俺、○○になっちゃった!!   作:シグナー信者

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第二十六話

「何!?遂にレグルスを捕らえただと!?」

 

ここはゼーマン城の謁見の間。その広間の壁には大量の精霊達の石版が壁に埋め込まれている。その広間に置かれた王座に座る、【猿魔王ゼーマン】は驚きの声を上げた

 

「でかしたぞ!レグルスさえいれば【エンシェント・フェアリー・ドラゴン】を完全にマイナス化出来る」

 

「ですが、捕らえたは、捕獲部隊違う」

 

「うん?では、何者だ?」

 

「そいつ、放浪の魔導師と」

 

「放浪の魔導師だと」

 

 

扉が開き、二人の人物が檻に入れられたレグルスを連れてやって来る

 

「……」

 

手に布を巻いた杖を持ち、白い魔導着を着ている子供の様に小柄な魔法使い

 

「ひっひー!どうもどうも!」

 

体をマントで包み、紫色の長帽子を目元深くまで被っている小柄な魔法使い

 

二人はゼーマンの前で跪き、平伏する

 

「偉大なる猿魔王ゼーマン様。お目にかかれて光栄に存じます」

 

「こ、光栄でごぜーます!」

 

「……顔を上げい」

 

ゼーマンの許しを得て、二人は顔を上げた。

 

「(これが【猿魔王ゼーマン】!!)」

 

顔を上げた瞬間、一人の魔法使いは何かに反応し、辺りに敷き詰められている精霊達の石版を軽く見渡す

 

「(皆…必ず助け出すからね)」

 

が、すぐにゼーマンに対して向き直る

 

「聞くところによると、お前は放浪の魔導師だそうだな?」

 

「はい」

 

「わしは助手です!へへ……」

 

「我が部隊が総力を待ってしても捕獲出来なかったレグルスをどの様に捕らえたのだ?」

 

白い魔導師は杖を持ち直し、目を閉じて呪文を詠唱し始める

 

「全ての精霊を操る力よ……我が手に宿れ……」

 

魔導師は開眼し、後ろのレグルスに向かって杖を突き付ける

 

「目覚めよ!」

 

その瞬間

 

「グルアァァァ!!!」

 

先程までピクリとも動かなかったレグルスが飛び起き、雄叫びを上げながら檻の中で暴れまわる

 

「静まれ!」

 

そう命じると、レグルスはピタリと動きを止め、再び大人しくなる

 

「……随分と簡単に操るのだな?」

 

「それはもう!魔導師様の術は、どんな凶暴な精霊でも操れてしまうのです!」

 

「どうも解せん。本当に術など使っておるのか?」

 

「ギクッ!!」

 

「お疑いですか?……ならばレグルスに、あの兵士達を襲わせて御覧にいれましょう」

 

魔導師が杖を兵士達に向けると、兵士達は怯えた様に後ずさる

 

「…まあ良い!レグルスさえ手に入ればそれで良いのだ。さっそくマイナス化するとしよう」

 

ゼーマンが指示を出すと、猿達がレグルスの檻を取り囲み、カースド・ニードルを構える

 

「お待ちください!ゼーマン様!」

 

「……何だ?」

 

「今、強引に…マイナスの呪いをかけようとすれば、せっかくかけた術が解けてしまいます。そうなれば、レグルスは再び暴れ出すでしょう」

 

「一体どうせよというのだ?檻の中で芸を見せるだけでは何の意味もないぞ?」

 

「……恐れながらゼーマン様は、レグルスをマイナス化する方法をご存知ないようですね」

 

「……どういう事だ?」

 

「レグルスが、エンシェント・フェアリー・ドラゴンの僕である事はご存知ですか?」

 

「知っておるわ!エンシェント・フェアリー・ドラゴンを岩山に封印したはよいが、完全にマイナス化する事が出来んから難儀しておるのだ!」

 

「ならば話は早い。一旦エンシェント・フェアリー・ドラゴンの封印を解いた後、レグルスと同時に呪いをかければ、2体とも完全にマイナス化され、ゼーマン様の物となります」

 

「エンシェント・フェアリー・ドラゴンの封印を解けだと!」

 

「はい。それ以外に方法はありません」

 

ゼーマンは魔導師をにらみつけたまま考え込む。魔導師も同じ様にゼーマンの眼を見たまま動かない。長い静寂の後、ゼーマンはようやく口を開らく

 

「……よかろう。その言葉を信じよう……」

 

「……やったな」

 

「しっ!黙ってて」

 

「我が元に来たれい!【エンシェント・フェアリー・ドラゴン】!」

 

