タバサのTS物語   作:ディア

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【朗報】俺が書いた小説に低評価を入れまくるユーザーの二人が同一人物で不正行為を行った結果BANされる

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おかげでここまで速く書けることが出来ました。それでは本編どうぞ。


第41話

この目の前にいる王女様は自分の価値を理解していない?

そう思ってしまうくらいにトリステインには利益はない。ガリアとの同盟でトリステインが得られる利益はゲルマニアの牽制の他にもある。

例えば関税の緩和や魔法技術の共有化。同盟している以上無駄に搾取し合うよりもお互いに商業を自由にした方が良い。関税を緩和させることで商業が発達して貴族達にも恩恵を与えられるだけでなく平民の生活も豊かになるし、魔法技術を共有すれば魔法で遅れを取っているトリステインが魔法技術に関して発展するようになる。

 

しかしトリステインのメリットはたったその程度でしかない。ガリアと同盟を結ぶ為だけにこの王女がオルレアン公こと僕に嫁ぐということは、トリステインの国王は僕の子供それも次男が15歳になるまで空位のまま。つまり最低でも今から17年──双子の場合、16年だがガリアでは忌み子と見なされてしまう──かかる。長男が継ぐとしても五十歩百歩だ。ルイズの父親ことヴァリエール公爵も一応国王になれるだけの資格を持っていることには持っているけど、ヘンリー王が亡くなってからも宰相にならず領地に籠って領地経営をしていることから彼はトリステイン王国を継ぐ気はないと思われる。

 

それなら僕が婿になれば、僕がトリステインの国王になり次男が生まれるまでの空位を埋めることができる。しかし向こうから同盟を申し込む以上、それは出来ない。男の中ではお祖父様の血を直接継いでいるのは伯父様や先代オルレアン公、僕の三名のみ。先代オルレアン公ことあの変態は死んだも同然。実質二人でその内一人はガリア国王。つまり僕は次期ガリア国王候補ナンバーワン。そんな同盟国の国王になるかもしれない相手に婿になれとトリステインが言える訳がない。言えるのはただのバカ。あの外交得意の伯父様相手に言おうものなら従属して公国にさせられるのがオチだ。

 

そんな選択をするくらいならこの王女様を嫁に送った方がマシなのかもしれないけど、向こうからしてみれば同盟しない方が良いと思えるくらいに痛手だ。何せこっちの言いなりにしかならない……言いなり?

 

読めてきた。王女様が僕の正室になっている状態でトリステインを見捨ててしまえばガリアが薄情者にされてしまう上に、言いなりになったトリステインから得られる利益は莫大な物だ。それを見捨てるなんてことは出来ない。謂わば強い拘束力をガリアに持たせるのが目的な訳だ。

「……っ!」

その瞬間、目の前にいる王女様に寒気を覚えた。見た目や雰囲気こそ可愛らしく綺麗な花のような少女だけど中身は食虫植物。政治のことで冷や汗をかかせたのは彼女が初めてだ。

 

「どうされました?」

「アンリエッタ姫、その話は僕の一存では決められない。ガリアに帰って報告させてもらうよ」

「あら、その必要はありませんわ。あくまでももしもの話ですわ」

「まだ決まっていないということ?」

「ええ。ウェールズ様どころかマザリーニ枢機卿も預かり知らぬことですわ。何せずっと政に関わらなかった私が考えたことですし、言ったとしても諭されることでしょう」

確かに王女様を次期ガリア国王とはいえ公爵に嫁ぐことを許さないに決まっている。僕を婿にさせてトリステイン国王にさせるのが筋だ。出来る訳ないけど。

「僕からも、もしもの事を言って良いかな?」

「何でしょうか?」

「もしもアンリエッタ姫が僕に嫁いだら、僕に全身全霊協力して」

この王女様、いやアンリエッタ姫を敵に回したら恐ろしいけれど、味方になったらこれ以上ないまでに頼もしいことはない。それほどまで僕は彼女を恐れていた。

「喜んで!」

僕にとって彼女の微笑む笑顔は一生忘れられないものとなった。

 

