けいおん!【Be Feverish】 作:薺《Nazuna》
――冬弥 side――
篁先生
「んでんで?」
篁先生が、いきなり顔をニヤつかせながら、話し掛けてきた。
冬弥
「な、なんすか?」
篁先生
「さっきの子、好きなの?一目惚れ?」
いきなりテンションをあげて良く分からないことを言ってくる鳥花。
冬弥
「まだそんなこと言ってるんですか?」
篁先生
「正直、タイプでしょ!」
なんなんだ、この決め付け方は。
冬弥
「いや、ホント大丈夫ですか?」
篁先生
「じゃあタイプじゃないの?」
冬弥
「もう面倒くさい……」
こんな篁先生の質問に、いちいち答えてやるほど、俺はお人好しじゃない。
篁先生
「なになに?照れてんの?」
冬弥
「照れてねぇ。」
篁先生
「青春ねぇ♪」
冬弥
「聞いてねえし!」
こんなバカみたいな会話が続いた後、俺は鳥花と別れ、秋太、風音と合流した。
――梓 side――
自由時間となったため、友達と置いてあるお弁当を食べることに。
咲夜
「あ…………あったかい。」
真冬
「あっ、ホントだ。」
彩祢
「お弁当、冷たいのかと思ってたけど温かいね~」
この三人は、梓の友達。
少し茶色がかった黒髪で、ショートカットの似合う女の子、
ちょっと頼れるお姉さん、かな。
長い黒髪で、何も結んでいない女の子、
『イケメンノート』という物を自分で作って、持ち歩いていて、恋ばなが大好き、かな。
長い茶髪で、ポニーテールの女の子、
天真爛漫で、恋ばな好き。
この三人は、数年前に共学になった桜ヶ丘高等学校への受験を考えているらしい。でも、私は……………
彩祢
「梓ちゃん、どうしたの?元気ないね。」
梓
「えっ………?あ、いや……」
真冬
「どうかしたの?今日、ずっと元気ないみたいだけど……。」
みんな気にしてくれてたんだ……
梓
「えっ…いや、何でもないよ!考え事してただけ、うん!」
咲夜
「やっぱり、梓は誘わない方が良かったかなぁ……。ごめん、梓。」
どうしよ…
梓
「な、なんで謝るの?私は自分で付いていくって決めたんだから!」
咲夜
「でも、半ば、あたしらが強引に誘ったようなもんだし………」
彩祢
「私達のせいで、梓ちゃんは楽しくないよね………」
真冬
「ごめん、梓。」
みんなに気を使わせちゃってる…ダメだなー、私って
梓
「ち、違うの!この学校はいい学校だと改めて分かったから、来れて良かったと思うの。だけど………私は、違う高校を受けるって決めてるのに、ここに来て、冷やかしに来たみたいで…………思いきり楽しめなくて……」
咲夜
「梓………」
梓
「だから、生半可な気持ちで来るんじゃなかった、って想いと、いい学校だな、来て良かった、って想いが入り交じって………どっちが私の本当の気持ちか分からなくなって………」
私が、申し訳ない気持ちでいっぱいになると、みんなが励まそうとしてくれた。
真冬
「梓は気にしすぎなんだよ。『私達に付いてきただけ』とか、『一応、受ける可能性が0%じゃないから、見に来てみただけ』とかって、軽い感じでいいんだよ。」
咲夜
「そうそう。大体、高校側もあたしらが全員受けるなんて思ってないよ。」
彩祢
「真冬ちゃんや、咲ちゃんのゆーとおりだよー。だから、楽しもーよ。」
気にせず楽しむ、か。
確かにそうだよね。
体験入学来たからって、全員受ける訳じゃないし。
選択肢の1つに入るだけだよね。
梓
「うん!楽しも♪」
―――廊下
私達は今、学校内を回っている。
自由に使っていい時間だからだ。
彩祢
「どこに何あるか分かんないね。」
真冬
「確かにそうだね。いちいち教室の名前見ていくの面倒だしね。」
咲夜
「終わるまでに、まだ暫く時間があるんだからいいじゃん。」
梓
「そうだね。」
『時間がある』ということで真冬が変なことを提案した。
真冬
「ねえ、学生スタッフの生徒さんなら今いるだろうから、イケメン探ししない?」
彩祢
「いーね。しよーしよ~。」
咲夜
「あんたたちねぇ………」
真冬の提案に対し、彩祢は賛成し、咲夜は呆れた。
梓
「『楽しむ』の意味が違う気が…………」
真冬
「じゃあ時間もあるし、イケメン探しすたーとぉ♪」
私の言葉なんて聞かず、勝手に始まった。
真冬
「ではまず、既に見つけたイケメンを順番に言ってこう。」
彩祢
「ならさ………」
彩祢がしゃべろうとした時、咲夜が口を挟んだ。
咲夜
「あんたらは、少しずれてるとこあるから、"初恋もまだ"な梓に聞いてみるってのはどうだ?」
梓
「えっ……?いや、ちょっ―――」
彩祢・真冬
「「いーねー!!!」」
咲夜が止めてくれるのかと思ったら私にふってくるなんて……
真冬
「私達が『ずれてる』ってのは否定するけどね。だって、ずれてるのは彩祢だけだし。」
彩祢
「えっ!?真冬ちゃんひどいよぉ。」
私は何も言ってないのに、咲夜の提案に二人が賛成し、勝手に決まった。
真冬
「で、"初恋もまだ"の、梓が思うイケメンはいた?」
梓
「"初恋もまだ"っての、強調しないでほしい…一応気にしてるから。」
彩祢
「で、"初恋もまだ"の梓ちゃん、どうなの?どうなの?」
人の話、聞いてないのかな?
――――だって…好きにならないんだから仕方ないじゃない
梓
「えっ?――――柊さん………じゃない?」
咲夜
「あー、あたしらと一緒に居た学生スタッフの人?」
梓
「え?あ、うん。」
三人は、顔を合わせてニヤニヤしだした。
梓
「……なに?」
私が、そう言うと3人から返事が返ってきた。
咲夜
「梓は、あーゆー人がタイプなんだね。」
梓
「えっ……」
真冬
「『誰だろう……』とか考えるのかと思ったら、まさか即答とは。」
へっ?な、なんでそうなるの!?
梓
「い、一番印象に残った人を言っただけ!」
真冬
「印象に、ねぇ………」
梓
「いや、ちがっ………一緒にいた学生スタッフの方だったから!」
彩祢
「でも、真冬ちゃんはノートの為だからともかく、"恋愛に興味がない"梓ちゃんが、名前まで覚えてるなんて、そーゆーことだよね!」
彩袮が何も考えないで変なコト言うから、二人が……
咲夜・真冬
「「あっ!確かに!」」
乗っちゃったじゃない…
でも、このまま変な勘違いされたままじゃダメだよね、うん。
梓
「別に私、興味がない訳じゃ…………あっ………」
時すでに遅し。
三人の中で、私があの学生スタッフ、柊さんに恋をしたという変な設定がつけられた。
――十数分後
私達が喋りながら校内を回っていると、咲夜が何かに気付いたように言った。
咲夜
「ねえ、あそこ……窓の所にいるのって、柊さんじゃない?」
梓
「えっ?」
私は自分でも信じられないくらい瞬時に反応をして、咲夜の向いている方に顔を向けた。
そこには、柊さんを含め、三人の学生スタッフがいた。