第13話 鼓動   作:ATARU 2025

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ララァ・&フォウ・ムラサメ

対するは

アナベル・ガトー&コウ・ウラキ

ちなみに書き忘れたのですが、ニナはケリィと一緒に観戦中です。チアリーダーの格好はケリィに止められましたが、一応両手にボンボンは持ってます。
ケリィはすごく、迷惑がっています。




第21話 狐の時代~それぞれの観戦記

「ほう?」

ランバ・ラル……独立戦争時代は、自ら最前線で指揮をとっていたこの元首側近は、感嘆の声を漏らしていた。

現在は、正式な官職こそ護衛隊長であるが、実質的にはジオンの行政におけるトップのひとりであった。

軍人としての彼が得意とするのは意外にも、少数の部隊を率いてのゲリラ戦である。

 

もともとラル家は、名家である。

だが、ジオン・ズム・ダイクンの死とザビ家に簒奪が噂される中で、もともとダイクン家よりとされたジンバ・ラルの息子にとって、粛清や暗殺から逃れるためにとった手段が最前線で活躍し続けることだった。

 

当然のごとく、モビルスーツのパイロットとしても名を馳せている。

 

画面に映る試作ガンダム一号機『フルバーニアン』の機動力は凄まじく、かの名ブランドのデザインしたモビルスーツ“とんがり帽子”は、構えることも出来ずにその射撃の軸線上にその身を晒していた。

 

たが、銃弾はことごとくその身を避けていく。

 

 

「偶然……ではない。かわしている。」

アルテイシアは物憂げにつぶやいた。ついでにこのわずかな時間にココ・シャロンのファースト写真集『薔薇の真実』を購入して、別のモニターで確認している。

別に彼女は同性の官能的な肢体に興味があるわけではなく、自分にもグラビアの依頼がきたときのために、どこまで脱がなくてはいけないのか、事前に確認する必要があると考えたからだ。

 

ダイクン家の特徴として、物腰になんとも言えぬ品というものをもっている。頭の中がいくらとんでもない思いつきに振り切っていても、見かけは思慮深く、賢そうに見えてしまうのだ。

 

「正確な狙い故に、攻撃が読めてしまうのです。」

「……実戦での経験不足、と言ったところかしら。

ガトーのM.A.V.は『あの』コウ・ウラキ少尉よね。」

「そのようです。マ・クベ将軍がスカウトして、ノイエ・ジールのパイロットをさせておりました。」

「たしか、薬物による強化を行っていたはずよ。日常生活に戻るには半年以上かかるとか。」

 

アルテイシアもまた熟練のパイロットである。

操縦しているパイロットが薬の影響下で冷静な判断力を失ったりしていれば、ひと目でわかる自信があった。

 

コウ・ウラキのフルバーニアンは、射撃をかわし続ける『とんがり帽子』から一定の距離を保つつつ、銃弾を浴びせ続けている。

 

「確かに、『日常生活』はまだ難しいかもしれません。」

ラルは深く重い声で言った。

「今日、いわゆる『強化』は単純に反射神経のアップや戦闘の恐怖を麻痺させるものとはいささか、違っておりまして。

もちろん、そうした要素も含みますが、『モビルスーツ』での戦闘に必要な全てを強化するものになります。見かけとしてはこと、モビルスーツの戦闘に関しては“ニュータイプ”に近い存在となるわけですな。」

 

 

アルテイシアは、眉間に皺を寄せてラルを睨んだ。

 

 

「つまり、『日常生活』に完全に戻れなくても、モビルスーツでの戦いにおいては、正常に近い状態を保てるわけです。

戦争ノイローゼになった兵士を、戦場に送り返すような荒治療と言って言えないこともありません。」

 

------------

 

 

「おーい! ビールをオカワリだ!」

ズムシティの一角。再開発が中止になったこの地区は、戦争難民が住み着き、雑多とした、しかしその分熱気のある街となっている。

なんだかよくわからない。白衣をまとった女医にも科学者にもみえる女性と、その娘だろうか。十歳くらいの少女はカウンター席に陣取り、食い入るように月面でのクランバトルの試合を眺めている。

 

しかし、女のアルコールを胃の腑に流し込む速度と、少女が料理を平らげる速度にはまったく影響しない。

 

「ふがっ! ふががががっ!」

 

口にいっばい食べ物を詰め込んだ少女がなにやら音を発した。

しゃべったらしい。

 

「うむ。たぶん特殊な散弾だ。いまので最後だろう。」

 

「ふぐ。ふぐぐっ!!」

 

「そうだな。サイコガンダムリファインのビットは2機とも撃ち落とされた。

だが、あとはそれぞれの武装としては、サイコガンダムリファインは、通常の機銃と、ヒートサーベル。サイサリスは頭部バルカンとロングヒートサーベルということになる訳だが。」

 

「うーうーうー」

 

「弾数は、サイコガンダムリファインの機銃の方がうえだが、サイサリスの重装甲と盾では有効ダメージにはなかなか届かないだろう。

あれで、サイサリスはなかなか機動性のいい機体だ。フォウもなかなか苦戦するだろうね。」

 

