転スラ世界で陰の実力者になりたくて!   作:咲崎咲希(さきざきさき)

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スーパーエリートエージェント復活!

 

 歴史の裏側を暗躍し歴史を改変する誰か…そしてその正体は圧倒的な実力を持つ陰の実力者…完璧だぁ! それを達成できた今、僕はものすごく満足している。とってもだ。

 あの青髪の人…リムルさんだっけ。とても良い反応をしてくれた。聞いて欲しいことを聞いてくれたし、何より物の凄さをわかってる。いやー素晴らしい。最高だね。

 

 そんなわけでまた夜の蝶でしっぽり晩酌もどき中だ。ここがまた雰囲気良くて好きなんだ。ドワーフの豪快な酒盛りの中、隅の方に静かに佇む一人の少年…。旅の恥はかき捨てってこともあり、何か訳知り少年ごっこをしているわけだ。

 

「…シャドウ。探したわよ」

 

「…アルファか」

 

 訳知り少年ごっこ…。

 というかアルファ達って別件があるから忙しいんじゃなかったっけ。いやあれは僕のごっこ遊びを巻くための方便か。

しかし乗ってくれるなら嬉しい。目線を鋭く絞り声を低くして尋ねる。

お店の奥、表の喧騒により目立たないその席。シャドウの隣にアルファは腰を下ろす。

 

「状況は」

 

「ええ。あなたが対応したジュラの森への侵攻——カリュブディスは何者かに仕組まれたものだったの。今背後を洗っているけど、中庸道化連…聞き覚えはあるかしら」

 

 なにそれ。

 

「いや知らんな」

 

「教団の新たな協力者…と言ったところね。教団より歴史は浅いけどこの世界を支配しようとしている勢力よ」

 

「ほう…」

 

 ワイングラス(濃縮還元100%リンゴジュース)を、ゆらりと手の中で遊ばせる。

 いいじゃん、いいじゃないか。ベータに続きアルファまで…新たな設定を追加してくれる。僕の発想だけでは思いつかない設定を…! 彼女達もたびたび乗り気になってくれている…!

 

「そして教団も…どうやらこちらの大陸、国々に力を入れようとしているみたい。私たちも動かなければならないわ」

 

 えーっと。つまりアルファたちはこっちに行くってことかな。僕はまだ学生だし…今回だって休みを利用してきているから、ここまでかな。

 

「安心して。こっちの大陸、私たちより魔法が発展しているから。イータが転送魔法陣を研究中よ。有機物の転送に不向きらしいけど、近日中に成果が上がると思うわ」

 

 なにそれすごい。

 僕のパクリ建築のみならず魔法まで自己開発改善できるとか。これが頭脳の差か…。すごいぞイータ。

 

「ミツゴシも新たな店舗を広げようと思ってるから。この魔法があれば便利になるわね」

 

 基本的に、シャドウガーデン運営はアルファに任せている。ミツゴシが来るということは、ガンマも乗り気になってくれたということだろうか。ただ、僕の返事は決まっている。アルファに任せておけば万事問題なく進むのだ。

 

「ああ。任せたぞアルファ」

 

 そう言って、訳知り少年を装いつつ店を後にした。別にお会計を任せたわけじゃない。でも許して。

街路に吹く夜風を浴びながら、ヒロイックに笑う。さあ、ここからどうしようか!

 

 

 

 

 イータが一晩でやってくれました。

 まさか本当に仕上げてくるとは思いもしなかった。大陸間移動魔法…改善元は魔法陣として陣の形を取らなければならなかったけれど、こっちは魔法として携帯可能。すごい。

 一度訪れたことがある場所ならどこでも行けるらしい。それなんてルーラ? 

