第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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タイトルを変えてみました。いよいよ動き出すデラーズ本隊。とは言っても、シーマが離脱してしまっているので、だいふ、目減りしております。
ゲルググもいますが、メインはザク。
ガトーさんのデンドロビウムがどう動くか。





第20話 強襲!阻止限界点

ザクの脚部をスラスターに換装したモビルスーツはさらに2機。

ソドンに接近したが、対空砲火と、ランバ・ラルの操るグフの攻撃に有効打を与えられぬまま、撤退に向かう。

 

入れ違いになるように、クワトロ大尉の百式が到着した。

 

「ランバ・ラル閣下。いったんソドンに撤収ください。弾薬の補充が必要です。

ジークアクス、ゾック、着艦よろし。

ヤザン大尉、このままソドンの直衛に入ってください。」

 

コモリの指示は淀みなく続く。

 

「クワトロ大尉の百式はこのまま、前進。アムロとハマーンが敵モビルスーツ隊に取り囲まれています。援護を。」

 

「アムロが?」

 

「キュベレイが故障したようです。」

 

「キュベレイにハマーンを乗せたのか!

アレは特別に調整されたモビルスーツだったはずだ。」

 

「新兵器のファンネルが故障しているようです。」

 

「わかった。あとは頼む。」

 

自分用に調整させたモビルスーツを他人に乗らせる。

クワトロはコクピットで唸った。

なんて無茶をするんだ!

しかも初めて乗ったモビルスーツで実戦に出るなんて!!

 

――もちろん彼は、5年と少々まえに、サイド7で「あっちのほうが強そう」をやらかした本人であるのだが、ダイクン家の辞書に「反省」の言葉はない。

 

ソドンの中では彼の妹が司令官席で

「全砲門開け! あの金色を撃ち落とせ!」

と命令していたが、とっくにコモリはマイクを切っていた。

 

ちょうど、モニターを繋いでいたアルビオンのドレンはその声を拾ってしまっていたが、上手に無視した。

 

ジオンも連邦も。

ダイクン家との付き合い方をだんだんと理解していた。

基本的には優秀な人物たちなのだが、どこから聞いても変なことを言い出したら無視。

これで八方上手くおさまる。

 

「“大佐”」

 

シャリア・ブルのゲルググが身を寄せて来た。

 

「私はクワトロ・バジーナ。それ以上でもそれ以下でも……なんだ?」

 

「様子が変です。デラーズのモビルスーツ隊は撤退したようなのですが、アムロくんたちは『なにか』と戦い続けています。」

 

クワトロは顔をしかめた。

「あの」アムロが苦戦する「何か」?

 

「私がひとりで行く。ソドンはここに待機してくれ。」

 

------------

 

ばけもの。

 

ファンネルを見たのは始めてだったが、その形状からある程度の性能はわかる。

ビームのエネルギーはとっくに切れている。

ファンネルはもうビームを撃ってこない。

だが、推進剤だって終わってるはずなのに。

 

一基だけ残ったファンネルは、デラーズ・フリートのモビルスーツを何機も血祭りにあげ、まだそこにある。

 

そしてまだ血を流したりないと言わんばかりに、ガンダムとキュベレイを狙ってくるのだ。

 

 

速度はとんでもない。

もし、直撃すればモビルスーツの装甲も大破するだろう。

撃ち落とすしかないのだが。

 

なんだ!この動きは。

 

「ハマーン!ハマーン! しっかりしろ。ファンネルを止めるんだ。」

 

「今度こそわたしたちで、あの街を灰にいたしましょう。世界中に、わたしたちの軍靴の音を思い出させてやりましょう。

議事堂!! ビックベン! 首相官邸!内外総務省庁舎! 国防総省舎!! バッキンガム宮殿!!

大蔵会議局!!

ウエストミンスター寺院!!

ピカデリー、ソーホー、シティ、サザーク、セントポール大聖堂!!

すべてを燃やし尽くして破壊し尽くしましょう。

トラファルガー広場のネルソン像を倒しましょう。

ロンドン塔、大英博物館、大英図書館、すべて破壊します。ロンドン橋も落とします。歌の様に。

ああ、なんて楽しい。

急いて急いて急いて、いらっしゃい大佐殿!」

 

完全にハマーンは別の世界を見ている。

コロニーが落ちたあとでは、いまハマーンがあげた名所、旧跡など既に跡形もないのだ。

 

 

「アムロ! 現状を報告してくれ!

