仮面ライダーアニマ〜restart〜   作:紳爾零士

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第2話『激流乱世、スピードランナウェイ』

「なぁるほど。それで?アニマの戦闘データは取れた?」

 

…薄暗い地下室。埃っぽさに隠れて、そこには沢山の書類や本棚、データ器具などがおいてあった。そこに居た白衣の眼鏡の男はニヤリと笑いながら、パソコンで先のアニマの勇姿を目に焼き付けていた。

 

「雲居鷹也は確かに適任だった。先ず、ネオが人に使われるなんて初めての経験だ。お前のお眼鏡とやらはしっかりと作用したようだな。糸川。」

 

その男の前に居たのは霊だった。天パの眼鏡の奥がキラリと輝く。咥えている飴をちゅぽっと取り出し、その先を霊に向けた。

 

「当たり前さ。…俺は何も間違えない。例え、人の道理に背いたとしても…正を導き出すのが科学者ってもんだよ。大神くん。」

 

「…あとはその性格を治すだけだな。」

 

笑いながらもメガネを治す糸川と呼ばれた男性。そして、その目は悲壮にも満ちた冷たいものへと変化する。

 

「で?…君の方はどうなんだい。」

 

「…。」

 

「雲居鷹也のアニマドライバー・ネオや研究所から盗まれた旧式アニマドライバーは増幅抑制装置。相反する言葉だが、ただソウルカードの力を取り出し、本能のままに解放する旧式とは違い、暴走のリスクは少ないが、適性がなければ変身できないネオ。そのどちらもが、君を選ばなかった。不死身の亡霊くんとはよく言ったものさ。」

 

その言葉はヘラクレス内や知人の間でも揶揄に使われることだった。糸川の言葉にも霊の顔はいっぺんの曇りも見せない。

 

「そもそも、ソウルカードに内包されたバイオスター粒子と君の相性が悪すぎる。よく言えば絶対に怪物にもならないし、絶対に暴走もしない。が、変身までは苦労するだろうねえ。」

 

「…糸川天聖。お前ならできるんだろう。なにせ、バイオスターを一番嫌っているのは。」

 

「口を慎めよ。死ぬことになる。」

 

笑いながらもその目の奥には闇を抱えていた。糸川天聖…この男もまた食えない男である。

 

「…そういやね。君にプレゼントがあるんだ。」

 

天聖が事務椅子から立ち上がり、細長いアタッシュケースを机の上から取り出す。

 

「いつまでも鉄の棒切れじゃ格好つかないでしょ?…だから、君専用のライダーシステム。これであのクソどもを蹴散らしてくれ。」

 

「…出来てるんじゃないか。」

 

「あとはアニマの戦闘データだけだったからねえ。バイオスターハンターくん。」

 

そこに入っていたのは紫色の剣と狼のレリーフが入ったソウルカードだった。握り心地を確かめるように…霊は振り上げる。

 

「悪くない。」

 

「流石に最新のアニマシステムには劣るけど、ただの高校教諭と君じゃあ天と地ほどの差があるでしょう。虎之助さんは君をアニマシステムの第一人者に選んでたんだから。でも、君はアニマに好かれなかった。」

 

「お喋りはいい。…そろそろお嬢の元へ向かう。金はアタッシュケースに。」

 

そう言って近くのソファーの上を指差す霊。天聖が目を切った瞬間、霊の姿はなかった。

 

「…おや。もうそんな時間か?」

 

…代わりの来客。そこに居たのは黒いアニマだった。…正確に言えばアニマとは少し違うのだが。

 

「君の入手してくれたアニマの戦闘データ。良い感じに活かせそうだよ。全く、モルモットにはおとなしくしていて欲しいものだねえ。」

 

ニヤリと笑いながらもその手はアニマドライバーへとかかっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「雲居先生!!」

 

…神宝高校。新一年生は雲居鷹也はヒーローであるということが話題となっていた。面倒くさがりの鷹也が相手することはなく、いつも塩対応となっている。そんな彼が目指すのは勿論、生物室。

ガラガラと開けるとそこに人影。

 

「あっ。お邪魔してまふ。」

 

「なんでいるんだ。」

 

