俺、○○になっちゃった!!   作:シグナー信者

24 / 37
第二十四話

「レグルス……こんな傷になるまで、たった一人で戦っていたなんて……恐がらないで、あなたを傷つけたりはしないから……」

 

龍可が前に出てレグルスに近づこうとした瞬間、レグルスは龍可に向かって大口を開くと、鋭い牙を見せながら吼える

 

「イヤァ!?」

 

怯えてのトルンカ背に隠れる龍可

 

「お止めくだされ!この娘はエンシェント・フェアリー様を救う為、はるばる異世界からやって来られたのですぞ!」

 

レグルスを止めようと声を掛けるトルンカ

 

「何だと?」

 

「そうなの!だから安心して……」

 

「ふざけるなァーーー!!!」

 

龍可が喋り終わる前に、レグルスはその鋭い牙を向け、二人に対して飛びかかってくるが、それを躱し木の陰に隠れる

 

「やはり無理じゃあ……ここは一先ず逃げよう!」

 

「お願い信じて!私……エンシェント・フェアリーと約束したの!この精霊界を守るって!」

 

「…やはりそうか。貴様もこの私を捕らえ、エンシェント・フェアリー様の力を悪用しようとしているのか…!」

 

「え…」

 

「はて?さっきから話が嚙み合っとらんような」

 

「はっ!トルンカ!あれ見て!!」

 

龍可はレグルスの左後足に妙な物が付いていることに気付く

 

「あ!あれはカースド・ニードル!?針がマイナスになっとるっちゅー事は……」

 

「さっきから、私達の言葉が反対に聞こえてたのよ」

 

「何ちゅーこった!レグルス殿のご乱心はアレのせいじゃったんじゃ!」

 

トルンカは頭を抱えて嘆くと、レグルスが再び唸り声を上げる

 

「精霊界を汚す悪党共め!貴様等の好きにはさせんぞぉーーー!!!」

 

「誤解よレグルス! 私はあなたの敵じゃない!」

 

「ウガァァァーーー!!!」

 

獰猛な雄叫びを上げながらレグルスが襲い掛かって来て、二人は逃げ出す

 

「トルンカ!あなた魔法使い族なんでしょ?何とか出来ないの?」

 

「無理なんじゃ!子供のままでは魔法が使えん!」

 

「どうしよう」

 

「待て!良い考えがある!レグルス殿には、言葉が反対の意味で聞こえるんじゃろ……ならば!」

 

トルンカは立ち止まり、レグルスに振り向く

 

「やーい!お前なんか大っ嫌いじゃ!レグルスのバーカバーカ!不細工ライオン弱虫ライオン!」

 

レグルスはトルンカに対して怒りの雄叫びを返す

 

「どわぁぁぁ!?ヒィィィ!?」

 

「私にその様な浮ついた世辞が通じるとでも思ったか!」

 

「駄目じゃった~」

 

「一体どういう意味に聞こえていたのかしら……」

 

龍可はレグルスの左後足を見る

 

「(なんとかして、マイナスを元の針を元に戻すことが出来れば)」

 

するとレグルスは何かに気付いた様に顔を上げる

 

「何かが来る…!」

 

「「えっ?」」

 

その瞬間、ゼーマンの部下の猿達が次々と現れ、レグルスを取り囲んだ

 

「また貴様等か……」

 

龍可とトルンカは倒木の陰に身を潜める

 

「とうとう見つけた」

 

「ゼーマン様ご命令!今度こそ捕らえる!」

 

ジリジリとレグルスに詰め寄る猿達。それを倒木の陰から見守る龍可とトルンカ

 

「マイナスになれ~!」

 

「馬鹿!よせ!忘れたか?奴の足!マイナスのカースド・ニードルある!」

 

「っ!?そうか……マイナス同士接触させる!強力なプラスエネルギー変わる!」

 

レグルスは包囲網を破ってその場から逃げ出す

 

「逃げたぞ!追え~!!」

 

猿達は全員でその後を追っていった

 