いったいなにが起きている!」

 

「クワトロ大尉!」

 

律儀にそう呼んでくれるのは、もはやアムロだけだ。

 

「キュベレイのファンネルが暴走しています。デラーズ・フリートのモビルスーツが撤退しても止まらなくて。

ぼくらを攻撃してきます。」

 

人型に変形した百式が、ビームを放った。だが、高速で移動し続けるそれは、クワトロの正確な射撃をかわしてみせた。

 

「ハマーンは?」

 

「さっきからなんだかうわ言みたいなことを言ってて……意思疎通ができません。なんだか別の世界を見ているみたいで……。百式で安全な場所まで退避させていただけますか。」

 

「しかし、暴走したファンネルはどうする!?」

 

「ぼくだけなら、なんとかなります。動けないキュベレイと一緒では回避もろくに出来ません!」

 

「しかし、私がハマーンを……」

 

「勝手に決められたとは言え婚約者でしょう?」

 

冗談ではない!

以前シャリア・ブルとの話のなかで、マハラジャ・カーンがそんな政略結婚を模索していることは聞いていた。だが、それは話だけで具体的になにか決まっているという訳では無い。

 

「……それに、別の世界を見ちゃってる女の子を扱うのは得意なのでは?」

 

ララァをそんなふうに言うな!!

 

甚だ不満ではあるが、クワトロは百式のビームライフルでファンネルを牽制しつつ、キュベレイの腕をとった。

 

「まあ、大佐!!

お待ちしておりました。さあ、早く

あの黒衣の男が来る前に!」

 

すでにキャラも別物と化しているハマーンを連れて、百式はバーニヤをふかす。

 

キュイン!

 

迫る物体は視認できない。だが彼の鍛えたカンが命じるままに頭部のバルカンで弾幕をはる。

さらにアムロのビームが追い打ちをかけて、ファンネルはいったん距離をとる。

 

「操縦者の意思も、推進剤もなしで動くか。」

 

それ自体はオカルトの世界だが、クワトロはすでに、サイコミュが引き起こしたゼクノヴァを体験している。

なにが起きてもおかしくはない。

 

「しかし、あの速度! あの動き!

どうやって対処するつもりなのだ、アムロ!!」

 

 

 

 

ガンダムの盾はザクのマシンガンとファンネルからの数度のビーム攻撃で失われている。

アムロは盾の残骸を放り出した。

 

いくら早くても。的が小さくても。

 

ビームライフルの射撃には少し自信があった。

確信を持って放った一撃をファンネルは楽々とかわした。

 

あれをかわす!?

ならば動きを先読みすれば。

 

アムロの視野が極彩色の光に覆われていく。

 

動きが。

見える。

 

――そこっ!!

 

ビームはファンネルを掠めた。

 

よし。これからいける。

 

だが、アムロの目の前のコンソールパネルが嫌な表示を始めていた。

 

ビームライフル……残量、ゼロ!?

 

 

それがわかったのか。

 

ファンネルは嘲笑するように、ガンダムの周りを駆け巡った。

 

頭部のバルカンも撃ち尽くしている。

 

アムロは。

 

ガンダムは攻撃手段を失った。

 

ファンネルはさらに加速する。

 

はっきりと視認するどころかその場所も。

上か下か。

前か後か。

右か左か。

それすらも曖昧になっていく。

 

アムロはゆっくりと息を吐いた。

 

アムロの周りの空間がその様相を変えていった。

この宇宙に、存在するのは、ガンダムとファンネルのみ。

 

ならば。

もはやファンネルがどう動こうが。

 

どこにいようが。

 

攻撃する相手はただひとつ。

ただの1箇所のみ。

 

それなら。

 

斜め上。

背後から「それ」が接近する。

 

アムロはほんの少しガンダムの体を捻った。

その動作のまま。

 

抜きはなったビームサーベルは、ファンネルを両断していた。

 

 

---------------

 

 

 

「ハマーンはこのまま、“アーガマ”に撤収する。」

 

ソドンのメインモニターに映る男はそう言った。

アルテイシアは、すかさず主砲の発射を命じたが、クルーは誰1人相手にしない。

 

「破損部分のファンネルラックの予備があれば射出してくれ。交換だけならアストナージがやれるはずだ。

それとマハラジャ・カーンとアクシズ先遣艦隊にこのことの報告を。」

 

