なんで、カメラのスイッチングみたいにいろんな解説者に語らせようと。
いちおう、「アルテイシアとランバ・ラル」「ゼロ・ムラサメとエルピー・プル」「アムロとクワトロ、マチュ、ハマーン」に加えまして、あらたに「ヤザン、ジェリド、カミーユ」視点を加えました。
みなさんなら、だれと一緒に観戦したいですか?
ヤザンは別にクラバが好きではない。
ジェリドと組んで一時期は、トアールコロニー周辺のクランバトルで連戦連勝を続けてはいたが、連邦軍を除隊させられたために生活費が必要だったのと―――
あと、ティターンズのしつこい勧誘から身を隠すためだ。
そう、ヤザンは力説するのである。
ジェリドに対してだけではなく、このところはずいぶんと打ち解けたアーガマクルーたちにも同じことを言う。
だが、ジェリドは、クラバはこの男にとって天職なのではないかと思っている。
見かけどおりの血に飢えた猪武者は、この男の一面でしかないのだ。戦略的な思考ができないわけでもない。
裏切りでもしようものなら、いつかどこかで平然と寝首をかきにくる。
そんな怖さがある。
それでも、しばらくつるんでいるジェリドにとっては頼れる兄貴分だし、少々癪に障るのだが、あのカミーユというガキも同じような態度なのだ。
どうもヤザンは、自分自身を「苛烈で時として残虐な」戦士として、プロデュースしている節があるのだ。
己の技量に対する誇りもあるが、計算で実利もとる。
普通、兵士はそこまではしない。
上官の命令通りに、命令された場所に行って、言われた通りの破壊を振りまくだけだ。
だからクランバトルのパイロットは、向いてるんじゃないか。
というのが、ジェリドのだした結論である。
薄暗いボックス席には、ヤザンとジェリド、それにカミーユの3人である。
ヤザンの隣りには、けっこうな薄物しか着ていない女性がふたり張り付いていた。
そういう店なのだ。だが、飯も美味い。
ジェリドはかなり酔っ払わない限り女性には奥手であるし、カミーユはまだ未成年だ。
この二人の横には女性は付かず、かわりに(かわりになるものでもないが)新鮮な野菜やそれを薄切り肉で包んでさっと揚げたものが、皿に盛られている。
ジェリドは一口食ったが、美味い。
塩コショウ以外の香草の粉末がかかってるようで、鼻孔にさわやかな香りが突き抜ける。
バーの中央のモニターには、月面でのクランバトルが映し出されていた。
「ガトーのやつが、クラバデビュー戦だとよ。初戦くらい応援してやらんとな!」
そう言って、ジェリドとカミーユは観戦に誘われたのであるが、いくつか分からない点もある。
ガトーとは、言わば敵同士である。
直接言葉を交わした訳では無いし、なにより、ガトーの操るモビルスーツとモビルアーマーの複合機デンドロビウムの爆導索からアーガマを守るために、ヤザンは負傷している。
そのときに彼が乗っていたガンダムマークⅡは破損が酷く、修理はされずにパーツ取りに使われた。
いわば、今回のアーガマ側の唯一撃破された機体となったわけで、ガトーに対して友情を感じる余地などないように思えるのだ。
それになぜ、モニター観戦にバーを選ぶのか。
未成年のカミーユは、見るからに居心地が悪そうである。
それでいて、料理の美味い店をチョイスしたのは、まだ公然と酒の飲めないカミーユに配慮したとしか思えない。
「一瞬で終わるかと思ってたんだがな。」
はベらせたオンナに、揚げ物を口に運んで貰いながら、ヤザンは言った。
「相手は、三連勝中の新星らしいぞ。パイロットは、フォウ・ムラサメというらしい。どうせ偽名だろうと思って、前の試合の映像を取り寄せてみたがら、どうもビット兵器らしきものを装備してやがる。」
