第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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最終的にハッピーエンドかそうじゃないのか、よくわからない0083のコウとニナ。
0085(作中時間が経過してるからもう0086かな)では果たして!?
そして儲け話あるところにアンキーあり!です。






第21話 狐の時代~グラナダ

ホテルの部屋には先客がいた。

セキュリティのよくない安ホテルではない。

グラナダでもかなり高級な部類のホテルだ。

普通だったら、部屋に客以外のものを通すなど有り得ないのだがある意味世慣れていないララァはそんなものかと思っただけだった。

 

もともと、ここを手配してくれたのは、このカネバン有限公司のアンキーという女性なのだ。

隈取りをくっきりとさせた独特のメイクで素顔はわかりにくい。

 

「おめでとう! これで三連勝ってわけだ。」

アンキーは、サイド6のクランバトルの大立者だ。

アムロやマチュをネオ香港のクラバに派遣したのも、彼女の手によるものだ。

勝手に部屋の冷蔵庫をあけて、泡のたつ酒を細いグラスで賞味しているが、まあ、もともとここの支払いもアンキーもちなので、間違った行為、というわけでもない。

 

連邦、ジオン。

人類を二つに割ったこの戦争による災禍はいまだに大きな傷跡を残している。

 

例外があるとすれば、中立を保ったサイド6と直接の戦火からは逃れた月面都市である。

 

「いろいろありがとう、アンキーさん。」

 

バイロットスーツと特徴的な仮面は既に外している。

いまの彼女は、目立たないワンピース姿だった。

そのララァの後ろに隠れるようにして、エメラルドの髪の少女が立っていた。

フォウ・ムラサメである。

 

ムラサメ研究所の5番目の強化人間。

いまのところ最新の強化人間ではある。

 

「まあ、なんだ。これは取り引きってやつだな。

クワトロ大尉に貸し出したアムロとマチュとニャアンはけっこう役に立っている。」

 

アンキーもララァもまだ把握はしていないが「役に立った」どころではなかった。

 

「…その分わたしも儲けさせて貰ってる。ギブアンドテイクって、やつだ。」

 

「わたしにとっては助かりました。」

 

「それにしても、自分からクランバトルを志願するなんてね。」

アンキーは、じろじろとララァを睨んだ。

「あんたは戦いをするひとじゃないだろう?」

 

「戦いは必要になるからするのであって、好き好んでするものではありません。たいていの人にとってはそうでしょう。」

 

「『待つ』のが嫌だからモビルスーツで戦えるようにするっていうのも意味がわからんね。」

 

「“恋人”を待つことについてはあまりいいな思い出がないんです。」

 

「ハッ! 高級娼館じゃあるまいし!」

 

僅かに、ララァの表情が強ばったのをみて、アンキーは視線を逸らした。

 

「……まあ、なんにせよ、こっちは儲かりゃいいんだ。

それにしてももうちょっと実力を隠して戦ったほうがよかったかもしれない。」

 

「……」

 

「グラナダのクラバ組織もこのままじゃ賭けが成立しなくなるって言ってね。

次の試合はなかなかのビッグネームだよ。」

 

「まあ、怖い。」

ララァは、はんなりと笑って見せた。

どんなビッグネームだろうが、ララァのメタ記憶にある『赤い彗星』と『白い悪魔』を凌ぐものがいるとは思えなかったのだ。

 

「アナベル・ガトーだ。ジオンのエース。“ソロモンの悪夢”の異名を取る凄腕だよ。 軍を退役するって言うんでこっちも狙ってたんだが、ケリィ・レズナーに先を越された。

こいつはグラナダでクランを経営していてね。元ジオンのバイロットで、ガトーとは独立戦争時代からの知り合いらしい。」

 

 

「では、次の試合はアナベル・ガトーさんとケリィ・レズナーさんですか?」

 

 

