ある日。俺は中村トレーナーのトレーナールームでいつもの様に管を巻いていた。俺の周りの女の子はほとんどトレーナーに迎えられたので午後の合同トレーニング後は暇だ。みんなトレーニング中。
「なるほどな。」
「うん。」
中村トレーナーは書類仕事をしながら俺の話を聞いてくれている。俺はアイスコーヒーを一口飲んだ。
「まぁそれはトレセンじゃ普通の事だ。というかそれが本懐だ。」
「そうだよね。」
「ティガが異常だという話にもなるな。」
「でも俺はレース出れないでしょ。そんなことしたら洗いざらい調べられて女子校に男1人なんていう状態がバレちゃうよ。」
「そりゃそうだ。お前はレースは出ない。だが・・・」
「?」
中村トレーナーがパソコンを閉じてこっちに来た。ぐいっと顔を掴まれ、目を見られたらりほっぺをむにむにされたりする。
「ふむ・・・」
「???」
「ティガ。」
「なに?」
「ちょっと、トレーナーのトレーニングというものを受けてみるか?」
「えっ。」
「ティガは今はウマ娘特有の本能が薄いが・・・いつ、どんな要因で表面化してくるかわからない。トレーナーのトレーニングというのはそういった本能を解消させるものでもあるんだ。」
「へー。」
「男のウマ娘が本能覚醒した時のデータが欲しいのもある。やってみないか。」
「わかった。いいよ。」
「よし。じゃあ早速・・・今3時だから今日はミーティングして、明日からやろう。」
「うん。」
「それじゃあちょっと待ってろ。」
そう言って中村トレーナーは戸棚からファイルを何個か取り出してきた。
「これが俺の基本トレーニング方針だ。よく動き、よく学び、よく遊び、よく食べて、よく休む。この五つを実践することで健全なメンタルと強靭なフィジカルを身につけてレースを走るというプランだ。」
「へー。」
「ウマ娘は結構この方針がよく当てはまる。この育成ドクトリンで育成が成功すると、俺はメイクデビュー7年間突破率100パーセントという大記録を出すことができたんだ。」
「すごい。」
「とりあえず基本トレーニングの要項だけでも読んでくれ。」
「うん。」
ファイルのトレーニングプランの部分を読む。これがトレーナーのトレーニングか・・・結構大変なんじゃない・・・?
「むむむ・・・」
「読んだか?じゃあひとつずつ説明するぞ。」
「わかった。」
そして今日はトレーニングの説明を受けて解散となった。トレーナーのトレーニング大変じゃね?大丈夫かなぁ・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
翌日。早速俺は中村トレーナーのトレーニングに繰り出した。だが・・・
「ふんふん・・・君、良い匂いするにゃぁ・・・」
「良い体してるねぇ・・・」
「おおっ・・・結構なトモ・・・」
「ひぃぃぃ・・・」
俺は3人のウマ娘に取り囲まれていた。誰!?
「おうお前ら。その辺にしとけ。」
「はーい。」
「トレーナーアタシら呼び出すなんて気合い入ってるねー」
「引退してからのんびりしすぎたー」
「中村トレーナー、この人達は?」
「こいつらは俺の元担当だ。ほら。」
「私パールハーバー。よろしくねー」
「アタシダイステンペスト。よろー。」
「私リッカーナイスマン。」
「よ、よろしくお願いします。」
「お前ら。今日はティガに基本トレーニングをして、気性の確認をする。そのつもりでかかれ。」
「あいよー。」
「はーい。」
「へーい。」
そう言って3人はぐいぐい柔軟運動を始める。
「よしティガ。早速やるぞ。準備できてるか。」
「うん。」
「じゃあ早速。スタート位置に着いて。」
「はい。」
そしてトレーニングが始まった。コースを走り、フォームの確認をし、走り方のノウハウを学ぶ。俺は走りはもうつんつるてんなのでマトモに走れない。だがなんとか形にはなっていた。
「よし。いいぞ。ティガ。」
「はぁ・・・ふぅ・・・きつい・・・」
「そりゃそうだ。」
スポーツドリンクを飲み。休憩。トレーナーのトレーニングってすごい。教官の共同トレーニングでは出来なかった事が出来る。それに上達率がダンチ。たった数時間のトレーニングでかなり上達した。
「ティガ。」
「なに?」
「今から気性の確認をする。3人とレースするぞ。2400だ。」
「うん。」
「3人はいろいろ妨害やなにやらをしてくるから。それの反応を見る。」
「うん。」
「あんまり激しく反応してしまったらいろいろ考えるが・・・まぁ気楽にやってくれ。」
「わかった。」
「じゃあ位置に着いて。」
言われた通り位置に着く。そして横にさっきの先輩達が着いた。なんか・・・舌なめずりしてるんですけど。
「よーい・・・ドン!」
そして走り出した。だが最初から先輩達はやらかしてくるのであった。
「うひ!」
走り出して早速。尻を撫でられた。誰!?俺が先頭を走って3人とも背中に張り付いているので誰がやったかわからない。これまじ?
