第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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バトルシーンが苦手です。
なので、登場人物が「むうっ!あれは伝説の!」「知っているのか、××!」とか説明してくれるとありがたいのですね。
で、今回はなんと強化人間プラスニュータイプのスペシャルマッチの解説のためスペシャルゲストを読んだまいりました。
コミックまで追っかけきれてはいないんですが、ネット調べではちゃんとした外見描写や発言が出てこないので、想像です。
(異論は認める)





ネオ香港奇譚4

「どこまで運ぶつもりだ?」

輸送機に積まれてからかれこれ1時間はたっていた。

長時間コクピットにいることだけでも人間は消耗する。

ふたりの強化人間は、そういったものとは無縁のはずではあったが、それでも1時間という時間は尋常ではなかった。

 

実弾のみとはいえ、ガンダムヘビーアームズの火力のテストの名目で、射撃武器は使っていいことになっている。

人口密集地からはある程度距離をとらなくてはクランバトルなど無理なのだが、それにしても長い。

 

「ずっと洋上を飛んでいる。」

モビルスーツ同士は接触できる距離にあったから、手を伸ばしてサイコガンダムRに触れることで、トロワとフォウは会話が出来た。

 

「ドゥーは、前の試合では水陸両用型のモビルスーツを使っていた。」

フォウは、明らかに機嫌が悪い。

「まさか、このまま海に投下して、水中で戦わせるつもりか!?」

 

「クランバトルは賭け試合だ。」

トロワは答えた。

「そんなことをすれば賭けが成立しなくなる。

ありうるとすれば、どこかの離島だな。」

 

「そんなところだろうが。」

フォウはいらいらと言った。

トロワは眉をひそめた。

精神的な不安定さはフォウの弱点だ。

 

そのとき。

ガンペリーが降下にはいった。

 

雲を抜けると、海上にいくつもの島が点在している。

トロワの予想通りだった。

島、か。

 

悪くはない。

ヘビーアームズの火力ならば、逆に逃げ場はない。

開始合図と同時に最大火力で、島ごと吹き飛ばしてすべてを消滅させる。

 

 

-----------------

 

 

「南海の大決闘! 殺戮人形&白薔薇仮面VS“戦慄”&“衝撃”」

 

新しく刷り直したポスターをまえに、デニムは苦い顔だ。

 

「ビジュアル的には悪くないですよ。」

ジーンが慰めるように言った。

しかし、これでは子供向けの怪獣モノのコンテンツではないか。

 

「賭けの方も、けっこういいオッズに落ち着きました。ムラサメ研といってもなんのことか普通にはわからないので、心配しましたが。やっぱりパイロットのビジュが良いのはありがたいですね。」

 

会場を人の住まない離島にしたらどうかと発案したのもジーンだった。

“ガンダムヘビーアームズ”とやらの火力を考えたとき、市街地への安全策としてはこれ以上のものはない。

もう一機。サイコガンダムRと名乗るガンダムタイプはまったく未知数だった。

 

目立った固有武装はない。

 

かつてイズマコロニーに現れたものと外観は似ている。だが、本体内蔵のメガ粒子砲はなく、ミノフスキークラフトとIフィールドもオミットされているようだ。その結果サイズは通常のモビルスーツサイズだった。

 

デニムはため息をついた。

「ララァ……あの仮面はどうにかならなかったのか?」

「その分、盛り上がりますよ。」

ジーンは涼しい顔だ。

 

「……で、問題はドゥーだ。」

デニムはポスターを指先で叩いた。

 

ドゥー・ムラサメ。

 

ムラサメ研究所の被検体ナンバー2。

 

「結局アッガイしか手に入らなかったのか?」

「試合会場は。小島です。中には河川もあれば湖もある。水陸両用型はかなり有利に戦えるはずです。」

ジーンはにやりと笑う。

 

デニムは口をつぐんだ。

(……なるほど、そういうカードか。)

 

--------------

 

 

一方その頃。

離島の真ん中の湖の畔に、ドゥーはララァと並んで立っていた。

ふたりのモビルスーツはその傍らに跪くように停止している。

 

「ここで戦うのですか……」

ララァは呟いた。

木々の緑と真っ青な海。見た目だけなら楽園だ。

だが、十分後には砲火で焼き尽くされるだろう。

 

「なに? 怖いの?」

 

「……正直に言えば。」

 

「それはあたりまえのことだよ。」

 

ララァは顔を上げた。

「怖がることが?」

「ボクはそういう怖さを“強化”で取り除いている。それをボクは進化だと思っていたけど、いまはその感情をもったままサイコミュを使えるキミが恨めしい。」

 

その言葉に、彼女は小さく息を呑んだ。

 

 

-------------

 

 

「デニム。一緒に観戦するぞ。」

ドアが開いて、入っていきた高級なスーツの男に、デニムは息を呑んだ。

アナハイム・エレクトロニクス社のウォン・リーだ。

なんども顔を合わせてはいるが、クラバの事務所に足を運んできたのは初めてだ。

 

「どうしたんですか。いえ……もちろん大歓迎ですが。」

 

「こちらの方が是非、きみたちと一緒にこの試合を観戦したいとのことなんだ。」

 

ウォンの紹介も、デニムのどうぞの声を待つこともなく、その人物はズカズカと事務室に入り込んできた。

 

「やあやあ。ここがクランバトルとかを仕切ってる闇組織の本拠地というわけだね!?

なかなか、風情があるじゃないか!

きみ!

きみがこの組織のボスというわけか。いい面構えだが、あんまり大物感がないねぇっ!!」

 

タイトスカートの大柄な女だった。

黒髪をショートカットにするのは若い女性の間では流行っていたが、彼女の場合は単にシャワーのあとで乾かすのがラクだからそうしているのたろう。

そう思わせるガサツさが、言葉にも態度にも現れている。

 

シャツの上から白衣をまとっていた。

 

度の強いメガネをかけていて、目元はよくわからないが、美人の部類にははいる。

彼女は勝手に、モニターが1番よく見えるソファにどっかりと腰を降ろした。

 

「なるほど! 試合会場は無人島にしたのか! なかなかよいアイデアだ。

ヘビーアームズの火力は、モビルスーツ1個大隊に相当するからね。」

 

「だれです……」

 

デニムは恐る恐るウォン・リーにたずねた。

 

「……ムラサメ博士だ。」

 

 

 

 




すいません。ネオ香港篇もうちょっと続きます。
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