 しかしこれで放課後の時間も有意義に使えるというわけだ。

 

 やることがないけど。

 アルファ達は準備があると言ってそれきりだし、ドワルゴンや魔国も別に動きはない。魔国が使節団を送っている話は聞いたけど、暗躍ということはできなそうだ。

 

 そんな感じで数週間。午前はしっかりとモブ学生をして、放課後はドワルゴンをフラフラと…これいつもと変わらないな。

 そんなとき、とある話を聞いた。どうやら魔国の主がドワルゴンに友好宣言をしにくるらしい。僕としても暗躍できる場所を用意してくれた人、一目見るために訪れた。

 

 つるりとして丸い、まるで液体の外観。しかし目のような機関が見え、魔素の密度は高くそれなりの強者であることがみて取れる…スライムだ。

 スライムだ?

 

 どうやらスライムさん。あのリムルさんらしい。反応の良いあの人が主なのは良いのだけど、スライムか。何か特別恨まれることはしていないけど、影の実力者として使うスーツにスライムを使っている身としては…うん。まあいいか。

 

 メインキャラクターの一人を見られたことだし、早々とその場を後にしよう。

 

 

 

 

 再び、訳知り少年ごっこをしながらリンゴジュース入りのワイングラスを遊ばせながら笑う。カウンター席は声がかかることがあまりないので僕はよくここに座っていた。

 

「いらっしゃ〜い! 待ってたわよスライムさん」

 

 今日の演説の一件もあり、僕はその単語に引っ張られ入口に目を向ける。メインキャラクターがそこにいた!

 

 まさか来ると思っていなかったけど…しっかりとモブを演じて見せよう。ここで早々に退店したらそれこそ印象に残ってしまうからね。

ゾロゾロと入ってきたのは…ゴブリンさん。声をかけられた瞬間に告白をかますとは…ジャガ達ではできない芸当だ。流されているけど。

 

 あのドワーフさんたちも知り合いらしい。さすが推定主人公、友好関係が広い。

 ちびちびと飲みながら佇んでいるとスライムさんがカウンターに来た。店主にお酒を何本か譲っている。

 

「そういえばシドくん。リンゴ好きでしょ。リンゴ蒸留酒だって。飲んでみない?」

 

「え、あ。はい」

 

「ママさん、そいつまだ未成年じゃない?」

 

 未成年って概念はここにはないと思う…たぶん。陰な実力者としてお酒も嗜むことがあるけど…苦いんだよねお酒って。

いつのまにか小さなグラスにトクトクトクと注がれる。こういうグラスをショットグラスと言うんだっけ。

グラスに注視しているとスライムさんがこっちを見ていることに気づいた。どうした。

 

「ふふ。スライムさん安心して。シドくんうちの常連さんだから」

 

「その年でか!?」

 

 おいやめろ。

 聞こえないふりをしてショットグラスを煽る。そのままグラスを置いて手を組む。

 

「ど、どうした? どう? うまい?」

 

「…うん。おいしい!」

 

 あっけらかんとモブ演技で返事。実際おいしい。お酒の苦さがでてないし、ジュースのような甘味があってリンゴの芳醇さが強調されている。…いいなこれ。今まで我慢してお酒を嗜む陰の実力者をしていたけど、これなら楽しめるかもしれない。高級品らしいしそれも後押ししている。

 

「シドくん、このお酒にどれくらい出せそう?」

 

「うーん。一万ゼニーくらいかな」

 

 お酒の相場がわからないので今まで飲んできた高いお酒から適当に換算する。

 するとスライムさんが問いかけてきた。

 

「ゼニー? 銀貨とか銅貨とかじゃないのか?」

 

「あ〜。シドくん観光で来てるから通貨が違うのかも。どこの通貨なの?」

 

「ミドガルの通貨だよ」

 

 適当に返事をした。けどこれが不味かったぽい。ママさんが驚いた声をあげて地図を見せる。そういえばここ海を渡るんだったね。

 

「海路だとクラーケンとかで死人も多いって聞いたよ? シドくんよく来れたね」

 

 へぇーと感心したようにスライムさんが声を上げる。まっまずい! このままでは骨のあるモブになってしまう!

