第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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ZETAとは違って、変型機構も備えた百式と、新兵器ファンネルを搭載したキュベレイ。
二体の最新鋭は先行して、暗礁空域に突入した。
目指すは、ジオン本国艦隊を殲滅戦とするコロニーレーザー……あれ?
これってどこかでみた光景では!?




第20話 強襲!阻止限界点~嫌な記憶

「マチュ君とニャアン、それにアムロ君が三人でM.A.Vを組むというのだね?」

シャリア・ブルの瞳は、静かな光をたたえている。

 

「すいません。M.A.V.の定義をかえてしまって。」

アムロは一応謝った。

モビルスーツの戦術としてM.A.Vの構想そのものが、この人とクワトロ大尉によるもののはずだ。というより、この人たちの行動パターンから教本が作られた。

 

「謝るようなことではない。私はヤザン大尉、エグザべ君とソドンの直衛につく。

行動時間がかなり長くなるが補給は大丈夫か?」

 

「ヒゲマン! つまんないこと言わないでよ。わたしの考えてること分かってるでしょ?」

 

虚をつかれたように、シャリア・ブルは、彼の弟子と言ってもよい少女を見下ろした。

 

「確かに……モノが仮にコロニーレーザーだった場合は、数機のモビルスーツでどうなるものではないのだが……」

シャリア・ブルは呻く。

 

「だから少しでも早く、コロニーを見つけ出してそれが、コロニーレーザーに改造されてないか、確認するのが大事なの。そしたら艦隊をバラけさせるとか、対処の方法はあるわけでしょ?」

 

「シャリア・ブル中佐! アムロ、マチュ、ニャアン!

アーガマから連絡です。

クワトロ大尉とハマーンのモビルスーツが発進したそうです。」

 

「こっちも遅れる訳にはいかないよ! 天パ!」

 

マチュはふわりと身体を浮かせた。

ジークアクスにむけて身を踊らせる。

 

アムロとニャアンは顔を合わせて、頷きあった。

 

必ずしもプラスの感情ではない。

 

“やっかいなやつでしょ?”

“でもまあほっとくわけにはいかないし。”

 

ニュータイプ同士の感応というほどでもない。いくどかともに戦ったものが得る共感というものだった。

 

 

「アムロ。ビームライフル以外にもバズーカを装備させた。Iフィールド持ちの試作タイプが出てくるかもしれん。」

ブライトは細かく指示をする。なんだかんだで面倒見のよい人物なのだ。

「マチュ。ジークアクスにもバズーカを装備してある。」

 

「あーーー。射撃はどうかなあ、わたし。」

 

「特殊な弾頭を装備している。できる限り接近して使ってくれ、

ニャアン!」

 

「はい。ニャアンです。」

ゾックのコクピットに収まった少女は律儀に手を挙げた。

 

「補助のプロペラントタンクを取り付けてある。暗礁空域に入る直前まで、アムロのガンダムとジークアクスを曳航してやってくれ。しかるのちにプロペラントタンクは分離。」

 

「わかりました。」

 

 

 

「いくよ! ジークアクス!」

「ニャアン、ゾック、出ちゃいます。」

「アムロ、行きまーす!」

 

 

----------

 

 

「本艦を先頭に縦列隊形を組む!」

ドレンは、アルビオンを加速させた。

暗礁空域はその名の通り、大規模な艦隊行動には向かない宙域ではあるが、この規模ならば問題は少ない。

「アルビオン、ラーディッシュ、モビルスーツ隊発進。先行は、ソドンより発進のジークアクス、ゾック、『ガンダム』及び、アーガマより発進の百式、キュベレイに任せる。残りのモビルスーツは艦隊護衛に当たれ。」

 

「ドレン中佐。ソドンに直衛を回してもらうよう依頼する。ギャンとゲルググ、グフだけでは心もとない。」

ソドンのラシット艦長が言った。

 

「了解だ、ラシット艦長。

ゲルググ6機を回す。

サウス・バニング中尉。頼めるか?」

 

「了解だ。ドレン司令。」

戦闘機時代からの熟練のパイロットの返答には、深いあきらめがこもっていた。

だれもかれも彼らが、連邦軍のパイロットであることを忘れていやがる!

