第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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ついに動き出した星の屑。
コロニーを移動させるデラーズ・フリートの出鼻を挫かんと、アーガマは、ソドン、アルビオン、ラーディッシュとともに戦いの地へ赴く。


第19話 星の屑〜エウーゴ艦隊

そこには、戦艦の影も邪魔する光もない漆黒が広がっていた。若者たちが抱く可能性と野心を、まるで全て受け止め、飲み込むかのような深淵。

紫を纏った AMX-003 ガザC が滑るように進み、冷たく光るアイセンサーを点す。

操縦席にいるのは十代の少女だ。パイロットスーツさえ着用していない。

名をハマーン・カーン。その瞳は虚空を凝視し、躊躇いひとつなく操縦桿を握っていた。

 

「すっごい、プレッシャーじゃない。」

マチュは背中がじんわりと汗で冷たくなるのを感じていた。

乗り慣れた愛機ジークアクスは。

沈黙を保っている。まるで自分ひとりでどこまでやれるかやってみろ、とでも言うように。

「やってみせるよ、ジークアクス!」

 

 ――立場は違えど、世代は同じ。互いの距離は近く、そして遠い。姉妹のようにも、ライバルのようにもなり得る二人。

 

模擬戦開始

信号灯が淡く瞬き、模擬戦開始の合図を放つ。次の瞬間、二機の少女の機体は宙域に火花を散らした。

「落ちろ!」

ハマーンの声は冷たい。まるで命令でも下すような険しい。

 

ガザCが変形、鳥のような滑空形態で高速移動し、閃光めいたビームを連射した。

 

「そんなのぉ、あ、た、ら、なあい!」

 

マチュはすぐに反応。ジークアクスの重厚なフレームを振るわせつつバーニヤを全開にし、火線の中を縫うように突破する。

 

手にはビームライフル。

 

「あったれえっ」

 

当たらない。

ハマーンはその射撃の拙さに舌を巻いた。

最新鋭機を任されたニュータイプ。

そう聞いていたのだが、これではマシュマーやキャラ・スーンのほうが遥かにマシだ。

 

なぜ、シャアはこんな小物を身近においている。

 

父親からは、いずれ結婚し、ともにジオンを支えるのだと言われていた。

確かにそれなりの人物なのだろう。

だがハマーンの見たところ、その人物にはある種の危うさがある。

 

顔立ちは整いすぎている。

物腰は優雅といえるほどで、しかも嫌味にならない程度に気配りのも身につけている。

 

 

あんなの。

 

 

モテないわけがないだろうがっ!

政略結婚まではしかたないかと思うハマーンではあったが、旦那が何人も女を囲うような生活はまっぴらだった。

 

この小娘もその一人なのか。

 

顔立ちは愛らしい。小柄だか、着やせをするタイプらしくしっかりと主張すべき部分は主張している。

あれを自分の婚約者が。

 

と思うと演習が殺意までに高まっていく。

 

ビームの連射。

 

ガンダ厶タイプはまるで背面飛びでもするようなポーズでかわしてみせた。

 

「背中に目がついている」というレベルではない。360度、全方向をその認識内におさめているとしか言い様のない動きだった。

 

そのまま、距離をつめたジークアクスがビームサーベルを振るう。

 

遅い! ガザCの反応が遅い。

接近戦に合わせて人型に変形したいのだが、そのスキがない。

 

当たり判定をくらったのはハマーンにとっても久しぶりだ。

 

殺す。

殺意が燃え上がったとき。

 

演習時間の終わりを告げるビーコンが点滅した。

 

「あっりがと。ハマーン。強いんだねっ。」

すいと身体を寄せてきたマチュが囁いた。

 

「おまえもなかなかやる。」

「いや、ホントすごいよ。」

 

少女が素直に感心しているのがさらに腹が立つ。

 

“俗物めが”

心のなかでハマーンが呻いたとき

 

