ハティになっちゃった 作:生体部品3
まだちょっとしか触れてないのでこれ書いたらじっくり高難易度周ります。
「窟を滅ぼされたニンフのすることなどひとつしかない……復讐だ。」
なお今回の話はギプロベルデのあのニンフではなく、造形情報が英傑の造形のニンフの方*1となります。
記憶の
隊長が私の左目についた傷のふちに触れたのを後でなぞったように、何度も、何度も。
それはヘロスから分かれた小さな窟だった。
樹窟ができてセルの流れが変わった後に残った一フロア分の大きなタンク
残ったセルを取りきって枯れた海のほとりに残ったニンフたちの小さな窟。
偶然ガーディナの進行ルートになかったから、生き残っただけの小さな窟。
偶然ヘロスの前に攻める理由がなかったから、生き残っただけの小さな窟。
ヘロスがガーディナを退けたときはまだみんな笑っていられた。
ヘロスがガーディナと手を組んだときにはみんな困惑していた。
ヘロスには火中から拾う理由もなかったから、灰すら残ってない小さな窟。
私たちはどこで間違ったんだろうか。
ヘロスが私たちをガーディナに売り払ったんだ。そうでないなら……そうでなかったならその後攻めてきたガーディナの兵がヘロスで作られた武器を持っていたはずがない。
──────────
「くそっ。ガーディナのやつらどれだけの兵力を突っ込んでるんだ。」
「最初は戦闘型だけでこっちの5倍くらいか?もう今じゃ10倍になるが。」
「最初はこっちは20以上いたんだよ。向こうは入れ替わってるのか減った気がしないけどさ。最後のやつの時にゃ100倍か。」
「あいつら銃弾で壁ごと1ブロック掘り抜くつもりなんじゃないか。弾薬はヘロス持ちなのかもな。」
「ケツに球ぶら下げた道化どもめ。あの足でトコトコ歩いていって戦場の主役こそガーディナ様よと囁いたんだろうぜ。こっちを模擬標的にでもするつもりか。」
「口より手を動かせ。一人当たりの弾薬が減ってないぞ。」
「こんな状況、黙ったままでやってられるか。どうするんだ隊長。」
「しかたない……。」
仲間たちの声が聞こえる。そうだ、わたし、目の前に天井が降ってきて。左目は一面の白しか返さないけど右はまだ平気。起き上がらなきゃ。
「お。生きてたか、エイジャ。いいぞ若いの、そういう運がいいやつはきっと長生きする。」
「隊長、私別に初陣ってわけでもないですから。若いのとか言われても困ります。」このあいだ後輩だってできたというのに、ひどい言い方だ。
「今生き残ってる中で一番若いのがお前だよ。いいか、よく聞け。」
「機動外肢もきしんでて無理はできないだろう。加速翅だって歪んでる。おまけに拡張頭環も吹っ飛んで顔もぱっくり割れてる、こりゃ総とっかえだな。通常型を走らせれば今のお前となら足並みもそろうだろう。」私のボロボロの鎧殻を足から頭に向かって隊長の手がなでていく。
「お前は生き残った通常型二人を連れて指定ポイントまで退却だ。」
「役に立たないから先に逃げろって言ってます?」
「そう言って欲しいのか?全員で退却できればそれが一番だが、最悪お前だけでも着ければいい。戦闘型と通常型じゃその後に取れる動きが変わってくるからな。」
「上層のやつと話がついてる、そこで先に脱出の準備をして待ってろ。」
一瞬何を言っているのかわからなくて私は残った右目を大きく広げて隊長をにらむ。
「じ、自分が何言ってるかわかってるんですか!それって女王にたいする裏ぎ」言い切る前に頭をなでていた手が急に頬をつねりあげる。
「言い方に気をつけろ。女王も承知の上だ。いざというときにはやれることは何でもやって一矢報いてみせろとよ。」手が離れていく。
「それは、アルカンドの味方をしてガーディナを苦しめろ。と……?」
答え合わせはなかった。隊長の目はギラギラしていて、見たことのない顔に見えた。
「しかし女王がまだ」と、私に背を向けてみんなの方に振り向いていく背中にすがる私の声を遮るように隊長は声を張り上げる
「さて!さっき後方で火が上がってから女王と連絡が取れない。」
「あれだけ正面に居てなお、まだ連中には食堂に入り切れなかったお仲間がいて配給の列にも並ばず裏に周っていたらしい。」
「我々はこれから裏口から突っ込んできたいやしんぼどもに一撃を加え、物資が取られる前に持てるだけ持って脱出することになる。」
「脱出ポイントは今連携する。揮発性のとこに持っておけよ、逃げそこなって頭を漁られるようなやつはいないだろうがな。」
隊長はここに残って殿をするニンフを指定して、ここが抜かれたら爆破する準備を指示するとこう締めくくった。
「やつらに渡す資源は何もない。銃の一丁、指の一本までだ。いいな!」
──────────
それから私はどうやってそこまで逃げのびたんだったか。
包囲されていたのだからどこに行ってもガーディナの連中が迂回路を探してうろついていた。
それを抜けてポイントについた時、私のそばにはもう誰もいなかった。
そこで何時間待ってもアルカンドのやつ以外は誰もいないままだった。
