第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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デンドロビウム。
これまでのモビルスーツもモビルアーマーも、その概念を覆した巨大兵器がアーガマを襲う。
鉄壁の守りと超火力。
苦戦をしいられるアーガマに、ついにあの男が立ち上がる。

次回機動戦士Gundam GQuuuuuuX「百式」。
きみは生き延びることができるか。





第17話 黒いガンダム~百式

男は、研究室にいた。

モニターの数はざっと三十。全てに似たような、しかし細部の異なるモビルスーツの3Dで描かれた設計図が表示されている。

ジェリド・メサに連れられたクワトロ・バジーナが入っても男は、仕事に没頭していた。

 

「テム先生。」

 

見向きもしない部屋の主に痺れを切らしたのか、ジェリドが声をかけた。

 

「どうした?」

テム・レイはやっと顔をあげた。

「…なんだ、ジェリドじゃないか。マークⅡの納品は終わったのか?」

 

「いや、ジオンのゲルググが侵入してきて、街や研究施設に被害がでたんです。」

 

「それは大変だったな。で、マークⅡは?」

 

「ゲルググを撃退したあと、宇宙に出ました。むこうはザンジバル級が一隻とムサイ3隻からなる艦隊です。まだ戦いは続いているか、と。」

 

「すると相手のモビルスーツは約1ダースか…」

テム・レイは首をひねった。

「…ならジェリドくんの乗ったマークⅡはどうなったのかね?」

 

「俺はバランサーが悪くて落下しました。

かわりにカミーユが乗ってゲルググを撃退したみたいです。」

 

「まだ、彼は子供だろう!」

怒ったようにテムは言った。子どもを戦場に出すことには昔も今も敏感な男である。

 

「まあ、なんだか、あいつは未調整のモビルスーツを動かす為のカンは俺よりいいです。それにあくまでもこれはマークⅡを届けるだけの仕事ですよ。ゲルググは街に被害が出るのも平気で、研究施設を攻撃してましたから、これを撃退したのは仕方ないというのもありますし。」

 

「これはすべて可変機の設計でしょうか?」

ジェリドと一緒に入ってきた青年が、モニターを覗き込んだ。

 

「まだ大半は設計図段階だ。可変機そのものに対する偏見もまだまだ高い。」

 

「完成したものはありますか? テム・レイ先生。」

 

そこではじめてテム・レイは青年に向かって「君は誰かね」ときいた。

「元連邦軍のクワトロ・バジーナ大尉です。」

 

「ほう? きみが重力下でのクラバの創始者、クワトロくんかね!?」

「はい、博士のご子息はいまわたしのクランで活躍いただいています。」

「そうかね。」

 

神経質な学者または技術者の顔は、あまり表情を変えなかった。

 

「では、アムロに伝えてもらえるかな。

学資はこちらから出せるので、早く進学を決めるように、と。」

 

「分かりました。」

素直にクワトロ・バジーナはそう答えた。

テム・レイはじろりと彼を見やった。

 

「いや、サイド6から公認されたようにクランバトルが、単にパイロット崩れが払い下げの中古機で格闘ショーを見せるものでないことは承知している。

アムロの戦いぶりも配信で見た。

重力下でも『ガンダ厶』の運用には支障はないようだな。」

 

「優しいお子さんです。」

 

テム・レイは満足そうにうなずいた。

 

「それでなにか用なのかね、きみたちは。」

 

「完成している可変機がある、とジェリドから報告を受けております。」

 

「…欲しいのかね。」

 

「ティターンズの横暴を阻止するための力を欲しております。」

 

「クラバのオーナーとしてではなく?」

 

「いまは『エゥーゴ』に所属するひとりのパイロットとしてのお願いです。」

 

テム・レイは、静かな目でじっとクワトロを見つめた。

 

「…ニュータイプ…というものなのかな、きみは。」

 

「…恐らくは。」

 

テム・レイはくるりとデスクを向くとなにやら書類を書き始めた。

 