ゼーマンが立ち上がり、魔導師達がいる位置と玉座の間にある鏡の様な魔法陣に向かって杖を差し向ける。その瞬間、魔法陣が光を放つと、封印されたエンシェント・フェアリー・ドラゴンが鏡に映し出される

 

「(エンシェント・フェアリー……必ず助けてあげるからね……!?)」

 

「……魔導師よ。お前の言う通りにすれば、力は我が物となるのだな?」

 

「その通りです」

 

「よし解った。……ただし!その言葉が偽りであったのならば、ただでは済まんぞ」

 

「本当ですとも!これで【エンシェント・フェアリー・ドラゴン】はゼーマン様の物!」

 

 鏡のエンシェント・フェアリー・ドラゴンに向かってカースド・ニードルを差し向ける

 

「カースド・ニードルよ!【エンシェント・フェアリー・ドラゴン】を解き放て!」

 

ゼーマンが命令を下すと、封印の岩山の上部にあるカースド・ニードルの針がプラスとなり、【エンシェント・フェアリー・ドラゴン】の封印が解け始める

 

「おお! その調子ですぞゼーマン様!」

 

「……」

 

岩山に封印され、干乾びた様になっていたエンシェント・フェアリー・ドラゴンに、みずみずしさが戻ってくる

 

「何をしている!レグルスをこれへ!」

 

ゼーマンが兵士猿に怒鳴ると、その猿がレグルスの檻を開ける

 

「全ての精霊を操る力よ……我が手に宿れ……レグルス!前へ」

 

レグルスは大人しく魔導師の後ろについて歩き始めた

 

「(エンシェント・フェアリー様……すぐにこのキバで忌まわしい鎖を断ち切って差し上げます」

 

そう、すべては【エンシェント・フェアリー・ドラゴン】を救出するための作戦なのだ。トルンカと龍可が魔導師のフリをして、レグルスを捕らえたフリをして、潜入し、封印を解いて【エンシェント・フェアリー・ドラゴン】を救出するのだ

 

「さっすが魔導師様~!これでエンシェント・フェアリー・ドラゴンはゼーマン様の物じゃあ~!」

 

浮かれて踊るように歩き出すトルンカ。その瞬間、魔法使いは自分のマントを踏みつけ、龍可に向かって盛大に倒れる

 

「きゃあ!?」

 

「うわぁ!?」

 

倒れてしまった魔法使いは魔導師が持っていた杖を掴み、立ち上がる。

 

その杖に巻かれていた布は取れてしまっており、中の黒い指針が傾いてマイナスとなる。

 

「いって~……はっはー!ゼーマンめ!馬鹿じゃのう!ころっと騙されおったぁ!……え!?」

 

「何だと…!?」

 

「トルンカ!?」

 

「わしらはエンシェント・フェアリー・ドラゴン様を助けに来たんじゃ!そんな事も気付けんのかぶぁーーーくぁめ!……ええッ!?」

 

「あの杖!?」

 

「なぜ、我々と同じ杖、持ってる!?」

 

「何て事を言うの!?…って、きゃあ!?」

 

龍可はトルンカの口を閉じようとした瞬間、自身の服の裾を踏みつけ、トルンカを巻き込んでこれまた盛大に倒れ、その勢いで龍可の顔を覆っていた布が外れ、その素顔があらわになってしまう

 

「こいつ!シュバックの町に居た小娘!?」

 

「魔導師違う!!」

 

「ばれたーーー!!?」

 

「もうちょっとだったのに!」

 

トルンカと龍可は慌てふためく

 

「なっ!!」

 

だがゼーマンは龍可の素顔を見て驚いた

 

「なぜ!貴方様がこんなことを!」

 

「えっ!?」

 

「貴方は我らの味方なのでは」

 

「何言っているの?」

 

「ゼーマン様!!」

 

「はっ!!」

 

部下の猿モンスターの声により、ゼーマンは正気になる

 

「おのれぃ!やはりこの私を騙しておったか!捕まえろ!」

 

ゼーマンが命令を下すと、猿達がカースド・ニードルを手に、龍可とトルンカに対して襲い掛かってくる

 

「いかん!!」

 

レグルスが近づき、龍可とトルンカを保護する

 

「エンシェント・フェアリーは渡さん!」

 

ゼーマンが急いでカースド・ニードルの針をマイナスに変えると、【エンシェント・フェアリー・ドラゴン】は再び封印されていってしまう

 

「エンシェント・フェアリーが…!」

 

「なんちゅうこっちゃ……わしのドジのせいで……」

 

「龍可!その杖を私に!」

 

「え…?どうするの?」

 

「私の呪いを解いた時の様に、二つのマイナスを合わせ、プラスのエネルギーに変えてみます!」

 

「でもそんな事したら……」

 

「また大爆発ですぞ!?」

 

