第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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暗唱空域を進むアムロたち。
デブリにガンダムハンマーが炸裂する。
ようやく、見つけたコロニーレーザーは、しかしすでに発射態勢に入っていた。
コンスコンを救え!
アムロたちは乾坤一擲の作戦に打って出る。




第20話 強襲!阻止限界点~いつかの瞬き

「それでは出撃する。ランバ・ラル殿。ヤザン大尉。あとは頼む。」

 

「いやはや。」

ランバ・ラルは首を傾げた。

「こんな状態であなたを送り出す日が来るとは想像もしておりませんでしたな。」

 

「まあ、お姫さんは任せろ。」

ヤザンがニッと笑った。

「それと俺もその変形機構のある新型が欲しいな。テム・レイ博士に頼んどいてくれや。」

 

「百式をか?」

 

「あんたと同じ機体じゃあ面白くないねえ。出来れば、もっと悪役っぽいのが俺には似合うと思うんだ。」

 

 

 

金の。

白の。

モビルスーツが発進していく。

 

見送るアルテイシアの表情は複雑だった。

 

「あれは…信じて良いのでしょうか。ランバ・ラル。」

その声はどこか戸惑っているかのよう。

 

「何者にも絶対の信頼をおくことはありません。ですが最初から疑いの目でみれば、ひとは拗ねていつかその疑い通りの行動をとるものです。」

 

「ん? わたしはアレを疑ったことなんて一度もないわ。」

アルテイシアは静かに答えた。

「いつかどこかでやらかすのを確信しているのよ。」

 

 

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「デブリが多い。注意するんだ…ニャアン!」

クワトロは最後はほとんど叫ぶように言った。

 

つまりニャアンはまったく注意していなかったのだ。

とにかくはやく。

そのアムロから言われたニャアンは、背中に取り付けられたブースターを最大加速でふかしていた。

 

どのくらいヤバい行為かというと、すでにマチュの操縦席にあの謎アームが降りていて、ジークアクスが円形のバリアを発生させているくらいだった。

 

そう。

シュウジが「向こう側」から招いた「ガンダム」のビームサーベルの一撃を防ぎきったバリアは漂うデブリにも有効だったのだ。

だがこの状況でマチュは、自分の機体ばかりではなく、アムロの「ガンダム」(皮肉なことにその外見はシュウジの「ガンダム」と一緒だった)それに、彼女たちを引っ張っているニャアンのゾックも守らねばならない。

これはなかなかの難事だった。

 

「き、」

マチュは天パを呼んだ。

 

「き?」

 

「巨大化とか出来ない?」

 

出来るか!

アムロは心の中で叫んだが、彼もマチュと口げんかできるほど余裕はなかった。

 

彼の正確な射撃がデブリを爆散させ、あるいは向きを変えていく。

バズーカの弾切れをアムロは恐れた。

 

グン!

 

ニャアンのゾックが急制動をかけた。

 

マチュのジークアクスが、ゾックを追い抜いていく。

 

「また! あんたはわたしを盾にしてえええっ!!」

 

「盾じゃないよ。」

ニャアンは冷徹に言った。

「武器だよ。」

 

曳航してくれていたゾックが急停止したので、マチュはゾックを追い抜く形で前方にすっとんでいく。

その前にはけっこうな大きさの岩塊があった。

 

「うおおおおっ!!」

 

身体の随所に展開されたシールドが一点に集まる。

 

岩は砕けた。

 

「し、死ぬ。死ぬよ、ニャアン。」

 

「ガンダムハンマー」

 

「ジークアクスをハンマーにするなっ!!」

 

 

「距離はこのくらいで充分だ、我が君。」

 

 

キュベレイは百式から離れた。

百式も飛行タイプから人型に戻る。

 

 

そろそろコロニーは目視出来るはずだ。

それは。

 

密閉型と言われるコロニーだった。

だが、その先端は空洞となり。

 

「エネルギーが充填されているぞ!!」

 

クワトロが叫んだ。

 

「なんでぇ??

発射の予定時刻まではまだ1時間はある、はずだよ!?」

 

「わからん…ジオン艦隊が同一直線上に並ぶチャンスを無視して『今』撃つのか!

これでは艦隊を散開させる時間もない…逆にコロニーレーザーに晒されるのはどちらか一艦隊のみになるが。」

 

「クワトロ大尉!」

アムロも叫んだ。

「内部に侵入して発射装置を破壊しましょう。」

 

 

「遅い! いまの状態では内部に侵入しようとしても発射機構にたどり着く前に焼き尽くされてしまう!」

 

 

「我が君! わたしとあなたなら。」

ハマーンがなにかを決意したように言った。

「百式の最大加速で中に飛び込めば、なんとか底の部分までたどり着けます。帰っては来れないけど。」

 

 

そうだ。

あのときも。

ハマーンのキュベレイとともに、百式に乗ったクワトロは、コロニーレーザーの中にいた。

 

たしか彼はキュベレイのファンネルに。

 

いや違う。これは別の世界の私の記憶だ。

まったく厄介な。

 

 

 

「クワトロ大尉。ぼくらがなんとかします。」

アムロが叫ぶ。

 

「なんともならんわ! おまえらは軍人ではないし、ジオン国民ですらない。だからここで命を落とすな。

それよりも生きて。

生き延びて、わたしと我が君の戦いを後の世に語り継ぐのだ。」

 

「ハマーンさん…」

マチュはちょっとハマーンが気に入ったようだった。

が、すぐに口調を改めた。

 

 

「わかったよ、天パ!