ため息混じりにそう言う鷹也。

お茶菓子を食べながらソファに座る詩音とその横に座る目隠れの少女。名簿を何度も見ている鷹也にはわかる。自分のクラスの生徒だった。それはそれとして、面倒ごとの匂いがすると鷹也はため息を吐く。

 

「私が入れたのよ。」

 

「四条先生。」

 

口元にクッキーの食べカスをつける鈴華に対して、何度目かのため息をつく。生徒が勝手に入ってないならと少し安堵するが、それでも勝手に入ってきたことには変わりない。

 

「面白いことになってるそうじゃない。雲居先生。」

 

「…目立ちすぎた。全く。」

 

事務椅子に座りながら項垂れる鷹也。イタズラっぽく笑う鈴華を見ながらも…話を切り出す。

 

「で?馬童がいるのはなんでだ?」

 

馬童薫子(ばどうかおるこ)。目隠れの少女は少し肩を震わせて驚く。

 

「えっ、あっ…えっと…そのっ…。」

 

「…馬童さん、お友達が襲われたの。」

 

その言葉を聞いて鷹也の目つきが変わる。気だるげな目からキリッとしたものへと。薫子は慌てふためきながらも、小さな声を少しずつ出していく。

 

「青葉ちゃん…ってわかりますか…。」

 

「犬井か。わかるぞ。うちのクラスだ。…それに、2日前、緊急入院したとも聞いている。」

 

例の事件から数日が経った。

神宝高校はヘラクレスの元、バイオスターへの警戒体制が敷かれていたが、その中で一つ。犬井青葉という少女が襲われた事件があった。

 

「陸上の大会の練習中だったか。大事にしたくない陸上部顧問は確か、熱中症によるものと言ったが、手足にはあざ…。倒れたにしても豪快すぎるだろ。」

 

「先生っ!!…青葉ちゃんを助けてあげてください…!!お願いします…!!」

 

薫子はそう言いながら頭を下げる。先の事件については鷹也も聞いたことがあるものの、見たわけではない。…ヘラクレスの厳戒態勢の中、バイオスターが入ることなどあるのだろうか。

 

「…仕方ない。」

 

教え子に泣きつかれては弱い。ため息をつきながらそう言う鷹也に薫子はぱぁっと明るい表情をして詩音に抱きついた。

 

「ちょっ…もうっ…!!」

 

「…。」

 

神谷のご令嬢という立場でありながら皆と変わらない関係を気づいている。そんな様子を見て鷹也はほっとしていた。

 

「お前らは一度家に帰れ。俺は俺で探ってみる。」

 

「「はいっ。」」

 

鷹也は2人の姿を見送るとクッキーを食べる鈴華を見る。

 

「お前も帰れ。」

 

「私は少しお電話があるから。大丈夫、閉めてくわよ。」

 

「…わかった。」

 

鷹也は頭を掻きながらため息混じりにそう言う。その手にはアニマドライバー・ネオが握られていた。ガラガラと生物室の扉が開かれ、閉められる。…誰もいなくなった室内で鈴華は1人、スマートフォンに手をかけた。

 

「ええ。鷹に…雲居鷹也は動き始めたわよ。」

 

…声が低くなる。その電話の先は誰であれ、鈴華の切れ長の目が更にキツく…虚空を睨むように動く。

 

「執行部は貴方に任せているでしょう?…私は彼を監視するだけ。…本当は嫌なんだけどね。口答え?…貴方何様よ。」

 

電話の先の声に怒っているようだった。

白衣に包まれた臀部を鷹也の机に置きながらカーテンの締め切られた窓を開ける。

 

「…J…ね。わかったわ。それじゃあ…予定通りに。」

 

そう言いながら鈴華はため息を吐く。

胸元から一枚…鳥のレリーフの書かれたソウルカードを取り出すと鈴華はそれを睨みつけた。

 

「ごめんね。鷹兄。」

 

そう言うと1人、生物室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…丹波先生。」

 

神宝高校グラウンド。放課後は陸上部、野球部、ソフトボール部などが練習の場として使われている。春先の桜はほとんど無くなり、新緑が芽吹き始めている。

 

「雲居先生、そんな怖い顔をしてどうなさいました?」

 

陸上部顧問である丹波清孝(たんばきよたか)は目に皺を寄せて、微笑みながら問いかける。その横には屈強な強面が立っていた。

 

