第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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ここからは、0083のストーリーから離れてクランバトルか中心となります。
あまり活躍の場がなかったカミーユくんも出したいですね。







第21話 狐の時代~グリーンノアにて

公式発表は以下の如くである。

 

デラーズ准将の艦隊は、廃棄コロニーの移動作業中に、核パルスエンジンの不調を発見。

コロニーが暴走する危険があるために、急きょ、パルスエンジンを破壊することになった。

このとき、条約で禁止されていた核兵器の使用があったものの軍事的行動ではなく、廃棄コロニーという構造物での破壊という「作業」にすぎず、「たまたま」近くに居合わせた連邦政府のブレックス氏から「コロニーが大気圏突入する危険もある緊急事態だった」との証言もあったため、連邦からは単なる「厳重抗議」をうけただけですんだのだ。

もっともエギーユ・デラーズはこの「事故」責任をとって、予備役に編入になった。

それと同時に「デラーズ・フリート」は解散。所属の艦艇、モビルスーツ、人員は各隊に振り分けられた。

 

エースパイロットであったアナベル・ガトーはこれを機にジオン公国軍を除隊。

クランバトルの選手としてあらたな人生をスタートすることとなった。

 

また「ソーラーシステムをテロリストが占拠したという設定で演習」を行っていたティターンズは何ごともなかったかのように演習を終了して解散。バスク・オム少佐は、実はデラーズ・フリートは本当にコロニー落としを実行しようとしていたのだ、ティターンズはそれをソーラーシステムでもって阻止するために集まっていたのだと、喧伝したが、とくに誰も相手にはしなかった。

 

ジオンと連邦。

スペースノイドとアースノイド。

ふたつの大きな集団は相変わらず、互いに相手を喰らおうと虎視眈々と様子を伺っている。

 

だが、ギレン。キシリア。

デラーズ。

殲滅を目論むものは退場した。

 

スペースノイドとアースノイドの対立構造はまだ残るだろう。

だがそれは戦ではなく、退屈で気が遠くなるような交渉となる。

 

今度こそ。

 

世間は信じた。

 

今度こそ戦争は終わったのだ。

 

 

 

 

 

「ナニをやっているのダ、カミーユ。」

マチュは公園のペンチで空を、人工の空を見上げているカミーユに話しかけた。

ちなみにハロの声真似をしている。

「どこか、イタイのか?」

 

「なんだよ。」

年はマチュより二つ下のはずだ。空手にモビルスーツの訓練とかなり忙しく心身を鍛えていても、カミーユにはどこかくまだ幼さが残る。

 

「なんで、なにかここではないどこかに行きたいって顔をしてたんだ?」

 

マチュは顔を近づけた。

 

中性的な面影を残した美少年は、マチュにとって好みのタイプではあるが、なんと言うか…ミステリアスさが足りない

 

「―――」

 

カミーユは顔を背けた。

 

まだ拗ねている。

 

デラーズ・フリートとの戦いに出撃させてもらえなかったのをまだ気にしているのだ。

彼は、アーガマのテストパイロットへの正式な配属も希望していたが、これも見送られた。

 

単に彼が未成年だから、ということではない。

 

ヤザン、そしてシーマの元から戻ってきたロベルト、アポリー。それにクリス。エマ。レコア。

まことに珍しいことだが、武装を持たないモビルスーツ運用テスト艦アーガマは、地球圏でもっとも優れたパイロットに恵まれた艦なのだ。

 

「ハロは?」

マチュがよく連れ歩いている玩具ロボットの姿が見当たらないので、カミーユはそう尋ねた。

 

「天パにメンテをお願いしてる。」

 

アムロさんか。

カミーユは、呟いた。

モビルスーツジュニア大会でトアールコロニーを訪ねたのはずいぶん前のような気がする。

街角で出会ったあの人は、どこから見てもそんな凄いパイロットには見えなかったのだが。

 

「マチュさんたちはこれからどうするの?」

 

「ソムなんとかさんが、ジオン工科大学への推薦入学を手配してくれるって。」

 

マチュはなんとなく浮かない顔で言った。

 

「ジオン工科大学! 名門じゃないですか。アムロさんも一緒ですか?

あ…でもニャアンさんは…」

 

ミステリアスなスレンダー美少女は、あまり進学志向が高いとも思えない。

 

「いやいや。ニャアンはしっかり学歴重視派だよ、あれで。」

 

「ホントですか!?」

 

「ニャアンは難民なんだ。『そこにいる権利』を得るためには、名門校の学生であることはプラスしかないだろう?」

 

「え? じゃあ誰も問題はないでしょう? マチュさんは進学嫌なの?