ゼクノヴァを起こすんだね。」

 

 

確かに。

クワトロは一瞬その可能性を思いやった。

 

ア・バオア・クーを転移させ引き裂き、異世界に追いやったゼクノヴァ。

あれを使えばコロニーを消失させることが。

 

いまはイオマグヌッソはない。

だがソロモン落とし程度の規模でも起こせれば、発射は止められる、

 

しかし。

その起爆剤となるアルファサイコミュを積んだ「ガンダム」はもうないのだ。

 

 

「マチュ、ニャアン、やれるか!?」

 

 

ジークアクスがゾックの頭部に手を置いた。

ふたつの「特別な」サイコミュが起動する。

ジークアクスのオメガサイコミュ。

ジフレドから回収されてゾックに積まれたカッパサイコミュ。

 

空がかキラキラに覆われていく。

いずれもニュータイプの素養のあるパイロットたちはそれを見た。

 

しかし――

 

 

「う、う、う、」

マチュが呻いた。

「わかったつもりでいたんだけど。なんか分かんない!!」

 

 

ダメか!!

アムロは、後方のソドンに連絡した。

 

「間もなくコロニーレーザーが発射されます。全艦退避行動に移ってください。巻き込まれますよっ!」

 

「な。なにが起きてるの!?」

コモリ少尉の声だった。

 

「コロニーレーザーの発射時刻が早まっているんです。ジオンの二艦隊のうちひとつは確実にやられます。

全滅じゃない…全滅じゃないけど。」

 

「ゼクノヴァの反応を確認してるんだけど!」

 

「コロニーを部分的にでも破壊して発射を止めるためにゼクノヴァ現象を使おうとしたんです。

『特別な』サイコミュが複数揃っているのならその可能性に賭けてみようかと。」

アムロは唇を噛み締めた、

「でも…ダメです。うまくいかないみたいです。」

 

「アムロ、マチュ、ニャアン!

今起きているのは、ゼクノヴァの逆転現象よ。イオマグヌッソのときにもあったこっちのものを向こうに押しやるんじゃなくて、向こうから呼び込むための。」

 

 

「向こうから、こっち?」

 

 

「向こうから…こっち。」

マチュは呟いた。

「向こうからこっちへ。コロニーレーザーを潰すものを」

 

「無理だぞ。それこそアクシズクラスの小惑星でも射線軸におかないと!」

クワトロは、コロニー目掛けて特攻しようとするハマーンのキュベレイを後ろから抱き抱えながら言った。

 

なんだか。

このあとファンネルで手足を落とされそうな気がするがもちろん気のせいだ。

 

「コロニーレーザーを…相殺できるもの。」

マチュの瞳もまたキラキラに染まっていく。

 

 

 

----------------

 

 

それはどこかの世界線。

 

 

グワジン級の戦艦だった。

 

背後には二つの岩塊を合わせたような異形の小惑星が聳える。

 

ジオンの最終防衛ライン、宇宙要塞ア・バオア・クーである。

オールバックに氷の目をした独裁者はその指揮官席に座っている。

 

ギレン・ザビ。

 

ジオン公国総帥。

彼以外にそこに座るのに相応しいものはいない。

 

「総帥!」

オペレーターが立ち上がって叫んだ。

「グレートデキンより入電です。

地球連邦との間に三ヶ月の一時休戦の約定が成立した、とのことです。

発信者は識別コード…デギン公王に間違いありません!!」

 

 

「ほう。なるほど。」

ギレンは笑った。

 

「いかがいたしますか、閣下。」

セシリアは凛々しい軍服に身を包んでいる。それを眺めながら、ギレンは言った。

「そうか。通信状態が悪く暗号が識別できないか。」

 

 

「い、いえ、閣下。グレートデギンからの」

 

「電波状態の悪化はミノフスキー粒子のためだ。通信兵の責任は問わぬ。」

ギレンの視線にオペレーターは震え上がった。

 

「もう一度きく。なんの連絡だった?」

 

 

「し、識別信号グレートデギン…のものと思われますが、内容までは。その…通信状態が悪く。」

 

「それは仕方がない。」

ギレンは立ち上がった。

「予定通り、ソーラレイをヴゥルトウム照準にて発射。連邦艦隊の半分は沈められるはずだ。

シャア准将!」

 

「はっ!」

モニターに現れた変な仮面を被った男が敬礼した。

 

「艦隊をもって残敵を掃討せよ。

ソーラレイの後始末をしてこい。半数を失って混乱状態のはずだ。

艦隊特攻、しかるのち、おまえとあのニュータイプの少女の乗るブラウ・ブロで落とせるだけ落とせ。」

 

「はっ! 必ずや勝利の栄光を捧げます。」

 

赤いザンジバルが、チベ2隻。ムサイ12隻を率いて発進する。

彼らは艦隊特攻によって、連邦艦隊に大打撃を与えるのだが、ブラウ・ブロは、生き残った木馬型戦艦から発進したモビルスーツに落とされることになる。

 

 

「ソーラレイ、発射…な、なんだあの空間の歪みは!」

 

「わ、かりません! ソーラレイが。

空間に空いた穴に飲み込まれていきます。」

 

 

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「コロニーレーザーには」

マチュが吠える。ジークアクスも雄叫びをあげた。

「コロニーレーザーだああっ!!」

 

 

ゼクノヴァの逆転現象。

「向こう側から」なにかを招く現象は、このとき別の世界軸で発射されたコロニーレーザーをこの世界に呼び込んだ。

 

デラーズ・フリートのコロニーレーザーとそれは真正面からぶつかり、そのエネルギーの大半を相殺され。

残った光の奔流は、こちら側のコロニーレーザーを大破させた。

 

 

 

 

 




とまあ、こんなオチです。
20話はもうちょっと続きます。まだデラーズ・フリートはコロニー落とし用のコロニーは持ってるし、 ガトーさんの「ソロモンよ!私は帰ってきた!」もやりたいので。
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