+act.0 〜プロローグ〜
―――戦争は変わった
国家や思想のためではない 利益や民族のためでもない
金で雇われた傭兵部隊と作られた無人兵器が
果てしない代理戦争を繰り返す
命を消費する戦争は 合理的な痛みのないビジネスへと変貌した
戦争は変わった
ID登録された兵士は ID登録された銃を持ち ID登録された兵器を使う
体内のナノマシンが彼らの能力を助長し 管理する
遺伝子の制御 情報の制御 感情の制御 戦場の制御
全ては監視され 統制されている
戦争は変わった
時代は抑止から制御へと移行し 大量兵器による
カタストロフは回避された
そして 戦場の制御は 歴史のコントロールをも可能にした
戦争は変わった
戦場が制御管理された時
戦争は不変のものとなった―――
と語ったある老蛇がいたそうだ。
私は、彼の語ったものの”一人”になるだろうか。
私は、あの戦場で死んだはずだった。
―――死んだはずなのである...
―――アウターヘイブン内部
銃声と悲鳴が響き渡る
”私と同じ境遇”たちが倒れていく
進む者たちはみなあの二人によって殺されていく
進んでも進んでも、近くまで行っても、殺されていく
ひどいものだ、無理だとわかっていても突っ込んでいくのは
...私も含めて
自分の番がきた。
この番で終わるといいのだが、そう簡単ではない
MOVE!
死
弾丸が私の胸を貫いた
世界が傾いていく
”私と同じ境遇”たちが見ていたであろう景色を見て
死というものに付き合う
ああ、これで私という存在は死を以ってこの世からいなくなった
目の前が暗転する.....
―――
「なんだぁ?これ」
体が揺さぶられる、何が起こっている?
「どっかの会社のロボットじゃないのか?」
「わからねぇ」
意識が朦朧とする中、私は働かない頭を懸命に動かすが、わかったのは雨だということぐらいだ
「気持ちワリィな...あんま触ると危ないんじゃないのか?」
「大丈夫だって、心配性だなぁ...おっいい武器持ってるじゃーん、もらっていこ」
意識がだんだんと回復してきた
なぜすぐ起き上がれない?SOPの不調か?
「早く帰ろうぜ、雨だし、あいつを怒らせると大変な目に遭う」
「おっそうだな」
頭に衝撃が走る、投げ出されたようだ。
「しかしまぁ、最近また警備がきつくなったから本当に大変だ...」
「ほんとほんと...」
衝撃のお陰かシステムが起動した
ありがたい、システムがないとこのスーツはただの重荷だから...
「お、おい後ろ!」
「ん?...な、な、何?!」
システム起動よし
装備チェック...Five-sevenよし、マチェーテよし、P90...はない、
システムチェック...全て異常なし
「な、なんだこいつ!?」
「やっぱ危ないものじゃん!」
やっと起き上がれたが、正面に銃を向けた子供が二人、
敵対行動とみなし、排除する
「「と、跳んだ!!??」」
後ろに回り込み、Five-sevenで片付ける
「イッテテテテ...このやろう!」
なぜだ...?頭にしっかり一発ずつ、しかもノーヘルだぞ..?
「お返しだ!」
一人が発砲してきた、が狙いはお粗末なおかげで跳べば回避できた
「こいつ、ヘイローを持ってないぞ!」
銃器による効果は薄いと判断、マチェーテで殴り倒すことにした
「くらえ!...ってあれ撃てな グェッ」
ワンダウン、よくみれば、二人は頭の上に輪っかを付けている...
「ちょ早す グハッ」
ツーダウン、気絶しているが排除完了...なのか?
頭に弾を食らっても死なない、肉をえぐるほどの強さで振ったつもりが強打で済んでいる...なんて体が固いんだ?
そう思いにふけていると、なくなっていたP90を見つけた
あの二人組が盗ったのだろう、私以外では撃てないものを
P90に異常がないかを確認しているとき、不意にヘルメットを外したくなった
なぜかはわからないが、自分でもわからなくなるほど今は清々しい気分だ
そうしてヘルメットを外して私は...
「この世界に生まれた」