。
攻撃!
戦闘が行われているのか!
コロニーの中で。
流れ弾がカミーユから見えるビルに着弾した。
コロニー内での戦闘において被害が拡大し過ぎないためにビームではなくあえて実弾を使用している機体があると聞いたことがある。
サイド6の軍警がザクを使っているのは、単に払い下げの価格がお手頃価格だからという以外にそんな理由もあるのだ。
だがその「被害」の意味はコロニーの外壁に穴があくとかそういったコロニーの構造そのものに対する「被害」を言うのであって、被害がでないわけではない。
爆風や爆散した破片は、カミーユのいるところまで飛んできた。
逃げ惑う人々のなかにカミーユは顔見知りを見つけた。
「ファ!!」
「カミーユっ!」
倒れた彼女を抱き起こした。
怪我は―――
ないようだ。
驚いたのと、爆風に煽られたためだろう。
ずううっん。
重い響きがきこえる。
戦闘は続いているのだ。
「逃げよう!」
カミーユはファ・ユイリィの手をひいて立ち上がらせた。
「に、逃げるって、どこに。」
「なにをしている!」
パニックになった人々を誘導していた青年が声をかけてきた。
淡い色のスーツにサングラス。
グリーンノアに住む人は、なんらかの形で研究施設の関連者やその家族が多い。
スーツなどを着るのは研究所の幹部、例えばカミーユの父のような立場のものくらいで珍しい。
「早くシェルターへ。」
と、言いかけて、青年はカミーユを少し驚いたように見た。
「……きみは?」
「あなたこそ、誰です?」
カミーユは聞き返した。
「ああ、わたしは少しモビルスーツに興味があってね。昨日、シャトルでグリーンノアについたばかりなんだ。」
「ずいぶんと、落ち着いてるように見えますね。まるでモビルスーツがコロニーに侵入する状況になれてるみたいだ。」
カミーユは青年をにらんだ。ふわりと柔らかい金髪。整った顔立ちは誰かに似ている。
「慣れているわけではないが。」
青年は口元に笑みを浮かべた。
「…けっこう前だが、同じような状況は経験している。」
そうだ。
カミーユは思い出した。
この前ジェリドやヤザンさんと一緒に食事をしたときにあった金髪の女性パイロットになんとなく似ているのだ。
「あの…ひょっとしてソム・エドワズさんという人を知っていますか?」
「知らない…が、なんとなく聞き覚えのある名前ではあるな。どんな人物かな?」
「最近、グリーンノアにきた女性テストパイロットで…あなたと同じようなきれいな髪をしてるんです。」
まさか!
青年はなにやら血相をかえて口のなかでつぶやいた。
だがそこはのんびりと落ち着いて話しができる場所でもなかった。
彼らが立っているすぐ隣の建物。
そこにモビルスーツが落下してきたのである。
金髪の青年はとっさにカミーユとファを守るように2人を抱き抱えたが、パラパラと破片が落ちただけで、3人とも無事だった。
黒に見えるほど濃紺に塗られたモビルスーツ。
よくテストパイロット施設に通っていたカミーユはひと目でわかる。
ティターンズの依頼を受けて完成したガンダムマークⅡだ。
最新のムーバブルフレームを取り入れ、頑強さと柔軟な動きを両立している。もちろん、装甲やセンサー、ジェネレーターも一新されている、
そのまま、量産するにはコストが気になるところだが、トリントンの開発チームによる試作ガンダムとは違った手堅い正統進化したモビルスーツだ。
コックピットが開いて現れたのは、カミーユも知った顔だった。
「ジェリド! なにやってんだ! もう少しで踏み潰されるとこだよ!」
「クソッ、アホが、チクショ…」
コクピットからはい出ながら、ボキャブラリー貧困な悪態をつくジェリドに外傷はないようだった。
「カミーユ! てめえの親父はどうかしてるぜ! 試運転もしてないマークⅡでいきなり迎撃に出されるとは。」
「ええ! じゃあヤザンさんたちも!?」
「ああ、試作機は3機出来あがってるからな。ヤザンの兄貴とロベルトさんも一緒に迎撃にあがってる。」
どおおんっ!