あ、クラバに出られなくなるのが困るとか?」

 

「逆なんだよ、カミーユ。」

むすっとしてマチュは答えた。

「わたしたちは、ジオン工科大学ネオ香港キャンパスに通うことになるんだ。つまりシャアさ…“大佐”のクラバにこれからも付き合わなければならなくなる。」

 

 

 

ソドンやアルビオンと別れて、グリーンノアに入港したアーガマは、「勝手にマークⅡを持ち出して」と抗議してきたフランクリン・ビタンを、マークⅡの実戦データで頬をひっぱたいて黙らせた。

もともと「連邦軍」に納品されるはずのマークⅡをモビルスーツ運用テスト艦が持ち出すのは別に筋違いでもなんでもなく、マークⅡはいくつかの改修後、再びアーガマに戻されることになっている。

 

 

百式は。

 

テム・レイはその実戦データをクワトロから受け取ったが、一瞥してつまらなそうに、デスクにおいた。

 

「うむ…想定の範囲内だ。面白くはないな。いくつか強化パーツを開発している。引き続きテストを頼めるだろうか。」

 

クワトロは笑った。

 

「そっちはなんだろうか。テム・レイ博士。」

 

モニターには、百式と同じく飛行機タイプに変形できるモビルスーツが映し出されていた。

 

「百式のアイデアを元に、ムーバブルフレームを見直し、大幅に攻撃力をあげた新機体だよ。開発チームではZETAと呼んでいる。」

 

「サイコミュは搭載しないのかな?」

 

「パイロットがニュータイプにかぎられてしまう。むしろ私はサイコミュを積んだニュータイプ専用機に対抗出来る機体を目指している。」

 

「それは穏やかならないな。」

クワトロは笑った。今度の笑みには怖いものが隠れている。

「テム・レイ先生もニュータイプは危険だとお考えになるのか?」

 

「逆だよ、シャア・アズナブル。」

落ち着いた口ぶりで科学者は答えた。

「ニュータイプが戦争において無敵の存在になったら、ニュータイプにとって、兵士以外に生きる術がなくなってしまう。そしてニュータイプ自身も己の強さに溺れていくだろう。」

 

 

「あれはなかなか大した人物だな。スジが通っている。」

グリーンノアの区画内の移動用の電動カートに乗り込みながら、クワトロは運転席のハマーンに話しかけた。

 

ハマーンはソドンと一緒に、ズムシティには向かわなかった。

とりあえず、クワトロについて行くことに決めたらしい。

心底惚れ込んだ、と言うよりは、多面性のあるシャア・アズナブルというオトコに興味が湧いたようだ。

 

アクシズの巡洋艦エンドラに戻らなくてもいいのか、との問いには、首を傾げた。

「別にわたしはアクシズの指導者ではないからな。」

 

「しかし、せっかく地球圏に戻ってきたのだから」

と言いかけたクワトロをハマーンは制した。

 

「アルテイシア様とランバ・ラル様にはもうお目にかかれた。マハラジャ・カーン…我が父上は…まあ、そう急いで会わなくてもいいだろう?

それよりもわたしはおまえと地上に降りたい。おまえの浮気相手をこの目で見ておかないとな。なにしろ、マハラジャ・カーンを義父と呼ぶことを断って、添い遂げようと考えている相手なわけだ。」

ハマーンの声には冗談めかした響きがあったが、話す内容は、あまりにも生臭い。

「我が君が、わたしとの婚約に二の足を踏むというのは、ともにアルテイシア様の政権を支える意思はないと。そういう意味にもとれるしな。」

 

その瞳の奥には鋭い観察者の色が宿っていた。

クワトロは肩を竦める。

 

「そういう言い方は困る。私は今は軍人ではない。ジオンの英雄でもないし、ダイクン家にとっては亡霊のような存在だ。」

 

「亡霊、ね…」

ハマーンは鼻で笑った。

「だが、おまえはいるだけでわたしを引き込む。亡霊にしては魅力的すぎるんだよ。」

 

言ったあとで、ハマーンは頬が熱くなるのを感じた。

けっこう、本気で愛の告白をしたつもりだったのだが、助手席の男は表情を変えない。

 

朴念仁の俗物が!

ハマーンは心のなかで罵った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ハマーンはキュベレイが気に入ったようでそのまま、持ってきてしまっています。
もともとはアルテイシアが自分の乗機用に、ハマーンのイラストから作り上げたモビルスーツだったんですが。

さてせっかくのクラバですので、また夢の対決でもやりますか!
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