第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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傷ついた機体で、ノイエ・ジールに挑むデンドロビウム。
コンスコン艦隊の乱入で、戦場は混迷を極める。
白い悪魔と金の閃光が入り乱れる戦場に、解決の光は指すのか。






第17話 黒いガンダム~困惑の戦場

ノイエ・ジールのパイロットは思う。

 

元は連邦の士官学校で、パイロットとして養成を受けた。

実戦に出る前に、戦争は終結。

 

配属されていたトリントン基地は、そのままジオン公国に接収された。

テストパイロットとして将校待遇で採用してくれるというジオンの話に抵抗はあったが、連邦軍からはすでにそのまま除隊するように命令が出ていたので、宛もなくそのまま、トリントン基地に「就職」した。

 

また連邦とジオン公国がきな臭くなれば、トリントンも最前線になることにもあるだろう。

その場合には。

基地司令は、あっさりと言った。

 

「解雇させてもらう。規定の退職金はだすし、最寄りの街までは運んでやるが多くは期待するな。」

 

コウ・ウラキはそのまま、5年ばかりテストパイロットを続けた。同じような立場の元連邦軍もいたし、モビルスーツ開発の進捗に伴って、民間からの技術者も増えたので、孤独感はなかった。

いつからこんなことになったのだろう。

 

そうか。

ニナだ。月面出身の技術者。

美人だったから声をかけたのはコウの方だったが、付き合い初めてみるとなかなかに驚かされることが多かった。とくに自分の開発するモビルスーツへの偏愛には少し引いていた。

いくらなんでもテストパイロットに、事前の連絡もなく、実戦形式のテストを行うのは無茶だろう。

マチュたちはよく、あれに付き合っていたものだ。

 

いや。

そうではなかった。

ニナ・パープルトンは自分にとって、運命の女性だった。

それをガトーが奪ったのだ。

ガトーっ!!!

 

コウはアンプルを取り出して腕に打った。

頭が混乱したときにはこうしろ、と言われている。

 

相手の艦隊で落としていいのは、旗艦以外の一隻のみと指示されていた。

 

相手のザンジバル級から発信したモビルスーツは3機のみだ。味方のモビルスーツが、取り囲むように接近する。

 

ムサイのメガ粒子砲が、ノイエ・ジールのIフィールドに当たって霧散する。

 

コウは無意識に敵を探していた。

 

ガトー、ガトー、ガトーおおおおっ!!

 

ガトーが。

 

―――いた。

 

それは巨大なコンテナを背負った異形のモビルスーツ。

いずれコウが対峙するべき仮想敵としてさんざんシミュレーションを行った。

試作ガンダム「デンドロビウム」。

 

 

こみあがったのは怒りだったのか。

 

それとも歓喜だったのか。

 

「俺のために、俺のために来てくれたのかっ、ガトーっっっ!!」

 

コウの意志のままに、クローアームが射出される。

本体内蔵のビームキャノンを発射。

これはかわされた。

 

あれを落とす。

それ以外のことは考えるな。

 

教わった通りに、コウはノイエ・ジールを駆って、デンドロビウムに襲いかかる。

 

 

----------------

 

 

ガトーのデンドロビウムを、新型モビルアーマー、ノイエ・ジールのビームが掠めた。

不味い。

 

さっきのバズーカの一撃は、Iフィールド発生装置にもダメージを与えていた。

Iフィールドが発生していない。

 

一方で。

ノイエ・ジールはIフィールドを搭載しているはずだから、ビームの撃ち合いは一方的なものになる。

 

爆導索、コンテナミサイル。さらには主砲であるメガ粒子砲。

武器の損耗はもちろん、損傷は意外に大きい。

 

ガトーは核となるモビルスーツ、ステイメンのマニュピレーターに、実体弾のマシンガンを握らせた。

 

ありったけのミサイルを発射するが、これは撹乱にしかなるまい。

 

マシンガンで牽制しつつ、接近してメガビームソードでの攻撃。これ以外に勝機はなかった。

 

ノイエ・ジールはまた本体からビームを発射した。

 

辛うじてかわすが、またコンテナの一部が破損した。

 

「ぬうっ!」

 

さらに上空から。

下方から。

 

クローアームからの二条のビームがデンドロビウムを貫いた。

 

「シーマ!!

最後の一人となってもデラーズ閣下のもとにたどり着き、わたしの戦いを語り継いでくれ!」

 

爆散するデンドロビウム。

 

コウは呆然とそれを見つめた。

 

デンドロビウムを倒すことだけを条件付けされたかれの脳は、デンドロビウムの消滅と同時に一瞬動くことをやめたのだ。

 

その爆炎のなかから。

 

モビルスーツが躍り出た。

 

「デンドロビウム」の操作系を担っていた核となるモビルスーツ「ステイメン」だった。

その手に握られたマシンガンの弾丸が、ノイエ・ジールの装甲に跳ね返る。

 

「しぶとい!」

 

ノイエ・ジールのクローアームがステイメンを殴り飛ばした。

 

制御を失いながらも、ガトーのマシンガンは、ノイエ・ジールを捉え続けている。

 

その十字架を思わせる身体に備えられたメガ粒子砲のいくつかが破損した。

だがそこまでだった。

 

