寄生プレデターはシェイクハンズの夢を見るか 作:紅葉崎もみじ
その“少女”の人生を端的に表すと──
人並、だろうか。
税金対策のためだけに結婚し、子供を作った両親の元に生まれ。
愛情を注がれることはなかったが、最低限人間扱いされ育てられた幼少期。
両親の心変わりも起こらず、本人の反骨意識も芽生えなかった結果。
当初の予定通り、人類のために死ぬ運命が確定した。
が、しかし。死に場所であるはずの“学園”にて、生まれて初めて気の置けない友人。尊敬できる先人と出会う。
日々の戦いは辛かった。でも、辛いことだけじゃなかった。
入学前よりもよっぽど充実した日々。
そんな彼女の人生は人並だった。
ありふれてはいない。
しかし、珍しくもない。
人並みに生まれ。
人並みに生き。
そして、
人並みに死んだ。
+ + +
“少女”は東京地区の運営するペガサス養成学校、『アルテミス女学園』に所属する中等部の一年生だった。
ペガサスとは、有り体に言ってしまえば人体を改造した少女たちである。
数十年前、突如として出現した(とされる)人類に敵対的な謎の生命体『プレデター』。
生命力、戦闘力共に人類を凌駕し。出現からの短い時間で当時の総人口、そのほとんどが失われ。生存権を脅かされ続けている。
もちろん人類も無抵抗ではなかった。
プレデターを形成する体細胞、通称『
既存の生物に移植すれば、たちまちその肉体を変異させ強力な兵器へと生まれ変わらせる…。
要はプレデターに変化させるのだ。
が、唯一P細胞を植え付けられても自我を失わず。
強力な力を扱えるようになる存在がいる。
それが12歳から18歳までの年頃の少女たちであり。
P細胞によって肉体を改造し、人類を守るために戦う使命を背負った誉れ高い存在。
それがペガサスだ──と。
大人たちは今日も、手術台に乗せられた乙女たちに言い聞かせ続ける。
その運命の果て、その残酷な運命から目をそらさせるために…。
閑話休題。
それは一つの依頼から始まった。
東京地区近くの『街森』。その一角にて、ここひと月の間に行方不明のペガサスが増加しているという情報をもとに調査をするよう“生徒会長”からの要請を受けた。
はっきり言って、今代の生徒会長にはリーダーとしてのカリスマも。
生徒たちからの人望もなく、あるのは悪評と忌避感だけであるため。
当初、勧告された依頼を取り合おうとするペガサスはいなかった。
が、中等部のペガサスで構成されたいちグループが「自分たちのグループに所属しているペガサスが、依頼の内容と同じポイントで行方不明になった」という理由で依頼を受諾することとなる。
もちろん、動機は生徒会長への慮りという訳ではなく。
仲間を捜索するついで、ぐらいの認識だったが。
ともかく依頼は受諾され、捜査は行われた。
その結果、捜査を行ったグループ全名──19名のうち。
中等部一年生一名を除いた、18名が戦死…。
もとい、学園のペガサスにならった言い方をすれば。
18名が『卒業』するという結果となった。