出禁のセイヤ   作:久保サカナ

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聖闘士真理矢面白かった感動を小宇宙に変えて投下


出禁のセイヤ プロローグ 呪術の世界にて

 

 

 

その少年にとって世界は「つまらない」ものであった。

 

『人間』は自分ひとりだけ、あとは五月蝿く囀るだけの虫か花。

 

そして、そんな中に『六眼』『無下限呪術』を持って産まれてしまった自分は一生コイツらに貴重だというだけで食いものにされるんだろう、という諦めが幼くして存在した。

 

何処を見渡しても虫と花、あとはこの国を縛る『呪い』しか見えない………五条悟という少年の人生を諦めさせるには充分なのであった。

 

 

 

五条悟が五歳の誕生日のことであった、虫や花のおべっか………「五条家繁栄の為の道具として産まれて来てくれて有難う」という言葉が急に嫌気が差したのだ。

 

屋敷の外の世界が見たくなった五条はこっそりと蒼で壊しておいた庭の茂みに隠れた穴から外へ出たのだった。

 

外に出た五条であったがやはり虫と花ばかり………まぁ、外の虫や花は和服ではなく洋服を着てるとか、何やら小さな機械を弄っているとかそういう小さな発見はあったが。

 

もう帰ろうか………そう思ったその時、『視えた』

 

 

 

「!?」

 

 

 

その男は異様であった、姿こそ赤いTシャツにジャケット、ジーンズにスニーカーを履いた茶髪に同じ色の瞳を持った青年であったが………呪われているのだ。

 

青年の左胸…心臓のある位置を『翼の意匠が施された巨大な西洋剣』が貫き今も血が滴り落ちている、いや六眼を持つ五条にはそう見えた。

 

西洋剣からは五条が今まで見た事の無い………あの呪いと比べればどんな呪霊だって満月の下のスッポンだろう、日本で言えば伊邪那美命…冥府の神が人を呪えばこうなるだろうという悍ましい呪いが発せられている。

 

しかし、青年は一切気にした様子はない、むしろ呪いがあるから生きていると言えるくらいにピンピンしている。

 

幼い五条から見ても死相が視えているのに誰よりも死から遠い…そんな不思議な青年だった。

 

それに彼は五条にとって初めて『人間』に見える存在だった、五条は青年の存在にすっかり心を奪われてしまった。

 

そうして五条は雑踏に消えて行く青年の跡をつけたのだった。

 

 

青年の跡をつけた五条だったが青年は古ぼけた神社に入って行ったので五条も入る、すると濃密な呪いの気配と共に周囲の視界が一変した。

 

 

 

「何だこれ…!?」

 

 

 

それはこの世界では領域展開と呼ばれる呪術の奥義、まだ幼い五条は習っていなかったが。

 

突如として身体をとてもじゃないが立っていられない程の振動が襲い、周囲の風景も崩壊して行く。

 

そんな中、飛んで来た瓦礫が五条の頬を傷つけた、身体もしたたかに打った。

 

 

 

「何で!?無下限は解いて無いのに!!」

 

 

 

「領域展開の内部はあらゆる攻撃が必中になる」…この頃の五条はそれすら知らなかったのだ、これは後に大人になった彼が教職に就いた時に生徒に実地で領域展開を体験させる理由になる。

 

産まれて初めての死の恐怖にパニックになる五条、5歳児の箱入りお坊ちゃんには行き過ぎた体験である。

 

しかし、そんな五条を落ち着かせる暖かな手のひらが頭に置かれた、身体を襲っていた振動も止んだ。

 

 

 

「大丈夫だ、俺から離れるなよ。俺の背中にしっかりしがみつけ」

 

 

 

そう言うのはいつのまにか五条の側に来ていた青年だ、領域内部の空間ごと揺らされているのに平然と立っている。

 

青年の身体は白く輝く手足と急所を守る鎧に覆われている…呪力とは違うが凄まじい力を感じる、もし呪具ならば間違いなく特級だろう。

 

五条はその言葉に従い青年の背中にしがみつく…カッコ悪いが命には代えられない。

 

五条がしがみついたのを確認すると青年は空を蹴って翔んだ。

 

 

 

まるでギリシャ神話における翼持つ馬………ペガサスのように

 

 

 

闇夜を切り裂いて飛ぶ流星のように

 

 

 

文字通り星の矢となった青年は拳を構えてこの領域を生み出した特級呪霊、否、零落した産土神に拳の雨を浴びせるのだった。

 

 

 

「ペガサス流星拳!!!」

 

 

 

繰り出される無数の拳は天から地上に降り注ぐ流星群のように産土神とその領域を穿ち、跡形も無く祓ったのだった。

 

産土神が祓われて周囲の風景も元の風景に戻った、五条は身体から力が抜けてしまい青年の背から滑り落ちそうになったが青年はくるりと体勢を変えると五条を抱き留めたのだった。

 

俗に言うお姫様抱っこである、なお後に大人になった五条は語る「僕をお姫様抱っこ出来るなんて先生くらいだよ」と。

 

 

 

「怪我は…頬を切ったのか、あとは打撲か、ちょっと待ってろ」

 

 

 

青年がそう言うと五条の身体を正の呪力とも異なる暖かな光………小宇宙が包むのだった、顔の切り傷も身体を打った痛みも消えて行く。

 

されるがままの五条であったが急に恥ずかしくなって「降ろせよ!」と声を上げた、すると青年は五条を降ろして立たせると無下限があるのにも関わらずデコピンをお見舞いしたのだった。

 

 

 

「イテッ!何すんだよ!!」

 

「こう言う時は『ありがとうございます』だろう?誰かに親切にされたり助けられたらキチンとお礼を言うんだ、人間の常識だ」

 

「そうなのか…?」

 

 

 

『自分以外に初めて人間に見える存在』にそう言われてそうかもしれないと思う五条、青年はそんな五条の困惑に気づいたのか「次からはちゃんと言うんだぞ?お兄さんとの約束だ」と言ってその場を去ろうとした。

 

 

 

「待ってくれ!アンタ呪術師だろ!?名前を教えてくれよ!!!」

 

「人に名前を尋ねる時はまず自分から名乗るのが礼儀だぞ?」

 

「俺は五条悟だ!!」

 

「悟か、良い名前だな。勘違いしているようだが俺は呪術師じゃあない」

 

 

 

すると青年は五条に向き直ってこう名乗るのだ。

 

 

 

「俺は聖闘士、聖闘士星矢だ」

 

 

 





続きは一輝兄さんが道連れにしました



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