「すいません。ぼくも模擬戦をお願いしていいですか。」

少年の声が回線に割って入った。

 

「カミーユ、とか言ったな。」

声がトゲトゲしくなっていくのが自分でも、わかった。

「戦場はおまえのような子どもが出てくる場所ではない。ひっこんでいろ。」

 

「じゃあ、戦闘ではなく、クラバの試合ってことで。」

 

クランバトル。

知識としてはハマーンにはある。モビルスーツ同士を戦わせるショーだ。

 

「興味はない。うせろ、小僧!」

 

威嚇のつもりで放ったビーム(もちろん当たり判定だけの破壊力はないものだ)をカミーユののるガンダムマークⅡは軽々とかわしてみせた。

かわしざまに放ったビームライフルは、ガザCを掠めた。

 

“なんだ。このアーガマのパイロットは化け物揃いか!”

 

 

そのとき。

 

「前方で演習中のモビルスーツ。ただちに道をあけろ。

ジオン公国軍公王府所属強襲揚陸艦ソドンである。」

 

 

----------

 

 

ソドンはもともと連邦のペガサス級を改修した艦船である。

ジオンは公王府の直属艦としてこれを使用していた。

 

ジオン公国の軍は現在マ・クベ司令のもとにまとまっている。

軍事力としては、公王府が動かせるものは、ソドンほか数隻の艦隊しかない。

 

だから秘匿を第一に行動するため、ラビアンローズから出航してきたアーガマにソドンが接触を求めてきたのはわからない話ではないのだが。

オマケの艦がついていた。

1隻は、ソドン級の新鋭艦アルビオンと、もつ1隻はこれも竣工したばかりの新鋭巡洋艦ラーディッシュである。

 

そして、さらにわからないのは、ソドンから颯爽とやってきたのは、元首であるアルテイシア自身だった。

 

「いったいなにがどうなっているのだ、ドレン!」

一緒にやってきたアルビオンの艦長に思わず、クワトロはそう言ってしまったが、言われた方もいまさら「ええっ!まさかあなたがシャア大佐!いままでいったいどちらに!?」などという猿芝居には一切付き合ってはくれなかった。

 

「ご健勝のようでなによりです。」

一応、敬礼をしたあと、ドレンは実に簡潔に状況を説明した。

「シーマ・ガラハウがデラーズ・フリートの元を脱出し、ジオン公国へ帰還いたしました。

彼女がもってきた情報により、デラーズ・フリートの“星の屑”の全貌が明らかになりました。

ジャブローへのコロニー落としです。

既に運び込んだ廃棄コロニーに核パルスエンジンを装填し、発進準備を整えているそうです。

ジオンは全軍を以てこれを阻止いたします。」

 

「で、おまえたちはいったいなんのためにアーガマを訪れたのだ?」

 

「デラーズ・フリートの初動を叩き、ジオン公国軍が展開するまでの時間稼ぎをアーガマにお願いしたいそうです。」

 

「本気か!? なぜエゥーゴがそんな役回りに手を貸すと……」

 

「そうしなければ、コロニーが地球に落ちるからですな。目標のジャブローでなくても、何処に落ちようが大惨事になるのは目に見えています。」

 

「アーガマはモビルスーツの運用実験艦だ。たいした武装はしていない。」

 

「しかし、モビルスーツは最新鋭のものを積んでいる。しかもパイロットは一騎当千の猛者揃いだ。」

ドレンは、諦めるんですな、と表情で語った。

「先般の戦闘は、わたしもアルビオンから見ておりました。数で勝る相手を行動不能だけで、処理しきれる部隊ならばあるいは最小限の犠牲で、コロニー落としを阻止できるかもしれない。」

 

「しかし、アーガマ1隻では……」

 

「ですので、アルビオン、ソドン、ラーディッシュが加わるというわけですな。」

 

「ずいぶんとおもしれえ話をしてるじゃねえか?

