第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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出陣まえのつかの間の休息。

ああ、あのときもっとはやく出撃して入れば。
と後悔させるための前フリではありません。






第20話 強襲!阻止限界点~つかの間の休息

「浮きドックに閉じ込められていたデラーズ・フリートの技術者たちは、アーガマで保護しよう。」

モニターの中のヘンケンが、ブレックスの承諾を得るまでもなく言った。

「各モビルスーツはどうだ?

消耗した推進剤や武器の補充は、ソドンで出来そうなのか?」

 

「大丈夫だ。私の百式とアムロくんの“ガンダム”を除けばもともとジオンの機体だからな。」

クワトロは答えた。

 

「しかし、あのモビルアーマーを相手にして無傷とはな…」

ヘンケンは呻くように言った。

 

「なに、運がよかっただけさ。」

 

「きみたちは休息をとらなくて大丈夫なのか?」

 

「ありがたい申し出だが、アムロがどうも胸騒ぎがすると言うのだ。

補給が終わり次第、出発する。

実際に、ここから見て奥の部分に、廃棄予定コロニーを持ち込んでいたことは、確認できた。」

 

「保護した技術者からの情報か?」

 

「ハマーンの部下だ。マシュマー・セロという青年だよ。アクシズを味方につけるというホラ話で、デラーズ・フリートに潜り込んでいたらしい。」

 

「しかし、シャ…クワトロ大尉。本当にコロニーレーザーなどというものはあるのか?」

 

「あるかないかと言えば『ある』。もともと制圧したソロモンに艦隊を集めて、ア・バオア・クーへ侵攻するはずの連邦軍艦隊を一網打尽にするための兵器だ。事実、建造も始まっていた。」

 

「では本当に」

モニター越しでもヘンケンの顔色が青ざめるのがわかる。

 

「ああ。だが、威力の反面、連射ができる武器ではない。

なので、発射のタイミングは一箇所。ふたつに分かれたジオン艦隊がコロニーレーザーから見て同一軸線上になる瞬間だ。まだ時間は2時間以上ある。その間に、コロニーレーザーを確認すれば…」

 

「発射を防げるのか!?」

 

「それは難しいが、艦隊に散開を命じて貰えれば、被害は最小限に留められる。」

 

ヘンケンは難しい顔をした。

「行動中の艦隊をアレコレするのは難しいぞ?

すでにデラーズ・フリートを捕捉しているんだ。散開中に先制攻撃を食らう可能性もある。

それにしかけるタイミングはあとに伸ばさない方がいい。

コロニーほどの質量は、阻止するにも限界点というものがある。」

 

「そうだな。だからこそ、コロニーレーザーを目視で確認などという手間をかけているのだ。

コロニーレーザーがそこに『ある』ことを確認さえできれば、少なくとも否応無しに艦隊の散開を命じることが出来る。」

 

「だからそれが無茶だと!!」

 

「普通なら無茶だ。だがこのソドンにはジオンの元首アルテイシア様が乗られているのだろう?

陛下直々の命令ならば、マ・クベでもコンスコンでもきくさ。」

 

 

 

-------------

 

 

 

「マシュマー、お手柄だったな。」

ハマーンに笑みを向けられて、マシュマーは感激のあまり顔を赤くしていた。

 

「いえ。結果的にたいした情報も掴めず…あれがハマーン様の仰るようにコロニーレーザーだという確証があれば、わざわざ確認のために足を伸ばすこともなく…」

 

言われてみればそうだ。

いくらなんでもコロニーを改造する工事だ。

いくら参加メンバーを絞って箝口令を敷いたからと言って組織の内部で隠し通せるものではない。

マシュマーの言う通り、アクシズの尽力を餌に潜り込んだなら当然、集めてよい情報だ。

 

しかし、同じことを尋ねたあのニナ・パープルトンという技術者はまったくコロニー改造のことを知らなかったのだ。

強い薬物の副作用で、失神から覚めても

うわ言を言い続けるあのコウとかいうパイロットのほうがマシに思えるほど、ニナは役に立たなかった。

 

「次の出撃は、おまえは休んでいろ。」

 

「え? しかし…」

 

「ガザCはいささか特殊な作りだ。ここでメンテは出来ないし、エネルギーキャップも規格が違う。それにここからはそれほど危険はないはずだ。

おまえが聞きつけたコロニーが、レーザーに改造されているかを確認するだけの作業になる。」

 

「では…ハマーン様はあの異形のモビルスーツで、また出撃される、と?」

 

ビキッ!