「いや」

アンキーは額に皺を寄せた。

「ケリィのやつは戦争中に負傷をして、パイロットは引退したはずだ。

誰をM.A.Vにするのかはまだ発表になっていない。」

 

 

--------------

 

 

 

「ガトーっ!!」

飛びついてきたニナ・パープルトンをガトーは鮮やかにかわした。

「な、なぜ避ける!?」

 

「なにを飛びついてくるんだ。」

 

「だって、ガトーの姿が見えたから…」

 

ガトーは、後方に顎をしゃくった。

 

病院の玄関から出てくる青年の顔色はよくない。

 

コウ・ウラキは、ガトー目掛けて飛びついた自分の“恋人”をなんの感情もこもらない目でみつめていた。

ジオンによる“強化”は薬物と記憶操作によるものだった。

 

それが「軽い」とはとても言えないものであったが、とりあえずの安静と薬ぬきで今日が退院の日である。

 

「コウ・ウラキ。」

ガトーは冷徹に言った。

「体調はどうだ?」

 

「あんたがそれを聞くのか?」

コウの瞳の奥にチロチロと燃える熾火がわかる。

 

「そうだな。実は優秀なパイロットに用があってな。」

 

なにを言ってるのかわからない、といった表情でどことなく幼さの残る青年は、ジオンの武人を見つめた。

 

 

「そうだ。この俺のデンドロビウムを落とした男だからな、おまえは。」

 

「お、おれが、優秀なパイロットだと?」

その言葉に救われたように、生気のない顔に表情が戻った。

 

呆然と。

コウは、ガトーをみつめている。

ニナへの執着は、闘争心を高めるために植え付けられたものだった。

それを取り除いたいま、コウは自主的になにかをする気力がなくなっていた。

 

のだが。

 

「お、おれが…」

 

流れた泪が枯れた頬を伝う。

 

「俺は、軍を辞めた。クランバトルに出ることになった。おまえをM.A.V.としてスカウトに来たんだ。」

 

「お、おれがあんたのM.A.Vにか…」

 

「そうだ。おまえ以外には思いつかなかった。テストパイロットと比べても危険な仕事だし、富や名声がついてくるかは、実力と運次第だ。」

 

「し、しかし機体は…」

 

「俺はサイサリスを使う。メインの武装は通常のバズーカを流用した。それだけだと面白くないのでな…」

「お、おれの機体は…」

「おまえは、フルバーニヤンを使え。もともとどちらもトリントンでテストしていた機体だ。

使用については素人ではあるまい?」

 

がしっ!

コウの指がガトーの肩にくい込んだ。

 

「や、…やる。やらしてくれ!」

 

「よし。これから俺の昔馴染みのケリィのところで契約しよう。細かいところはそこで話すが、初戦からなかなかやっかいな相手らしいぞ。」

 

肩を組むように歩き出した男たちを、呆然と見守ったニナは、慌てて追いかけた。

 

「ちょっ!ちょ待てよ!!」

 

男二人は胡散臭そうに、ニナを振り返った。

 

「なんで置いてくのよ!!」

 

「いや、コウはこっちで預かる。必要な治療もこちらで受けさせることが出来るが」

 

ニナは追い詰められたが、あることに気がついて、叫んだ。

 

「わたしのガンダム!!!」

 

はあ?

二人のパイロットの顔に「?」が浮かぶ。

 

「そ、そうよ! どっちもわたしのガンダムだわ!

わたしが一番上手くメンテできるし、なんだったらパワーアップも任せて!」

 

ニナは強引に、ガトーとコウの間に身体を滑り込ませた。

 

「さあ! クラバとの契約にいきましょ?

腕のいいメカニックを門前払いなんてするクランはないから!!!」

 

 

 




デラーズ・フリートのモビルスーツは、試作機をかき集めたり、規格外のものや変な改造をしちゃったものもあるので使いににくくて、だいぶ払い下げがあったみたいですね。

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