そのあと私はアルカンドで補給を受けてこれからのことについて色々な説明を受けていた。
しばらくしたら表向きはヘロスの通常型のふりをして行商人として中層に戻ることになる。
裏では亡命を希望する中層の各窟のニンフを手引きして上層に逃がす手伝いをするんだそうだ。
たしかに窟の関係が近ければニンフのにおいは近くなる。
私にしかできないことだと言われると納得だ。
私がヘロスの行商人のふりをしても見ただけで気が付くのはヘロスのやつらくらいで、ガーディナのやつらでは詳細に調べるならともかく、疑われなければ確認しないだろうし気が付かれないはず。*1
私の鎧殻は修理できずにそのままだったが、通常型のふりをして忍び込むならどうせ使えない。
ここで補給を受けられるアルカンドの鎧殻を受け取っても堂々とそれを着ていくわけにもいかない。
と仕方がない理由をならべて考えないようにする。
武器はホドのどこでも手に入るもので通常型が持っていてもおかしくないものということでハンドガンのStilettが支給された。
質は悪くない。むしろ熱塵武装は上層の方が技術的に進んでいるだけあって知っているそれより少し性能が高い。
拡張頭環なしの私ではどうせ、通常型の中では腕がいい方と大して変わらない程度の射撃精度しか出ないだろうと考えると、戦闘型に何も持たせないのは不憫だからせめて、とかなのだろうか。
顔の方は簡易の修復だけで済ませた。
フェイスプレートごと取り換えでもよかったが、通常型ということになっている以上、取り換えあとを見られて疑われても面倒だ。
通常型なら機能に問題が出ないレベルなら修復剤などでの修復で済まされるのが普通だし、機能に大いに問題が出るレベルなら個体ごと取り換えた方が安い。
それに……この体はたしかにあの場所にみんなといた体だから。
これからのこと以外にはアルカンドの教えというのも覚えさせられた。
アルカンドは文字通り文化が違う窟だ。私も亡命という扱いになるようだし、なじむための努力をしているように見せることも必要だろう。
それで、何度か亡命者を送ってそんな生活にも慣れてきた。
余裕が出てくると教えというのも心に沁みる、存外心地よい安らぎを感じる。
もちろん隊長の最後のあの目、ヘロスとガーディナに対する復讐を忘れたことはない。
それでもみんなが手を取って生きていける道があったなら、まだみんな一緒にいられたのかな。とか思うときもある。
祈りというものを知ると、一枚フィルターが抜けたように世界の見え方が違って見える。
そんな私は今日も助けを求める新しい同志のために中層に潜る。
おや、いつも用意してもらっている行商の荷物以外にこれは、防塵用の上着?
先日帰ってきたときに中層は埃っぽいからと話したから配給をまわしてくれたんだろうか。
タグを確認すると、なるほど、一つ新しい型番の生産が始まったからお古がまわってきた、という言い訳が効くからということらしい。
ヘロスの連中は上層にも出入りしているから型落ちなら持っていてもおかしくはない、ということにしてありがたく使わせてもらおう。
エイジャ。好きなキャラではあるんだけど、鎧殻なしのわりにDPとか一部のスペック高そう(ジャンクあたりとの比較ではあるが)ではあって困る。
射撃頻度が低くて動きがたまに移動する以外は棒立ちだったりだからわざとそうしなければ大体の種子は負けないでしょうけど。
それっぽいフレーバーの造形情報があるのにそれ装備じゃなかったり、実際に身に着けている造形情報がフレーバーテキストとかみ合ってなかったり、鎧殻なしのキャラで唯一自動障壁持ってたりとか彼女にどう仮定を置くかで色々話が変わってくる大きなキャラだと思っています。
彼女の英語字幕で神に感謝の神がthe Goddessなあたりやはり主は女神なんですね。
話は変わるんですが、彼女の台詞で好きなのは
ちゃんとそういう意識はあるんだな。ってことは防塵素体のそれは知らないで渡されてるか、言い訳できる状態と思ってるんだな。っていうのがわかる
「情報が漏れた……!?早く離れないと。」(プレイヤーを撃破時に複数あるパターンの一つ)
と
二人称が変わるくらい余裕がなくなってる(通常の会話では二人称はあなた)
「なんなのよ!あんた!」(敵対してから撃破などされてから再戦時)
だったりします。エイジャ可愛いよエイジャ。
エイジャと同じく、明らかに他のキャラと動きが違うキャラであるカルラド君と違ってモーニングスターとかで攻撃モーションキャンセルできないのも地味に色々考えさせられました。その結果この話では彼女は実は戦闘型、ということになっています。装備ミスかもしれないですが通常型が英傑の造形ということもないでしょうし。
カルラド君はまた今度。
関係ないんですが、キリスト教の小話。
パウロあるいはサウロ
目からうろこのエピソードでおなじみ
元はキリスト教徒を迫害する側だったか雷(あるいは光に)打たれて回心し、小アジア(英語でのアジアの発音はエイジャである。スペルはasiaとajaでさすがに異なるが。)周辺の異邦人に伝道し使徒に列聖された。