有線でコントロールされるクローアームが開いた。

備えられたメガ粒子砲は、ガトーごとステイメンを一撃で葬り去るだろう。

 

ガトーは目を見開いた。

 

最後の瞬間まで彼は諦める気などなかったのだ。

 

「うぉぉぉぉっりゃぁっ!!!」

ガトーのステイメンの肩が乱暴に掴まれ、そのまま後ろに投げ出された。

モビルスーツ同士が触れ合っていたため、ガトーにも彼女の声が聞こえたのだ。

 

「頼むよ! ジークアックス!」

 

ガトーを押しのけたモビルスーツの全面に、光の盾が現れた。

クローアームから発射されたメガ粒子砲が、盾に当たって消滅する。

 

先ほどまで、ガトーのアルビオンへの攻撃をさんざん、邪魔してたガンダムタイプのモビルスーツだった。

 

 

コンスコン艦隊のモビルスーツ隊にも悲劇が訪れていた。

 

金の閃光が。

白い颶風が。

 

走り抜けたとき。

 

4機のモビルスーツが行動不能にされていた。

 

コンスコン艦隊配属のモビルスーツはいずれもゲルググタイプ。

初期型からさらに改良を加えた最新機だった。

 

それが、あるものは頭部を。あるものは武器ごと両腕を。

一瞬で破壊され。

 

それでもコンスコン艦隊のモビルスーツは精鋭揃いだ。

ガンダムを標準化したゲルググをさらにスペックダウンさせたような白いモビルスーツと、金色の戦闘機に攻撃目標を変える。

 

ビームライフルの中を掻い潜るように、白いモビルスーツは接近し。

辛うじてビームサーベルを抜いた隊長機の両腕を切断していた。

 

金色の戦闘機は戦場を駆け抜けた。

たしかに戦闘機は早い。単純な加速力なら、宇宙でもモビルスーツに勝るものがある。

 

だが後ろに回り込んでしまえば、モビルスーツの独壇場だ。旋回してビームをこちらに向き直すまでに確実に撃墜―――

 

戦闘機は。

追いすがるコンスコン隊の目前で人型へと変形した。

 

「へ、変形しただとおっ!」

 

無防備な戦闘機の後ろをとったつもりのゲルググの目の前にビームマシンガンの銃口が光った。

 

 

ニャアンは、ビットを射出した。

 

ここまではクワトロ大尉に抱えてきてもらったが、機体は故障しまくりだ。

 

それでもサイコミュは動く。ビットも動く。

エネルギーキャップの再充填は装置の故障で出来ない。

それでも1回の斉射でゲルググの頭を吹き飛ばした。

 

---------------

 

コンスコンは艦長席にへたりこんでいた。

 

「ば、バカな。最新鋭のゲルググが全滅!!…3分ももたずにか…ば、ばけものめ。

相手がシャアやシャリア・ブルでもあるまいし!

…モビルスーツパイロットを回収させろ。

あの落とされ方ならコクピットは無事かもしれん。やつらの相手はノイエ・ジールにさせるんだ。」

 

 

----------------

 

 

“厄介だな。”

百式のビームマシンガンは、Iフィールドに虚しく火花を散らす。

「下か!」

 

ノイエ・ジールのクローアームから発射されるメガ粒子砲は、戦艦の主砲並みの威力がありそうだった。

 

「左!」

 

百式の金色のビームコーティングは、かなり優秀なものだという。

だがどうにもその効果を試す気にはならなかった。

 

「当たらなければ、どうと言うことはないっ!!」

 

とは言え、クローアームの動きは厄介だった。Iフィールドに守られた本体はともかく、アレをなんとかせねば。

 

 

 

「うわあっっ!!」

アムロの“ガンダム”がメガ粒子砲をかわしながら、ビームライフルを発射。

クローアームのひとつが爆散する。

 

「こんのやろおっっっ!!!」

マチュのジークアクスが、もう片方のクローアームに突進。

発射されたメガ粒子砲を盾で相殺しながら、ビームサーベルを抜いた。

 

サーベルの刃は変形、巨大化して斧のような形状を作る。

クローアームは半ばまで切断された。

 

本体に戻ろうとするクローアームに、ゾックがかじりついた。

そのまま、ノイエ・ジールの本体まで引き寄せられたゾックは。

 

ンベ。

 

トリモチ弾を発射。

 

それしか武器が残っていなかったのだ。

もちろん巨大なノイエ・ジールの動きそのものを拘束するほどの力はない。

だが、本体に内蔵されたメガ粒子砲のいくつかを封鎖するには十分だった。

さらに、死角から接近したガトーのステイメンの機銃が、重要なセンサーのいくつかにダメージを与える。

 

-------------

 

 

シーマは、トリントンで自分のゲルググに損傷を与えたガンダムタイプのモビルスーツをもちろん、よく覚えていた。

今度あったらあの赤毛のパイロットともども、粉々に粉砕してやる。

そう決めていた。

それが。

リリー・マルレーンを守るかのように奮戦を続けている。

 

「きさまあっ!!」

シーマは思わず一般回線で叫んでいた。

「いったい、どっちの味方だっ!?」

 

 

 

 

 




うーん。不殺主義の主人公がいると、お話が混乱しますね。SEEDはよくストーリーを着地させたなあ。
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