「マイナス同士を接触させると、強力なプラスエネルギーに変わるのね!よし!」

 

「あっ!龍可ちゃん!待ってくれ!」

 

倒木の陰から出てくる龍可とトルンカもレグルスの後を追う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レグルスを見失った猿達は手分けしてレグルスを捜し回る

 

「ん?」

 

その内の1匹が跳ね回りながら森を捜索していると、目の前に現れた龍可を見つける

 

「やーい!捕まえてみなさいよぉー!」

 

「お前!シュバンクの街に居た小娘!なぜこんなところに!?」

 

猿は龍可を捕まえようと追いかける

 

「トルンカ!今よ!」

 

「ほいさ~!」

 

トルンカが仕掛けた罠を発動させる

 

「ん?え?」

 

マイナスの針はモンスターを上空へと吹き飛ばし、その衝撃で猿はカースド・ニードルを落とし、龍可がそれをキャッチする

 

「これを使えば……」

 

「大成功じゃったな……」

 

そうして二人はレグルスを追いかけるのであった

 

 

 

 

同じ頃

 

「……ここか」

 

夜の帳が降りる世界蒼白い月が薄雲を透かして照らし出すのは、一面に広がる荒野と、そこにそびえる黒き山だった。

 

「……ここ、だったよな。【エンシェント・フェアリー・ドラゴン】が封印されている場所って……」

 

ゼーマンの部下に連れられて、龍亞は【エンシェント・フェアリー・ドラゴン】が封印されている山に着いた

 

「ありがとう……ここまででいいよ」

 

そういうと、猿にお礼を言って、帰らせた

 

「……」

 

かつて明るかった瞳は今、深い闇に染まっている龍亞は【エンシェント・フェアリー・ドラゴン】に視線を向ける

 

「エンシェント・フェアリー・ドラゴン……聞こえるか?龍亞だよ……龍可の兄の」

 

声を上げる。だが、返事はない。ただ風が、木々の間を寂しく抜けていくだけだった。その風の音に、龍亞は小さく眉をひそめる

 

「どうしてこうなっちまったんだろうな……」

 

独り言のような声が夜気に溶ける。ひとつ息を吐いて

 

「……なあ、答えてくれよ。どうして……どうしてオレは、ダークシグナーなったの?オレだって、龍可を守りたかったのに……!」

 

風が鳴くが、封印の奥からは何の反応もない

 

「龍可の約束を破ったから?変なカードばかり作るから?」

 

声が少し震える。それは怒りでも悲しみでもなく、ただ、胸の奥を締め付けるような痛みだった

 

「……信じられなかったよ!夢かと思ったよ!だけど現実は、違ったんだ。龍可はシグナーで、オレは……ダークシグナーに堕ちた。どうして、そうなっちまったんだ……」

 

叫びは虚空に響いた。だが山は沈黙を貫く

 

「……わかってるよ。お前はオレを拒んでる。今のオレが闇のダークシグナーだから……そうだろ?」

 

静かに笑う。それはどこか寂しげで、皮肉の混じった笑みだった

 

「それでいい。オレの道は、もう決まってる」

 

胸の奥では何かが確かに疼いていた。それが悔しさなのか、悲しみなのか、もう自分でもわからない

 

「龍可……オレはもう、お前とは違う場所を歩く。けどな……それでも、願ってるよ。お前が……シグナーがこの世界を、守れることを」

 

ただひとつ確かなのは、ダークシグナーでもなお、龍可を妹を思い続けているという事実だった

 

「……いずれ戦うことになっても、俺の中にある光の命を使って、このカードを完成させるよ」

 

そういうと何も書かれていない白いカードを取り出しながら言う。そして彼はゆっくりと踵を返し、山を背に歩き出した。が【エンシェント・フェアリー・ドラゴン】一瞬だけ青白く光り、山に淡い風が流れた。その風はまるで、かつての龍可を包んだ優しい声のように、何も言わず、ただ、彼を見送っていた

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。