爆音は研究所施設のほうからだった。
「ガンダムマークⅡは全部、出撃済み…という訳か。」
金髪の青年が呟やいた。
ジェリドが、ああ?と胡散臭げに青年を見る。
「てめえはだれだ?」
「モビルスーツの開発に少し興味があるものだよ。」
「どっかの研究施設のスパイかなんかか?」
そう言うジェリドの口調にとくに青年を非難する調子はない。
「そんなところだ。」
青年はにっこりと笑った。
ジェリドとそう年は違わないだろう。まだ二十代の前半といったところだ。
190を越える大男のジェリドに比べれば一回り小さい。だが、「人物」が違う。
それは青年がくぐって来た場数の差によるものだろう。
「特に攻撃を受けた様子もないのに落ちてきたが、問題でも?」
「あ…ああ、あんたもパイロットなのか?」
「元、ではあるがね。」
「バランサーだ。調整がうまく行ってないんでクセがすごい。」
「ふむ。その程度ならなんとか。」
青年のサングラスの奥で目がキラリと光ったような気がした。
また爆発音。
彼らとは少し離れてはいるが市街地だ。
カミーユは、コクピットを見上げた。
シュミレーターだけならなんどもこなした事がある。
そのまま、建物を押しつぶすカタチでしゃがみこんだガンダムマークⅡによじ登った。
コクピットに身体を滑り込ませる。
操作パネルは起動したままだった。
「やめろ! カミーユ!
貴様はオレの…」
ジェリドが叫んだか、カミーユは構わず、コクピットを閉め、ガンダムマークⅡを立ち上がらせた。
軽く足をまげ。そのままジャンプする
勢いでバーニヤをふかす。
「カミーユっ!!」
ファは叫んだが、発進の衝撃でおきた風に煽られよろめいた。
青年がその身体を抱きとめる。
「やれやれ、先を越された。これが若さか。」
青年はつぶやいた。
ファの無事を確認してからジェリドに向き直る。
「まだ使えるモビルスーツは残っているかな、ジェリド・メサ。」
「な、なんなんだ、あんたは。」
「元連邦軍のクワトロ・バジーナという。合言葉は、ヒトマルマルだったかな?」
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ヤザンは相手を押している。
シーマの海兵隊の質は高い。
だがそれ以上にヤザンの操縦技術が高いのだ。
クソッ!死ね!死にやがれ!
悪態が多いのにボキャブラリーが貧困なのは、ジェリドと師弟共通のものがある。
そして多少のクセはあるものの、ガンダムマークⅡの性能は、グリーンノアに侵入してきたゲルググMを上回っていた。
だが、相手もしぶとい。
というか、ヤザンはコロニーへの被害を気づかってビームライフルを使わないでいるのに、相手は機銃を遠慮なしに撃ってくる。
流れ弾が市街地に行かないように、位置を調整しながら。ときには避けられる射撃もわざわざ盾で受けながら、ヤザンはウンザリしている。
こんな戦い方は彼の本意ではない。
だが不本意な戦いでもやればやってのけるのが、ヤザン・ゲーブルである。
侵入したゲルググMは3機。
ジェリドが勝手に脱落してしまったから3対2である。
トアールコロニーで拾ったロベルトは意外に頑張っていた。
機体のバランスは実際に動かして調整しないとデリケートな部分がある。
このガンダムマークⅡはその調整すらしていない。
ティターンズのバスクはとにかく、ガンダムマークⅡを早く欲しがっていた。
実際に戦闘にどうこうとかではなく、なにかでガンダムマークⅡをお披露目したかったのだ、とヤザンは踏んでいる。
それがどこか、なぜかまではわからないが
『ロクでもないことに違いない。』
そう断言できるのはオールドタイプのカンである。
こちらがビームライフルを使わないのを「使えない」と勝手に勘違いしたのだろう、
対峙するゲルググMの動きがわずかに単調になる。
そこを。
ゲルググMのメインカメラを、ガンダムマークⅡの頭部バルカンが破壊した。
メインカメラだけではない。センサー類はその辺りに集中している。
動きを止めたゲルググのコクピットを。
ヤザンのガンダムマークⅡのビームサーベルが貫いた。
ジェリドが落っこちたので「ジェリド、堕つ」は間違いではないと言うことで。
次回果たして...ZETAの鼓動まで行こうかどうしようか。