 

モビルスーツのテスト中に、デラーズ・フリートに奇襲を受けた彼らである。

デラーズ・フリートを敵とすることに気分的には問題ないが、ジオンの元首が乗っている艦の護衛はやっぱり違うのではないだろうか。

 

 

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マシュマー・セロのガザCは、巨大なモビルアーマーの猛攻を必死に躱していた。

 

「くそっ! 速すぎる!」

 

ノイエ・ジールの巨体に似合わない機動力に、マシュマーは舌打ちした。

メガ粒子砲の光線が、彼の機体をかすめてデブリを粉砕していく。

しかも。

ガザCのビームライフルが見えない障壁に弾かれている。

 

 

「Iフィールド……しかも」

 

ノイエ・ジールのアームクローに備えられたメガ粒子砲は、本体から離れ、有り得ぬ方向からマシュマーを襲う。

 

「オールレンジ攻撃か。」

 

それをかわすマシュマーだが、いつまでももたないのは、彼も理解していた。ビームが四方八方から襲い掛かる。

 

「エンドラの騎士たる私が、こんなところで!」

 

だが、マシュマーは諦めなかった。

Iフィールドの内側に飛び込めば勝機はある。

 

 

「コウ、まだドックの中に研修者たちが閉じ込められているの!」

ニナの叫び声に、ノイエ・ジールの動きが一瞬止まった。

 

「なんと!」

マシュマーは、カザCを変形させた。

いったん距離を取りながら叫ぶ。

「閉じ込められているとはどういうことだ!?」

 

「わからないのよ!

でもわたしのいた部屋は、すべてロックされていて外に連絡もつかなくなっていたの!

全部のセクションがそうなってるとしたらみんな出られないで困っているはずよ。」

 

マシュマーのある種の純粋さはデラーズに気に入られていたとはいえ、マシュマー自身はデラーズを冷静に観察していた。

 

 

デラーズはほぼすべての戦闘艦を引き連れて出陣している。

 

コロニー落とし。

 

全人類を震撼させた大作戦をデラーズ・フリートの全戦闘員の出撃で背水の陣をしくのは理解ができた。

だが、技術者たちを浮きドックに閉じ込める意味はあるのか。

 

“民間人を始末する気か。”

 

マシュマーが自ら名乗る「エンドラの騎士」はもちろんそんな役職があるわけではなく、あだ名である。

彼のロマンチストな性格。

ハマーンへの思慕に似た忠誠心を揶揄する意味もあった。たしか言い出したのはキャラ・スーンだが、彼自身はその名乗りを気に入っていた。

 

「ノイエ・ジールのパイロット!

きいたとおりだ。

いったん休戦して取り残された技術者の救助に当たりたい。」

 

だが、ノイエ・ジールのコクピットで、コウは苦悶していた。 強化のための投薬の副作用が彼の意識を蝕んでいる。

 

「ニナ...君を守るために...」

 

薬物の影響で、現実と幻覚の境界が曖昧になっていた。 目の前の敵機も、時には連邦軍に見え、時にはジオン軍に見える。

 

「でも...誰が敵で、誰が味方なのか...」

 

マシュマーのガザCが肉薄してくる。

マシュマーに攻撃の意図はなかったが、反射的にクローアームを振り回してしまう。

ガザCは紙一重で躱した。

 

「うああああ!」

 

コウの叫び声とともに、メガ粒子砲が一斉に砲門を開いた。

 

 

---------------

 

 

暗礁空域に侵入と同時に、クワトロは百式を人型に変形させた。

ハマーンのキュベレイは肩部のバインダーを動かした。

動きの様子をみただけなのはわかるが巨大な蝶が羽ばたいたように妙に有機的な動きに見えて、クワトロには気味が悪い。

シャリア・ブルは、未だにアムロの「ガンダム」を見ると胸騒ぎがするという。

どこかであの機体に撃墜された事があるような気がするというのだ。

それが、「あちら側」で実際に起きたことだと言うのなら、クワトロとシャリア・ブルはM.A.V.そろってアムロに落とされたことになる。

 

 

“この感覚か……”

クワトロは、ゆっくりとバインダーを羽ばたかせるキュベレイを見ながら思った。

彼もまた、この機体にいつかどこかで撃墜された「ような」気がしたのだ。

 

そのときも彼はたしか百式に乗っていた……

 

場所は――

 

コロニーレーザーの中!!

 

だとすればこれは「あちら側」の記憶ではなく、これから起きることの予感だとでも言うのだろうか。

 

 

「シャ……クワトロ大尉!」

ハマーンが機体を寄せた。

「暗礁空域を探し回る手間が省けたようだ。わたしの部下のマシュマー・セロからの救援信号だ。」

 

「マシュマー・セロ?」

 

「そうだ。わたしの仲間でな。エンドラで一緒に地球圏へ帰還、そのままデラーズ・フリートに接触してもらっている。」

 

 

 

 

 

 

 




ノイエ・ジールの性能をモビルスーツサイズに落とし込んだのがキュベレイだと、どこかで読んだ記憶がありますのですが。この両機が戦ったからいかに!?

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