風真いろは編から短編ごとに分けてお送りいたします!
ピンポーン
甲高い音が部屋中に響いた。俺は急いで荷物を抱えて、玄関の前に立つ。ドアを開けると金髪の髪に刀を携えた可愛らしい少女が立っていた。
いろは「あ、やっと来たでござるね!早く行かないと遅刻でござるよ!」
俺「わりい。じゃあ行こうか。」
いろは「!ちょっと待って。……はい!風真特製、いろは弁当でござる!」
俺「お、いつもありがとう。じゃあ今度こそ行こうか」
いろは「うん!」
こいつは風真いろは。俺と幼馴染で小さい頃、引っ越してきた俺とずっと仲良くしてくれた。同じ高校で、家も近い。まぁ流石に同じクラスとまでは行かなかったが、最近では一緒に登校している。一緒に登校と言っても近況報告だったりテストがどうだったり、高校生によくある他愛もないありふれた会話だ。ちなみに俺が通う高校は男女共学で規制がガバガバで緩い。だからアルバイトとかやってる奴もいるし、毎日新しいカップルが生まれては消えて…そんな繰り返しのような毎日だ。
そんな学校だと恋バナとかが非常に盛んでどこへ言っても噂が立ったりする。
俺はそんなこととは無縁の人間だと思っていた……
ところが、最近俺の中で何かが変わり始めたんだ。
〈風真いろは 視点〉
いろは「……もう。またこんな時間でござるか…。」
私は小さい時からずっと好きな人がいる。3、4歳くらいの時に越してきて、それからずっと風真のことを気にかけて遊んでくれた。そんな彼とは小、中、高ずっと一緒だ。高校受験では風真の頭が元々悪かったせいでほぼ毎日勉強会をしていた。おかげで同じ高校に行けたのだが…流石に同じクラスは無理があったらしく、クラスは大分離れてしまった。それでもお昼は一緒だし登下校も同じ。風真は今、とても順風満帆……。
で、そんなこんなで彼の家の前に立っているのですが、
いろは「いつも来るのが遅いんだよなぁ〜。悠殿は」
ピンポーンと家のチャイムを鳴らす。そうするといつもドタドタと音を立てて彼がひょこっと顔を出す。
いろは「あ、やっと来たでござるね!早く行かないと遅刻でござるよ!」
俺「わりい。じゃあ行こうか。」
あ、またうっかりしてた。
いろは「!ちょっと待って。……はい!風真特製、いろは弁当でござる!」
俺「お、いつもありがとう。じゃあ今度こそ行こうか」
いつもありがとう。そんな言葉だけでこの心がざわついてしまう。
改めて自覚する。風真は悠殿が好きなんだと。
いろは「うん!」
でも結局はこの想いを伝えられないまま、彼の隣を歩き出した。
〈悠視点〉
新しい高校生活が始まってもう二週間。大分慣れてはきた。今日は登下校の会話で部活の話が出てきた。
俺「いろははやっぱり剣道部?」
いろは「そうだね。風真は剣道が一番でござるかな〜」
悠殿は?と聞き返すいろはの目が少し上目遣いになっていて、かわいいと思ってしまった。
俺「俺はバスケかね。」
いろは「おお〜。かっこいいてでござる!」
俺「あはは…下手くそだけどもね。」
そんな事を話しながらふと思った。君の笑顔にあといくつ会えんだろう……いろはは幼馴染といえどもやっぱり美人だ。いつ、カップルができてもおかしくない。
俺は君を独占したい。そう思ってしまっていた。
そして遂に覚悟を決めた。
俺は風真いろはが好きだ。だから誰かのものになる前に告白しよう。それで友達じゃいられなくなるかもしれない。でも後悔はしないだろう。
あしたにでもいろはを呼び出そう。
〈風真いろは視点〉
俺「いろははやっぱり剣道部?」
ふいに悠殿がそんな事を聞いてきた。彼は部活の事が気になるらしい。風真は剣道しか出来ないのに。
いろは「そうだね。風真は剣道が一番でござるかな〜」
悠殿は?と聞いてみた。もしかしたら一緒に登下校出来ないかもしれない。そんな不安が脳裏をよぎったからだ。
俺「俺はバスケかね。」
いろは「おお〜。かっこいいてでござる!」
俺「あはは…下手くそだけどもね。」
これなら一緒に登下校出来そう……
最近近くで顔を見るだけでドキドキしてしまう。
やっぱりこの気持ちを留めておくのが苦しい。
もし日和っていたら彼が私の前から姿を消すかもしれない。
だから………
明日、悠殿に告白しよう。
〈悠視点〉
俺「ちょっといい?」
へ?と風真は素っ頓狂な声をあげてこちらを見た。
放課後、誰もいない体育館前に呼び出した。
緊張してても仕方がない。ここは意地を見せるべきだ。
俺「いろは!俺はいろはのことが………」
〈風真いろは視点〉
俺「ちょっといい?」
いろは「へ?」
放課後いつものように帰る支度をしていると彼が呼び止めた。今日、放課後下校中に告白しようと思っていた。だからこの誰もいない所に二人きりというシチュエーションはドキドキが止まらなかった。心臓の鼓動がハッキリと分かるくらいに。
俺「いろは!俺はいろはのことが………」
〈悠視点〉
俺「いろは!俺はいろはのことが………好きです!」
俺「だから、俺と……付き合ってくれます、か?」
急すぎたかもしれない。今俺はトマトのように顔中真っ赤なことだろう。でも……これで、
…………ポロポロ
俺「……」
いろはは、涙を流していた。俺は混乱して……言葉を発しようとした、が
いろは「ありがとう。風真も……悠殿のことが…」
いろは「好き……でござる。」
今度は頬を真っ赤にしながらそう告げた。
いろは「だから、その…これからも、よろしく……でござる……」
〈風真いろは視点〉
俺「いろは!俺はいろはのことが………好きです!」
俺「だから、俺と……付き合ってくれます、か?」
唐突すぎて脳内が停止した。その言葉が、一音一音が嬉しくて、
………ポロポロ
気が付けば私は涙を流していた。
言わなくちゃ今言わなきゃ意味がない。
いろは「ありがとう。風真も……悠殿のことが…」
いろは「好き……でござる。」
いろは「だから、その…これからも、よろしく……でござる……」
俺「………本当?ホントだよね?」
私は恥ずかしさで頷くことしか出来なかった。でも二人で喜んで、泣いて、
こんな気持ちは二度と味わえない。
風真は今、世界一幸せ……。そう思えた。
〈悠視点〉
これからも大変にはなるだろう。こんなことにもなれば直ぐに噂は立つに違いない。
でも、二人でこれからやっていこう。
明かりを灯し続けて行こう。風が吹いても消えたりしないように。ずっと。
家に帰ってきて信じられない思いでソファに横たわりスマホを出してイヤホンをつけた。無性に聴きたくなった曲をかけてそっと目を瞑る。
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