「覇道さん?なぜ。」

 

覇道虎之助は腕を組みながら眉間に皺を寄せていた。丸太のような腕からは血管が隆起している。

 

「…先日のバイオスター傷害事件を調べている。同様の事件がここいらの小中学校でも多発していてな。神宝はマークしていたのだが…。」

 

「だから、あれは熱中症なんですよ。…私としても水分補給はしっかりさせていたつもりですが…。」

 

「被害者には打撲傷が多数あった。複数回、殴られ蹴られしたものだと考えられるが…。」

 

虎之助の詰め寄りに清孝は眼鏡をくいっと上げる。

同じ学舎の先生であるにも関わらず、鷹也はただその様子を黙って見ていた。

 

「…わ、私は何も知りません…。」

 

…追い詰められたその顔は暗い。

虎之助は確信していた。この男は今回の件に何かしら絡んでいると。

 

「知っているなら何か…」

 

「何をしているんです?丹波先生。」

 

その時だった。虎之助の言葉を遮るように聞こえる男の声。スタスタと歩いてくる男の風貌を見て、全員の目が丸くなる。綺麗なビジネススーツに身を包む黒髪の男。切長の目に綺麗に整えられた黒い革靴。…その顔は王羅の有名人だ。

 

「神谷刃社長…。」

 

神谷プライズ代表取締役社長…神谷刃(かみやじん)。王羅に住む人間ならば、その顔を知らないものはいない。

 

「神宝の陸上部は素晴らしい。神宝設立時以来、大会の常連となっている。これも丹波先生のご指導、ご鞭撻の下、生徒たちが切磋琢磨しあい、そのポテンシャルを完璧な状態にまで持ってきたその努力あってのこと。…それを見にきたんですが…おじゃまだったでしょうか。」

 

「い、いえ…!?神谷理事長にお越し頂き、生徒たちもさらに練習に励むかと…!!」

 

清孝はわかりやすく、汗をかき、媚び諂っている。

刃の顔はただ優しく微笑むのみ。

 

「其方はヘラクレスの総統…覇道虎之助隊長。そして…これはこれは。娘を担任してくださってる雲居鷹也先生。噂は予々。…いつか、ご挨拶したかったのですが、なにぶん此方も忙しく…。」

 

刃の手が握手を求める。

しなやかな指が鷹也の手を握る。見た目以上に固く、力強い印象を受けた。

 

「い、いえ。」

 

「娘が何かご迷惑をかけておりませんでしょうか。片親で…しかも、此方もあまり家におらず、大神くんに任せている始末でして…。」

 

その顔はさながら親。しかし、鷹也は背筋に冷たい感覚を覚えた。真っ黒な瞳に映るのは鷹也であって、鷹也ではないような…。

 

「邪魔をしましたね。」

 

そうして、その手は振り解かれる。

刃はまさに世間で騒がれるような爽やかな笑みを浮かべていた。その顔になんの意味もない。ただ…鷹也には少し…いや、だいぶと怖かったのだ。

 

「それでは。」

 

そう言ってその場を後にする刃。その背中は小さくなっていったのだが、鷹也にはまだ随分と強大に見えた。

 

「それで。」

 

話を戻す虎之助。清孝の方を見ればその顔は足元に水溜りでもできあがらんぐらいには汗まみれだった。毛一本もない頭がピカピカに輝く。

 

「…すみませんが、大会を控えてるんです。ただの生徒の熱中症騒ぎで我々が窮地に追いやられることはない。放っておいていただけないでしょうか…。」

 

そう言うと足早にその場を離れる清孝。

その様相はまるで不自然。虎之助の顔が更にいかつくなる。

 

「…あれは何かを知ってる様子だ。早く突き止めねば…次の犠牲者が出る。」

 

「やけにバイオスター事件に御執心だな。」

 

ふと、鷹也の口からそのような言葉が出る。

その言葉を聞いた虎之助の目がさらにキツくなる。その顔は仁王と評される彼にぴったりの顔だった。

 

「…君と同じだ。雲居先生。私とてあの人体実験で大切な人を失った。」

 

「…なに?」

 

「人体実験は3年前のこと。私と…あなたの知る大神は隊を組んであの実験施設へと足を踏み入れた。」

 