「了解です、“大佐”。」

コモリがなんの違和感もなく返答した。

 

「待て! キュベレイはジオンの最新鋭機だ。連邦軍の戦艦に収容するわけには。」

 

「ラシット艦長。気持ちは分かるが今は作戦行動中だ。次のデラーズ・フリートの動きによってはただちに戦闘にはいる場合もある。現状動けない機体は後方に下げるべきだ。

アーガマは非武装艦なので、厳密には“連邦軍”の“戦艦”ではない。この程度のところで納得しては貰えないだろうか?」

 

「了解しました。」

デッキに戻っていたランバ・ラルが敬礼した。

「ハマーン殿をお預けいたします。」

 

「こちら、アルビオン、ドレンだ。」

ジオン本軍からの増援に相当するドレン中佐から連絡がはいる。

「該当宙域に接近中。

アルビオンから直衛のモビルスーツを上げるぞ。

ソドンのパイロットたちを休ませてくれ。」

 

「了解しました、ドレン司令。」

コモリが淀みなく答える。

 

「感謝する。ドレン中佐。」

 

「公王府直属軍と本軍の差はあっても同じジオンの軍だ。チームワークよくやっていきましょう。」

ドレンは笑った。

「機体も新鋭のゲルググです――まあ、パイロットは連邦軍の“不死身の第四小隊”のサウス・バニング中尉たちに務めてもらいますが。」

 

「とんだ、呉越同舟だな。」

ランバ・ラルも笑った。

 

続いて、最後まで戦闘を続けていた機体からも連絡が入る。

 

「アムロ、『ガンダム』。ソドンに着艦願います。」

 

「着艦を許可します。パイロットの負傷、機体の損傷などあれば知らせてください。」

 

「盾を損傷、廃棄しました。ビームライフル、バルカンともに補充が必要ですが、これは共通部品のはずです。

パイロットは、負傷なし。ただ、推進剤の消耗があって、アーガマまではたどり着けません。」

 

ハマーンは意識を失っているようだ。うわ言のようなお喋りは影を潜めている。

ぐったりと力を失った機体をひいてアーガマを目指しながら、クワトロは思う。

 

“あの暴走したファンネルをなんとかしたのか。これは――アムロ・レイ。私が思う以上のパイロットかもしれん。”

 

 

--------------

 

 

 

コンスコンの顔はメインモニターのアップには相応しくない。

悪代官そのものの顔を歪めてわめきたてるそのザマはモニター越しに唾でも飛んできそうな錯覚に陥る。

 

「デラーズの本隊が動き出した、か。それは間違いないのか、コンスコン閣下。」

マ・クベは、眉間に皺を寄せている。だが、彼は普段からそんな表情なので特にかわったところはないと言えばそうだった。

 

「ああ? 間違いないぞ。撹乱のための前衛艦隊が、ソドン隊に撃退されたので、これ以上の搦手は諦めたのだろう。

コロニーを引き連れての堂々のご出陣だ。該当座標はデータで送った。」

 

ふむ。

マ・クベは表示された数字をチラリと見た。

 

「悪くない。」

 

「ただちに該当宙域に急行。これを撃破する。」

 

「それは少し待って欲しい、コンスコン閣下。」

 

何故だ?

という言葉は口に出さなくても表情でわかる。

 

「待機の本隊も同時にそちらに向かわせる。挟撃する形でデラーズフリートを殲滅せよ。」

 

コンスコンのコメカミに青筋がたった。

自分たちの艦隊もデラーズフリートへの陽動の一環に過ぎなかったことをはじめて悟ったのだ。

わめき出そうとした彼を、マ・クベの言葉が遮った。

 

「両艦隊の指揮はおまかせする。宜しく頼む。コンスコン総司令。」

 

怒りの矛先を失ったコンスコンは、絶句した。

囮にされたのは不満だが、ジオンのほぼ全軍を指揮する権限を与えられたのは名誉この上ない。

 

その彼に、副官が寄ってきてなにか耳打ちした。

真っ赤になりかけたコンスコンの顔色が青く変わる。

 

「なにィ? ノイエ・ジールが単独で暗礁空域に突っ込んだだとおっ!?」

 

 

 

 

 




誰も彼もなにも思い通りにいかない。
そんな混乱の中、遂にデラーズ・フリートとの全面対決です。
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