第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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「コウを殺さないで! コウを殺さないで、ノイエ・ジールは倒して、それでもって捕らわれた技術者も救出して!」
ニナのお願いに、クワトロの怒りは頂点に達する。
何重にも難題を押し付けられたニュータイプたちはノイエ・ジールをどうしよう。
そして、デラーズは嗤う。
これで「勝った」と。




第20話 強襲!阻止限界点~光る宇宙

ノイエ・ジールか!

 

しかしなぜノイエ・ジールがこんなところに!?

 

もし、ジオン本国艦隊がノイエ・ジールを運用するとすれば、それはデンドロビウムに対する艦隊防衛用であろう。

一体だけを突撃させる意味は戦術的にも戦略的にもありえない。

 

クワトロは、百式を人型から飛行機型へ。

また人型へと目まぐるしく変形させながら、ノイエ・ジールのメガ粒子砲をかわしつづけた。

もともと百式の特徴である金色の塗装。

それは最新の、そしてかなり高価なビームコーティングだと説明をされたが、少なくともノイエ・ジールのビームに対して、その有効性を試してみる気は毛頭ない。

 

「いいぞ、我が君!!」

 

ハマーンがとち狂ったことを言ったので、危うくミサイルに当たるところだった。

 

「そのまま、デカブツの注意を引き付けておいてくれ。」

 

クワトロとしては反論する気にもならない。

 

ハマーンの部下だというマシュマーの機体は、ハマーンが最初に乗ってきたあの変形機構を備えたガザCとかいうモビルスーツだ。

変形はスムーズだが、マグネットコーティングやムーバブルフレームは取り入れていない。

 

後続距離は長いが、武装はたいしたことはない。

一応、ビーム兵器はもってはいるが、Iフィールドを備えたノイエ・ジールには逆に攻撃が、通りにくい。

 

 

クワトロの百式やハマーンの駆るキュベレイも同じくビーム兵器主体だ。

 

どうする!?

 

クワトロが顔をしかめたところに。

 

「ジオン本国の方ですか!!」

 

女性の声が割って入った。

 

「わたしはアナハイム・エレクトロニクスの技術者でニナ・パープルトンです!

まだ浮きドックには、技術者の仲間がたくさん捕らえられているんです。どうか助けてください!!」

 

おのれは!

 

演習用の武器しかもたないドムで、サイサリスを追撃させたあのトリントンの技術スタッフか!!

クワトロがバズーカをもっていたら、反射的に狙撃していたかもしれない。

 

「あと、このモビルアーマーを操縦しているのは、トリントン基地のテストパイロット、コウ・ウラキ少尉です!

なにかの薬物で――おかしくなってるみたいなんです。殺さないで!!」

 

さすがは、ニナ・パープルトン。

 

わずか数秒の会話で、難易度を爆上げしてくれる。

 

「心得た!!」

若い男が即答した。

 

こいつがハマーンの言っていたマシュマー・セロか。

 

まったくどいつもこいつも。

 

 

クワトロは、ノイエ・ジールの上方で、機体を人型に変形させた。

本体に対して正面向きのメガ粒子砲がメイン武器のノイエ・ジールにはそこは死角になる―――いや!ならない。

 

有線コントロールのクローアームの備わったメガ粒子砲がある!!

 

おそらく。

 

この複雑な操縦系、そしてニュータイプの素養が必要なオールレンジ攻撃を可能にするために、コウ・ウラキ(なんどかトリントンを尋ねているクワトロには顔なじみのひとりだった)に薬物強化を行ったのであろう。

ならば、たしかに殺してしまうのは寝覚めが悪い。

 

クローアームは変幻自在の動きができる。

たとえばキケロガの機構を取り入れていればそうなるはずだ。だがその運用には、シャリア・ブルが行っていたような緻密な計算と判断力が必要となる。

薬物で不安定になった精神ではそれは不可能だった。

単にこちらを追いかけるだけの動きならば。読みやすい。

そして、どう動くかわかれば。

Iフィールドの外に出たクローアームなど。

 

ビームライフルの2連射で、ノイエ・ジールのクローアームは砕け散った。

 

「きゃあああああっ!!!」

クローアームが抱えていたコンテナ。

その中にニナ・パープルトンがいるのだろう。

投げ出されたコンテナがくるくる廻る。

 

マシュマーのガザCが、それを抑えた。

 

 

「ファンネル!」

キュベレイのファンネルポッドから射出されるエネルギーキャップ式のビットは、今度は爆発などはせずに、ノイエ・ジールの巨体を取り囲み、ビームを浴びせる。

だが、ノイエ・ジールのIフィールドは、それを尽く弾き返した。

 