重々しく…そして、低く圧力のある声。開かれたその目から見えたのは並々ならぬ覚悟。それを知るには鷹也も全てを話すことに他ならない。

 

運動場。春一番と言わんばかりに強い風が砂を巻き上げる。2人は手に缶コーヒーを持ち、場所を陸上部が監視できる運動場のベンチに変え、腰をかけた。口を開いたのは虎之助からだった。

 

「…あの実験で私の愛した人…つまり、龍夏の母親は…惨たらしい死体で見つかった。顔は半分が魚のようになり、肌はまるでセメントのような色…手足には羽毛が生え、半分に切られていた。…それは人間と呼ぶには難しい様相だった。…私はあの惨劇を夢かと思った。日に日に帰ってこない現実に吐き気がした。…それと同時にあの子の母親を救えなかった自分自身に嫌気がさした。それが、私のこの事件に対する覚悟だ。」

 

「…。」

 

握られた虎之助の拳は丸太というには太すぎるほど…血管が浮き出ており、爪が食い込み血が滲み出ている。鷹也はその目に不退転の覚悟を見出した。ため息を吐きながら、缶コーヒーを飲む。桜が散り、青葉が舞うグラウンドを見ながら、彼の脳裏に浮かぶのはありし日の少女。

 

「…ずっと蓋をしてきた。あの日のことは…などと考えたくもなかった。」

 

「雲居先生。人は前を向かねば腐るもの。だが、胸の内にずっと腐ったものを抱えていては気持ちよく全身できない。私ならば君を救うことができるかもしれん。」

 

「そうか。」

 

…そう言われて鷹也の口角が僅かに上がった。胸の内が少しずつ無くなって身体がふんわりと軽くなっていく感覚。目の前の初老の男性を…本当の意味で信頼してもいいのかもしれない。

 

「…俺は。」

 

その時だった。

グラウンドから聞こえる悲鳴。鷹也と虎之助はすぐにその場に走っていく。

 

「馬童さんッ!!」

 

詩音の悲痛な声。

目の前には怪物に足蹴にされる女生徒が居た。鷹也の頭に熱いものが登る。

 

「…その子を…放せ。」

 

目の前の怪物は大きな爪で口元を拭うように動く。その目はきっと開かれると、直後、恐ろしいほどの速さで鷹也の横を何かが通った。頬が少し切れ、血が流れる。

 

「ノロマダナ。ソレデ俺トヤル気カ。」

 

馬童薫子を踏みながら、怪物は腰を落としてニタニタと笑う。人質を持った怪物は余裕綽々だった。鷹也も目の前の現状がよくわかっている。…もし、今変身したとしても…踏み殺されては意味がない。

 

「サァ、俺ニ殺サレナッ!!愚カ者ッ!!」

 

「…愚か者はどちらかな。」

 

「ナニッ!?グアッ!?」

 

…直後、怪物の背から白煙が立ち上る。驚いた拍子に怪物は薫子から足を離し、そのまま横に転げ落ちた。

 

そこに居たのはバイクに乗った大神霊だった。その手には銃のようなものを持っている。

 

「今だッ!!雲居先生ッ!!」

 

「…助かる。」

 

既に鷹也の腰にはアニマドライバー・ネオが巻かれていた。飛び立つ鷹に周りの金のリングが鷹也を覆うように浮かんでいる。そのまま鷹也は天面のボタンを押した。

 

「変身ッ!!」

 

〈リンク…オンッ!!〉

 

〈飛翔ッ!!猛将ッ!!イッツ、マイショーッ!!〉

〈ホークリンクッ!!〉

〈アニマ、ゴーイングオンッ!!〉

 

鷹也…いや、アニマは背中から翼を生やし、そのまま怪物を両足で蹴り飛ばす。その際に霊と虎之助が薫子を救出した。

 

怪物はなすすべなく、地面を滑る。直後、怪物はニヤリと笑うとアニマの周りを回るように走り出した。

 

「…速っ!?」

 

「アッタリマエダッ!!コノ力ハチーターノ力ダゼッ!?ノロマッ!!俺ハオマエヲ超エテヤルッ!!オラッ!!」

 