「…ニュータイプという連中は、動かせる機体が強そうだったりすると勝手に持っていきたがる連中だと認識していたが、きみは違うようだな。」

 

「…そのようなニュータイプがいたのでしょうか?」

 

「さあ。むかし、サイド7でジオンの将校にそんなノリでモビルスーツを奪われたことがある、というだけだ。」

テム・レイは書類を差し出した。

 

「これは?」

 

「ここはフランクリンの研究施設なのでな。所有権はやつにあるので『譲渡』はできん。それにティターンズはあくまで“連邦軍”としてここと取り引きをしているのだ。正面きって対立するのもまずかろう。」

 

ジェリドがあんぐりと口を開けているのをみて、テムは嫌な顔をした。

 

「…なにかね、ジェリドくん。」

 

「…い、いえ、あんたにそんな常識ある判断が出来るとは。」

 

「人をなんだと思っている?」

 

クワトロは渡された書類をじっくりと眺めた。

 

「…なるほど。テストを兼ねて、機体をわたしのクランに貸し出していただけると?」

 

「そうだな。」

テムはそれでもう興味は失った、とでも言うようにデスクに向かって作業をはじめた。

 

 

「起動コードは1-0-0だ。」

 

「ほう?」

と、睨まれて、ジェリドは慌てて答えた。

 

「ああ、そうだ。合言葉のヒトマルマルマルはそこからとったんだ。デルタの開発コードでもある。」

 

「なんともやる気のない合言葉だと思っていたが。」

クワトロは、テムの後ろ姿に敬礼した。

「では、テム博士。

可変モビルスーツをお借りいたします。所属は地球連邦軍モビルスーツテスト艦“アーガマ”。呼称は起動コードに因んで“百式”とさせていただきます。」

 

「うむ。」

 

もう用は済んだと言わんばかりに、背中を向けたままテムは手を振った。

 

 

-------------

 

 

「なんだ!あれは。」

「モビルアーマー…? モビルスーツ?」

「でかいぞ。全長100メートル以上ある。」

「しかし、あの加速は!!」

 

ブライトは呼びかけた。

「アムロ、ニャアン。アーガマの直衛に回れ。できるか?」

 

「相手のモビルスーツ1機は撤退。ほかはすべて行動不能。

アーガマの援護に回ります。」

「ニャアンも了解です。」

 

「ガンダムマークⅡ! そちらはまだ調整が済んでいない。まずアーガマへの着艦を優先しろ。」

 

「おう、わかった…と言いたいが」

野性味のある男の声が返ってきた。

「どうもありゃ、ただものじゃねえな。船ごと棺桶にされねえためにはもうひと踏ん張り必要かもなあ。」

 

 

「…なにを言ってる!!」

怒声が割って入った。

連邦軍の公式通信である。トロイホースにも当然、受信できる。

「こちら連邦軍教導隊バスク・オム少佐である! ヤザン! 予定通りにトロイホースに帰投せよ。」

 

 

「いやあ、バスクの旦那。こいつはまだバランサーの調整も済んでない未完成機なんですわ。」

笑いを含んだ声でヤザンは返す。

「モビルスーツ運用試験艦“アーガマ”にて調整、および運用テストを行うよう正式な命令書が届いてますぜ。」

 

「そんな指示は出してない!!」

 

「そりゃあ、あんたはたかだか教導隊の指揮官だ。あんたの知らない命令だってたくさんあるし、予定の変更だってあるでしょうなあ。」

 

バスクは、シナプス艦長へアーガマへの砲撃を命令したが、当然拒否された。

 

 

 

---------------

 

 

 

“なんだ、これは!”

 

接近するモビルアーマーは加速力は凄まじい。

だが、モビルスーツほど流石に小回りは利かないし、的はでかいのだ。

 

アムロのビームライフルは何度となく相手を捉えている。だが効いていない。

ビームが弾かれている。

 

「天パさん。Iフィールドです。」

ニャアンが言った。

「ビームはダメです。」

 

アムロたちの視界にもその全容は捉えられている。

2つのコンテナの間にガンダムタイプのモビルスーツを埋め込んだ異様な姿だった。

 

本体から伸びる大型のビーム砲はその砲身だけでも90メートルはあるのではないだろうか。

 

ドウッ!