 

 

「ではミスタ・タバサ。これにて失礼します」

「待って。出ていく前に僕の下着を返してもらうよ」

彼女のポケットから僕の靴下が微妙にはみ出したのが見え、持って帰ろうとしたので引き留めると硬直し、すぐに油虫の如く逃げようとした。

「ロック」

逃げる前に扉にロックの魔法をかけ、鍵を閉めると慌てていた彼女が無理に抉じ開けようとドアノブを何度も回そうとする。

「さあ、そういう悪い子にはお仕置きだよ」

彼女を拘束し、指を動かす。僕が見ても気持ち悪い動きをしているんだから彼女からしてみれば恐怖の対象でしかない。

「わかりました、ごめんなさい! すぐ返しますから! それだけは止めて!」

政治力に富んだ彼女もこの擽りの前では女の子みたいになっていた。

「さあ、覚悟……!」

そして僕の手が彼女の脇に触れ──そして、アンロックされた音がその場に響く。

 

「タバサいる……って何をしているのかしら?」

キュルケが乱入し、アンリエッタと僕を見た瞬間声のトーンが低くなり、空気が冷える。

「求婚されまして、その共同作業の練習ですわ」

「タバサ?」

「違うから! そんなこと言ってない!」

「酷い、酷いですわミスタ。私とのことはお遊びでしたのね?」

王女様が泣き声で涙を流し、いかにも悲劇のヒロインらしく泣いた。そして僕だけが見えるようにあくどい笑みを浮かべていた。

「は、謀られた……」

「タバサ、私と本以外興味ないとか言っておいて王女様に手を出すなんて……」

『坊主、随分修羅場だな?』

いいからキュルケを止めて!そうでないと僕の貞操が危ないから! もしやらなかったらバラす!

『おっかねえ。そこまで言うってことは余程マズイ状況なのか。仕方ねえな坊主、キュルケの嬢ちゃんに俺を渡しな』

「キュルケ、僕を信じて」

キュルケの手を握り、さりげなくキュルケに地下水を渡す。そうすることで地下水がキュルケの体を乗っ取り、状況を説明してくれる。

 

「はい、返すわ」

数分後、大人しくなったキュルケが僕に地下水を渡してため息を吐いた。

『すまない坊主。北花壇騎士団に所属していることは話さなかったが、坊主の出自を話させて貰った』

仕方ないよ。いずれ早かれ遅かれバレることだしね。

「アンリエッタ姫、タバサに聞きたいことがあるので席を外してもらえませんでしょうか?」

「元々そのつもりでしたわ。それでは失礼します」

王女様が僕の靴下をさりげなく持っていき、部屋の外に出る。何に使うかはだいたい察するけれど、想像したくない。

「驚いたわ。そのナイフにそんな力があるなんて」

ルイズなんかはこの地下水の力を見抜いていたみたいだけどね。

「ナイフとして使うよりもこの効果の方が強力」

「それはそうでしょうね。だから頼んじゃった」

「何を?」

その瞬間、地下水が僕の体を乗っ取り話しかけてきた。

『すまない……坊主、北花壇騎士団の情報を漏らさないようにするにはこれしかなかったんだ』

漏らさないようにって、話したの!?

『いや話してはない。キュルケの嬢ちゃんが坊主の秘密つまり北花壇騎士団のことを探らない代わりにこの取引を持ちかけてきたんだ。俺はそれに応じた』

よくやったと言うべきと誉めるべきなのか交渉が下手くそと罵倒すべきなのか判断に迷う。

『そう言うわけで今夜は坊主の体でキュルケの嬢ちゃんの命令に従わせてもらうぞ』

「さあ、今夜は寝かせないわよ!」

北花壇騎士団だと知ってもいいのは裏の人間とその関係者だけ。下手にキュルケが関われば命を落としかねない。今夜だけなら我慢しよう。




解説。
アンリエッタの策はトリステインとガリアが現代における日本と米国ような関係築き上げることでトリステインに依存性を持たせるということですね。これ以上のことは規約違反するので解説出来ませんが概ねそのような認識でお願いします。


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