「しかし、M.A.Vは『ココ・シャロン』とかいうふざけた名前の女だぜ。どうせ偽名なんだろうが、顔を『赤い彗星』そっくりの仮面で隠している。」
ジェリドは言った。
横の女が、シャンパンを誘ってくるのを、「まずこの試合を見てからだ!」とぴしゃりと断ったヤザンを見ながら、だったら観戦にバーを使うなよ、と思うジェリドだった。
「そっちは、所謂…イロモノなんだろうさ。実際の戦いは、フォウの『サイコガンダムリファイン』が、ほとんどを受け持っている。
ココ・シャロンの機体は…たぶん、ありゃあ、ゲルググにおまえの親父の『ムーバブルフレーム』を取り入れて、外装だけ変えたシロモノだ。」
急に話をふられて、カミーユはむせこんだ。
「……そんなこと、分かるんですか?」
「動きのクセとか見てるとな。
たっぷり金をかけてやがる。コクピット周りの安全構造をやたらに厳重にしてるしマグネットコーティングもかけてる。」
ちょうど、画面のなかでは両チームの名前がよばれ、それに合わせて、サイコガンダムリファインと、ゲルググ改造機が、輸送機から月面に降り立つところだった。
むっ。
と、ヤザンが唸った。
なにかに気がついたような真剣な眼差しだった。
それでいて、脇にすわった途中で縫子が倒れたとしか思えない、布地が胸の当たりを半分以下しか覆っていないドレスの女に“はい、あ~~ん”をしてもらっているのだから、なんともしまらない。
「ありゃ、サイコミュまで積んでるぞ。」
「そんなことまでわかるのか!」
ジェリドは疑いぶかそうに言う。
「ああ。動きがな―――滑らかすぎる。」
「でも……」
「なんだカミーユ。」
「それはサイコミュの力を引き出せてるってことであって……じゃあ、『ココ・シャロン』もニュータイプってことですよね!?」
言われて、ヤザンとジェリドも驚いたようだった。
「……いいぜ、カミーユ!!」
ヤザンはグラスの酒を一気にあおると、女にシャンパンを注文した。
「消化試合……ガトーの引き立て役かと思ったら、試合そのものにも興味が湧いてきたぜ!」
試合が始まった。
青黒い塗装のサイコガンダムRが、マシンガンを撃ちながら距離を詰める。
ガトーの重モビルスーツサイサリスが意外や意外に軽快な動きでそれを避けるが、マシンガンはフェイントだった。
サイコガンダムRの肩部のバインダーはいつの間にか分離し、自在に空を翔る刃となって、死角からサイサリスを襲う。
ドッ!!
月面では発射音は聞こえない。
だが、サイサリスのバズーカが発射される音を、三人は確かにきいたような気がした。
自在に飛翔するソード・ビットをバズーカで撃ち落とすのは至難の業のはずだ。
「ありゃ……散弾だぞ!!」
ジェリドが叫んだ。
ビットそのものには、モビルスーツ本体ほどの耐久力はない。
分離したショルダーバインダーの一機はそれで撃ち落とされ。
もう一機が逆方面から接近するのを、サイサリスの巨大な盾に防がれた。
「やるな……」
ヤザンがつぶやいた。
「あのバインダーが分離して攻撃してくることをわかっていて、予め対策をしていたというこった!!」
もう一機。
ガトーのM.A.V.である試作ガンダムが動いた。
「な、なんだよ!あの加速は! 」
ジェリド?が叫んだ。
「マークⅡを上回ってる!」
カミーユがつぶやいた。すでに彼らは変型によって、従来のモビルスーツにはありえない加速性能をもつ『百式』を見ている。
だが、ガトーのM.A.V.が操るモビルスーツはそれをも上回っている―――または互角に感じられたのだ。
試作ガンダム“フルバーニアン”は。
そのまま、後方に待機していた『ココ・シャロン』のモビルスーツ目掛けて襲いかかっていた。
このところ、生活が不規則で投稿も不規則。andみじかい。and話がすすまない。