怪物…チーターバイオスターはアニマの懐へ潜り込むとその爪でアニマの胸を裂いた。アニマから白煙が立ち上る。

 

アニマを翻弄するかのようにチーターバイオスターはアニマの周りを回る。時には懐に入り、胸を、時には背中をその自慢の爪で裂く。

 

アニマは全く対応ができていない。

 

「…チッ!!」

 

「雲居先生、これをッ!!」

 

翻弄されるアニマに霊が手に持っていた真っ赤な銃を投げつける。アニマはそれを前に出てチーターバイオスターの攻撃をわざと喰らうことで受け止める。そのままチーターバイオスターの胸に銃口を突きつけ、トリガーを引いた。

 

「グォッ!?」

 

「なんだ、これ。」

 

「アニマの新型武器『アニマニクスギア』だ!!…それを当てろッ!!」

 

「んなこと言われたってッ!!ぐっ!?」

 

…そう。

動き回るチーターバイオスターに銃を当てるなど素人のアニマにはほぼ不可能。

 

チーターバイオスターは即座に体制を整え、アニマへと向かうようにクラウチングスタートを切っている。

 

「ぐっ!?」

 

「ハッハッハッ!!優レタガンナーデモ俺ハウテネエヨッ!!」

 

防戦一方。

狩られ尽くされるアニマ。…しかし、その頭にとある作戦が思いついていた。首元に迫る爪。アニマはそのチーターバイオスターに銃を撃ち込む。

 

「グッ!?ナンダッ!?」

 

「勘でも当たるもんだ。」

 

「勘ダトォォッ!?」

 

…そして、アニマはとあるものを腰のカードホルダーから取り出した。それは紺色に色づくサメのレリーフのついたカードだった。

 

「そして、ここからは勘じゃない。」

 

そのままアニマはそのサメのカード…『シャークソウルカード』をベルトの前にかざした。

 

「舐メルナァァァッ!!」

 

激昂したチーターバイオスターがその爪を突き立て、アニマの横から滑り込むように向かってくるが…。

 

「グォォッ!?」

 

それよりも早くアニマがホークソウルカードを抜き、シャークソウルカードをアニマドライバー・ネオに装填。直後、ベルトから現れた紺色のサメがアニマを守るようにチーターバイオスターを薙ぎ払った。

 

「…力を貸してくれ。」

 

アニマが紺色のサメに手を当て言うとそのまま拳の横で天面のボタンを押した。

 

〈リンク…オンッ!!〉

 

直後、サメがアニマの胸を貫通すると同時、無数の泡がアニマを飲み込む!!

 

〈よそ見はワーニング…陰からバイディングッ!!〉

〈シャークリンクッ!!〉

 

〈…アニマ…ゴーイングオンッ!!〉

 

泡が晴れた瞬間、そこに立っていたのは先ほどとは違い、白い肌を紺色のアーマーで隠したアニマだった。ホークリンクとは違い、顔は噛み締めたようなギザギザの口のバイザーがついており、その頭頂部には大きなヒレが立っている。腕周りにも大きなヒレが一つずつついており、何処となくシャークバイオスターにも似ていた。

 

その姿はまさに仮面ライダーアニマ…シャークリンクである。

 

「さて、狩りの時間だ。」

 

首を回しながら、アニマニクスギアのトリガーをしっかりと握るアニマ。チーターバイオスターはニタニタと笑いながら爪を突き立てる。

 

「姿ガ変ワッタカラトイッテ俺ノコトハトラエラレネエヨッ!!」

 

そう言いながら再びアニマの周りを回り始める。

地面を爪で割きながら砂埃をあげる。…しかし、それに対してアニマは冷静に銃口を向ける。

 

「そこだ!!」

 

「グッ!?」

 

放った銃弾がチーターバイオスターを貫く。

 

「マグレハニドモオコラネエッ!!」

 

激昂したチーターバイオスターが再び砂埃をあげ、迫る。しかし、アニマはついに銃を構いやしなくなった。

 

「諦メタナァッ!!」

 

そのままチーターバイオスターは地面を蹴り、再びアニマの懐に潜り込む。そのまま爪を突き立てる…が。

 

「ナッ!?」

 

その爪はアニマに掴み取られる。

そのままアニマはその爪を肘でへし折ると、よろけたチーターバイオスターの懐に銃弾を何度も打ち込んだ。

 