ハマーンのコメカミに青筋がたった。

 

「い、いぎょ…」

 

「はい。性能は優れているようですが、あまりにも悪役っぽく見えます。」

 

「あ、あくや…」

 

「どうせ、ハマーン様のニュータイプの素養に目をつけたジオン本国のものたちが、新型機のテストをさせるつもりで、ハマーン様を指名したのでしょうが、あのデザインはないです。」

 

「マシュマー」

ホントに怒ると人間は笑うのだ。

「キュベレイはわたしのデザインだ。」

 

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「マチュとニャアンも連れていくのか?」

真面目な軍人というものは、ジオンでも連邦でも共通する資質があるのか、ソドンに馴染んだブライト・ノア中尉である。

 

なにかと軍のお決まりごとには、知識の足りないアムロには顔を見れば文句を言われているが、別段アムロが気に食わないというわけでは無さそうだった。

 

「あれは民間人だぞ?」

 

「ぼくだって民間人です。何だったら、マチュとニャアンはジオンのテストパイロットですから、兵士ではないにしろ軍属でしょう?」

 

「まだ未成年だ。」

 

「ぼくとそんなに違いませんよ!」

 

「おまえはクランバトルの無敵のチャンプだったんだろうが!」

 

「マチュも“狂犬”と呼ばれたクラバの選手です。ニャアンもクランバトルの経験はあります。」

 

そうなのか!

と、ブライトはショックを受けたようだった。

まさか!マチュを天真爛漫な女子高生だと思ってたのか!?

 

あまり女性に免疫のなさそうなブライトを見つめてアムロは嘆息した。

ブライトにしてみれば、アムロにその手のことに同情されるなど噴飯ものだったろう。

 

 

「マチュのジークアクスはジオンの新型ときいている。」

なおもブライトは言った。

「だが。ニャアンのモビルスーツ…あれはジオンが少数生産した水陸両用機を宇宙用に改修した希少機だ。交換するような

破損部品はなかったが、そもそも宇宙での戦闘には適していない。

あの時代にしては、よくぞあれだけののメガ粒子砲を積めたとは思うのだが。」

 

「サイコミュとビット兵器をつんでるんです、あのゾックは。」

アムロは言った。

「特別なサイコミュを積んでいて、たぶんニャアンしか操縦できません。

マチュのジークアクスも。」

 

「そ、それは」

焦ったようにブライトはキョロキョロと周りを見回した。

 

サイコミュは数が限られている特殊な装置だ。

それが装備されたモビルスーツなど秘密兵器のたぐいだろう。

そしてそれを操縦できるということはニャアンもまたニュータイプということになる。

 

「ここはジオンの戦艦で、ジークアクスはジオンのモビルスーツですよ。」

アムロは指摘した。

「マチュもニャアンも間違いなくニュータイプです。」

 

「待ってくれ、アムロ!

クワトロ大尉はその、あの赤い人なんだろう?」

 

「…まあそうですね。それにハマーンさんもたぶんニュータイプです。」

 

「それにシャリア・ブル中佐も!

ここには全てのニュータイプが集合しているとでも言うのか!!」

 

「そうですよ。逆にモビルスーツのパイロットでニュータイプでないのは、ヤザンさんとランバ・ラル閣下。それにぼく、くらいじゃないかな?」

 

ブライトは妙な顔でアムロを見つめた。

 

「え?」

 

「え?」「え!」「えええっ!?」

 

ブライトの表情に疑問を感じたアムロは

「ぼくなんか変なこと言いました?」

と尋ねたが、いっそうへんな顔をされただけだった。

 

 

 

 




そろそろ自分がニュータイプだと自覚して欲しいアムロですね。
そういえば、サイコミュ搭載機も、ジークアクス、ゾック、キュベレイと三機もそろっております。
ムラサメ博士とテム・レイ先生の講義の続きはまたあとで。
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