発射されたビームは再び、アーガマに到達直前に弾かれた。

 

「あれが、ジークアクスの真の姿…」

 

ジークアクスのアンテナが変形し、口の部分が吠えるように開いている。

その体の全面に円形の盾が浮かんでいる。

 

メガビーム砲を遮ったのは、その力らしかった。

 

加速していったんアーガマを通り過ぎたモビルアーマーは、マニュピレーターに巨大なビームサーベルを発生させた。

 

戦艦をも両断できる長さのビームサーベルだ。

 

アムロはビームライフルを命中させた―――だが弾かれる。

 

接近したモビルアーマーが長大なビームの刃をふるった。

ギャン!!

 

回り込んだジークアクスが、自らの盾でそれを受け止める。質量差で、ジークアクスはくるくる回りながら吹っ飛んだが、ビームサーベルの軌道もそれた。

 

「左舷弾幕!」

 

アーガマの武装は機銃だけだ。

高速で動き続けるモビルアーマーを捉えることは難しい。だがまともな武装を持っていたとしても効果は薄かったかもしれない。

メガ粒子砲はIフィールドで弾かれ、ミサイルでは追い切れない。

 

「こんのぉ!」

マチュは叫んだが、既にモビルアーマーは飛び去っていいる。

 

「アムロ! バズーカを射出する。」

ブライトは口早に言った。

「相手はIフィールドを装備している。ビームライフルは効果がない。」

 

「ブライト中尉。」

冷静にシャリアが言った。

「あの速度ではバズーカでは捉えきれません。」

 

「向こうの攻撃もジークアクスの妙なバリアで防いでいる。なんとか向こうの武器を消耗させて撤退におい込めれば…」

 

「残念ながらどうも形状からして、武器庫を背負って戦っているようなものです。弾切れは期待できませんね。それに武装もビーム砲やサーベルだけとも…」

 

 

三度、モビルアーマーが接近する。

今度は相対速度を合わせてきている。

 

“実体弾の攻撃だ!”

マチュは理解した。

“けどなにが来たってジークアクスとわたしが防いでみせる!”

 

モビルアーマーは、アーガマの回りを周回するような起動を描きながら、ひも状のものを射出した。

アーガマを取り囲むように円状に射出されたその紐は、アーガマを中心にその直径を急速に縮めていく。

 

アーガマの機銃に。

アムロの、カミーユの、ロベルトのビームライフルの狙撃でその紐の何ヶ所かで爆発が起こった。

 

「爆導索だっ!」

 

ヤザンのマークⅡが突っ込んだ。

 

頭部のバルカンとビームを乱射。

 

爆導索に仕掛けられた爆薬が次々と爆発していく。

アーガマへの直撃は免れた。

 

だが

 

爆炎の中に、マークⅡの機体は飲み込まれていった。

 

「ヤザンさんっ!」

 

カミーユは叫んだ。

 

爆炎のなかから。

ヤザンのマークⅡは姿を現した。

盾を失い、頭部は半分かけている。

左の脚も膝から下がない。

だがまだその全身は原型を留めている。

 

カミーユとロベルトのマークⅡがよりそうように、姿勢制御もままならなくなった機体を支える。

 

「アーガマへ。こちらはクワトロ・バジーナ。早くマークⅡをアーガマに帰投させるんだ。」

 

「大尉! いまどこに…」

 

「グリーンノア内部だ。新型を受領した。

これより戦線に復帰する。」

 

 

-------------

 

 

「では先に行くぞ、ジェリド。」

「ああ、ザクならなんとか動かせるのがありそうだけど」

「この局面ではザクはかえって足でまといになる。」

 

クワトロ・バジーナはコクピットを閉めた。

 

「クワトロ・バジーナ。百式、出る!」

 

 




いや、デンドロビウム強すぎる。
どうやって攻略するのか、作者まで悩ませる。

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