「早く!でないとエンシェント・フェアリー様が封印されてしまう!」

 

「うん!!」

 

レグルスの覚悟を感じたのか、龍可は決心してレグルスの口にカースドニードルを噛ませる

 

「この中にいて下さい!」

 

そして二人を檻に入れ、扉を潰して誰も出入り出来ないようにする

 

「レグルス!頑張って!」

 

 

 

「ゼーマン!!」

 

レグルスはゼーマンに向かって駆け出す

 

「邪魔をするな!!」

 

ゼーマンのカースド・ニードルとレグルスのカースド・ニードル接触する。その瞬間、凄まじいエネルギーが発生する

 

「レグルス!」

 

「レグルス殿!」

 

レグルスは【エンシェント・フェアリー・ドラゴン】を見る

 

「お戻りください!エンシェント・フェアリー様!!我が元に!!」

 

次の瞬間、レグルスの時以上の暴発が起き、謁見の間にいる猿達を全て消し飛ばした。檻の中にいた龍可とトルンカにも爆炎が迫るが、龍可の右腕にあるシグナーの痣が光を放ち、結界を作って二人を守る

 

「これで済むと思うなよ!私が倒れてもマイナスの呪いはディマク様の元へと送られるのだァー!」

 

「えっ!!」

 

「…グアァァァーーー!!!」

 

ゼーマンは消滅した

 

 

 

 

 

 

 

謁見の間はボロボロになっており、天井に穴が開いてしまっている

 

「レグルスー!レグルス~!」

 

壊れた檻から出た龍可はレグルスを捜して辺りを見回すが、見当たらない

 

「やれやれ……やっと元の姿に戻る事が出来たわい。龍可ちゃん、怪我は無かったかな?」

 

「あなたは…?」

 

龍可の目の前に現れたのは、何処か見覚えのある服装と杖を持った高齢の魔法使い

 

「わしじゃよわし」

 

その魔法使いは龍可の反応を見て朗らかに笑い、片目を閉じる

 

「……トルンカ?トルンカなの!?びっくり!本当にお爺さんだったんだ!という事は、マイナス呪いが解けたの?」

 

龍可は驚きつつも嬉しそうにトルンカへ近づく

 

「うむ!」

 

「龍可!」

 

今度は煙の中からレグルスの声が聞こえて来る

 

「レグルス!」

 

「ご無事でしたか、レグルス殿」

 

「どうやら、猿魔王ゼーマンは滅んだようです」

 

「本当!? エンシェント・フェアリーは何処!?」

 

その事に龍可が喜んで立ち上がり、辺りを見渡す

 

「それが、何処にも姿が見えないのです……」

 

だが、レグルスの顔は暗かった 

 

「そんな」

 

龍可は広間中の石版を見渡すが、どれも元に戻る気配すら無い

 

「……精霊達が元に戻ってない…!呪いが解かれたのにどうして…あっ!!)」

 

龍可はゼーマンが最後に言った事を思い出した

 

「(ゼーマンが、マイナスの呪いはディマクに送られるって!?)」

 

龍可が上を見上げた瞬間、崩れた天井から見える空に猿の地上絵が現れる

 

「猿の地上絵」

 

そして周りの石版から光が放たれると、その光は全て地上絵へと吸い込まれていく

 

「ああ!?」

 

「精霊達の魂が…!?」

 

「一体何が起ころうとしとるんじゃ……」

 

「魂がディマクの所に送られたんだわ……」

 

次の瞬間

 

「うわぁ!?」

 

その場にいる全員の体が浮き上がる。龍可は上を見上げると、自分達が地上絵に近づいている事に気付く

 

「地上絵に吸い込まれちゃう!?」

 

「このままでは、精霊界は永遠の闇に閉ざされてしまう!」

 

「わしに任せろ!」

 

「トルンカ?」

 

「わしの最後の力で、龍可ちゃんを元の世界へ送り込む!…頼む!地縛神を倒してくれ!」

 

「精霊界の未来は、あなたの手にかかっています。龍可」

 

「トルンカ……レグルス」

 

トルンカ杖を構え、魔力を集中させる

 

「ハッ!!」

 

集中させた魔力を解放し、龍可を光で包み込んで人間世界へ戻すのであった

 

 

 

 

「【エンシェント・フェアリー・ドラゴン】で【地縛神Cusillu】を攻撃!!エターナル・サンシャイン!!」

 

そして人間世界に戻った龍可はディマクとデュエルし

 

「うおおおおおおお!!」

 

【エンシェント・フェアリー・ドラゴン】を取り戻し、【地縛神Cusillu】を倒して、デュエルに勝利するのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

「終わったか……さてと、行くか」

 

遠くでデュエル見届けた龍亞はその場を後にするのであった

 

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