「くっ・・・」
400メートルほど走ったら先輩達が横に出始めた。そして・・・
「!?」
ぎゅうっと密着された。この状態で走れるのはすごいが俺はものすごく走りづらい。それに危ない。
「・・・!!」
密着されない為に前にでる。だが・・・
「!!!!」
今度は3人が前に出て塞がれた。この3人の先輩・・・すごく上手い!!!
「・・・。」
そのまま時折触られたりしながら一周した。つ、疲れた・・・
「よし。そこまで。」
「ういー。」
「よし。」
「お疲れー。」
「はぁはぁはぁ。」
「パール達は解散だ。ティガ。戻るぞ。」
「はぁはぁ・・・うん。」
こうしてトレーナーのトレーニングは終わった。だが・・・3人の先輩は。俺をニヤニヤと見て。ひそひそしている。何?
「ティーガちゃん。」
「うわっ!?」
ダイステンペスト先輩にヘッドロックされた。この人胸でっか!!!柔らかい感触が頭に襲来し、非常にまずい!!!やめて!!!
「んっ・・・!暴れないでよー」
「ひぃぃ。」
「ねぇ・・・ティガちゃん?一緒にシャワー浴びにいかない?うひひ。」
「や、やだっ。」
なんとかヘッドロックから逃れた。あぶなかった。
「あーあダイス嫌われちゃったー」
「むー。」
「じゃあ私もー」
「!?」
今度はリッカーナイスマン先輩が後ろから抱きついてきたこっちもグラマー!!!!まずい!!!!
「おりゃおりゃー」
「ひぃぃ。」
むにゅむにゅと背中でたわわが押しつけられる。やばい!!!起立しちゃう!!!中村トレーナー助けて!!!!
「おい。お前ら。そこまでにしとけよ。」
「ちぇー」
「はーい。」
「ほら行くよー」
解放された。うう・・・!!女子の距離感・・・!!!3人はそそくさと立ち去っていった。良かった・・・
「大丈夫か?」
「うう・・・!!!」
「あいつらは現役の頃も大変だったよ・・・陽キャギャルだから・・・」
「こわい・・・」
「すまんな・・・」
そうして俺はトレーナールームに戻った。
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「総評をするぞ。」
「わー。」
俺は共用シャワールームに行けないのでトレーナールームで体を拭いた。まぁ中村トレーナーしかいないし。
「総評するとだな・・・ティガは・・・」
「ごくり・・・」
「レースを走るのは無理!ということがわかった。」
「なるほど。」
まぁそうだよな。元人間だし。
「ティガは元人間だからか、ウマ娘の闘争本能に欠けるという事がわかる。例えば最後のレース中、接触されるほど接近されたりとか追い抜かされたりした時、ウマ娘なら負けん気を出すんだが・・・」
「俺は萎縮しちゃいましたね・・・」
「そう。ティガは控えた。本来ならスパートを掛けるタイミングでもティガは出来なかった。だからレースを走るのは無理なんだ。競り合うのは不可能。」
「まぁ仕方ないよね。」
「ティガは特殊だからな。」
「でも楽しかった!走るの気持ちいい!」
「そうか?じゃあ今後もそれらしいタイミングでトレーニングするか。」
「うん!」
こうして俺のトレーニングは終わった。まぁこうなるよなという結果だったが。まぁでもウマ娘のスピードというのは結構爽快感があった。車並みのスピードは怖くもあるが。