俺もまぜてくれ!」

ヤザンである。

アーガマをデンドロビウムの爆導索から守って受けた傷はほぼ癒えている。

 

「どうもジオンはエゥーゴを己の傭兵代わりに使いたがっている。」

 

「へえ? けっこう高くつくぜ、俺たちはよ!」

 

「きみたちの働きを評価するのは、ジオンではなくて、連邦だろう? アーガマは連邦の船だからな。」

ドレンが言った。

 

「ほう? あんたジオンのお偉いさんかい?」

 

「いや、俺なんかはただの船乗りだ。お偉いさんはブリッジに行っている。」

 

 

---------

 

 

「なんでまた来るんです?」

 

ジオン公国の元首。つまりはこの時代における最高権力者に、アムロはずいぶんなことを言ってしまったが、美しき国家元首は、微笑んでそれに答えた。

 

「あなたたちに『希望』を見出したからよ。」

 

「それはまたどういう……」

と言ったのはシャリア・ブルである。

相変わらずふざけた仮面を被っていた。

身につけているのは、軍服ではく、オーダーメイドのスーツだった。

問うたのはアルテイシアにではなく、傍らのずんぐりした目つきの鋭い男に対してだった。

 

「わしにもわらかん。」

ランバ・ラルはごつい肩をすくめた。

「だが、いずれにせよ、姫さまをひとりでフラフラさせるわけにはいかんから、着いてきている。」

 

 

「ようこそ。アルテイシア・ソム・ダイクン。

今回はそうお呼びしてよいのでしょうな。」

ブレックスは、穏やかにそう言って、アルテイシアと握手をかわした。

「我々は、ソーラーシステムへ向かう予定だ。ティターンズのモビルスーツ部隊が、環境改造用に設置されたソーラーシステムを18時間前に占拠している。

現在は使用されていないシステムなので実害は出ていないが、なんのためにそれを占拠したのかがわからん。」

 

「攻撃兵器としてみた場合に、相当な威力があるのはソロモン攻略の際にもお分かりでしょう?」

 

「なにを攻撃するのです?」

 

「コロニー落としの迎撃用です。」

 

確かにソーラーシステムほどのエネルギー量をコロニーに対して照射すれば、内部の空気圧を膨張させ、コロニーそのものを破壊できる。

 

「ならばティターンズは今回は真面目に地球圏の防衛に乗り出した、ということか。」

 

「シーマ・ガラハウの証言によればそれもこれも、デラーズ・フリートとティターンズが組んだ芝居です。

デラーズ・フリートはコロニーを落とすフリをすることで、弱腰のジオン政府に対してスペースノイドからの支持を集める。ティターンズはジオンへの危機感を高め、連邦内での発言権を高める。」

 

ブレックスは目眩を覚えた。

ここまで人間は愚劣になれるのだろうか。

 

「しかし。

計算通りコロニーは破砕されるかは未知数のはずだ。仮に破壊されてもその破片が大気圏で燃え尽きるとも思えん。地上に被害がでる恐れのあるあまりに危険な示威行為だ。」

 

ブレックスはこめかみを押さえた。

 

「そうか。やつらにとってはそんなことはどうでもいいのだな。」

 

 

「どうもそのようです。なのでまずは、デラーズ・フリートのコロニー移動を停止を優先させたい。そのためにエウーゴの力をお借りしたいのです。

もちろん、我らのソドン、アルビオン、ラーディッシュも参加いたします。

まずは、デラーズ・フリートの初動を押さえ、マ・クベ中将率いる本隊の展開時間を稼ぎます。」

 

 

 

 





これでやっとエグザベくんをギャンに乗せてあげられる。
シャリア・ブルのゲルググはノーマルタイプではつまらないので、インコムユニットとかをつけてあげたいなあと思ってますが、モビルスーツ搭載のインコムってまだ早いかなあ。
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