本体に備わったメガ粒子砲を、ハマーンのキュベレイは華麗に回避していく。

あの羽根のように見えるバインダーは、かなり優秀なのだ。

 

「Iフィールドをなんとかできないのか!」

ハマーンが悔しそうに叫ぶ。

 

いやおまえは、張り付いた百式をキュベレイ本体を傷つけずにダルマにしてくれたはずだが。

それならIフィールドの内側にファンネルを接近させ、攻撃するのも容易なはずだ。

クワトロは首を振った。

いや違う。それは別の世界の記憶だ。

 

ジャマだな。これは。

 

ララァはこんなものとずっと付き合っていたのか。

 

「“大佐”!!」

 

若い女性の声に、クワトロは思わずララァが来たのかと錯覚したが、もちろん違う。

 

エンディミオンユニットの少女、マチュだ。

 

「ジークアクス! 来たのか!」

 

「遅くなりました。アムロガンダム、援護します!」

 

「アムロ君もか! 助かる!」

 

「ニャアンもいますよ!」

 

えーと。それはまあいいかな?

 

ノイエ・ジールから発射されるマイクロミサイル。

アムロのガンダムの頭部バルカンがそれを撃ち落としていく。

 

「ノイエ・ジールのパイロットは、トリントン基地のコウ・ウラキだ。」

クワトロは口早に言った。

「ノイエ・ジールを爆散させずに行動不能にしたい。力を貸してくれ。」

 

「分かりました。まずIフィールドを破壊します。構造的には」

さすがに天才テム・レイ博士の息子だ。

アムロはノイエ・ジールのIフィールド発生器へのダメージを与えるための攻撃部位を指示した。

 

「ちょっと天パ! ノイエ・ジールってデカいよ。それじゃ的を絞りきれないよ!」

 

「大丈夫。大体でいい。接近してマチュのバズーカで攻撃するんだ。」

 

「え? わたし?」

 

「そうだ。Iフィールドジェネレーターは装甲の奥深くには設置出来ない。表面を破壊すればダメージは通る。ジークアクスのバズーカは散弾を装備している。撃墜は無理だが、Iフィールドを破壊するには十分だ。」

 

「うん!」

マチュは頷いた。

「やってみる! いくよ、ジークアクス!!」

 

ジークアクスが吠えた!!

 

アムロは不思議な感覚を覚えた。

ジークアクスの中に自分がいるような。

 

アムロのバズーカが、ノイエ・ジールのメガ粒子砲を潰す。

 

ノイエ・ジールのミサイル攻撃。

 

ニャアンのビットが。

ハマーンのファンネルがそれを撃墜する。

 

残りのミサイルをくぐり抜けるようにかわしながらジークアクスは突進した。

 

「いっけええええっ!!!」

 

バシュ!!

 

発射された散弾はノイエ・ジールの装甲に穴を穿った。

 

装甲の奥まで貫通する威力はない。

だが。

 

ノイエ・ジールのIフィールドが消滅する。

 

「ファンネル!!」

 

キュベレイの攻撃に、ノイエ・ジールの武器は次々と沈黙していった。

その巨体に炎が走り、爆発が起きる。

 

 

 

--------------

 

 

 

ジオン最後に残されたグワジン級戦艦の艦橋で、デラーズは笑った。

 

「勝ったな。」

 

茨の園の浮きドックの破壊のために残ったムサイからノイエ・ジール出現の連絡をうけた直後だった。

ムサイはそのあと直ぐに沈黙した。

――おそらくはノイエ・ジールに撃沈されたのだろう。

 

だが、それはもう問題ではない。

 

「コロニーレーザー発射用意!

目標はEz4080より接近の敵艦隊!!」

 

「し、しかし閣下! コロニーレーザーは連射は出来ません! 二手に分かれて進撃中の艦隊が同一軸線上に並んだ瞬間を狙わねば、結局残った艦隊に、こちらは殲滅されます。」

 

「艦隊がひとつで、ノイエ・ジールさえいなければ、ガトーのデンドロビウムがある。」

 

「しかし。ガトー少佐のデンドロビウムをコンスコン艦隊の迎撃に使用してしまえば、連邦のソーラーシステムを破壊するものがいなくなります!!」

 

「もはや、我々を遮る戦力は存在しない。艦隊をもってゆっくりとソーラーシステムは削ってやる。

その上で、神の鉄槌たるコロニー落としを。」

デラーズはこう笑した。

「ギレン総帥がなし得なかったジャブロー攻略を我が艦隊が成し遂げるのだ。」

 

 

 

 




予定より早いコロニーレーザーの発射!
ジオン公国軍は、イオマグヌッソに続いて大戦力を失うのか。
次回、機動戦士ガンダムGQuuuuuuX「宙の奇跡」。
きみは刻の涙を見る。
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