「グァァァァッ!?」

 

白煙が立ち上る。チーターバイオスターはそのまま地面に膝をつく。銃弾がチーターバイオスターの足を壊していたのだ。もうアニマを翻弄する速度は出せない。

 

「終わりだ。」

 

「ナンデ、ナンデダァ!!俺ハオマエヲ超エテイタッテノニッ!!」

 

「…アレはお前の姿が速すぎて捉えられなかっただけだ。サメはな。目が悪いんだよ。その代わり、嗅覚が発達してる。…俺には見えたぜ。お前の襲いまくった薄汚いその手がッ!!」

 

「ナッ!?」

 

アニマはそのままホルダーのホークソウルカードをアニマニクスギアに翳す。

 

〈チャージングッ!!〉

 

周りに舞う羽根が銃口で渦を巻き、大きな銃弾を作り出す。チーターバイオスターは必死に逃げようとするも壊れた足ではそこまで遠い場所まで走ることはできない。

 

「終わりだ。…お前の敗因はただ一つ。俺の前で生徒を傷つけたことだ!!」

 

そのままトリガーを引く。

 

〈ホークッ!!シューティングフィニッシュッ!!〉

 

「ハァァァァッ!!」

 

アニマの一撃はレーザーとなって逃げるチーターバイオスターを背中から貫いた。チーターバイオスターは大きな声をあげて爆炎と共にその場に散った。からんと音を立ててソウルカードが飛び出る。

 

「一件落着だな。」

 

アニマに向かって虎之助が語りかける。

…その黒煙が晴れた時、そこに倒れている影にアニマは目を見開いた。

 

「…アンタは丹波先生!?なんで…!!」

 

「うっ…ぐっ…!?」

 

陸上部顧問…丹波清孝はその場から逃げようとゆっくりと立ち上がる。しかし、必死に逃げようにも足が言うことを聞かない。アニマは変身を解こうとアニマドライバー・ネオに手をかけた。その時だった。

 

「ッ!?」

 

アニマの背中から白煙が立ち上る。

アニマが膝から崩れ落ち、地面に伏せる。

 

「雲居先生ッ!?」

 

「…なに。」

 

霊も詩音も目を見開いた。それをしたのはアニマの後ろにいた黒い影。まさしくアニマのドッペルゲンガーのようなそれは手に弓のような武器を持っていた。一撃でアニマは変身解除まで持ってかれた。

 

「さっさとソウルカードを持って去れ。2度と手を煩わせるな。」

 

「ひっ…ヒィィィィッ!?」

 

清孝は手にチーターソウルカードを持ってその場から恐る恐る取り出した。合成音声のような声があたりに響き渡る。

 

「…お前、何者だ。」

 

「…私の縄張りに身勝手に入ってきた者どもよ。その罪を贖い、恥じろ。冥府でな。」

 

なおも臨戦体制の黒いアニマ。

…鷹也は意識を持ってかれ立ち上がることすらできない。…万事休すかと思ったその時、覚悟を決めたかのように霊が間に入って出た。その手には紫の剣とオオカミのレリーフの書かれたソウルカードを持っていた。

 

「大神ッ!!」

 

「霊さんッ!!」

 

「…案ずるな。お嬢。俺が守ってやる。」

 

そう言いながら霊はオオカミのソウルカードを地面に突き刺した剣の正面にかざした。持ち手から刀先へ流れるように紫の粒子を纏う。そのまま引き抜くと剣を持ち変え、峰の方に大きく突き出したスロットへウルフソウルカードを滑り込ませる。

 

「…変身。」

 

そのまま剣を振りかざすと共に持ち手のトリガーを押す。

 

〈スラッシュアップッ!!〉

〈狼月一閃…ファントムッ!!〉

 

そこに立っていたのはただの霊ではない。

オオカミのシルエットの頭部を白いアーマーが包み込み、アニマのような濃い紫のバイザーはところどころにヒビが入っている。胸部は肋骨のようなアーマーとなっており、肩には毛皮がついていた。まるでその姿は骸骨武者のようだ。

 

「…己が命を賭してお嬢は守り切る。切り捨て御免。」

 

そう言ってその戦士は剣を構えた。

 

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