 

「…なあ。ミドガルって最近事件多いだろ。大丈夫なのか?」

 

「そそうだね」

 

「シャドウガーデンってのが動いてるとも聞いたけど。何か知ってるか?」

 

「が学園を焼いた人たちだね」

 

「…悪かった」

 

「だ、大丈夫」

 

 僕の目指すのは訳知り少年かモブ野郎。決して骨がある少年じゃない。のでお会計をして退店することにした。背中を物あり気は視線が突いてきたけども。

 

 

 

 

 そうして旅先の宿に戻るとアルファがいた。どうやら報告があるらしい。何事だろうとただの椅子にカッコつけて座り傾聴の姿勢をとる。

 

「シャドウ。問題が発生したわ」

 

「…なに?」

 

「単刀直入にいくわ。問題は二つ」

 

 二本指を立て、真剣な表情で告げる。

 

「一つ。ゼータの調べでこの国の主、ガゼル・ドワルゴは読心系のスキルを持っていることがわかったの。ミツゴシがこの国で商売をするには相対しなければならない相手だから、あなたの力を貸して欲しい」

 

 なるほど。僕の持つ変幻之王(ファントム)は探知系スキルそれら全てを欺け改変する。一応他人にも使えるから、理にかなった要求だね。

 

「二つ。中庸道化連か、はたまた教団のどちらかがミツゴシを騙っている。ミツゴシの成長を危惧しているからでしょうけど、中庸道化連はまだ不明な点が多くて対策が取れていない。魔国との関係悪化を防ぐためにも、あなたに出てもらいたい」

 

 ふむふむ。なるほど。シャドウガーデンの隠れ蓑がミツゴシ商会って設定だし、組織のトップが商談に出た方が安心できるもんね。

ふん。と鼻を鳴らし答える。

 

「いいだろう」

 

 何がいいのか分からないけど、多分いいだろう。

 

「我の力を仰ぐのだ。プランはできているな?」

 

 実際に商談に立つことなんてないだろうし、これは久々に遊ぼうとしてくれているんだろう。なんていいやつなんだアルファ。

話が難しかったからどう動くかなプランが欲しいな。

 

「ええ。あなたには再び、ジョン・スミスとなってもらう。表向きとしてはルーナ…ガンマが会長。ジョン・スミスは取締役として商談に出てもらう」

 

「ほう」

 

 再びスーパーエリートエージェントとして動ける日がくるとは! しかも今度は上役! 組織人として動いてこそエージェント! 商会を支えている会長の陰に潜む、商会を守る陰の実力者…最高にかっこいい。

 

「では定刻までに準備をするとしよう」

 

「ええ。では計画はこのまま。些細なく進めるわ」

 

 そう言いアルファは姿を消した。

 僕は新たにスーツと仮面を揃えにミドガルミツゴシ商会本店へ足を運ぶのだった。

 

 





 これ書き終えたあとに転送魔法陣よりも便利な空間移動あるやんってなったけど…。あれば影移動からの発展スキルだから…。

 このころのテンペストは獣王国ユーラザニアと貿易できるようになったこともあり、ここから貿易の中心都市が始まってますね。大商会の介入時期として自然! 潜り込めるのも含めてめちゃお得! 一石二鳥とはこのことだね!

 リムルの二人称がわからん! シドくんのことなんて呼ぶんだこの人!

 あと最後。ジョンスミス出したかったんだよ!!!
 シャドウ様が演じた目立たない存在…。色々な隠れ蓑がある中でジョン・スミスは唯一シャドウ=ジョンスミスと大人数にバレていない存在。混乱を防ぐとして七陰とユキメくらいしか知らないと思う。だからこうやってリサイクル出来るわけですねぇ!!!

 あとあと。時系列を見るとリムルが魔王に至るまで七ヶ月ほどしかかかっていません。まじぱねぇスピードゆえ駆け足です。
 次回…商談とリムル様が教師になるらへんかな?

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