 

そこまで楽しそうに話してからやっと、ゼロ・ムラサメは、エルピー・プルが、本当に喉を詰まらせているのに気がついたらしい。

 

 

医師の心得もある彼女は手早く、手当てに取り掛かった。

 

---------------

 

 

ファンネルビットに対する対抗策として、散弾による弾幕の有効性は、証明された。

これはあくまで、『月面』というフィールドにおいてであり、360度から攻撃可能な宇宙空間においてはまた違っては来るだろう。

だが、少なくともビットやそれをエネルギーキャップ式に改良したファンネルに対抗するには、散弾が有効だと立証されたのは大きい。

 

だが、アムロたちはこのときは、まったく、それに気がついていなかった。

それどころか、試合を見てさえいなかったのだ。

 

すべては、ララァのグラビアのせいである。

 

「えーっと、話を整理するとだな。」ハマーンが頭を抱えながら言った。

「我が君よ。おまえが難民キャンプで見染めて、ネオ香港に連れ帰った女が、クランバトルに出てて、なぜか惜しげも無く肌を晒している、というわけだな。」

 

ララァについては、もっと色々ある。

とくにゼクノヴァやイオマグヌッソ事変とも密接に関わってくるのだが、マチュもクワトロもそれについて説明する気はなかった。

 

「……たぶん、写真集については、アンキーさんが絡んでる気がします。」

 

「やっぱ、天パもそう思う?」

 

「ああ。ぼくも世話にはなってるし、根っからの悪人ではないと思うんだけど、儲け話があるときになにか自制がはたらく人ではないと思う。」

 

「じ、じゃあさ。」

マチュは。困ったようにもじもじした。

「わたしやニャアンにも、その…そんな話が来るかもしれないってこと!?」

 

いや、それは。

と言ってアムロも顔を赤くした。

「まだ、マチュたちは未成年だろう。」

 

「じゃあ、あと一年くらいしたら、アンキーから声かかるかもしれないってことね?」

 

 

「女をひとりにさせ過ぎたんだな、我が君。」

ハマーンはなぜか勝ち誇ったように言う。

「女は待つもの。だが待たされるのになれた女ほど我慢が決壊したときの振れ幅は大きいのだ!」

 

確かに待たせすぎたのだ。

と、クワトロは思った。

この世界のララァのなかにも、彼を救わんがために世界を改変させ続けた向こう側のララァの記憶が流れ込んでいる。

デラーズ・フリートとの抗争がある程度時間がかかるのがわかったならば一度、地球に降りるか。またはもう少しマメに連絡を取るべきだった。

まるで。

恋人にするようにではなく、母親に甘えるようにララァに接してしまったのだ。

 

「しかし、なぜクランバトルに……」

 

「それはわかるような気がします。」

アムロが言った。

 

「ほう? きみにララァのことが分かるというのか。」

 

「クワトロさんはモビルスーツに乗ってるときが一番、イキイキとしてるんですよっ!

だから、あなたと一緒にいるためには、自分もモビルスーツに乗れるようにしないと考えたんでしょう。」

 

そうなのかもしれない。

いや、まさにアムロの言うことがただしいのだろう。

それに自分より先に気づいたクワトロは、アムロに嫉妬した。

 

この久しぶりに出来た友人と言える存在にくらい感情を抱いたのはこれがはじめてだった。

 

-------------

 

 

まるで、後ろにも目がついてる様だぜっ!

 

愉快そうに褐色の肌の男が笑う。

シャンパンが豪快に抜かれ、こんなものはジュースだ、ジュース、という田舎の親父がいいそうなコトバとともに、カミーユのグラスにも泡立つ黄金色の酒が注がれた。

 

サイサリスとフルバーニアン“ゼフィランサス”。

それぞれ特徴はあるが、ムーバブルフレームによる、より人間に近い柔軟な動きや追加パーツの装備のしやすさを除けば、単純なバワー、機動力では、ガンダムマークⅡを上回っているようだった。

ただし、生産性は別問題だろう。

あの武器庫そのものをモビルスーツに背負わせたようなデンドロビウムは、問題外としても、サイサリスもフルバーニアンもコストとしては、数を作れるようなものではない。

 

その攻撃を。

サイコガンダムリファインと、とんがり帽子のは押されながらもなんとかかわし続けているのだ。

 

「アムロさんに言われましたよ、『背中にも目をつけろ』って。」

 

「なるほど。じゃあ、このココ・シャロンもフォウもニュータイプってことかい!」

 

「フォウ・ムラサメってアナウンスされてましたよ。たぶんムラサメ研究所の強化人間でしょう。」

 

「たしかにそうだな。」

ジェリドが言った。

「だが、このココ・シャロンってのは何ものだ? ニュータイプはほとんどジオンに囲い込まれてるはずだし。」

 

 

 

 

 




無限に続けるつもりはなくて一応、オチは考えてあるんですけど。なかなか着地ができないのは、GQuuuuuuXの世界がそれだけ魅力的だからって、こと。
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